Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

ツインテールの日

今日、2月2日はツインテールの日なんだそうです。
ツインテールといえば初音ミク、ということで一曲紹介しておきますね。
2009年の初々しいミクと、2013年の成長したミクを並べておきました。

いつもより泣き虫な空 - れるりりfeat.初音ミク


2013年V3MIKU(リアレンジ版)


2009年まだ初々しいミク(オリジナル版)

サキのところのミク(ミク・イケウエ・エストレーラ)はショートカットにしてしまいましたけれど・・・。

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「ジョゼとミクの物語」後編UPします

あ~もう無理!!!
上手く纏まらない!!!
こんなんでよく「サキは物書きです」なんて言ってるよ。
ほんと、人間ってこんな時どんなふうに行動するんだろう?どんなふうな心の動きをするんだろう?顔を歪めるの?笑うの?泣くの?どんなふうに?
どうしてみんなは、あんなにリアリスティックに、しかも時には軽やかに、時には重厚に物語を展開できるんだろう。ああいうふうに書けたらなぁ・・・。
ほんと自分の力量のなさに落ち込みますよ。
悩みに悩んでこんなもんかい・・・的な作品になってると思われますが、読んでいただけたら嬉しいです。

「ミクっていうんでしょ?調べちゃった」エレクトラはペロリと舌を出した。
「まいったな」ジョゼは頭をかいた。
「お取込み中すみません」カウンターの女性が申し訳なさそうに声をかけてきた。「ミクというお声が聞こえたものですから。不躾な質問で、見当違いだったらごめんなさいね。そのミクというのはイケウエ・ミク様のことなのでしょうか」

さてミュージアムの女性は何を語るのでしょう?よろしければ下のリンクからお進みください。

貿易風 (alisios) 後編

前編はこちらから。
貿易風 (alisios) 前編
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絵夢の素敵な日常 貿易風(alisios) 後編

貿易風 (alisios) 後編


 ジョゼは暫くの間女性を見つめていたが、やがて大きく息を吸い込むと「ええ、そうです。でも今はミク・イケウエ・エストレーラと名乗っていますが」と答えた。
「そうですか。お元気でいらっしゃいますか?」女性の顔は不安気だ。
「ええ」
「エストレーラ?ということはご結婚を?」
「いえ、それは・・・まだ」
「お幸せでしょうか?」
「はい、あ・・・そうだと思います」
「ポルトガルへ行かれたということはお聞きしていたのですが、詳しいことが分からなくて、心配申し上げておりました。先ほどポルトガルからお見えになったとお聞きして、そして今ミク様のお名前が聞こえたものですから、つい。たいへん失礼いたしました」女性は深々と頭を下げる。
「彼女は今オペラ歌手として活躍しています。評判も上々ですし、元気にやっていますよ」
「良かった」女性の目は涙でいっぱいになった。
「あなたは?」今度はジョゼが質問を返す。
「私はミク様がお小さい頃、傍にお仕えしていた者です」そう答えた女性は少し用心深い顔になって「あなた方はミク様とはどういうご関係の方なのですか?それにどういったご用件でここへ?」と訊いた。
「え?はい、あの・・・」ジョゼは『ただの友人です』と答えるつもりだったが女性の涙を見て気が変わった。『ええぃ、ままよ!』「彼女は僕の恋人です」ジョゼは願望を口にした。
「まあ!」女性の顔は親しみを帯びた物に変わった。そしてチラリとエレクトラの方を見た。
 ジョゼもつられて横目でエレクトラを見た。エレクトラは何かを言おうと口を開きかけたが、そのまま口をつぐんでしまった。
「僕らは今日本へ研修に来ているんです。そして、こちらは研修生の友人です」ジョゼはエレクトラを紹介した。エレクトラは英語の会話についてきていなかったが愛想笑いを浮かべた。
 「今日はたまたま研修の休日で、ミクが育ったところを見ておきたくなってやって来たんです。ミクの小さい頃の事を伺ってもよろしいですか?」
「あなたはミク様から何か聞いておられますか?」女性の顔は再び警戒の色を帯びた。
「幸せな生活だったがそれは見かけだけで、実際は疎外感を感じていたと・・・帰りたい家が無かったとも・・・」ジョゼは正直に答えることにした。
「そうですか・・・」女性は申し訳なさそうな顔になったが、少なくとも警戒の色は消えた。「私共にはどうしようもなかったのです。いえ、これは言い訳ですね。私を含め大人が、なんらかの対応をしなければならなかったのです。でもなにもしなかった。出来なかった。ですから当時の事は私の胸の上に重くのしかかったままになっています。でも今、幸せにやってらっしゃるとうかがって、そして恋人のあなたにお目にかかれて、それが少しは軽くなったような気がします」

 女性は内線電話をかけて何か指示を与えてから「お連れの方はこちらでお待ちいただけますか」とエレクトラをホールの隣のスペースへと案内した。
 エレクトラはおとなしくそれに従った。
「ここは私どもの清酒“月溪”の試飲コーナーです。係りの者が対応いたしますので何なりとお申し付けください」
 ジョゼはエレクトラに通訳したが、エレクトラは状況をすでに理解しているようだ。彼女は英語は苦手だと言っていたが、簡単な文脈なら理解できるのかもしれない。ジョゼはそう思った。
 女性はその様子を確認すると「こちらへ・・・」とジョゼを誘った。
 ジョゼは女性について先ほど進んできた通路を戻った。
 建物の奥へ進んで酒蔵へ入ると女性はこちらを向いた。「まだ先代がご存命だった頃、幼かったミク様はここでよく遊んでおられました。その樽とこの樽との隙間はお嬢様にとって絶好の隠れ家だったんですよ。その頃この蔵はまだ現役で酒の仕込みに使われておりましたから、親方に危ないから蔵へは入らないように、と何度も叱られておられました」まるで昨日の事のように女性は語る。「ミク様の母親はあなたのお国の方との混血であったことはご存じですね」
「はい」
「当時からミク様が疎外感を感じておられたとしたら、そのことが影響していたのだと思います。酒造りの世界は保守的ですから。それでもミク様は天真爛漫な明るいお子でした。少なくともそのように振る舞っておられました。蔵人達も彼等なりに可愛がっている様子でした。でもそれが先代が亡くなったとたんガラリと変わったのです。酒蔵は別の場所に移転し、蔵人達もいなくなりました。この蔵はミュージアムに改装され、ミク様は居場所を無くされたのです」
「後継者の問題があったと聞いていますが?」
「はい」女性は辺りを見回し、誰もいないことを確認した。「ミク様には何の責任も無いのですが、環境はガラリと変わりました。私も配置転換され、お傍を離れなければならなくなりました。そして母親が亡くなって、ミク様は一層暗く落ち込まれました。この家を出られたと聞いて、かえってホッとしたぐらいだったんですよ」
「そうですか・・・」ジョゼは家に拘るミクの顔を思い浮かべた。
『帰りたい家があるってことは、あたしにとって凄く大切な事なの』ドイツの空港でも確かそう言っていた。
 女性は蔵から中庭に出て、その向こうのある一軒の家を見せてくれた。ミクは生まれてからポルトに旅立つまでここで育ったということだった。
 瀟洒な造りの可愛い感じの洋館だったが、ミュージアム付属のイベントホールを建設するために間もなく取り壊されることになっていて、中は家具も無くがらんどうだった。
『ポルトへ旅立つ直前のミクもこんな感じだったのだろうか』ジョゼはそんな事を考えた。

 話を終え試飲コーナーへ戻ると女性は深々と頭を下げて礼を言った。ジョゼも同じように頭を下げた。
「ミク様を幸せにしてあげてくださいね」最後にそう言われたジョゼは「わかりました」と答える以外、返答を思いつかなかった。
 女性はもう一度小さくお辞儀をするとドアの向こうに消えた。
 ジョゼは暫くそのドアを見つめていたが、やがて思い切ったようにクルリと向きを変えた。
 カウンターではエレクトラが小さなグラスを傾けている。
「帰ろうか」ジョゼはエレクトラの隣に立った。
「ずいぶん待たせたわね」ジョゼを見上げるエレクトラの頬はほんのりと赤く染まっている。
「ごめん。いろいろ聞きたいこともあったから・・・」ジョゼは素直に謝った。
「ミクの事なら一生懸命なのね」
「いや、そんなんじゃ・・・」
「オネエサン!このダイギンジョー、1本いただくわ。とても美味しい」エレクトラはジョゼの言い訳を無視して、試飲コーナーの女性に声をかけた。
 ジョゼは慌てて通訳をする。これくらいなら日本語でも大丈夫だ。
 ハーフサイズの瓶はケースに入れられ、きれいに包装された。
 エレクトラは包装してもらった大吟醸をぶら下げて立ち上がる。
「おっとっと」思っていたより床は下にあったらしい。エレクトラは少しよろめいた。
「どれだけ飲んだんだよ」ジョゼは彼女を受け止め、大吟醸の包みを取り上げる。
「だって美味しいんだもん。種類がたくさんあって迷っちゃったわ」エレクトラはジョセに体を預けて動かない。
 腕にかかる彼女の重さが少しずつ増していく。
「エレクトラ・・・」ジョゼがエレクトラを立たせようとした次の瞬間。
「大丈夫よ。これくらい」エレクトラはジョゼの腕をほどいて歩き出した。
「エレクトラ!」ジョゼはエレクトラの背中に声をかける。
 エレクトラは振り向きざまに答えた。「さあ、帰りましょう。これからドオトンボリへ行くのよ」そして笑顔になって付け加えた。「それからホウゼンジヨコチョーも。メオトゼンザイだったかしら?それも食べなきゃ。こんなに付き合ったんだから、あんたに奢ってもらってもばちは当たらないでしょ?」そう言うとさっさとミュージアムを出ていってしまった。
「しょうがないなぁ・・・」ジョゼは慌てて後を追った。
 エレクトラの足取りはしっかりしている。
 顔の赤みも消えている。
「ま、いっか」エレクトラは唇の端に力を込めた。


2017.02.01
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「ジョゼとミクの物語」UPします

 今夜UPするのは「絵夢の素敵な日常」シリーズの「ジョゼとミクの物語」です。
 ここのところ主人公の絵夢の登場機会がほとんど無いんですが、今回も登場しません。
 というのは、今回はポルトチーム・コラボレーションの展開で、八少女 夕さんのブログで2016年11月に発表された「黄金の枷・外伝 ジョゼ、日本へ行く」の続編にあたる作品だからです。
 このシリーズは夕さんと相互にストーリーを展開させて書かれたもので、サキの所のミクというキャラと、夕さんの所のジョゼというキャラの恋模様を描いています。

 簡単にこれまでの物語に触れておきますと・・・。

 ミクは裕福な家に生まれて育っていますが、事情が有って幸せとは言えない家庭でした。お家騒動に巻き込まれ、疎外感にさいなまれ、いじめにもあっていたようです。
 唯一の味方だった母親も亡くなって、居場所を無くしたミクは高校生ぐらいの時にその家を離れ、ポルトガルのポルトという町に住む祖母のメイコに引き取られます。ミクはその街でようやく幸せな家庭というものを手に入れたのです。
 そしてこの町で6つ年下で当時小学生だったジョゼと出会います。
 2人は姉貴と弟分として育ちますが、やがて2人の間に複雑な感情が生まれます。
 ミクは声楽を勉強していたのですが、大学時代にその才能を認められ大学院へ進み、さらにプロへの道を歩みます。やがてミクの才能は開花し、オペラ歌手としての道が開け始めます。
 一方ジョゼは学校を卒業するとカフェのウェイターとして働き始めます。
 一介のウェイターと新進気鋭のオペラ歌手、ジョゼはミクとの格差に悩みながら恋心を募らせます。
 ミクはそんなジョゼの悩みを上手く理解できず、やはり悩み迷います。

 前回の夕さんの作品「ジョゼ 日本へ行く」では、ジョゼは有名ポートワイン会社の企画した日本グルメ研修で日本へやって来ています。ジョゼは研修に派遣されるくらい優秀なウェイターなんですね。
 そのうえ彼はマルチリンガルなんです。母国語の他にスペイン語を話す上に、スイス生まれなので、英語やドイツ語も喋れます。おまけに、ミクとの付き合いの関係で片言ですが日本語も喋るので、観光客が多い現場で重宝されているみたいです。
 そしてこの研修旅行ではジョゼの傍にエレクトラというチャーミングな女性がピッタリくっついています。彼女は同じ研修生仲間なんですが、あのマイア(本編「黄金の枷」のヒロイン)の末妹なんです。彼女はジョゼにアタックしたりして凄く積極的です。
 夕さんからは後は好きにして・・・とコメントをいただいていますが、え?こんなにかき回しておいてから離脱?
 さていったいどうなる事やら・・・。

 ここまでの展開は下のリンクのページにまとめていますが、結構長いです。

ジョゼとミクの物語、「背中合わせの2人」

 そして最新のお話はこの下のリンクからどうぞ。
 とりあえず前編からUPします。そう間を置かずに後編もUP出来る予定です。

貿易風 (alisios) 前編
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絵夢の素敵な日常 貿易風(alisios) 前編

貿易風 (alisios) 前編

「ねぇ。ここはどこなのよ。ねぇ」エレクトラの声を無視してジョゼはエスカレーターを下る。「ジョゼってばぁ」
「勝手についてきたんだから文句を言うなよ。疲れたならホテルに戻れば大丈夫だから」
「冷たいこと言わないでよ。ここから1人で戻るなんて無理よ」
「だったらおとなしくついてこいよ」ジョセは歩幅をエレクトラに合わせた。
「だって、自由行動の日なんてほとんどないんだもの。せっかく食い倒れの町なんだから、一緒になにか美味しい物を食べたいじゃない」

 研修旅行はもう最終の行程に入っていて、昨日は食い倒れの町と呼ばれている大阪で一日中缶詰になって講習と実習が行われた。そして今日は久しぶりのオフで自由行動が可能な日だった。“食い倒れ”とは、飲食に金をかけ過ぎて,貧乏になるという意味で、大阪にはそれくらい美味しい物がたくさんあるということらしい。

「僕は今日は個人的な用事で出かける。しかも食には全く関係ない用事だから、とはっきりことわったはずだよ」
「だって、一緒に出掛けたかったんだもん」エレクトラは泣きそうな声を出す。
「しょうがないな」ジョゼはエレクトラが追い付くのを待った。
「ありがとう。やっぱりジョゼは優しい」泣いてしまいそうな顔は一瞬だった。エレクトラはジョゼの肘に手を通すと満面の笑みを浮かべた。
 ジョゼは一瞬顔をゆがませたが、そのまま並んで歩き始めた。
「ねぇ。私達はいったいどこにいるの?」
「池上という町だ」
「イケ・・・?」
「イケガミ、だ」
「そのイケなんとかに、ジョゼは何の用があるの?」エレクトラは体を寄せる。
「邪魔だなぁ・・・」ジョゼは顔をしかめた。
「いいじゃない」エレクトラは気にする様子もない。
 駅を出たところでジョゼは「Information」の表示を見つけ、その入り口を入った。カウンターの女性に近づき、彼が仕事で培った最高の笑顔を向ける。
「何かお困りでしょうか?」ジョゼの姿から判断したのだろう。女性は英語で話しかけてきた。
「すみません。お尋ねしたいのですが、この辺にイケウエという家は有りませんか?」ジョゼはスイス生まれなので英語も堪能だ。エレクトラは英語が苦手なのでキョトンとした顔で横に並んでいる。
「イケウエミュージアムの事でしょうか?それでしたら・・・」女性はラックからパンフレットを取り出すと行き方を説明してくれた。

 ミク・イケウエ・エストレーラ、それがミクのフルネームだ。彼女の祖母であるメイコも同じミドルネームを持っているのだが、2人ともそれを書いたり名乗ったりすることは無い。ジョゼも何かの公的な書類を見る機会があって、初めて知ったぐらいだ。その時それについて尋ねたジョゼに、ミクはメイコの旧姓だと答えた。ということは・・・ジョゼはそれがミクが日本にいた時の名字に違いないと考えていた。
 今日ジョゼはミクが生まれた場所を訪ねるつもりだった。
 ミクはほとんど日本での生活の事は話さなかったが、ミクと絵夢が宝塚の町で出会った時の話を聞いたとき、ミクがその近くの池上(イケガミ)という町に住んでいたことは聞き出していた。
 それに池上(イケウエ)という家はかなりの名士である事も分かっていたので、池上の町でその名前を出せば何らかの手がかりが得られるだろうと考えていた。だから一発で反応があった事にも、たいして驚きはしなかった。だがミュージアムというのはジョゼの予想を超えていた。

 パンフレットを受け取り礼を言うとジョゼはエレクトラを伴って「Information」を後にした。案内されたとおり駅前広場を回り込み、正面にある商店街のアーケードに入る。
 商店街の人通りはあまり多くはなく、シャッターの閉まっている店舗も多い。大型ショッピングモールの繁栄と個人商店の衰退の、まさにその典型的なモデルを見るような思いでジョゼは商店街を進んだ。
 エレクトラはジョゼの肘に手を通したまま興味深げに店の商品を眺めている。何度か歓声を上げてその度に衆目を集めたが、今のジョゼにそれにかまっている余裕は無い。
 やがて商店街が尽き、小さな交差点を抜けるとそこが目的地だった。
 それは黒い屋根瓦を乗せた巨大な和風建築だった。道路に面して入口が有って、壁に日本語の表記と並んで「IKEUE MEMORIAL MUSEUM」の文字が見える。
「いったいイケウエという家は、どれだけ大きいんだ」ジョゼは目を見張った。横でエレクトラが色々と質問してくるがそれどころじゃない。適当に受け流したジョゼは恐る恐る入口を入る。
 中は土間と呼ばれるホールになっていて、落ち着いた感じの年配の女性が笑顔で向かえてくれた。
 ジョゼも最高の笑顔で答え「このミュージアムについて説明してもらえませんか」と尋ねた。
 女性は、池上(イケウエ)家がこの池上(イケガミ)の町で代々酒造業を営んできた家である事や、このミュージアムが、伝統的な酒蔵や池上(イケウエ)家の旧屋敷の保存に加え、酒造の歴史や製法の資料、酒造に関する道具などの他に、池上家代々の当主が収拾した美術品や骨とう品の展示を目的として作られた事などを説明してくれた。
 説明は英語だったので、ジョゼはエレクトラのために要点をポルトガル語に通訳した。
「どちらからお越しですか?」その様子をじっと見ていた女性が尋ねた。
「ポルトガルからですよ」
「まぁ、遠い所からようこそお越しくださいました」女性は少し驚いた様子だったが歓迎の言葉を述べた。
 ミュージアムはそんなに大きな物ではなかったので、屋敷の畳敷きの部屋を改装した展示室で絵画や骨董品を鑑賞し、縁側から日本庭園を眺め、さらに実際に使われていた大きな樽や酒造用具の並ぶ酒蔵の見学を終えるのに、思っていたほど時間はかからなかった。
 入口のホールへ戻るジョゼにエレクトラが声をかけた。
「ねぇ、私知ってるんだよ」
「何を?」ジョゼは怪訝な顔を向ける。
「どうしてここへ来たのか・・・ううん、来たかったのか」
「どういうこと?」
「六つも年上なんでしょう?」
「えっ!」ジョゼはエレクトラの思いもかけない言葉に驚いた。
「マイアが休暇で帰ってきたとき、そんな話をしてくれたことがあったんだ。ジョゼにはいい人が居るらしいよ。六つも年上らしいよ・・・って」
「マイアが?」ジョゼは立ち止まった。ホールのカウンターには先ほどの年配の女性が座っている。

 マイアというのはジョゼの同級生でエレクトラの姉だ。そういえばずっと前に出会った時、そんな話をした覚えがある。たぶんポートワインを飲み過ぎたせいだ。

「それに日本人だって・・・だから、ここは彼女に関係のある場所なんでしょ?それぐらい私にもわかってるよ」
 ジョゼは黙ってエレクトラを見つめた。
「ミクっていうんでしょ?調べちゃった」エレクトラはペロリと舌を出した。
「まいったな」ジョゼは頭をかいた。
「お取込み中すみません」カウンターの女性が申し訳なさそうに声をかけてきた。「ミクというお声が聞こえたものですから。不躾な質問で、見当違いだったらごめんなさいね。そのミクというのはイケウエ・ミク様のことなのでしょうか」


2017.01.27

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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


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アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
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