絵夢の素敵な日常(10)Promenade
Promenade

宝塚南口駅を出た電車は武庫川に架かる橋梁を渡り始めた。
絵夢は進行方向左側のドアの傍に立って窓から河原を見下ろしている。河原には小説で有名になった“生”の字を河原の石を並べて描いた大きなオブジェがある。そのオブジェは阪神淡路大震災の犠牲者の慰霊のために作られたもので、幼かった彼女のかすかに残る激しい揺れの記憶を呼び覚ます。だが一方このオブジェは小説のヒロインがそうだったように、生ビールの「生」をも連想させる。この相違する2つの連想の不思議につられて、絵夢はそこを通るときはなんとなくそれを眺めてしまうのだった。
鉄橋を渡り終わった電車は左へとカーブを描き始め、宝塚音楽学校と宝塚大劇場の間をかすめ、バウホールの前を通過して宝塚駅のホームに滑り込んでいった。
宝塚駅の4号線に梅田からの急行が到着した。開いたドアから乗客達が降りた後、中年の女性がゆっくりと降りてきた。真黒なワンピースと真黒なジャケットを組み合わせ、ショートにした灰色の髪に真っ黒のつば広帽子をかぶった彼女の恰好は異彩を放っている。彼女は驚いた様子で周りを見渡していたが、やがてホームの中央にあるベンチに腰をかけた。暫くすると今度はホームの反対側、3号線に西宮北口からの電車が入ってきた。ドアが開いて降りてくる乗客に混じって絵夢の顔が見える。急行に乗り換えるためにホームを横切ろうとした絵夢は、ふとベンチに寂しげに座る黒ずくめの女性に目を留めた。一旦立ち止った絵夢は、小さく「ブラック・ウィドウ……?」と呟くと女性に近づいた。
「何かお困りですか?」女性の前に立つと絵夢は少し姿勢を低くして、覗き込むように声をかけた。
黒ずくめの女性は絵夢を見上げたが『…………』と言葉を発した。絵夢はそれがどこの言葉なのか一瞬迷った。意志の強そうな焦げ茶色の瞳で見つめてくる女性は、一見すると日本人の顔つきだった。絵夢は頭の切り替えを終え、今度はポルトガル語で『何かお困りですか?』と訊いた。
『あなた。私の言葉が喋れるのね』女性はゆっくりとした調子で訊いた。
『いえ。ほとんど喋れません。あなたは英語は喋れますか?』絵夢は考え考えポルトガル語で話し、『あまり上手じゃないけど』女性は英語で応じた。
『何かわたしにお手伝いできることがあったら、遠慮なくおっしゃってください』絵夢は英語で告げると外交用の笑顔を作った。
『ありがとう』女性はそう言ってから『ここはどこかしら?』と呟いた。
「え?」絵夢は戸惑ったが『ここですか?ここは宝塚ですよ』と付け加えた。
『そうではなくて、ここは、なんていったかしら……そう阪急電車?の宝塚駅なのかしら?』女性はアリスのように、不思議に満ちた表情であたりを見渡した。
『そうですよ。阪急の宝塚駅です』絵夢もいっしょに周りを見回しながら答えた。
『ごめんなさいね。変な女だと思ったでしょう?』
『ええ。少し……あ、ごめんなさい』絵夢はあわてて謝った。
『ふふふ……』女性は始めて顔を緩めて微笑んだ。絵夢も笑顔になった。
その笑顔をじっと見つめていた女性は何かを決めたように小さく頷くと『御厚意に甘えてもいいかしら。少しの時間私に付き合ってくださると嬉しいんだけど』と言った。
『喜んで!今日は特に急ぐ用事も無いですから』絵夢はこの人は大丈夫と判断した。
『私はメイコといいます。あなたをなんて呼べばいいのかしら?』
『エム、絵夢と呼んでいただければいいですよ。メイコさん』
『メイコでいいわ。少し私の話を聞いてくださる?エム』メイコの言葉に絵夢は隣に腰を下ろした。
絵夢が落ち着くのを待ってメイコは喋り始めた。
『私はこの町の生まれなの。この町で16まで過ごして、そして海外に移住したの』
『宝塚のご出身なんですか?それに海外って、ポルトガル?』
『ええ。ポルトという町なの。移住して40年になるわ。今日始めて戻って来たの』
『ということは、メイコは50歳を超えているってことですか?そうは見えないけど』
『ありがとう』また微笑むとメイコは続きを話し始めた。
『今朝7時半に関西空港に着いて、後は迷いながら難波へ、梅田も驚きだったけど、そこから阪急で宝塚まで来て、幼い頃の記憶なんて全然当てにならない、ということがよくわかったわ。この駅だって全然違う。私の知っている宝塚駅は高架じゃなくて地面の上にあったし、古くて狭くて曲がっていたわ。国鉄の上を越えた電車がカーブをゆっくりと下りながら、曲がったホームに入ってくる記憶があるもの』
『そうですね。多分20年ほど前に再開発で全部作り替えられてます。だからわたしは前の駅は全然知らないんです』
『そう……私だけ置いていかれたみたい。何もかも無くなってしまったのね』メイコは暫く黙っていたが、絵夢の方を向き直ると『でも歌劇と大劇場はあるんでしょ?そこまで私を連れていってくださるかしら?』
『歌劇をご覧になるんですか?』
『ええ、多分……』メイコはチケットを見せた。絵夢は目を通したが、チケットは今日の午後の公演だ。まだ時間は充分にある。
メイコは続けた。『でも小さい頃は大ファンで、しょっちゅう見に行っていたのよ。小学校の授業として、大劇場で歌劇や映画を観たこともあるわ』
『大劇場で視聴覚授業ですか?贅沢ですね。わたし達の年代は無かったですね』
『あら、そうなの?せっかく大劇場が有るのにね』
『歩いて10分位ですよ。ご案内しましょう』
『なんとなく雰囲気は覚えているのよ。方向とか距離くらいは。じゃあ、お願いします』とメイコは立ち上がった。絵夢も立ちあがると二人並んでエスカレーターへ向かった。
『私の小さい頃はホームから改札口まで狭い地下道を通った記憶があるの。改札を出ると温泉街だったわ。街路樹の柳があって……』
『温泉街ですか?今はそういうイメージは橋を渡った向こう側ですね』
『宝来橋?だったかしら』
『ええ。宝来橋です。今でも橋を渡ると温泉街ですよ』
『そう。懐かしいわ』
2人は改札を出ると、さらにエスカレーターを下って駅の建物から出た。
メイコは立ち止って正面を見つめたまま『全然違う。まるで別の町だわ』と驚いた。そして『でも、きっとこっちよネ』と左側を指差した。
『そうです。こっちですよ』絵夢は左に進むとショッピングモールの中へ入っていった。
モールの中の歌劇の大階段を思わせる階段を降り、出口に差し掛かるとメイコが声を上げた。『あ!このお饅頭屋さん憶えがある』
『老舗ですからね。ずっとこのあたりにあったと思いますよ』絵夢はモールを出て横断歩道を渡った。
『ここも憶えがあるわ。このモニュメントも見たことがある。花道(ハナミチ)ね?』メイコは横断歩道の先に続く通りを見て言った。
『ええ。花の道(ハナノミチ)といいますね』
『そう?記憶違いかしら?花道と言っていたような気がするんだけど。これは桜ね。懐かしい。そして綺麗』メイコは頭上に咲き始めた花を見上げてしばし立ち止った。目には涙が滲んでいるように見える。暫くしてハンカチを取り出し、目に軽く当ててから、絵夢に目を戻すと『この町、ヨーロッパの雰囲気になるように作られているのかしら?』と言った。
『歌劇の町ですからね。そういう雰囲気で作られていると思いますよ』絵夢は軽い感じで答えた。
『でも、私はこの町の雰囲気には違和感と、もっと言えば欺瞞を感じるの。私の町みたいに自然にまとまれない。無理に組み合わせたように感じてしまうの。ごめんなさいね』
『ポルトの町に比べてですか?』
『ええ。町の歴史そのままの建物には違和感は無いわ。日本でもそういう街並みってあるでしょう?でもこれは私の我儘ね。歌劇自体が幻想の世界ですもの。こういう雰囲気作りは大切なのかもしれないわね。一種のテーマパークとして考えなくちゃいけないんでしょうね』
『難しいところですね。メイコはポルトの町がお好きなんですね』
『そうね。仕方なく住み始めたし、日本みたいに豊かではないんだけど、今では気に入ってるんだと思うわ』メイコは遠いポルトを思っているのか、少し不安そうに見えた。
しばらく花の道を進んでから絵夢は『こっちには遊園地があったんですけど……』と左手を指さした。
『え?』メイコはそっちを見てから『ファミリーランド?だったわよね?どうしたの?何もないわ』さらに不安そうに言った。
『ファミリーランドは10年ほど前に閉園になっています。今は駐車場やマンションや学校になってしまいました。わたしも小さい頃は来たことがあるんですけど』
『そう。やっぱり何もかも変わってしまうんだわ……私の戻るところも無いのね』メイコは独り言のように呟いた。
絵夢はそんなメイコの寂しそうな様子をじっと見ていたが、やがて反対側を指さして言った。『大劇場はこちらです』

『大劇場は昔と同じ所にちゃんと有るのね?でもやっぱり違っているわ』
『そうですね。大劇場も20年ほど前に建て替えられています。でも、以前のものより大きくなって観やすくなっていますし、バウホールという小ホールも併設されているんですよ』
『そう。立派になったのね』小さな声でそう言うとメイコは動かなくなってしまった。絵夢は入り口へと向かうために横断歩道を渡り始めていたが、メイコがついてこないのに気がついて引き返してきた。『どうされました?』
『絵夢、私には娘がいたの』唐突にメイコは話し始めた。
それが過去形であることで、絵夢は言葉をはさめなかった。
『私が18の時にポルトで産んだの。でもね、事情があってその子は生まれてすぐに日本へ連れ戻されて、私はその子の消息を知ることは出来なかったの』
絵夢は木陰の小さなベンチにメイコを座らせると隣に自分も腰掛けた。
『ありがとう』メイコは大きくため息をつくと少しずつ話し始めた。
『私はその子を連れて行かれた後、その子のことを忘れていたわけでは無かったのよ。だけど自分が生きていくのに精一杯だったの。でも、ようやく生活が安定して心に余裕が出てきた頃には、もう日本に近づくことも出来なかった。いまさらどんな面下げて……会いに行けるの?それから悶々と20年が過ぎていったわ。そんなとき、一通の手紙が届いたの』メイコの両手は強く握られていた。絵夢の目が優しく先を促した。
『手紙は私の娘の娘、孫からのものだったわ。もう16歳になっていたの。その手紙には私の娘……その子の母親ね、が病気で亡くなったこと、私の娘が亡くなる前に私を探したこと、探すのにとても手間取ったこと、見つかった時にはもう会いに行くことが出来なくなっていたことが書かれていたわ。そして日本までの航空券と歌劇のチケットが入っていたの。私が歌劇の大ファンだったことを憶えている人が生きているのかもしれないわね』メイコの目は大劇場の門の方を向いていたが、メイコには別のものが見えているようだった。
『私は何もかも放り出して出かけてきたわ。名前も知らない私の娘がどんな人生を歩んでどう亡くなったのか、私の孫はどんな子だろうか、居ても立っても居られなくなった……。でも、今は不安でいっぱい。私はどんな顔をしている?どんな顔をすればいい?』メイコは遠くの誰かに話しかるように語った。
『あなたは出会った時はアリスのような不思議に満ちた顔を、そして今はとても不安に満ちた顔をしています。でもそれは当然だと、わたしは思います。無理に取り繕わない素直な気持ちで、この先へ進んでもかまわないと思います』絵夢はメイコと同じ方向を見ながら誰に言うでもなく喋った。
『そうね。ここまで来てしまったんですものね。このまま帰るなんてとてもできないわ』メイコは絵夢の顔を見つめた。
『お孫さんが待っておられるんでしょうか?』絵夢もメイコの顔を見た。
『このチケットの席に座れということなんでしょう。それに従ってみるわ。ありがとうエム。いきましょうか?』メイコは立ち上がった。
絵夢は先に立って横断歩道を渡ると門をくぐった。そのまま階段を上がって入り口を入る。今度はメイコもしっかりとした足取りでついてくる。
入口を入った絵夢は『この入り口部分の上がバウホールという小ホールになっています。このまま左方向がプロムナードになっていて、その先が大ホールのエントランスです』と案内した。
『そのエントランスまでついてきてくださるかしら?』絵夢の配慮を感じたのかメイコが遠慮気味に言った。


『よろしければ!』ニッコリと微笑むと絵夢は進み始めた。両側にレストラン、喫茶店、ギフトショップなどが並ぶプロムナードを進み、スロープを登って2人はエントランスの入り口に着いた。
『ここでチケットを見せてエントランスへ入ってください……』絵夢はさようならを言うために言葉を続けようとした。
その時「エム、あなたがいてくれなかったら私はここまで来れなかったでしょう。感謝の言葉もありません」メイコは少し硬いが流暢な日本語で話すと深々と頭を下げた。
絵夢は少し驚いた顔になったが「いえ。とんでもないです。メイコのお役に立てて本当に嬉しかった。こちらこそありがとうございました」と言った。
メイコは下げていた頭を上げ言葉を続けようとしたが、顔を絵夢の方に向けたまま固まってしまった。メイコの目は絵夢を通り過ぎて絵夢の後ろを見ている。絵夢は後ろを振り返った。
そこには長い髪をツインテールにした少女が立っていた。2人は絵夢を挟んで見つめ合っている。絵夢はあわてて立ち位置を少しずらした。
「おばあさま?」少女が声を出した。
「ミク?」メイコは恐る恐る声をかけた。声は少し震えている。
ミクと呼ばれた少女はメイコに駆け寄ると一瞬戸惑った。
メイコがぎこちない笑顔を向け両手を少し広げると、安心したのか小さく「おばあさま」と言って胸の中へ飛び込んだ。
2人は仲良く並んで何度もこちらを振り返って深々とお辞儀を繰り返した。ミクはさらに手を振りながらエントランスに入っていった。絵夢も手を振って2人が赤絨毯の階段を上って行くのを見届けてから、プロムナードを出口に向かって歩き始めた。
花の道の桜は満開に向かっている。

穏やかな春風の中、絵夢は少し歩きたい気分だった。宝塚駅の方へは戻らず、このまま手塚治虫記念館の前を抜け、さくら橋を渡り、旧音楽学校の所でR176を横断し、中央図書館を覗いてから清荒神駅まで歩いてしまおう。そう考えると絵夢は携帯を取り出して操作した。
「絵夢です……」そう言うと電話の向こうからは長い御説教が聞こえてくる。
絵夢はそれを一切無視して「いま大劇場の前です。そう、宝塚大劇場です。これから歩いて中央図書館に寄ってから帰ります。今日は何も予定がありませんでしたから問題無いですね?ごきげんよう」と言って電話を切ってしまった。
絵夢は颯爽とした足取りで歩き始めた。早めに咲いた桜が春風に舞い、絵夢の長い髪と一緒に踊っていた。

宝塚南口駅を出た電車は武庫川に架かる橋梁を渡り始めた。
絵夢は進行方向左側のドアの傍に立って窓から河原を見下ろしている。河原には小説で有名になった“生”の字を河原の石を並べて描いた大きなオブジェがある。そのオブジェは阪神淡路大震災の犠牲者の慰霊のために作られたもので、幼かった彼女のかすかに残る激しい揺れの記憶を呼び覚ます。だが一方このオブジェは小説のヒロインがそうだったように、生ビールの「生」をも連想させる。この相違する2つの連想の不思議につられて、絵夢はそこを通るときはなんとなくそれを眺めてしまうのだった。
鉄橋を渡り終わった電車は左へとカーブを描き始め、宝塚音楽学校と宝塚大劇場の間をかすめ、バウホールの前を通過して宝塚駅のホームに滑り込んでいった。
宝塚駅の4号線に梅田からの急行が到着した。開いたドアから乗客達が降りた後、中年の女性がゆっくりと降りてきた。真黒なワンピースと真黒なジャケットを組み合わせ、ショートにした灰色の髪に真っ黒のつば広帽子をかぶった彼女の恰好は異彩を放っている。彼女は驚いた様子で周りを見渡していたが、やがてホームの中央にあるベンチに腰をかけた。暫くすると今度はホームの反対側、3号線に西宮北口からの電車が入ってきた。ドアが開いて降りてくる乗客に混じって絵夢の顔が見える。急行に乗り換えるためにホームを横切ろうとした絵夢は、ふとベンチに寂しげに座る黒ずくめの女性に目を留めた。一旦立ち止った絵夢は、小さく「ブラック・ウィドウ……?」と呟くと女性に近づいた。
「何かお困りですか?」女性の前に立つと絵夢は少し姿勢を低くして、覗き込むように声をかけた。
黒ずくめの女性は絵夢を見上げたが『…………』と言葉を発した。絵夢はそれがどこの言葉なのか一瞬迷った。意志の強そうな焦げ茶色の瞳で見つめてくる女性は、一見すると日本人の顔つきだった。絵夢は頭の切り替えを終え、今度はポルトガル語で『何かお困りですか?』と訊いた。
『あなた。私の言葉が喋れるのね』女性はゆっくりとした調子で訊いた。
『いえ。ほとんど喋れません。あなたは英語は喋れますか?』絵夢は考え考えポルトガル語で話し、『あまり上手じゃないけど』女性は英語で応じた。
『何かわたしにお手伝いできることがあったら、遠慮なくおっしゃってください』絵夢は英語で告げると外交用の笑顔を作った。
『ありがとう』女性はそう言ってから『ここはどこかしら?』と呟いた。
「え?」絵夢は戸惑ったが『ここですか?ここは宝塚ですよ』と付け加えた。
『そうではなくて、ここは、なんていったかしら……そう阪急電車?の宝塚駅なのかしら?』女性はアリスのように、不思議に満ちた表情であたりを見渡した。
『そうですよ。阪急の宝塚駅です』絵夢もいっしょに周りを見回しながら答えた。
『ごめんなさいね。変な女だと思ったでしょう?』
『ええ。少し……あ、ごめんなさい』絵夢はあわてて謝った。
『ふふふ……』女性は始めて顔を緩めて微笑んだ。絵夢も笑顔になった。
その笑顔をじっと見つめていた女性は何かを決めたように小さく頷くと『御厚意に甘えてもいいかしら。少しの時間私に付き合ってくださると嬉しいんだけど』と言った。
『喜んで!今日は特に急ぐ用事も無いですから』絵夢はこの人は大丈夫と判断した。
『私はメイコといいます。あなたをなんて呼べばいいのかしら?』
『エム、絵夢と呼んでいただければいいですよ。メイコさん』
『メイコでいいわ。少し私の話を聞いてくださる?エム』メイコの言葉に絵夢は隣に腰を下ろした。
絵夢が落ち着くのを待ってメイコは喋り始めた。
『私はこの町の生まれなの。この町で16まで過ごして、そして海外に移住したの』
『宝塚のご出身なんですか?それに海外って、ポルトガル?』
『ええ。ポルトという町なの。移住して40年になるわ。今日始めて戻って来たの』
『ということは、メイコは50歳を超えているってことですか?そうは見えないけど』
『ありがとう』また微笑むとメイコは続きを話し始めた。
『今朝7時半に関西空港に着いて、後は迷いながら難波へ、梅田も驚きだったけど、そこから阪急で宝塚まで来て、幼い頃の記憶なんて全然当てにならない、ということがよくわかったわ。この駅だって全然違う。私の知っている宝塚駅は高架じゃなくて地面の上にあったし、古くて狭くて曲がっていたわ。国鉄の上を越えた電車がカーブをゆっくりと下りながら、曲がったホームに入ってくる記憶があるもの』
『そうですね。多分20年ほど前に再開発で全部作り替えられてます。だからわたしは前の駅は全然知らないんです』
『そう……私だけ置いていかれたみたい。何もかも無くなってしまったのね』メイコは暫く黙っていたが、絵夢の方を向き直ると『でも歌劇と大劇場はあるんでしょ?そこまで私を連れていってくださるかしら?』
『歌劇をご覧になるんですか?』
『ええ、多分……』メイコはチケットを見せた。絵夢は目を通したが、チケットは今日の午後の公演だ。まだ時間は充分にある。
メイコは続けた。『でも小さい頃は大ファンで、しょっちゅう見に行っていたのよ。小学校の授業として、大劇場で歌劇や映画を観たこともあるわ』
『大劇場で視聴覚授業ですか?贅沢ですね。わたし達の年代は無かったですね』
『あら、そうなの?せっかく大劇場が有るのにね』
『歩いて10分位ですよ。ご案内しましょう』
『なんとなく雰囲気は覚えているのよ。方向とか距離くらいは。じゃあ、お願いします』とメイコは立ち上がった。絵夢も立ちあがると二人並んでエスカレーターへ向かった。
『私の小さい頃はホームから改札口まで狭い地下道を通った記憶があるの。改札を出ると温泉街だったわ。街路樹の柳があって……』
『温泉街ですか?今はそういうイメージは橋を渡った向こう側ですね』
『宝来橋?だったかしら』
『ええ。宝来橋です。今でも橋を渡ると温泉街ですよ』
『そう。懐かしいわ』
2人は改札を出ると、さらにエスカレーターを下って駅の建物から出た。
メイコは立ち止って正面を見つめたまま『全然違う。まるで別の町だわ』と驚いた。そして『でも、きっとこっちよネ』と左側を指差した。
『そうです。こっちですよ』絵夢は左に進むとショッピングモールの中へ入っていった。
モールの中の歌劇の大階段を思わせる階段を降り、出口に差し掛かるとメイコが声を上げた。『あ!このお饅頭屋さん憶えがある』
『老舗ですからね。ずっとこのあたりにあったと思いますよ』絵夢はモールを出て横断歩道を渡った。

『ここも憶えがあるわ。このモニュメントも見たことがある。花道(ハナミチ)ね?』メイコは横断歩道の先に続く通りを見て言った。
『ええ。花の道(ハナノミチ)といいますね』
『そう?記憶違いかしら?花道と言っていたような気がするんだけど。これは桜ね。懐かしい。そして綺麗』メイコは頭上に咲き始めた花を見上げてしばし立ち止った。目には涙が滲んでいるように見える。暫くしてハンカチを取り出し、目に軽く当ててから、絵夢に目を戻すと『この町、ヨーロッパの雰囲気になるように作られているのかしら?』と言った。
『歌劇の町ですからね。そういう雰囲気で作られていると思いますよ』絵夢は軽い感じで答えた。
『でも、私はこの町の雰囲気には違和感と、もっと言えば欺瞞を感じるの。私の町みたいに自然にまとまれない。無理に組み合わせたように感じてしまうの。ごめんなさいね』
『ポルトの町に比べてですか?』
『ええ。町の歴史そのままの建物には違和感は無いわ。日本でもそういう街並みってあるでしょう?でもこれは私の我儘ね。歌劇自体が幻想の世界ですもの。こういう雰囲気作りは大切なのかもしれないわね。一種のテーマパークとして考えなくちゃいけないんでしょうね』
『難しいところですね。メイコはポルトの町がお好きなんですね』
『そうね。仕方なく住み始めたし、日本みたいに豊かではないんだけど、今では気に入ってるんだと思うわ』メイコは遠いポルトを思っているのか、少し不安そうに見えた。
しばらく花の道を進んでから絵夢は『こっちには遊園地があったんですけど……』と左手を指さした。
『え?』メイコはそっちを見てから『ファミリーランド?だったわよね?どうしたの?何もないわ』さらに不安そうに言った。
『ファミリーランドは10年ほど前に閉園になっています。今は駐車場やマンションや学校になってしまいました。わたしも小さい頃は来たことがあるんですけど』
『そう。やっぱり何もかも変わってしまうんだわ……私の戻るところも無いのね』メイコは独り言のように呟いた。
絵夢はそんなメイコの寂しそうな様子をじっと見ていたが、やがて反対側を指さして言った。『大劇場はこちらです』

『大劇場は昔と同じ所にちゃんと有るのね?でもやっぱり違っているわ』
『そうですね。大劇場も20年ほど前に建て替えられています。でも、以前のものより大きくなって観やすくなっていますし、バウホールという小ホールも併設されているんですよ』
『そう。立派になったのね』小さな声でそう言うとメイコは動かなくなってしまった。絵夢は入り口へと向かうために横断歩道を渡り始めていたが、メイコがついてこないのに気がついて引き返してきた。『どうされました?』
『絵夢、私には娘がいたの』唐突にメイコは話し始めた。
それが過去形であることで、絵夢は言葉をはさめなかった。
『私が18の時にポルトで産んだの。でもね、事情があってその子は生まれてすぐに日本へ連れ戻されて、私はその子の消息を知ることは出来なかったの』
絵夢は木陰の小さなベンチにメイコを座らせると隣に自分も腰掛けた。
『ありがとう』メイコは大きくため息をつくと少しずつ話し始めた。
『私はその子を連れて行かれた後、その子のことを忘れていたわけでは無かったのよ。だけど自分が生きていくのに精一杯だったの。でも、ようやく生活が安定して心に余裕が出てきた頃には、もう日本に近づくことも出来なかった。いまさらどんな面下げて……会いに行けるの?それから悶々と20年が過ぎていったわ。そんなとき、一通の手紙が届いたの』メイコの両手は強く握られていた。絵夢の目が優しく先を促した。
『手紙は私の娘の娘、孫からのものだったわ。もう16歳になっていたの。その手紙には私の娘……その子の母親ね、が病気で亡くなったこと、私の娘が亡くなる前に私を探したこと、探すのにとても手間取ったこと、見つかった時にはもう会いに行くことが出来なくなっていたことが書かれていたわ。そして日本までの航空券と歌劇のチケットが入っていたの。私が歌劇の大ファンだったことを憶えている人が生きているのかもしれないわね』メイコの目は大劇場の門の方を向いていたが、メイコには別のものが見えているようだった。
『私は何もかも放り出して出かけてきたわ。名前も知らない私の娘がどんな人生を歩んでどう亡くなったのか、私の孫はどんな子だろうか、居ても立っても居られなくなった……。でも、今は不安でいっぱい。私はどんな顔をしている?どんな顔をすればいい?』メイコは遠くの誰かに話しかるように語った。
『あなたは出会った時はアリスのような不思議に満ちた顔を、そして今はとても不安に満ちた顔をしています。でもそれは当然だと、わたしは思います。無理に取り繕わない素直な気持ちで、この先へ進んでもかまわないと思います』絵夢はメイコと同じ方向を見ながら誰に言うでもなく喋った。
『そうね。ここまで来てしまったんですものね。このまま帰るなんてとてもできないわ』メイコは絵夢の顔を見つめた。
『お孫さんが待っておられるんでしょうか?』絵夢もメイコの顔を見た。
『このチケットの席に座れということなんでしょう。それに従ってみるわ。ありがとうエム。いきましょうか?』メイコは立ち上がった。
絵夢は先に立って横断歩道を渡ると門をくぐった。そのまま階段を上がって入り口を入る。今度はメイコもしっかりとした足取りでついてくる。
入口を入った絵夢は『この入り口部分の上がバウホールという小ホールになっています。このまま左方向がプロムナードになっていて、その先が大ホールのエントランスです』と案内した。
『そのエントランスまでついてきてくださるかしら?』絵夢の配慮を感じたのかメイコが遠慮気味に言った。


『よろしければ!』ニッコリと微笑むと絵夢は進み始めた。両側にレストラン、喫茶店、ギフトショップなどが並ぶプロムナードを進み、スロープを登って2人はエントランスの入り口に着いた。
『ここでチケットを見せてエントランスへ入ってください……』絵夢はさようならを言うために言葉を続けようとした。
その時「エム、あなたがいてくれなかったら私はここまで来れなかったでしょう。感謝の言葉もありません」メイコは少し硬いが流暢な日本語で話すと深々と頭を下げた。
絵夢は少し驚いた顔になったが「いえ。とんでもないです。メイコのお役に立てて本当に嬉しかった。こちらこそありがとうございました」と言った。
メイコは下げていた頭を上げ言葉を続けようとしたが、顔を絵夢の方に向けたまま固まってしまった。メイコの目は絵夢を通り過ぎて絵夢の後ろを見ている。絵夢は後ろを振り返った。
そこには長い髪をツインテールにした少女が立っていた。2人は絵夢を挟んで見つめ合っている。絵夢はあわてて立ち位置を少しずらした。
「おばあさま?」少女が声を出した。
「ミク?」メイコは恐る恐る声をかけた。声は少し震えている。
ミクと呼ばれた少女はメイコに駆け寄ると一瞬戸惑った。
メイコがぎこちない笑顔を向け両手を少し広げると、安心したのか小さく「おばあさま」と言って胸の中へ飛び込んだ。
2人は仲良く並んで何度もこちらを振り返って深々とお辞儀を繰り返した。ミクはさらに手を振りながらエントランスに入っていった。絵夢も手を振って2人が赤絨毯の階段を上って行くのを見届けてから、プロムナードを出口に向かって歩き始めた。
花の道の桜は満開に向かっている。

穏やかな春風の中、絵夢は少し歩きたい気分だった。宝塚駅の方へは戻らず、このまま手塚治虫記念館の前を抜け、さくら橋を渡り、旧音楽学校の所でR176を横断し、中央図書館を覗いてから清荒神駅まで歩いてしまおう。そう考えると絵夢は携帯を取り出して操作した。
「絵夢です……」そう言うと電話の向こうからは長い御説教が聞こえてくる。
絵夢はそれを一切無視して「いま大劇場の前です。そう、宝塚大劇場です。これから歩いて中央図書館に寄ってから帰ります。今日は何も予定がありませんでしたから問題無いですね?ごきげんよう」と言って電話を切ってしまった。
絵夢は颯爽とした足取りで歩き始めた。早めに咲いた桜が春風に舞い、絵夢の長い髪と一緒に踊っていた。
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Comments
子供の頃、何度も宝塚に行ったのですよ。「マリー・アントワネットは、フランスの女王なのですから」って叫ぶ有名なのを観てました。そうか、今はこんな風なのですね。辿りつけなそう……。
震災で壊れてしまったら全て建て直したのでしょうか。だとしたら仕方のないことなのかもしれないけれど、記憶にあったものがほとんどなくなっている街、って日本だとかなり多いんですよね。
メイコほどではないけれど、私も帰る度に浦島太郎感覚に襲われます。100年経ちましたかってくらい変わっています。
写真を見て、どうしてメイコが偽物のように感じてしまったのか、わかる氣がしましたよ。どんなに外国っぽく作っても嘘っぽくみえるのは、遊びがどこにもない「経済的な」つくりだからなんですね。アーチがたくさんありますが、どこにも装飾がない。柱みたいなものや彫像の類いです。あれがあると石材のものでも陰影があって表情が出るのですが、何もないからのっぺらぼうなんですね。窓ガラスも規格に合わせたもので、木の枠や個性を生み出す色が見当たりません。開発にはものすごくお金がかかって機能的にできているのでしょうけれど。
ポルトが出てきて、おおおって思いました。もっと写真をアップしておけばよかった。来週あたり、ご紹介がてら、写真いっぱいあげておきますね。
(す、すみません、初音ミクのことは知っているけれど、メイコは知らないくらいの情けない知識なので、そこへのコメは省略しています)
震災で壊れてしまったら全て建て直したのでしょうか。だとしたら仕方のないことなのかもしれないけれど、記憶にあったものがほとんどなくなっている街、って日本だとかなり多いんですよね。
メイコほどではないけれど、私も帰る度に浦島太郎感覚に襲われます。100年経ちましたかってくらい変わっています。
写真を見て、どうしてメイコが偽物のように感じてしまったのか、わかる氣がしましたよ。どんなに外国っぽく作っても嘘っぽくみえるのは、遊びがどこにもない「経済的な」つくりだからなんですね。アーチがたくさんありますが、どこにも装飾がない。柱みたいなものや彫像の類いです。あれがあると石材のものでも陰影があって表情が出るのですが、何もないからのっぺらぼうなんですね。窓ガラスも規格に合わせたもので、木の枠や個性を生み出す色が見当たりません。開発にはものすごくお金がかかって機能的にできているのでしょうけれど。
ポルトが出てきて、おおおって思いました。もっと写真をアップしておけばよかった。来週あたり、ご紹介がてら、写真いっぱいあげておきますね。
(す、すみません、初音ミクのことは知っているけれど、メイコは知らないくらいの情けない知識なので、そこへのコメは省略しています)
TOM-Fさん
お読みいただいてありがとうございました。
日本の町並みを昔のまま保存するのがいいのか…についてはよくわかりませんが、もう少し計画的な町並みのデザインが必要なのかもしれませんネ。
何を残すのか、何を新しく作り替えるのか、総合的に考えていく必要があるのかもしれません。住民も町並みに対してもっと関心を持ち、勉強をし、意見を言うべきなのかもしれません。
そんな気持ちを持ちました。
これから先、ミクにやってほしいことは結構あります。
紅白などは面白いと思いますし、世界的なイベントのテーマソングなんかも歌ってくれるといいなぁ。
下手なアイドルよりインパクトあるかも、なんて勝手なことを思っています。
若干の不完全燃焼の作品になってしまったんですが、イベントとして楽しんでいただけたのならよかったです。
では。
日本の町並みを昔のまま保存するのがいいのか…についてはよくわかりませんが、もう少し計画的な町並みのデザインが必要なのかもしれませんネ。
何を残すのか、何を新しく作り替えるのか、総合的に考えていく必要があるのかもしれません。住民も町並みに対してもっと関心を持ち、勉強をし、意見を言うべきなのかもしれません。
そんな気持ちを持ちました。
これから先、ミクにやってほしいことは結構あります。
紅白などは面白いと思いますし、世界的なイベントのテーマソングなんかも歌ってくれるといいなぁ。
下手なアイドルよりインパクトあるかも、なんて勝手なことを思っています。
若干の不完全燃焼の作品になってしまったんですが、イベントとして楽しんでいただけたのならよかったです。
では。
夕さん
宝塚にも行っておられましたか。
せっかく歌劇があるのに、この町はその特徴をもうひとつ生かしきっていないように思っています。
新しい劇場は震災の前に出来ていますから、震災では大きな被害がありました。
苦労してなんとか復興したようです。
歌劇の町なんですから、こういう町並みはあってもいいんでしょうけれど……
サキは疑問には思いますけれど、完全に否定することは出来ません。
いっそのこと千葉のなんとかランドやユニバーサル・スタジオ・なんとかみたいにテーマパークとしてセットみたいに組んでしまうとか……あ、もうむちゃくちゃですね。
むずかしいです。
ポルトの写真楽しみにしています。町並み、素敵なんだろうな。
(ミクやメイコ、詳しくご存じ無くても問題ありません。実際ミクのイメージからサキはこの作品を発想し、書いていますが、ミクで無くてもこの作品は成り立ってしまいます。その辺がサキの不完全燃焼の原因なのかもしれません)
お読みいただいてありがとうございました。
ではでは。
せっかく歌劇があるのに、この町はその特徴をもうひとつ生かしきっていないように思っています。
新しい劇場は震災の前に出来ていますから、震災では大きな被害がありました。
苦労してなんとか復興したようです。
歌劇の町なんですから、こういう町並みはあってもいいんでしょうけれど……
サキは疑問には思いますけれど、完全に否定することは出来ません。
いっそのこと千葉のなんとかランドやユニバーサル・スタジオ・なんとかみたいにテーマパークとしてセットみたいに組んでしまうとか……あ、もうむちゃくちゃですね。
むずかしいです。
ポルトの写真楽しみにしています。町並み、素敵なんだろうな。
(ミクやメイコ、詳しくご存じ無くても問題ありません。実際ミクのイメージからサキはこの作品を発想し、書いていますが、ミクで無くてもこの作品は成り立ってしまいます。その辺がサキの不完全燃焼の原因なのかもしれません)
お読みいただいてありがとうございました。
ではでは。
不思議な感じ…
お邪魔します。大海彩洋です。
もう何十年?宝塚に行っていないので、お写真1枚1枚、まるで違う町を見ているようでした。むかしはよく通った駅だったのにな~。しかも今も、それほど離れた場所ではないところに住んでいるのに…
半分懐かしくて、半分違和感で、不思議な気持ちです。
行き来する交通手段が電車ではなく車になってしまって、たまに昔よく降り立った駅に降りてみると、本当にまるで違っていて、びっくりしますね。
どの駅もみんな同じような顔になってしまって、残念な気がします。
便利で、動きやすくなっているのかもしれませんが、商店街とか周囲のお店はすっかり画一的になっていっていますよね…
保存、改装、難しい問題です。
物語の中でも、メイコさんの目になって、自分自身の目が変わってしまった町や風景を見ているような気持ちになりました。
でも…町は変わってしまったけれど、大事なものは残っている、それが感じられて、最後はほっとしながら読み終わりました。
町の風景を描きながらの物語、バックグラウンドが分からないまま拝読してしまったけれど、楽しませていただきました。
またゆっくり始めから読ませていただきますね。
もう何十年?宝塚に行っていないので、お写真1枚1枚、まるで違う町を見ているようでした。むかしはよく通った駅だったのにな~。しかも今も、それほど離れた場所ではないところに住んでいるのに…
半分懐かしくて、半分違和感で、不思議な気持ちです。
行き来する交通手段が電車ではなく車になってしまって、たまに昔よく降り立った駅に降りてみると、本当にまるで違っていて、びっくりしますね。
どの駅もみんな同じような顔になってしまって、残念な気がします。
便利で、動きやすくなっているのかもしれませんが、商店街とか周囲のお店はすっかり画一的になっていっていますよね…
保存、改装、難しい問題です。
物語の中でも、メイコさんの目になって、自分自身の目が変わってしまった町や風景を見ているような気持ちになりました。
でも…町は変わってしまったけれど、大事なものは残っている、それが感じられて、最後はほっとしながら読み終わりました。
町の風景を描きながらの物語、バックグラウンドが分からないまま拝読してしまったけれど、楽しませていただきました。
またゆっくり始めから読ませていただきますね。
大海彩洋さん
おぉ!お読みいただいてありがとうございます。
三宮を舞台にしたものを書きましたので次は宝塚かな?のノリで書きました。
遊園地を失ってしまったこの町は、歌劇だけでは集客能力が足りないようです。
花の道周辺でも空き店舗が目立ちます。遊園地へ行く家族連れが通らなくなったのはとても痛手でしょう。
歌劇も撤退…なんてことが無いように祈っています。
メイコは40年ぶりぐらいに宝塚へ帰ってきています。
もうこれは浦島太郎もいいところです。本当に前の町の面影も無いでしょう。
先は知っていますが、サキはもう全然です。
メイコの目になって読んでいただいてありがとうございます。
不思議な感じを抱いていただけたなら、まぁ成功したのかな、とちょっと思ってます。
バックグランドがわかった方が面白いかもしれませんね。
よろしければまたお読みください。
コメント、ありがとうございました。嬉しかったです。
三宮を舞台にしたものを書きましたので次は宝塚かな?のノリで書きました。
遊園地を失ってしまったこの町は、歌劇だけでは集客能力が足りないようです。
花の道周辺でも空き店舗が目立ちます。遊園地へ行く家族連れが通らなくなったのはとても痛手でしょう。
歌劇も撤退…なんてことが無いように祈っています。
メイコは40年ぶりぐらいに宝塚へ帰ってきています。
もうこれは浦島太郎もいいところです。本当に前の町の面影も無いでしょう。
先は知っていますが、サキはもう全然です。
メイコの目になって読んでいただいてありがとうございます。
不思議な感じを抱いていただけたなら、まぁ成功したのかな、とちょっと思ってます。
バックグランドがわかった方が面白いかもしれませんね。
よろしければまたお読みください。
コメント、ありがとうございました。嬉しかったです。
海外旅行から帰国したとき、関西国際空港からスカイゲートブリッジを渡ったあと、町並みを見て必ずといっていいほどがっかりします。もちろん、泉南だけのことじゃないですよ。どこもかしこも、歴史も文化も生活も感じない殺風景。これが「日本の風景」なのかと思うと、やりきれなくなります。
すみません、話が妙な方向に行ってしまいました。
メイコにとっては、日本そのものが「変わってしまった祖国」に見えたんでしょうね。もう帰るべきところではない、と感じてもしかたないな、と思います。でも、町並みや建物は変わっても、メイコを肉親と慕い、待っていてくれた人――ミクがいたことは、彼女にとって救いだったと思います。二人が抱き合ったシーンは、ほろりときました。
リクエストに答えてくださって、ありがとうございます。扱いにくい「お題」を、うまくさばいていただいたなぁと感心しています。絵夢とミク、それにメイコの共演というだけで嬉しいですし、読み応えのあるお話でした。
最近は、北米トヨタのカローラのCMに出たり、いろんなキャンペーンに出たりと、人気者のミクですが、そのうち女優としてドラマや映画に出演することもあるかも知れませんね。まずは、紅白歌合戦ですね。