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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

物書きエスの気まぐれプロット(21)新年・コハク来襲

Stella/s 月刊Stella12・1月合併号掲載作品

「エス!」ジッと後ろに立っていることが我慢できなくなって、コハクはついに声をかけた。
 イヤホンを両耳に突っ込んだままキーボードに指を走らせていたエスは、肩をビクッとさせて後ろを見上げた。
「なんだ、居るなら声をかけてよ」エスはイヤホンを耳から外した。
「部屋に入る時も、後ろに立つときも、ちゃんと声をかけたんだけど」コハクは声を重くする。
「かけたの?」エスはキョトンとした表情でコハクを見上げる。
「そう、大きな声で、はっきりとね」
「そうなんだ」エスはそう言いながら顔を戻した。
「ふう・・・」コハクはこの件についての意見は諦めて、次の質問に進むことにした。
「でさ、私の声も聞こえないくらい何を夢中になっているの?」
「あ、これ?」エスはラップトップPCを指さした。「これはこの前から書いている新作、『新世界“より”』のシーン2だよ」
「だいぶ前からここに立っているからそんなことは分かってる。聞きたいのは、なぜそのシーンを今頃いじっているのかって事。ブログにアップしたのはずいぶん前でしょう?」
「そうなんだけど。続きを書いているうちに、このシーン2が気になってきたの。やっぱりもう少し書き加えた方がいいんじゃないかってね」
「でも、シーン3の発表からだいぶ経っているし、シーン4を仕上げた方がいいんじゃないの?」
「わかってる。わかってるけど、ここを見直さないとシーン4が書けないの」
「じゃあ、シーン2は変わるんだね?」
「そうでもない。あ、変わるんだよ。でも大筋には変更はないから、わざわざ読み返す必要はないよ」
「だったら・・・」
「ストップ」エスは画面を見たままコハクの顔の前に手の平を差しだした。
「わかってる!コハクの言うことはもっともだけど、ウチの気持ちが許さないの。このシーンを直してからでないと、シーン4に手を付けられないの」
「ふう・・・」コハクはこの件についての質問は諦めて、次の質問に進むことにした。
「まぁいいや。じゃあ、年末に書いていた『素敵な午後』の続きはどうなったの?読ませてくれるんじゃなかったの?」
「あぁ・・・あれ、ね」エスはコハクを見上げて目を泳がせた。「あのお話しは、あの後の展開が確定してないから、そのもう一つ後のシーンで2パターンのストーリーを書いているんだ」
「2パターン?」コハクの目は少し大きくなった。
「そう、未確定部分が固まってからどちらを使うか考えるの」
「じゃあ、2つとも見せてくれない?」
「え?」エスはまた目を泳がせた。「それは無理だな」
「どうして?」コハクはたたみかける。
「だって、どちらもまだちゃんと書けてないもの」
「ふう・・・じゃぁ、何かわたしに見せられる作品は?」
「あぁ・・・」エスはもう一度目を泳がせた。そして「ごめんなさい。今、ちゃんと書き上がっているものはないんだ」と下を向いてしまった。
「やっぱり」コハクはエスを睨みつけた。「だいたいエスは途中で放り出している作品が多すぎる。わたしはいいけど、そんなんじゃ、ブログで作品を見てくださる方が呆れて離れていくよ。マリアにも愛想を尽かされちゃうよ」
「そうだね。でも・・・」エスは小さくなった。
「『コハクの街』の続きも待たされたままだし、トロとタモの話はどうなってるの?」コハクの説教が始まろうとしていた。
「そのうちに、ね!」エスはお願いの顔をした。
 その時部屋のドアがノックされた。
「お雑煮が出来てるけど食べる?」ケイの声だ。
「母さんだ。は~い。すぐ行く~」エスは明るく返事を返すと「食べよう食べよう」とコハクを引っ張った。
「ふう・・・」コハクは諦めてエスに従ったが、まだ新年の挨拶も交わしていないことを思い出した。


2016.01.04
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

Comments

 
あけましておめでとうございますm(^0^*)m
ご挨拶に伺うのが遅くなっちゃってごめんなさいm(^^;)m
去年のオリキャラのオフ会は楽しかったですね~!!
また、ゆっくり読みに伺います~~(^^*)
今年もよろしくお願いいたします!!!
コハク…… 
こんにちは。

コハク、いい感じでエスを後押ししてくれますね。
そうそう、そういう感じで!

あ、アントネッラは、愛想を尽かすなんてまさか!
っていうか、彼女はあれから何か書いているのか?
久々にあっちに戻るのもいいですねぇ。

でも、コハク的には『コハクの街』が待ち遠しいでしょうね。
私は、う〜ん、迷う。
「トロやタモ」もだし、絵夢とミクと黒磯にも逢いたいし、「新世界より」はドキドキしたままだし。
「フォーマルハウト」や「アスタリスク」も読みたいな。

あ、これはエスの方だったか。
いずれにしても、納得のいくようにじっくり書いてくださるのをお待ちしていますね。

エスのところのお雑煮はやっぱり関西風なんでしょうか。
ああ、お餅食べたい。明日はお雑煮作ろうかな。

かじべたさん 
コメントをありがとうございます。

> ご挨拶に伺うのが遅くなっちゃってごめんなさいm(^^;)m

いえいえ、とんでもありません。サキもすっかりご無沙汰してしまっています。
というのは自分の作品に追いかけ回されているからなのですが、そのわりに何も書けていない、という閉鎖ループにはまっております。

> 去年のオリキャラのオフ会は楽しかったですね~!!

また一緒に遊びたいですね。どなたか楽しいイベントを!っていつものように他力本願です。
今年もよろしくお願いします。またおじゃまさせていただきますネ。
夕さん 
コハクは一生懸命エスのことを気にかけて色々とアドバイスをくれているのですが、いまいちこの脳天気なエスには伝わっていないんです。ストレスが溜まるでしょうね。
あ、本物のサキはこんな事はないんですよ。いえ、これほどひどくはないんですよ。ちゃんとリアルコハクの言うことは参考にします。忠告は一応耳に入れます。
リアルコハクもちゃんと分かってくれているとは思うのですが・・・。

多分リアルコハクも「コハクの街」を待っていてくれているのはわかっているのですが、そうは問屋が卸しません。
夕さんもサキが書き散らかした作品を楽しみにしていただいているようで、とても嬉しいです。
ご期待に添えるように頑張ります。
どれを書くかは自分でも分かりませんが、バ~ッとストーリーが浮かんできたら書いていきますので、あまり期待せずに(ここ重要です)お待ちください。
「フォーマルハウト」もミクも気になっています。良い結果が出ると嬉しいのですが・・・。

あ、エスのところのお雑煮は合わせ味噌仕立てです。関西風ですね。京風の白味噌とは違っています。自分では美味しいと思うのですが。
数の子もたくさん作っているので楽しみに食べています。ご飯と合うんですよね。
コメントありがとうございました。
 
明けましておめでとうございます。
って、もう7日ですけど(笑)

エスにいいように付き合わされているコハク、いい友達ですよね。
八少女夕さんではないですが、続きが楽しみな作品がたくさんあります。どれも早く読んでみたいですけど、サキさんのペースで納得がいくものを書いていってくださいね。
リアルコハクさんのサポート、心強いですね。

ちなみにウチのお雑煮は、白味噌仕立てです。大根、ニンジン、里芋入りで、お餅はとろりと温めたもの。って書いていたら、また食べたくなってきちゃった(笑)
お、エスだ 
実際のサキさんもエスのようにこだわっておられるんだろうなぁって、何となく微笑ましくエスとコハクの会話を楽しみました。あ、でも、実際のサキさんは、エスほどはかたくなではないのかな? でも会話の中に実際の姿がほんの少し見え隠れするのが(もちろん、全てではないと思いますが)、この断片の魅力ですよね。
うん、あれこれ気になる続きはあるけれど、今は「新世界より」が一番気になるかなぁ。でも、どれもサキさんのペースでね。サキさんのクオリティは、読む者を納得させる十分な力があるので、その域になるまで熟するように吟味されているんだろうなぁ^……
そんなサキさんの世界、これからも(断片であっても)楽しみにしています。
こんばんは^^ 
エスの気まぐれっぷりと、あきれ果ててるコハクのコンビがいいですね。
きっとエスはサキさんの分身なんでしょうね。
でも分かるなあ。
過去のあの部分が引っかかってて、先に進めないって気持ち。
・・・でも、進めてしまうんだけど(笑)

お雑煮いいな~。
お餅、冷蔵庫にいっぱいあるんだけど、今年になってずっと胃が不調で、おせちもお雑煮も食べれてなくて。
そろそろ、食べようかなあ~。
TOM-Fさん 
コメントをありがとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

コハクはエスにとって大切な友人なんですが、コハクにとっては放っておけない腐れ縁、だったりして・・・
いえ、リアルコハクの場合は違うんですよ、きっと・・・。
こだわりまくる(しかもコハクにとってそこまでしなくてもと思えるくらい)エスに呆れながらも付き合ってるのでしょうね。
サキの場合はちゃんとリアルコハクに対して気をつかいますから。大丈夫です!!!
最初はサキが小説を書いていることは内緒にしていたのですが、コハクの街を書いたときに白状して読者になってもらいました。

TOM-Fさんとこのお雑煮は京風なんですね。
白味噌も甘い感じで美味しいんですよ。サキの家もモチは焼かないでそのまま放り込みます。
やはりお正月はこれがないと始まりませんね。
彩洋さん 
そうですね、エスはやっぱりこだわります。
まぁ、この部分に限ればサキはエスと同じようなものです。書き上げた作品でも気になると、それを仕上げるまで先へ進めないんです。読んでくださる方にとっては迷惑だろうなぁ、と思ってはいるのですが、こだわってしまうんです。
ですから彩洋さんがご指摘のように、実際の姿が見えています。
実際はこれのもう少し相手に気を遣ったやり取りが、関西弁で展開されているのですよ。

あ、彩洋さんは「新世界から」が気になられますか?
サキはエスと同じように「新世界から」Scene2の書き直しをほぼ終えて、新しい展開に取りかかろうとしているところです。楽しみにしていただけたら嬉しいです。
断片ばかりかいているサキですが、本年もよろしくお願いいたします。
limeさん 
このコンビは最強です。そしてエスはサキの分身です。モデルとなっているサキとコハクのやり取りは関西弁ですし、ということはまるで漫才のような感じになるかと・・・。
本物のサキはここまで奔放ではないのですが、エスにはサキの願望が入っています。そしてこのお話しでエスがコハクに感謝しているのと同じように、サキに付き合ってくれるリアルコハクには感謝しています。
良い奴なんですよ。
そしてlimeさん始め、ブロ友の皆さんやブログを訪れてくださる方にも感謝しています。やっぱりかまっていただけることはとても嬉しいことなんですね。

お雑煮はお正月に欠かせないアイテムです。そんなにたくさんは食べないのですが、やっぱりないと始まりません。
本年もどうぞよろしくお願いします。

 
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