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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

「シスカ」の“0 号試写”と呼ぶべきものが出てきました。

サキのマイドキュメントフォルダを漁っていたら「シスカ」の“0 号試写”と呼ぶべきものが出てきました。2011年の梅雨時期、ちょこちょこと執筆を続けていた時のメモが残っていた様です。作成日から推測して最も初期の頃のもので、現在公開しているものとだいぶ構成が違っています。懐かしくてつい読み進んでしまいましたが、まだまだ笑っちゃうような部分も有ったりします(ということは、少しは進歩したかな?)。少し段落を増やしたり、気が付いた誤字を直したりしています。稚拙な文章で少々読み辛いですが、サキが生まれて初めて書いた物語ですのでお許しください。「シスカ」はこの後、大幅にキャラクターや構成を見直し、推敲も重ね、全く別物のようになってしまっています。
多分この作品は先に見せるたに書いたものでしょうから、先の校正や推敲は受けていないはずです。生サキです。自分をさらけ出すようでちょっと怖いのですが、読んでいただけると嬉しいです。
あ、イラストは例の友人のライブラリーの中から発見されたものです。(実はあと数点見つかっています)物語とは繋がりませんが貼っておきます。(ですからサキ作です。そして恥ずかしいです)

P.S. ここに掲載したイラストについてコメントを書き込んでいただきましたので、ちょっと追加で説明させてください。このイラストの彼女、実はシスカではありません。シスカが生まれる前に漠然とストーリーを模索している頃、ヒロインのイメージとして描いた女性の1人なんです(当時はまだコミックを目指していました)。ですからオッドアイではないですし、髪もプラチナを強調して描いていません。でもシスカの元になったイメージの1つ・・・というのは間違いありません。


「シスカ」0 号試写

シスカは国境の方の丘を見ながらゆっくりと歩き始めていた。大きな赤黒い夕日がその丘の方向に灰色の空をバックにして沈んでいこうとしている。気温がぐんぐん下がり始めたので丘のほうから目を戻し、途中から急ぎ足になって、町に向かって歩いていく。早く戻らないと明度が落ちてしまう。暗くなったら下手を打つと命を落とす恐れがある。彼女は何もない平原の中の道を小走りになって急ぎ、真っ暗になる前にようやく町の入り口の門の前までたどり着いた。ここまで来ると町の窓々に灯る明かりでようやく足元が見えるようになり、小走りから急ぎ足になって門をくぐっていった。

     女性(冬)

町の中は仕事を終えた人々が大勢歩いていた。彼らはあまりの気温の低さに追いたれられるように、白い息を蒸気機関車みたいにまき上げながら、ほとんどは大きなアーケードに飲み込まれ、一部は自宅へ帰ってゆくところだった。
「シスカ、シスカじゃないか、何してるんだ!」ひげ面の男が声をかけてきた。「今日は夜勤明けの残業じゃなかったのか?」
「ちょっと町の外を散歩していたんだ。」シスカは何気なく答えたが、男は少し眉の間に皴を作り「まだ出歩いてるのか、命を落とすぞ。」と声を大きくした。「明日の搭乗に現れなかったら俺が迷惑するんだぞ。代わりのパイロットなんかそんなに簡単に捕まらないってことぐらいわかってんだろう。」
「ごめん、どうしても夕日が見たかったんだ。」シスカはそうしゃべりながら男の帽子を取り上げ、薄い髪をクシャッとかき回してから道の真ん中に放り投げた。
「何しやがるんだ。心配してやってるんだぞ。」男があわてて帽子を拾いに駆け出した隙に、シスカはダッシュした。振り返りながら「明日はちゃんと定時に出勤するよ。」と声をかけてからさらに速度を上げ3番街のほうへ向かってかけていった。
「やれやれ・・・・」男は帽子を拾うと、それまでと違って人波に逆らわずアーケードに飲み込まれ、「19番」と書かれた看板の下にある小さな扉を開けた。

店の中にはまだ客はおらず、「あら、ゴンドーさん久方ぶりですね。」と上背の大きな女主人が声をかけてきた。
「すぐに帰るつもりだったんだが、ちょっと気が変わった。何か軽く食べるものあるかな。それから発泡酒と・・・・」ゴンドーは店の中を見渡しながら言った。
「何かありました?奥さん待ってるんじゃないの?」女主人はササッと肴を何種類か皿に盛り付けてゴンドーの前に出しながら気遣わしげに尋ねた。
「シスカさ、また夕方町の外に出てたみたいだ。」ゴンドーは渋面で答えながらカウンターに腰掛けた。カウンターの正面には若い女が立っている。
「私がどうなったか忘れたわけでもないでしょうに・・・」その若い女は発泡酒の瓶の栓を抜きながら独り言のようにつぶやいた。
「だろ、お前さんがやられたときすぐ横にいて、もう二度と連れ出さないって大泣きに泣いていたんだ。ま、連れ出してはいないんだけどなぁ。」
若い女は黙って発泡酒をコップに注ぎゴンドーの前においた。ゴンドーはクウッと飲み干して、次を自分でコップに注ぎながら「ノブからも説教たれといてくれないか。相棒の俺の言うことでも聞きゃしないんだ。」と少し申し訳なさそうに続けた。ノブと呼ばれた女は、目だけで軽く頷くと奥の部屋へ入っていった。携帯電話をかけに行ったのだろう。ゴンドーは肴を口に運び、発泡酒を片付けると、増え始めた馴染みの客に軽く挨拶して「カーちゃん、帰るわ。」と女主人に声をかけて帰っていった。

2011年、梅雨の時期に執筆

2015.07.14
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

Comments

 
こんばんわ(^ω^)

シスカの原点ですね!
全然遜色ないと思います。本編の方での、あのシーンなのかな、このシーンかな、と、すぐ思い浮かんできましたよ~。
そしてサキさんの描かれたシスカ、このシスカがサキさんのイメージですね。表情が、やはり生みの親ならではの特徴を掴んで描かれていて、さすがだなと思いました(´∀`)
す、すごい 
こんばんは。

最初に書いた物語が、先さんの校正前で、もうこのクオリティだったのですね。
さすがサキさんです。

キャラクターは、沢山変わったようですが、世界観はこの頃にはほぼ出来上がっていたように感じられます。どうでしょうか。きっとこの文章が流れ出す前に、とても長い間この世界に馴染んでいらしたのでしょうね。こういうメイキングをかいま見るのはとても興味深いです。

そして、サキさんの描いたシスカ。やはりご本人が描いているからなのかな。しっくり来ます。どこがなんだろう、目かな。目と、憂いある表情が。

他の方の描かれた、綺麗な、かわいい、もしくは目力の強いシスカも、シーンによってはぴったりですし、とても素敵なんですけれど、こういう感じのイラストははじめてですよね。発見されたお宝、他にもあるのですね。また見せてくださいね。
おお 
おお、これは貴重なものを。

一部に粗削りなところはありますけど、初稿ならではの瑞々しさや勢いみたいなものが感じられますね。
キャラの名前はだいぶ変わっているようですけど、舞台となる場所の雰囲気はもう固まっているみたいですね。
茶目っ気のあるシスカが、すごく新鮮でした。もともとは、そういう性格の子だったのかな……。本編での性格付けを考えると、面白い発見をしたような気がします。

イラストも、すごくいいですね。儚げで冷涼ななイメージ、さすがに「シスカ」の世界感がよく出ているなぁと思います。
ユズキさん 
はい、まだ先に見せるかどうか迷っている頃ですね。
彼が「面白い」と言ってくれたので、ブログにする決心がつきました。
この書き出し部分は分解されていろんなシーンに転用されています。

このイラストの彼女、実はシスカではないのです。でもシスカの元になったと言ってもいいイラストなので、誉めていただいて少しホッとしています。
追記を入れましたのでよろしければどうぞ。
コメントありがとうございました。
夕さん 
先に読ませようとして一生懸命見直したので、ある程度は書けているとは思いますが、でもやっぱりねぇ。
懐かしかったですけれど、(?)のところもありました。

ゴンドーはキタハラの原型ですが、義父ではなくて相棒ですし、奥さんも元気みたいですし、ノブはサエの原型ですが、こちらは同じように国境警備隊と何か事件を起こしたみたいです。シユの姿も見えますし「19番」は健在です。
そしてこのイラストの彼女、実はシスカではないのです。でもシスカの元になったと言ってもいいイラストなので、サキが持つシスカのイメージは持っていると思います。シスカはこのイラストの彼女がシスカという名前に出会って生まれたのですから。
追記を入れましたのでよろしければどうぞ。

コメントありがとうございました。
TOM-Fさん 
いえいえ、見つけ出して、懐かしいなぁ・・・と、ついつい読んでしまいました。
頭の中に有るものをなんとかして形にしたいと思っていた頃でしたから、勢いだけはあったのかもしれません。だから、懐かしいような気がするのでしょうか。

まだ、ショウは誕生していませんし、シスカの異常な人格の設定はこの頃はまだありません。ですから茶目っ気があっても自然ですね。
この後、ショウとミユキの登場から大きくストーリーは変わっていきます。

このイラストは実はシスカではありません。でもシスカの元になったキャラですので世界感は共通なのかも・・・。追記に解説を書き込ませていただきましたので、よろしければどうぞ。
コメントありがとうございました。
 
これをデータの中から見つけた時は、きっと懐かしかったでしょうね。
最初に書かれたシスカの原型という事ですが、もうしっかりサキさんの文体になっていますし、情景描写がとても丁寧に描かれていて、やはりそこもサキさんの世界観にあふれています。
映像作品としてシスカを描きたかったサキさんの想いが感じられます。
シスカはまだ少女っぽさと少年っぽさが抜けない、可愛らしさにあふれていますね。もしかしたらこの時すでに、シスカの中に少年がいたのかも。
イラストの女の子は、まだイメージの段階だったのですね。
一見優しそうでフェミニンなんだけど、すごく芯の強そうな女の子。そんな印象です。やっぱりどこかシスカに通じるんですね。
時間をかけてゆっくりとシスカは完成して行ったんだなあと、改めて思いました。
limeさん 
「シスカ」というタイトルのファイルを見つけて「アレ?これひょっとして・・・」と、開けてみたんですよ。当たりでした。
これを先に見せて「面白いかも」と言ってくれたところから、ブログでの公開に向けての作業が始まったのです。
キャラも追加や変更がありましたし、物語も大きく変わっています。
シスカのキャラも少し変わっていますね。でもおっしゃるように、すでに少年はシスカの中に居たのかもしれません。二重人格の様な設定を追加したとき、シスカのキャラから分離させたのですから。
イラストは載せようかどうしようか、ちょっと迷ったんです。
でもこの未完成のシスカと一緒だったらいいかなと、思いきって載せました。
このイラスト本当に下手くそだと思うのですが、シスカ完成までの試行錯誤の様子を感じていただけたら幸いです。

コメントありがとうございました。
原型とは言え 
夕さんもおっしゃっておられますが、高いクォリティですよね。今のサキさんが書かれているもののベースになっているのだなぁというのがよく分かります。
短い断片が大きく膨らんでいって、あの物語になったんだ、そういう過程を教えていただけるのって、すごく楽しいことだなぁと思いました。有名な作家さんの長編の元になった短編、というのが時々ありますが、まさにあれですよね。すごく形が変わっているけれど、言葉の端々、小道具、そのムードとか香りがぎゅっと詰まっている、あるいはそこから膨らんでいった、それが素敵だなぁと思います。

そっか、先さんがこれを読んで、面白いよって一言があったのですね。これって、すごく心強いですよね。
またこれからも、こうした小さな断片を膨らましていくことで、あんな大きな作品が出来上がっていくんだろうな、ととても楽しみな気がしました。そう、断片でも、書いてみてこそ、何かが始まるのかもしれませんね。
イラストも素敵ですね。素朴だけれ丁寧で、劇画チックなのがいいなぁ……
彩洋さん 
読んでいただいてありがとうございます。
確かにサキの小説のベースになっている作品です。自分でもどんな文章が書けるのか、全くわからなかったものですから、とりあえず出力してみたんです。これでも何度も見直しをかけています。
先は読んでから「面白いかも」(或いはそのような意味のこと)と言ってくれたんですが、せっかくここまで書いたんだからという思いもあって、そう言わざるを得なかったんだと思います。
でも、それがきっかけでブログを始めることができたことは、収穫だったと思っています。断片から大きく膨らんでいく書き方は今でも同じです。
少しずつでも書き進めていきたいと、思いを新たにしました。

あ、イラストはとても恥ずかしいです。でも素敵と言っていただけてホッとしています。

お忙しい中、コメントありがとうございました。

 
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