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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

自己中エスの気まぐれスレッド(2)

 随分間が開いてしまいましたがようやく、そしてなんとか整いました。
「物書きエスの気まぐれプロット」シリーズの一遍「自己中エスの気まぐれスレッド(2)」をお届けします。
 主人公のエスはサキを一応のモデルとして造られたキャラクターで、今回も友人コハクとの何気ない日常を描いた一遍です。シリーズと銘打っていますが作品それぞれにそれほどの繋がりは無く、単独で読んでいただいても大丈夫のはずです。
 ほんと自己中(さらに自己満)な内容ですが、更新することを最優先に思いついたものをそのまま書かせていただきました。
これをきっかけとして、またいろいろ書けるといいんだけれど・・・。



自己中エスの気まぐれスレッド(2)

「来たよ~」コハクはリビングのドアを開けて中を覗き込んだ。
 そこにはエスの後姿がある。
 フローリングにぺたりと座り込み、肩越しにクリーム色の箱・・・パソコンのタワーケースだろうか・・・が見えている。本来座っているべき座布団はエスの前に置かれ、その上には何やら電子部品が並んだボードが鎮座している。
「何やってるのよ。またパソコン?」コハクは少しうんさりしながら声をかけた。
「あ、コハク。どうしたの?」エスが振り向いた。
「あなたが来いって言うからわざわざやってきたんだけど?」
「そうだったっけ?」エスは首を傾げると少しだけ舌を出した。
 コハクはエスの横にあるソファーに腰を下ろすと盛大に溜息をついた。「で・・・何の用?小説が書けたから見ろとか?」
「ああ、最近書けないんだよね。顔を見たらなにか浮かんでくるかと思ったんだけど。でも、待っているうちに断捨離を始めちゃって」エスは目を合わさない。
 こういう時のエスは適当なことを喋っていることが多い。顔を見たらなにか浮かんでくる?そんなことは思ってもいないはずだ。「断捨離?パソコンの?」コハクは少し声を低くした。
「そう、この機械・・・」エスは隣にあるタワーケースを指さした。「これはずいぶん前に父さんが組み上げたPCなんだけど、最終的にはウチの予備機としてずっとパソコンラックの下段に置いてあったんだ」
 これが本題だな。コハクは諦めてそれに乗ることにした。「そういえばこれ、見かけたような気もする」
「でしょ!でももうシステムとして時代遅れになってしまったし、新しいパソコンを導入しようとしても新鋭機を置く場所もないし、そろそろ本格的にリタイヤさせようってわけ」
「ふーん、じゃぁなんでバラしてるのヨ?そのままリサイクル業者へ送ったらいいじゃない。無料で受け付けてくれるんでしょ?」
「ちょっとね・・・ほら!」エスは座布団の上に置かれたボードを指さした。

TDVIA.jpeg

「それはマザーボードだよね?」
「ちょっと変わってるでしょ?」
「そう?別に変わりはないと思うけど?」コハクはすました顔をして答えた。
「いじわるだなぁ。わかってるくせにぃ」
「ごめんごめん、ファンが2個付いているからCPUを2個積んだ・・・つまりデュアルCPUってことね?」
 確かに一般的な家庭でデュアルCPUのパソコンを見かけることは珍しい。
「そう!ご名答」
「でもなんでこんなシステムを組んだの?当時の環境だったらあまり意味がないように思うけど?サーバーならともかく・・・」
「そうだよね。ウチもそう思うんだけど、これって父さんの趣味なんだ」
「例のどうなるか見てみたかった・・・ってやつ?」父娘で揃いもそろってなんとまぁ、コハクは半分呆れながら尋ねた。
「どうもそうらしいんだ」エスは他人事のように返事をした。

お恥ずかしい話です。
こんなところで公表されるとは思っていませんでした。
当時も現代も一般的なパソコンに積まれているCPUは1個です。現代は1個のCPUに複数のコアが当然のように積まれていますが(なんと16個や20個も積んでいるCPUもありますね)、当時のCPUのコアは基本1個だった時代でした。ですから、CPUを2個積んでいる(コアも2個ですね)ということだけでかっこよく思えたんです。
このパソコンには組み立て記事などを参考にいろいろ調査して、「RIOWORKS」というメーカーの「TDVIA」というマザーボードを使用しています。
性能的にあまり意味の無いことは重々承知のうえでなんですが、好奇心に負けて他にもデュアルCPUのPCを何台か組んでしまっています。チャレンジ精神に満ちた自作PC全盛の面白い時代でした(遠い目)。(ダイスケ)

「さてっと」エスはコハクからマザーボードへ顔を戻すと、2個あるCPUファンを順番に取り外した。ファンの下からCPUが現れる。エスはCPUの上に残ったシリコングリスを丁寧に取り除いた。

PGA370.jpeg

「CPUは何を積んでいるの?」その様子を上から覗きながらコハクが訊いた。
「PENTIUMⅢ-Sだよ」エスが顔を上げる。
「エス?」
「そう!エス。PENTIUMⅢのマルチCPUに対応したモデルなんだって」

1400S表 1400S裏

「1400って書いてあるから動作クロックは1.4GHz?512は二次キャッシュの容量で133はベースクロックのこと?1.45は動作電圧かな?」コハクは呟いた。
「さすがコハク」
「ちゃかさないでよ」
「今ではだいぶ見劣りする動作クロックだけど、PENTIUMⅢでは最高速だったらしいよ」
「へえ~」コハクは呆れたような、感心したような、どちらともとれる声を出した。
「それでぇ」エスが床の上の置いていたボタン電池を取り上げた。
「それをどうするの?」
「電池交換」エスは事もなげに答えた。
「電池交換?」
「うん、今朝起動してみたら最初は起動しなかったり、起動してもCMOSチェックでエラーが出たり、時計が初期値に戻っていたり、動作がおかしかったんだ。どうもBIOSの設定が維持できていないみたいだから、きっとマザーボードの電池切れだと思うんだ。随分古いからね」

マザーボードの写真の左上隅にCR2032のボタン電池が見えていますね。この電池の電力でBIOSの設定を保持しています。時計が初期値に戻るのは典型的な電池切れの症状です(よく気が付いたな)。
今回は汎用性のある電池が使われていたのでラッキーだったと思います。もっと特殊な電池が積まれているボードもありますから・・・。(ダイスケ)

「でも、さっき断捨離って言ってなかったっけ?」コハクは矛盾点を突いてみた。
「う~ん。ケースを開けて見ているうちになんだかリサイクル業者へ送るのが惜しくなって。とりあえず残しておこうかなって。だから電池交換のついでにバラしてみたってわけ」
「そしてついでに私も呼ばれたってわけ?」
「だって、こんなことってめったにないよ。デュアルCPUだよ。見せてあげなきゃって・・・」
 やっぱりね。コハクはまた盛大に溜息をついてから立ち上がった。
「あれ?迷惑だった・・・かな?」エスが見上げる。
「コーヒーでも入れるよ」やがてコハクは諦めたように言った。

BIOS.jpeg

再度組み立てた当パソコンの起動画面です。Intel Tualatin(テュアラティン、PENTIUMⅢ最終モデルのコードネーム) 1.4GHz(133x10.5) ,2CPU(s) の表示が見えますね。当時はこれを見て感激したものです。
動くことは動くので私の予備機として残し、どこまで実用になるか遊んでみようと思っています。(ダイスケ)

2022.06.20
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