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Debris circus

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頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

絵夢の素敵な日常(6)(2012-10-23)

空気の読めないお嬢様、絵夢が素敵!と感じたことを感じたままに写し取る、読んでくださる方の都合など全く考えない、とっても自分勝手なショートストーリー。
今日は「Stella」用ハロウィン企画バージョンです。
Stella/s


 絵夢はベッドの中で目を開けた。まだ夜明けには相当に早いようで、部屋の中は真っ暗だ。
 なぜ目が覚めたんだろう?寝ぼけ眼で絵夢は考えた。ハロウィンのカボチャ、ジャックランタンが追いかけてきて……、絵夢はそんな夢を見ていたような気がして、目が覚めたのはそのせいだろうと思った。

ジャックランタン
A Jack o' Lantern made for the Holywell Manor Halloween celebrations in 2003.Photograph by Toby Ord on 31 Oct 2003. {{cc-by-sa-2.5}}

 でも絵夢はハロウィンについてはあまり関心を持っていない。クリスマスほどにはという意味でだが……。クリスマスに関しては絵夢は小さい頃からたくさんの思い出があった。天井まで届きそうな大きな本物のクリスマスツリー、てっぺんに光る星、輝くオーナメント、点滅するイルミネーション、靴下に入れられたプレゼント、美味しそうなケーキ、揺らめく蝋燭、家族との楽しい会話、静かに降り続ける白い雪。何もかもがふうっと浮き上がってくるような楽しい思い出だ。
 でもハロウィンには何も無い。日本では最近になって注目されるようになった行事だが、絵夢はまだまだ歴史が浅いという感想を持っていた。絵夢ぐらい以上の年齢になると幼い頃の思い出が何も無いのだ。クリスマスにあけられたアドバンテージは大きかった。
 でも、だからと言ってオレンジのカボチャに追いかけられる謂れはない。じゃあ、なぜ追いかけられて目が覚めたの?闇の中で思考を巡らせていたその時、絵夢は自分の頭の下に敷かれた自分の右腕に思いが至った。そう、目が覚めたときから絵夢の右腕は枕の替わりに頭の下に敷かれていた。そっと右腕の先に付いている指を動かしてみる。
 そこには指があるなどという感覚は一切無かった。右手の指はまるで最初から無かったように絵夢の意思をまったく無視した。まさか!絵夢は右手の上からそっと頭をどけ、左手で右手の指を触ってみた。そこには冷たくなった死に人の指があった。力なく左手に弄ばれるままになっている右手の指はプラプラと揺れた。触られている感触も無い。
 右手は死んだの?絵夢は少し動揺しながらも少し待ってみることにした。ずいぶん長い時間が経過したように思われた頃、少しづつ右手の先に痺れのような感覚が戻ってきた。力を入れると微かに動きを感じる。徐々に痺れは大きくなり指の動きも大きくなってきた。ジンジンという痺れが、戻ってきた血液の流れと共に感じられる。それと共に、そしてついに、右手は全体の感触と動きを取り戻した。絵夢はベッドの上で身を起こすと左手で右手を握って存在を確かめた。そして入念にマッサージした。確かに右手は存在している。そして動いているし暖かい。
 絵夢はホッとすると同時に目を覚まさなければ本当に右手は死んでしまったのかもしれないと思った。そして目を覚まさせてくれたジャックランタンに少しだけ感謝した。
 絵夢にとって初めてのハロウィンの小さな思い出ができた瞬間だった。
 安心した絵夢は、その後にやってくるクリスマスのスケジュールに思いを馳せながら、眠りに戻った。両手をお腹の上に載せて……

 おやすみなさい。
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

Comments

Re: 
こんばんわ

絵夢は時々しか見れていないのですが、相変わらずいいキャラです、、作者の発想力もうかがえる素晴らしいものだと思います
ハロウィン版、楽しく読ませてもらいました
私のほうの物語は重すぎて、負傷者(?)が続出したのでお口直しにどうでしょう、と言いたいくらいww

以上です。

感想 
 読みました。
 こういうこと、自分の場合だいたい月に1回以上は起こっているので、ああまたかという感じなのですが、初めて起こった時は絵夢さんみたく慌てました(笑)

 初めての体験であったことが、ハロウィンとうまい具合に結び付けられていていいと思います。文章も相変わらず丁寧で読みやすくて素敵です。
 
くすくす。とてもマイペースな彼女らしさがよく出ています。
追いかけてきて齧ろうとしたジャックランタンは絵夢の頭だったのかしら。

私は起きていてもやります。ベッドの上で肘ついて本読んでいたりすると「あ。やばい」と思った頃にはもう肘から先の感覚なくなっています。「う。学習しないなあ」と思いつつ、しばらくのたうち回りますよ。

ハロウィンが終わると、すぐにクリスマスですよね。特に、お店のデコレーションの変わり身の早さには驚きます。絵夢がどんなお嬢様なクリスマスを過ごすのかにも、実は興味があったりします。
藍樹 さん 
読んでいただいてありがとうございます。
キャラとしては山西の思ったことを、
わりとストレートに表現できるように考えたつもりです。
読まれる方の気持ちを有る程度無視して書けるのはちょっと快感です。
勝手に絵夢が暴走して読者が置いてきぼり、なんてありそうです。
ですから、楽しく読んでいただけてホッとしています。

後で藍樹さんの作品、読ませていただきます。
少々お待ちください。
夕月望 さん 
読んでいただいてありがとうございます。
夜中にこんな風になると本当に心配しますよね?
山西は本当に死んだのかと思って不安いっぱいでした。
ゆっくりと動き始めた時は本当にホッとしたんですよ。
そんなことを思い出して絵夢シリーズにすることを構想中にハロウィンのお題をいただいた、と言うわけです。
上手く出来ていればいいんですが……
夕さん 
うれしいですね!
くすくす……なんてある意味最高のほめ言葉です。

クリスマス、ですか?どうすごすんだろ?
絵夢のクリスマスか、考えてなかったなぁ。
じっくり考えてクリスマスバージョンでも出来ればいいな。
と、今思いました!
う~~ん(妄想中)

送信してしまえ、エイッ!(サキ)
 
こんばんは。

いやあ、流石です!
今回、ハロウィンで小説とか本当に可能なのだろうかと心配していたのですが、全然心配要りませんでした(笑)

絵夢のような経験、きっと誰しも在りますよね^^
それがこんなに綺麗にハロウィンと結びつくだなんて!

ところで、わたしあの感覚は割と好きです(゜-゜)

ご参加ありがとうございました!!
スカイさん 
ありがとうございます。
ちゃんと書けていればいいんですが。
空気の読めない絵夢ですから、どんなお題でもお話は出来てくるんですよ。
問題は、読めるかどうかなんですよね。
ちゃんと読めましたか?
もしそうなら良かったです。

次は本編を上げます。もう暫くお待ちください。
左紀さん、おはようございます^ ^ 
左紀さん、おはようございます^ ^
おお、絵夢ー☆
ハロウィンで書かれましたか^^
確かに日本でハロウィンを大々的に
イベントとして盛り上げるようになったのって
まだ日が浅いですよね。
絵夢、ジャックに追いかけられない夢を見ることができるといいですね^^

いつも素敵なお話をありがとうございます^^
月子
月子さん。おひさしぶりです。 
はい。
ハロウィン企画で完成させました。
ハロウィンに関して山西はもう1つ思い入れを感じていないので、
そのまま作品になってしまっています。
まぁ、クリスマスに比べると、なんですけれどね。
宗教的にはハイブリッドなようで、こんなところは日本向けかもしれませんね。

で、Stella2号(11月号)向けにもう1編UPの予定です。
まもなく出来上がると思います。
月子さん、色々とお忙しそうですが、体調に気をつけて頑張ってください。

 
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