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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

青の向こう

 海から吹く風は山から吹き降ろす風にくらべるとずいぶんと暖かい。
 太陽は勢いを増しつつあり、その熱を吸収した黒い魚網からはムッとするほどの磯の臭いが上がってくる。
 カリは網針を持つ手を止めると網から顔を上げた。
「こうじんさま・・・こうじんさまだ・・・」
 網小屋の前で一緒に並んで網を修理している女たちのひそひそ声が聞こえる。
 女たちの視線の向こう、砂浜のずっと先から黄色い衣装と黄色い帽子を身に着けた男がゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる。
 いや、歩くというより彷徨うという方が正確だ。フラリフラリとおぼつかない足取りでこっちへ向かってくる。
 こうじんさまというのは、厳しい修行を終えた高僧の中でも特に選ばれた者だけを指すこの地方独特の呼び名で、徳を積み悟りを開いた印である黄色い衣装を身に着けることを許される。だが、その修行の厳しさ、求められる知識の多さから、めったなことでは現れない。この前にこうじんさまが現れたのは30年ほど前で、カリも祖母が夢語りに語ってくれたのを聞いて知っているだけの存在だ。
 最近、その厳しい修行を終えた僧がこうじんさまになったという噂は耳にしていたが、あのお方がその人物のようだ。必要な観察を終えるとカリは僧の姿を直視しないように網の上に視線を落とした。
 女たちはひそひそ声で噂話に花を咲かせていたが、やがて静かになった。どうやらこうじんさまが近づいてきたようだ。砂を引きずるような足音がしてカリの落とした視線の先に足元が見えた。立派な黄色の靴を履いている。『何もかもが黄色いんだな』何ということも無くカリは考え、その黄色い靴が去っていくのを待った。だが、靴はなかなか立ち去らなかった。
 待ちきれなくなったカリはそっと顔をあげた。
 そこには若い男の顔があった。ギラギラとした大きな眼(まなこ)がカリの方を向いている。黒目が小さく縮み、白目が赤い毛細血管で覆われている様は、まるで正気を失った牛のようだ。その目はカリの顔を真っ直ぐに見据えている。とても悟りを開いた高僧のようには見えない。もっと年老いた枯れ木のような老人を想像していたカリは慌てて目を逸らして下を向いた。
 男が近づいてくる気配がした。再び男の黄色い靴の足元が見える。逃げ出したかったが、そんな無礼なことは罷りなら無い。カリが恐怖をこらえてじっとしていると、男の指がカリの顎に掛かった。グイと顔を上げさせられる。男はなお一層正気を欠いた目で彼女の顔を見た。カリは男の顔を見上げる。美しい顔だった。修行のせいだろうか痩せていて細面だが、まだ何処かに幼さを残している。ひょっとするとカリよりも年下かもしれない。普段なら聡明な顔立ちなのだろうが、今は見る影も無い。
 男はカリの顎に指をかけたまま、さらに上に引き上げた。カリは抵抗せず立ち上がった。男は顎から指を離し、カリの白い頬をそっとなぜ、肩の上で切り揃えられたまっすぐな黒い髪を指で梳いた。もう一方の手は前紐を解き、胸元に差し込まれた。カリの乳房は小さく、男はちょうど収まるくらいのそれを手で包み込む。乳首は硬く大きくなった。荒い息が首筋をかすめる。
 男はカリの体に手を回し、引きずるように網小屋に入った。そして丸めて置かれている大きな網の上にカリを抱いたまま飛び込んだ。
 一緒にいた女たちは蜘蛛の子を散らすように網小屋の前から逃げ去った。
 大きな目合いの網は皮膚に跡が付くほど食い込んで痛かったが、男はそんなことにはかまってくれなかった。必死の形相でカリの体をむさぼり、カリはされるがままになった。こうじんさまに歯向かうことは厳しく禁じられている。10台後半で結婚し、子供が出来なかったために出戻りになったカリにとって経験の不足はなかったが、こんなふうに触られるのはやはり恐怖だった。

 一通りの事が終わる頃には男の血走った目は落ち着きを取り戻していた。男は落ち着かない様子で黄色い衣装を身に着けると、早口で何かを言ってから引き上げていった。どうやら詫びの言葉だったらしい。体はあちこちが擦りむけ、何箇所かは出血もしている。カリはそっと立ち上がり、そこかしこに放り出された自分の服をゆっくりと順番に身に着けた。
 網小屋を出ると女たちが近づいてくる。
「どうだった?大丈夫?」口々に様子を聞きたがる。
 カリは黙ったまま首を横に振った。
 女たちはカリが人目に触れないように周りを取り囲んだまま、彼女が家に帰りつくまで付き添ってくれた。
 カリの父親はカリがまだ幼い頃、海で亡くなっている。母親は稼ぐために僧院の厨で下働きをしていたから、家には誰もいないはずだったが、誰かが呼び戻したのだろう、玄関先に立っている。付き添ってくれた女たちの中から一番年長の女が母親に走り寄った。事情を話してくれているようだ。
 母親は小さく頷くとカリの方を見た。
 カリは母親のもとに駆け寄った。
 母親は何も言わずカリのことをしっかりと抱きとめてくれた。
 カリも何も言わず母親に身を預けた。

 この時代、人々の暮らしは押しなべて貧しかったが、カリの村は比較的豊かだった。目の前に広がる海には南から流れ込む暖かい海流が流れ、気候は温暖だった。背後に控える山脈は海からの風によってたくさんの雨が降り、海に注ぐ川の流れは豊かだった。川は海に注ぐ前に流れを弱め、村の周囲に肥沃な三角州を形作っていた。海からは豊富に魚が獲れ、村の周りの水田や畑からは一定量の穀物や野菜が採れた。
 だが、その豊かさが争いごとも呼び込んだ。海からは海賊が押し寄せ、山からは山賊が隙をうかがった。村人たちは必死に戦ったが彼らは戦いのプロではない。押し負けるのは時間の問題だった。
 そんな時期に救世主が現れた。何十人かの旅の僧侶が通りかかり賊たちを押し返してくれたのだ。村人たちは感謝し、泊まるところの提供と引き換えに彼らの定住を望んだ。村人は修行を続ける身だった彼らのために、村の背後の山に道場を建て、彼らはそこを終の棲家とした。道場は次々と増築され、やがて巨大な僧院となった。
 彼らの教義は一風変わっていた。教義にはたくさんの修行が書かれ、生活すべてが修行に繋がっていた。そして、すべての修行を成し遂げた僧は向人(むこうびと)と呼ばれ、その時点で彼らの考える理想郷、王国へ移住する権利と義務が与えられた。そしてそれ以外の義務や決まりごとから解放された。村人は彼らのことを、尊敬を込めて向人様(こうじんさま)と呼んだ。
 王国は海の彼方にあり、修行を終えた者は船に乗って出港すれば自然とそこへたどり着くとされていた。厳しい修行をすべて終える者はめったなことでは出なかったが、それでも長い歴史の中で10人を越える者が村の前にある浜を旅立った。だが誰一人としてその行方が知れたものはいない。王国へ行ったものがこの不浄な世界へ戻ってくるはずは無いのだ。僧たちの間ではそれは当然のこととされた。彼らはその教義を固く信じ、日々の修行に励んだ。
 教義に疑問を持つ者も一定数はいたが、そういう者は自分がすべての修行を終える実力を持っていない事をよく知っていた。僧であれば一定の尊敬を得られたし、寒暑や雨風が凌げ3度の飯も喰えた。
 戦が繰り返され世の中が荒廃するにつれて、僧侶の数は初めとは比べ物にならないほど多くなった。そして彼らは僧兵となって村を守り、村人は海産物や農産物を提供した。村と僧院は補完しあって長い年月を過ごしてきた。

  * * *

 村のはずれから僧院までは九十九折れの長い坂道が続き、最後に長い階段となって大門に達する。階段は色づいた木々に囲まれ、上る先には青空しか見えない。まるで赤や黄色のモザイクで装飾された天まで続く階段のようだ。
 その階段を2人の女が登っている。1人はカリで、もう1人はカリの母親だ。カリが先を登り、母親が数段後を続いてゆっくりと登ってゆく。気温は低く、白い息に当たる日光が2人の顔の辺りを輝かせる。
「大丈夫かい?」母親が下から声をかけた。
 カリは立ち止まってゆっくりと振り返った。振り返ると母親の上に真っ青な空と海原が広がっている。下には白い砂浜が曲線を描いていて、その外延は両側から突き出す細長い岬に繋がっている。この2つの岬が浜と村を大波から守り、そしてその岬と岬の先端を結ぶ線が、危険に満ちた外海と安全な内海の境目とされてきた。
「大丈夫」カリは微笑んだ。
 カリのおなかは目立たない程度に膨らんでいて、母親はそれを心配げに見つめている。
「あれだけ出来なかったのに、こうじんさまの子を宿すとは、なんだか信じられないね」母親は少し息を切らしながら言った。
 カリはそれには答えず、またゆっくりと階段を登り始めた。
「こうじんさまはね」母親は続いて登りながら話し続ける。「こういっちゃなんだが、真っ直ぐで、熱心で、そして若かった」
「若い?」カリは顔だけを母親の方に向けた。
「そう、あんたより3つは年下だ。実際に若すぎたのかもしれない・・・」
「若すぎた?」
「そうさね。わたしは下働きで厨にいたからよく知っているけど、他の僧がサボっていても、そんなの全然気にしないでずっと熱心に修行を続けていた」
「そう・・・」
「でもね、自分が王国にいけるなんて、これっぽっちも考えてなかったと思うよ」
「どうして?」
「だって・・・」母親は言い淀んだ。
「だって?」
「いやだねぇ。こうじんさまのことをこんなに喋っちまって。本当はいけないんだよ」
「でも、知りたい。この子のテテ親なんだもの・・・」
「そうだね。あんたはこうじんさまに選ばれたんだね・・・」
 カリは黙って母親を見つめた。
 母親は思いきったように続けた。「正直、ホッとしているよ。子が出来ずに返されたときはどうなるかと思ったもんさ。お前のテテ親は早くに死んでしまったし、私もいつまでも生きているわけじゃないからね。でもこうじんさまの子を宿せば院がずっとあんたや子の面倒をみてくれる。これで私も安心して死んで行けるというもんだ」
 こうじんさまが手を付けた女は特別な存在として扱われる。カリの身に起こったようなことはとても稀なことだったが、それでもわずかな前例があって、そういう場合僧院はその女の生活を生涯保障した。こうじんさまの威信に傷をつけるわけにはいかなかったからだ。カリの場合のようにこうじんさまの子を宿すと言うような例は初めてだったが、僧院の保護がその子どもにまで及ぶことは予想できた。今カリたちは僧院に招かれ、祝福を受けるために階段を上っているのだ。
「この子のテテ親のことを聞かせてよ」カリはお腹にそっと手を当てて話を戻した。
「そうだね。あんたは特別になったんだからかまわないかね」
「特別かどうかは知らないけど、聞きたい」
「こうじんさまはね、僧院にやって来たときはまだまだ子どもだったんだ。クリクリ坊主の可愛らしい子だったんだよ。でもね、本当に真剣に修行に取り組んだんだ。わたしはずっと見てきたけど、何かに取り憑かれたみたいだったよ。僧院にやって来るまでの生活がよっぽど辛かったんだろうね。そんな感じだった」
「そう・・・」
「それで、教義の書に書いてある修行を片っ端からこなしていったんだけど、ある日もうやるべき修行が無いことに気がついたんだ」
「ウッカリ者だ・・・」カリはおどけた顔をした。
「僧たちの間では大きな話題になっていたし、上僧も何度も伝えたんだけど、こうじんさまは一切聞く耳を持たなかったらしい」
「それって、修行に夢中になりすぎて、耳に入ってなかっただけじゃないの?」
「たぶんそうだと思う」
「本物のウッカリ者だ・・・」
「それも一筋縄ではいかないくらいのね」2人は笑顔を見合わせた。
 カリの母親は続けた。「だからこうじんさまになってやろうとか、王国に行ってやろうなんて気持ちはこれっぽっちも無かったと思う。あなたはこうじんさまですって言われても、きっと何のことかわかってなかったんだ。だから自分がどういう立場に置かれているのかがわかるにつれて、あんなふうに混乱したんだよ」
「ああ、それで・・・」カリは足を止めて振り返り、母親の上に広がる海原をそして空を眺めた。
 しばらくそうやって休憩してから、2人はまた急な階段を登り始めた。

  * * *

 澄みきった夜空にまるで窓が開いたように満月が張り付いている。満月はこうこうと輝き、青白く足元を照らし出していた。
 山から吹き下ろす北風は日々少しずつ強さを増して気温を下げていく。いよいよ北風は安定して吹き続けるようになり、それは出発の時の到来を告げている。
 凍り付きそうな空気の中、カリは砂浜を急ぎ足で歩いていた。背中に重そうな袋を背負い、その上に大きな木槌を乗せていた。頭には僧院から授けられた黄色い帯を巻いている。黄色の帯はこめかみの上で結ばれ、その端は彼女の黒い髪と一緒になって揺れている。それは彼女と彼女の中に居るものが特別の存在であることを示していた。カリのお腹はそれと分かる程度には大きくなっていた。
 カリは波打ち際に置かれた一艘の船に近づいた。
 船は全長5メートルほどの大きさだが、船首と船尾の区別は無い。どちらも同じ格好をしていて、したがってどこにも舵は付いていない。船はコロの上に乗せられていて、そのまま海に出せるようになっている。甲板に登れるように舷側には階段が置かれ、その階段の登り口の両側には松明が焚かれている。
 辺りに人影は無い。だがそれは当然のことだ。恐らくこの時間この船に用のある人間など、この世には存在しないだろう。カリ以外は、という条件付きではあるが・・・。
 カリは誰もいないことを確かめてから足早に階段を登った。
 船の甲板には小屋がしつらえられていて、その前後には模様の描かれた大きな飾りが取り付けられている。飾りの下にはポッカリと入り口が開いていて小屋の中は真っ暗だ。松明の明かりもここまでは届かない。
 カリは暫くの間入り口の前で躊躇していたが、やがて覚悟を決めたように一歩を踏み出し、小屋の中へ消えていった。
 東の空が徐々に明るさを増し始めていた。
 夜明けの時が迫っていた。

 僧院を出た長い行列は大門から階段を下り、九十九折れの坂道をしずしずと進んだ。
 列の中程には輿があり、そこには黄色い衣装のこうじんさまが乗せられている。
 やがて行列は浜に辿り着き、輿は砂の上に下ろされた。僧たちはこうじんさまを取り囲んで儀式を続け、赤い衣装を纏った数人の年老いた僧たちがそれを取り仕切った。村人たちはその儀式を遠巻きに眺めていた。
 儀式は佳境に達した。いよいよこうじんさまが船に乗る時がやって来たのだ。こうじんさまが促されて立ち上がった。
 ・・・と、その時こうじんさまが叫び声を上げた。悲鳴のような声だ。何かを訴えているようだが、遠巻きに眺める村人たちにははっきりとは聞き取ることはできない。
 なんとかなだめようと赤い服の僧侶たちが周りを取り囲む。
 こうじんさまが走り出した。僧たちが止めようと次々と立ちはだかるが、すべてを振り払ってこうじんさまは駆ける。僧たちは慌てて追いかけたが、厳しい修行をこなしたこうじんさまの瞬発力に追いつける者はいない。訳のわからない叫び声を上げながらこうじんさまは村人たちの間をすり抜けようとした。
 だが、屈強な村の男たちがその前に立ち塞がった。たちまちこうじんさまは取り押さえられ、儀式の中心に戻される。彼はじたばたと抵抗を続けたが、男たちにとって彼の自由を奪うことなどなんでもないことのようだ。そして彼はそのまま引きずられるように階段を登らされ、船の上にしつらえられた小屋の中へ放り込まれた。ただちに小屋の入り口は分厚い板によって閉じられ、村の男たちが長い釘を打ち付けてそれを封印した。
 暫くの間は中から入り口を叩く音が聞こえていたが、やがて諦めたのかそれも聞こえなくなった。
 僧侶たちは何事も無かったかのように祈りを続けている。
 男たちは船を降り、長い棒をテコに使って船を海の方へ押し始めた。
 船が海に浮かぶと、今度は手漕ぎの漁船が近づいてきた。漕ぎ手の中の1人の男がこうじんさまを乗せた船から垂れ下がった縄を手早く手繰り寄せ、船と船とを繋いだ。合図と共に屈強な男たちが櫓を漕ぎ始め、漁船は力強くこうじんさまを乗せた船を引っ張り始めた。2艘の船は内海を沖合に向けて進んでいく。
 内海からすこし沖合に出て、両側から張り出した岬の突端を結ぶ線を通り過ぎたところで、男たちは縄を外した。
 こうじんさまを乗せた船は北風に押し出されるようにして沖に向かい始めた。

 大小の岩が連なる岬の突端、人がなんとか歩いて到達できる一番端の大岩の上に女が立っている。カリの母親だった。
 静かに大岩の上に立って、北からの風に髪をなびかせながら、もう一方の岬の突端の方向を見つめている。
 その視線の先、内海の方向から2艘の船が近づいてくる。1艘は村の若い衆が漕ぐ漁船で、もう1艘はこうじんさまを乗せた船だ。漁船は力強く沖へと進み、こうじんさまを乗せた船を引っ張ってゆく。
 2艘の船が2つの岬の先端と先端を結ぶ線を越えて外海に出ると、これまで力強く動かされていた櫓は動きを止め、一旦水から上げられた。船長(ふなおさ)の指示で2艘の船を繋いでいた縄が外された。片側の櫓だけが水に下ろされ漁船が方向を変える。合図と共にもう片側の櫓も下ろされ漁船は内海に向かって勢いよく進み始める。漕ぎ手たちはもうこうじんさまの船の方は見ていない。一心に陸地に向かって漕ぎ続ける。こうじんさまを乗せた船は北風に流され沖合へと向けて進み始める。2艘の船の距離は見る間に開いていった。
 カリの母親はこうじんさまを乗せた船が沖合へと流されていく様子をただ黙って見ていたが、やがて目を瞑り、胸の前でゆっくりと手を合わせた。
 彼女の向こうには真っ青な無限の海が広がっていた。

 岬の沖合には北へ向かう速い海流が流れている。これまでそれに捕まって流された船は数えられないほどあったが、この土地に戻れた者の記録は無い。

2020.02.29 scriviamo!
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

Comments

 
不思議な読後感のストーリーです。
といっても、サキさんのお話にはわりと多い、バッドエンドと断じるには早計だけれど、決してハッピーではなさそうな終わり方です。

思い出したのは、北欧の英雄の葬儀で一緒に殺されて同じ船で送り出される女奴隷の話ですけれど、このお話では全員生きたままですのである意味もっと過酷だし、反対に言うと生き延びるチャンスもある……かもしれません。

恋物語だとらえれば、新しい家族での船出としてハッピーエンドかもしれませんが、そもそも二人のどちらかに恋愛感情があったかどうかもサキさんの記述ではわかりません。

少なくともお母さんは、カリの決断を知って後押ししたようですが、それまた不可解です。我が子と孫が死に向かうのをみすみす後押しするような母親はいないでしょうし。

少なくともこうじんさまは船の小屋から出られないようにされて大海に放り出されたようですが、カリも同じ場所にいたらお陀仏ですよね。もっとも、生活能力のなさそうなこうじんさまと違って、カリの方は抜け出す手立てをすでに講じていたのかもしれませんが。

あちこちをわざと書かない手法を使った作品ゆえに、いろいろな続きを想像できそうです。

サキさんらしい作品での二度目のご参加ありがとうございました。
 
執筆、お疲れさまでした。
限定期間中に二作も書かれるとは、サキさんの創作力も旺盛ですね。

このお話を読んで、真っ先に思い浮かべたのは補陀落渡海ですが、断食行の即身成仏とは違って生還の可能性はあったようですね。

カリにとって向人様は、愛情を抱けるような相手ではないようにも思いますが、身籠ったことやその後の僧院での生活で、心境の変化があったのでしょうね。子どもをテテなし子にしたくなかった、という感情もあったのかもしれません。
木槌を担いで脱出の準備をしたり、おそらく食糧を持ち込んでいたようですが、渡海船ならどこかに無事に漂着することを祈るか、海を泳ぐしかないわけで、カリもある程度の覚悟はしていたのかもしれませんね。
向人様もかわいそうなものですが、船内でカリと再会して、おそらく新天地に向かう決断をしたのだろうと想像します。
いずれにせよ、戻れぬ旅であるわけで、どこかで無事に生きていってほしい、と願うのカリの母親の気持ちがよくわかります。

不思議な読後感のお話でしたが、サキさんらしさと新境地が垣間見えたかな、と感じました。
夕さん 
> 「油断していただろう、はっはっは~」
そんなこと考えもしませんでした・・・なんていったら嘘になります。ちょっと思ってました。すみません。
でも、モタモタしているうちにギリギリに追い込まれちゃったのは本当です。
今年は参加が少ないのかも・・・などと余計な気を回して書き始めたのですが、なかなか纏まりませんでした。
大筋は定まっているのですが、このお話をちゃんと書こうとすると長編になりそうです。
不思議な読後感というのは意図したものではなく、この長さに纏めるために必要な部分まで削ってしまったからです。
おっしゃるように、二人のどちらかに恋愛感情があったかどうかや、カリの母親の気持ち、こうじんさまの心の動き、世界設定、背景設定等、多くの部分を読んでくださる方の想像に委ねてしまっています。
こんな書き方をサキはよくするのですが、今回はちょっと極端すぎたのかもと反省しています。
でもこのお話を長編としてきちんと書こうとすると、サキの筆力ではたぶん完成しないように思うのです。
前に書いた「エニフ」のパイロットストーリーと同じですね。
長い物語を書くというのはなかなか難しいです。
こんな断片からいろいろな続きを想像していただけたら、それだけで嬉しいです。

あ、4月にはいっても全然かまいません。
皆さんへのお返し作品を読ませていただきながら待っていますから。
コメントありがとうございました。
TOM-Fさん 
さすがはTOM‐Fさん、ネタの出所はそんなところです。
和歌山県の南の方にある、とある浜から出発したようなのですが、そこは今、海水浴場になっています。
土地の古老に聞いたところでは、昔はこの浜では泳がなかったんだそうです。やっぱりなにかを感じていたんでしょうね。サキなんかこういう話を聞いてしまうと海に引き込まれそうな気がしますもの・・・。

カリの心情については何とも言えません。間の展開を飛ばしていますからわかりませんが、身ごもってしまったことや、僧院でこうじんさまと接するうちに何らかの心情の変化が起こったことはありそうです。
あ、そこ、気が付いてくださいましたか。カリは大きな荷物や木槌を持っていましたよね。これ、逃げ出す気満々です。生き残れたかどうかは分かりませんが、少なくとも希望が持てるようにこんな設定を入れておきました。もちろん母親もそのことは知っています。食料などは2人で用意したのでしょうから。
母親の気持ちについては、時間切れで描写し切れていません・・・というか彼女の気持ちはサキにとっても難解でした。母親として女としてカリにどんな気持ちを抱くのか、想像するのは難しいですね。
締め切りがありましたので全体的に時間切れになって、中途半端な作品になってしまいましたが読んでいただけて嬉しいです。

コメントありがとうございました。
こんばんは 
お、補陀落渡海だ、と思いながら読ませていただきましたが、いつも即身仏の話を聞く度に、途中で怖くならなかったのかなとか止めようとか思わなかったのかなとか感じていました。いくら修行を積んでても……和歌山とか高知とかから海を見たら、なんか太平洋って怖いわ~、よくもこんな処から海に流されていったもんだわと思います。
でも、平均寿命80年を誇る現在と、病気や飢餓や争いなどで明日のことも分からない時代の人々の感覚を同じだと考えてはいけないなぁとも思います。

このこうじんさまは、そういうこととは無関係に生きていた感じがしましたけれど……何というのか、良くも悪くも無垢というのか、現代的病名をつけていいのなら発達障害、いわゆる自閉症なのかなぁと感じてしまいました。

カリもまた純真ですね。恋愛感情とかではなかったかもしれませんが、宿した子につながる自分の宿命のようなものを大事にしたのだろうと思います。
ハッピーエンドかバッドエンドか? 無人島に流れ着いて云々とか、考えないことにします。生き延びることだけがハッピーエンドという話ではないのだと思うので。
彩洋さん 
おっしゃるように補陀落渡海をモチーフに書かせていただきました。
実際に途中で怖くなったのか逃げ出してしまったお坊さんもいたようで、その辺の出来事がヒントになっています。
そうですね。当時の人々は現代とまったく異なった環境で生きていますから、現代人(たとえばサキのような)の考えをそのまま当てはめることはできませんね。かなり頑張って作り出したのですが、サキの修行不足と、仮想世界だということでお許しいただければと思います。
あ、こうじんさまですが、彩洋さんがおっしゃると真実味を帯びてきますね。自分であの異常さを描写しながら、そういう病気であったのかも・・・と思い直しました。
確かにこういう結果が待っているのに、まったく頓着なく修行に邁進してしまうというのは正常な状態とは言えませんものね。
無人島に流れ着いて云々とか、考えないことにします・・・という意見には賛成です。
書いているときにはハッピーエンドとしてそういうエンディングも想定にあったのですが、書き終わってからはこういうエンディングに至らせようという思いは低下しています。
生き延びることだけがハッピーエンドではないというのは、そのとおりかもしれません。

お忙しい中コメントをいただきありがとうございました。

 
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こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。

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