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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

【オリキャラ飲み会】こんなの飲んでる

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 八少女夕さん企画の【オリキャラ飲み会】に参戦してみることにして、左紀の作品からヒロイン級のキャラクターを集めてみました。
 サキにはお酒に関する蘊蓄の持ち合わせがほとんど無いので、深く掘り下げられないのですが、サキの脳内で彼女らはこんなお酒を飲んでいます。
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[シスカ]シスカ
 だいたいビール・・・作中では仮想世界であるため発泡酒という表記になっています・・・で喉を潤し、それから強い蒸留酒へと進みます。作中ではロックと書いていますからウィスキー(スコッチ?)かなぁ。彼女には北方民族の血が入っていますのでアルコールには強いです。ウォッカ系が似合いそうですが、透明なものより琥珀色の方を好みます。

[254]コトリ
 普段アルコールはあまり飲みませんが結構強いです。
 親父さんに付き合っていた関係で何でも飲みますが(焼酎や日本酒もOK)、ビールはちょっと苦手です。
 バイクショップはギリギリでやっていますので、ヤキダマの収入と合わせてもあまり余裕はなく、夕食時に2人で安いワインを開けることが多いです。必然的に乾杯はワインになりますが、ヤキダマはビールも飲みます。
 どなたか高級なワインを手土産に「コンステレーション」を訪れてやってください。喜びますよ。

[Eridanus(エリダヌス)]クウ
 まったく不明ですが、印象的にはスパークリングワイン?
 ガブガブ飲むことはなさそうに思うのですが、開栓したら一気に飲まないと・・・。

[アスタリスク]アルマク
 サキキャラの中で彼女が一番強く、飲んでも変わりません。
 ビールだと底無しで飲んで、それでも物足りなくなって強いお酒に進みます。
 お洒落な飲み方はしないので銘柄に拘りもありません。
 ま、パイロットですから、わきまえてはいますが・・・。
 相方のミラクは好きですがあまり強くないので、一緒に飲みに行ったらたいていアルマクに介抱してもらうことになります。
 テーマからは外れますがアルコール系デザートは「チョコレートリキュールアイスクリーム」が気になっています[アスタリスク(12)「チョコレートリキュール」]

[フォマルハウト]フォマルハウト
 生まれてから酒という物を飲んだことはないはずですが、この世界にきてからは飲んでいるのかも・・・。

[新世界から]ズイキ
 職業柄ほとんど飲みませんが、今は戦闘機乗りを引退しているので飲酒シーンがあるかもしれません。「新世界から Scene1 Habitat」

[新世界から]フワリ
 まだ未成年なので飲んではいけません。でも生活していた場所が場所だからなぁ・・・。「新世界から Scene2」

[物書きエスの気まぐれプロット]エス
 舐めるぐらいかな?夏場はビールで喉を潤し、ワインやハイボールなんかも・・・(どこが舐めるぐらいなの?)。

[物書きエスの気まぐれプロット]コハク
 そういえばどこかでスパークリングワイン“カバ”を飲んでいましたね。「コハクの街」

[絵夢の素敵な日常]絵夢
 絵夢の家、ヴィンデミアトリックス (Vindemiatrix) 家は、ラテン語で「ぶどうを摘む女」という意味らしいですから、世界中にワイナリーを幾つか持っています。高級な物を飲んでいるんだろうなぁ。でも作者の知識不足のため描写出来ていません。

[絵夢の素敵な日常]絵瑠
 白川性を名乗っていますが、絵夢の娘ですからもちろんワインを好みます。
 作中[PX125]ではお寿司に合うワインを飲んでいたりして、ワインには拘りもあるようです。

[絵夢の素敵な日常]ミク
 ジョゼに付き合ってポートワインを飲むこともありますが、ドウロワインなどのポルトガルワインのtintoがメインでしょうか。
 ドイツのアパートでは[それぞれのロンド]冷蔵庫にピルスナービールが入ってましたね。あのカオスの部屋、今はキチンと片付いています。
 酒蔵の娘[貿易風(alisios)]ですが、故あって日本酒はほとんど口にしません。


 どうもうちはワイン派が多いようですね。
 サキが日本酒があまり飲めないので、ワインへ流れる傾向になるんでしょう。
 日本酒にはとても興味を持っているんですけれど・・・。
 お酒はコーヒーやお茶、煙草などと共に嗜好品に分類され、Wikiによれば「栄養・エネルギー源を期待しない」「病気治療を期待しない」「生命維持に強い効果はない」とか「薬理学的な機序により習慣性を有し、物質嗜癖の対象となりうる」とか散々なのですが、物語に深みを持たせるには必須のものだと思います。
 ただしうちのキャラ、煙草は誰も吸いません。嗜好品として煙草が幅をきかせた時代もありましたし、まだまだ吸う人も多いので少し不自然な気もしますが、登場したことは無いはずです。
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「白火盗」の反省会(というか言い訳)

 拙い作品を読んでいただいてありがとうございました。
 彩洋さんのお題「時代小説」に「カラクリ」と聞いてまず浮かんだのが「どろろ」でした。
 あまりにも有名なマンガだし、ちょっとベタだなぁとは思ったのですが、四の五の言っている余裕は無いので、この物語の百鬼丸のシチュエーションをお借りする事にしました。
 サキのことですからもちろん主人公は女性に変更していますが、まるわかりですのでここで白状(というか、すぐにわかりますよね?)しておきます。

 で、書き始めてまず困ったのが舞台です。彩洋さんは設定を幅広く取ってくださっているのですが、せっかくですから時代小説の王道、江戸時代後半の江戸を想定しています。
 実はサキは関西在住ですから、江戸を舞台にするだけでもすでに迷宮で、どこに何があるのか土地感もありません。でも浪速にすれば解決するという問題でもないし・・・。
 とういことなので、はっきりと江戸とは明記していません。
 長屋の様子も一応調べてはいますが、正確な描写にはなっていないと思います。町の様子も細かいところまではわかりませんので(知りたいことに限って情報が見つかりません)、適当に誤魔化して書いています。
 キャラクターたちの衣装も、細かく描写しようとすると途端に情報不足に陥り、先へ進むことが出来なくなりました。
 一番困ったのが言葉でした。調べれば調べるほど、頑張れば頑張るほど、何を言っているのか不明になりますし、不自然になってきます。
 ですからやむを得ず、主人公の千之助には現代の言葉を基本に、それに武士言葉らしきものを少し混ぜるようにしました。町人の文吉もやはり現代の言葉を基本として、江戸言葉と思われるような喋り方を混ぜています。ヒロインのヒトリに至ってはもう普通に現代言葉です。
 そして、先もあまり役には立ちませんでした。さっぱりだなぁ。やれやれ・・・。
 時代小説を読み込んでおられる方には不自然な部分が多々あると思いますが、どうか初挑戦ということに免じて大目に見てやってください。
 後で気がついたりご指摘をいただいたりすれば改稿するかもしれません。

 でもね、なかなか面白かったんですよ。
 色々調べてみて江戸時代の庶民の暮らしが少しだけですが見えてきたように思っています。現代人と同じように、みんな一生懸命に、悲喜こもごもで生きていたんだなぁと・・・。
 もっと抑圧されていたと思っていましたが、思っていたよりしたたかに生きていたんですね。
 そして、もっと不衛生だったんじゃないかとも思っていましたが、案外そうでもないようだし。もちろんサキには耐えられそうにありませんが・・・。

 楽しい経験をさせていただきました。リクエストをいただいた彩洋さんにはお礼を申し上げます。お題を受けて作品を仕上げるのは苦労もしますが、思ってもいなかった作品が出来てしまったり、不思議なキャラが登場したり、驚きがたくさんあって刺激的です。
 また機会がありましたらよろしくお願いいたします。

「白火盗」へ戻る。

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白火盗

 增井千之助は堀梅町二丁目の裏長屋、夕顔店に住む浪人者だ。齢は二十五、若いが事情があって仕官せず、内職の写本作りを生業に日々を過ごしている。
 今日も納期に追われ、朝からずっと筆を持ち続けていたのだが、そんなある日の日暮れ過ぎのことだった。
 ホトホト・・・障子を叩く音がした。
 千之助は筆を置くと机から顔を上げた。
 ホトホト・・・再び障子が叩かれる。
「ちょっと待ってくれ」千之助は立ち上がると、土間に下りて障子を開けた。
 誰かがそこに立っていた。
 煤けた身なりで、背丈からすると子供のようだ。
 柄も見えない薄汚れた着物に草鞋履きの軽装だが、背中にくたびれた笠をぶら下げ、小さな風呂敷包みを背負い、頭からすっぽりとほっかむりをしている。そして、まるで長旅から戻ったように全身埃まみれだ。
 いかにも奇妙な身なりだが、夕闇に紛れて誰にも不審がられることは無かったのだろう。
「こちらは夕顔店でしょうか?」子供ではない。若い女の声で喋り方もかなりまともだが、ずっと俯いたままなので顔は見えない。
「いかにも、ここは夕顔店だが・・・」千之助は訝しがりながら応えた。
「指物師の文吉さんはこちらにお住まいでしょうか?」
「文吉?ああ、ここに住んでおる。確か居るはずだが・・・」千之助は部屋を出ると路地を奥へと向かった。店には十一の部屋があるが、千之助の部屋以外の灯りは灯っていない。だからまず女は灯りの灯る千之助の部屋を訪ねたのだろう。
 文吉は長屋で一つ奥の部屋に住む四十路の指物師だ。腕は良く仕事熱心で、その腕を見込んだ客からの注文は引きも切らない。その上精密な細工や工夫もできるからカラクリ物などの注文まで舞い込んでくる。独り身だが、浮ついた噂も無く、まるで仕事と連れ添ったような男だ。そこへ若い女・・・いったいどういうことだ?千之助は疑念を頭の中でグルグル回しながら文吉の部屋の障子を叩いた。「文吉殿、居られるか?」
 ガタガタと障子が開いた。「增井様、何かご用でしょうか?」文吉が顔を出した。そしてそのまま千之助の後ろに控えた女に気がつくと「ヒトリ・・・?」と一言発して固まった。
 どうやらヒトリというのがこの女の名前のようだ。千之助は興味津々でその場を動かず、事の成り行きを見ている。
「案内してくだすったんですね。手間をお掛けして申し訳ございやせん」文吉は礼を言うと女を部屋の中に引き入れ、「そいじゃぁ、ご免なすって」と、障子を閉めてしまった。
 障子の前に取り残された千之助は暫くの間そこにその姿勢のまま、名残惜しそうに立っていたが、やがて冷たい風に首をすくめると自分の部屋に戻った。
 部屋で内職の写本を続けていると「增井さま」文吉の声がした。
「どうされました?」千之助は障子を開ける。
「すみやせんが、灯油を貸してもらえやせんか」文吉は油差しを差し出した。
「お安い御用です」今夜は夜語りか?普段は日が暮れたらすぐに寝てしまうのに・・・千之助は想像を膨らませながらも気安く応じた。
 文吉は大事そうに油差しを持って引き上げていったが、千之助はどうにも気になって仕方がない。耳を澄ましてそっと隣の様子を伺うが、気配すら感じることが出来ない。安普請の長屋のことだから壁は薄いし隙間だらけだ。何か会話をしていればその気配ぐらいは伝わってくるはずなのだが・・・。
 千之助は隣を覗いてみたい衝動に駆られたが、いくら店子どうしでも男女のことだ、さすがにそれはばかられる。
 千之助は何とかその誘惑に耐え、その晩は早めに筆をおいて眠ってしまった。

 翌日、昼過ぎに文吉が訪ねてきた。
「助かりやした。何しろ普段、行灯なんざぁ使うことは無ぇもんですから」文吉は礼を言いながら、持参した油差しから千之助の油差しへ灯油を移し変えた。
「文吉殿に女の客とは珍しいですね」
「そんなんじゃねえんで。アレは親戚の娘で、両親の様子を知らせてきたんでさぁ」文吉は薄く笑った。
「そうですか、何か困りごとがありましたら遠慮なく言ってください」千之助は文吉の言いように違和感を憶えながらも気遣った。
「ご心配にゃあ及びません。もう用事も済んで里へ戻りましたんで」文吉はもう一度丁寧に頭を下げると自分の部屋へ戻っていった。
 それから、文吉の夜なべ仕事が始まった。
 文吉の仕事は高い精度が要求される指物作りだから、概ね仕事は明るい昼間に片付ける。夜はというと、たまに飲みに出て気晴らしをすることはあっても、大体は暗くなったら寝てしまうことが多い。
 ところがあの奇妙な訪問があってから、毎晩こうこうと行灯を灯して、ほとんど寝ないで仕事をしている。
 店子たちの間でも、やれ何処かの殿様の大仕事が舞い込んだだの、大棚の娘さんの嫁入り道具で大金が入ってくるだの、噂話で持ち切りだった。井戸端会議でも、嫁さんを迎えるための用意じゃないかだの、悪事のための道具作りに違いないだの、あらゆる憶測が飛び交った。
 どんな仕事が舞い込んだのか、何を作っているのかまったくわからないまま年の瀬が過ぎ、一日も休むことなく正月も過ぎ、二月が過ぎる頃、ようやく仕事が片付いたのか行灯が灯ることは無くなった。
 文吉の鬼気迫る仕事ぶりを心配しながら眺めていた千之助は、その様子にホッと胸をなでおろした。

 だが話はそこで終わらなかった。
 三月の始めの頃のことだ。千之助はいい気持ちで通りを歩いていた。苦労して写し終えた分厚い写本を持って依頼主の貸し本屋を訪れ、そこで受け取った手間賃で軽く一杯やって夕顔店へ帰る途中だった。
 千之助は身なりこそ貧相だったが、教養があり手跡も正しい。それに目を付けた馴染みの貸本屋に写本の内職を頼まれ、生活のためにそれを受けることにしたのだが、評判が評判を呼び、あちこちの貸し本屋から依頼が舞い込むようになった。丁寧で仕事が速く、納期も実直に守ったので重宝がられ、とりあえず生活に困らない程度の収入を得ることができていた。お陰で腰に差している大小は本物だったし、剣の鍛錬のためにたまに道場へ顔を出すこともできた。本人は謙遜するが、千之助の剣の腕はかなりのものだ。
 ・・・と、千之助の足が速くなった。少し先を歩いている女の様子が目に留まったのだ。もう夕暮れ時で薄暗くなっているから見分けにくいが、見覚えのある格好だ。
 柄も見えない薄汚れた着物に草鞋履きの軽装、背中にはくたびれた笠、小さな風呂敷包み、ほっかむり、そして背丈は子供のように小さい。
 あの女だ。千之助は気配を消すと、少し間を空けて女の後をつけた。
 女は通りを南に下り、小上橋を渡った所で右に折れた。やはり堀梅町の夕顔店へ向かっている。やがて女は夕顔店の木戸をくぐった。千之助は足を速めて木戸から路地を覗き込んだが、すでに女の姿は消えていた。
 千之助は部屋に戻り耳を澄ませたが気配は無い。諦めて次の仕事に取りかかろうと行燈を灯したが、どうにも気になって仕事が手につかない。そこへ井戸から水を汲む音が聞こえてきた。文吉の部屋へ水を運んでいるようだ。
 外はもう暗くなっている。いったい何を始めたのだ。もう我慢の限界だ。千之助は音を立てないようにそっと立ち上がり、文吉の部屋との境の壁際に米びつを置き、その上に行李を載せた。
 鴨居の上には壁土の崩れた所があって、そこに小さな穴が開いている。千之助は行灯を消すと用心しながら行李の上に登り、その穴から隣の部屋を覗き込んだ。
 文吉の部屋には4つもの行灯が灯されていた。部屋の四隅に置かれ、部屋の中はまるで昼間のようだ。行灯はあの夜なべ仕事の時に買い足したのだろう。
 そのこうこうとした灯りを背に、女の白い背中と、おかっぱの白い髪が見える。あのほっかむりの下の髪は真っ白だったのだ。文吉を前に座らせて背中をこちらに向け、体には何もまとっていない。
 千之助は己の行為に罪悪感を覚え、一瞬壁から目を離そうとしたが、女の右腕が肩の部分ら外れてポトリと落ちるのが目に入ると、もうそこを動けなくなった。思わず息を呑み、その音がやけに大きく響いた。
 幸い聞こえたような様子は無い。
 続けて女の左腕が同じようにポトリと落ちた。文吉が近づいて背中を支え、女を畳の上に寝かせる。
 さらに女が身をよじると、まずは右足、そして左足が股関節から外れてゴロリと転がった。文吉はその外れた手足を無造作に抱え挙げると部屋の隅にどかせた。
 部屋の真ん中には女の胴体と頭が転がっている。
 文吉は水の入った木桶を女の傍に置き、火鉢の鉄瓶で沸かしておいたお湯をそこに足し、手ぬぐいをつけて絞った。そして女の体を丁寧に拭き始めた。
 顔から始め、形良く盛り上がった乳房、乳首、締まった腹、そしてその下へ、そこには髪と同じ色の陰毛が生えていた。手足の関節部分は特に入念に拭い、さらに体を裏返して背中も丁寧に拭いた。
 拭き終わると文吉は女の体を仰向けに戻し、部屋の隅に置かれた大きな木箱に近づいた。
 部屋の真ん中には女の胴体と頭が残された。
 それはとても人には見えなかった。
 手も足も無い体は芋虫のようだ。
 だが、それは神々しいまでに真っ白だった。白い肌、白い髪、陰毛、まるでそれ自体がぼんやりと白い光を発しているかのように浮き上がって見える。じっとして動かなかったが、ゆっくりと胸が上下し、時々瞬きをしている様子が見える。大きな目、小さな桃色の唇、千之助は呆けたようにずっとその姿を見つめ続けている。千之助はそれを美しいと思った。
 箱を開ける音が聞こえ、千之助は我に帰った。
 文吉が部屋に置かれた箱を開け、中から何かを取り出している。それは一対の腕と一対の足だった。それぞれを抱えて運び、体の横に並べて置く。
 文吉はまず右腕を右の肩に押し付けた。女が右肩を捻るとカチリと音がしてそれはそこに納まった。続いて左腕、右足、左足と女が体を捻るたびにカチリと音がして、それぞれは納まるべき所に納まった。それが済むと文吉は女の背中を支え起こしてやった。
 女はまず右腕を動かした。それぞれの関節をゆっくりと上下、そして左右、きちんと動かせることを確かめると、次は指を一本ずつ確かめた。文吉はその様子をじっと見つめている。左腕、右足、左足に順にその作業は繰り返され、滞りなく終わったようだった。どのような原理で付け足した腕や足が動いているのか、千之助には理解できなかったが、その滑らかな動きをつぶさに見ていると、そのようなものだと納得せざるを得なかった。
 やがて女は立ち上がった。
 女の背丈は高くなっていた。もう子供の背丈ではない。おそらく手足を取り替える時に胴体の成長に合わせて大きくしたのだ。それが取替えの目的だったのかもしれない。あの子供のような奇妙な体型は消え、そこには均整の取れた成熟した女性が現れた。
 と・・・彼女はおもむろに体を回し、千之助の方へ顔を向けた。
 壁越しに目と目が合った。行灯の光に浮かび上がる彼女の瞳は、血のように真っ赤だった。

 記憶はそこで途切れている。
 千之助が目を覚ましたのは自分の部屋に敷かれた布団の中だった。もう日が昇っているのか、障子の向こうは明るくなっている。
 二日酔いの朝のように気分が悪かったが、何とか起き上がり路地へ出る。
「おはようございます。增井様」井戸端には女房連中が集まっていたが、一番年増のおかねが最初に声を掛けてきた。
「おはようございます」
「いい日和だね」その隣はお勢だ。
「そうだな」
「今朝は寝坊ですか。先生」
「まあな」
「その様子じゃ、二日酔いだね?」
 千之助は苦笑いを返す。
 水仕事に精を出す女房連中と挨拶を交わしながら、千之助は文吉の部屋の障子を開けた。
 部屋はいつもの通りで変わりは無く、部屋の真ん中に敷かれた布団では文吉が大いびきをかいて眠っていた。
 行灯は部屋の隅に置かれているが一つだけだ。
 木桶は流しに伏せられ、火鉢も道具箱もいつもの場所に片付いている。大きな木箱が置かれていた場所には何も置かれていない。
 布団の中からは茶トラの猫が大あくびをしながら顔を出しニャーと鳴いた。時々この長屋に顔を出す若い猫だ。こんなところで夜を過ごしていたのか。しかも呑気そうに伸びまでしている。千之助はまさかと思いながらも念のため確かめたが瞳の色は金色だった。
「文吉殿!文吉殿!」何度か声を掛けると文吉が薄く目を開けた。
「增井様?おはようごぜえやす」眠そうに返答が帰ってくる。
「昨夜のことですが、いったい何が・・・」そこまで口にして千之助は言葉を止めた。
「昨夜でごぜえやすか?あっしは眠りこけていたもんで、さっぱり・・・」
「さっぱり?どなたか訪ねてきませんでしたか?」
「いえ、誰も・・・ずっと眠っておりやしたんで」
「・・・そうですか。いや、拙者の思い違いです。何でもない・・・」千之助はそう答えながらもう一度部屋の中を見渡した。
 茶トラがチョロチョロと動き出し、路地へ出て障子の隙間から向かいの部屋へ入った。いつものように朝飯をくすねに行ったのだろう。間もなくおさとの怒鳴り声が聞こえ、逃げ出してきた茶トラは路地を抜け厠の方へ消えた。
 すべては謎のまま消えうせ、何事も無かったように夕顔店の日常が流れ始めていた。

 だが話はそこでも終わらなかった。
 5年の後、千之助はその女、ヒトリと再会することになる。

「白火盗」の反省会(というか言い訳)へ・・・

2021.05.16
2021.05.17・23 細かい修正
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40000 HIT記念企画第三弾

 40000 HIT記念企画でリクエストを承ったのですが、その第三弾を発表します。
 タイトルは「白火盗」(←ここをクリックで本文に直接飛びます)、シロヒトリというのは蛾の一種ですね。
 リクエストをいただいたのは大海彩洋さん、お題は以下の通りでした。

★大海彩洋さんから
 時代小説(「ふう」でもいい)(*^_^*)
 カラクリもの(人形でも何でも)。
 もちろん、実際の日本の過去が舞台でなくてもいいのです。なんとなく「風」だったら。 時代は問いません。
 そして、ほんのちょっとだけ、うちのマコト(っぽいネコ)をどこかのシーンの片隅に出してやってください。

 リクエストをいただいた時は「え?」と驚きましたよ。
 いくら「ふう」でもいいとはいえ、時代小説ですよ。
 サキは時代小説ってあまり読まないですし、もちろん書いたこともありません。ドラマもあまり見ないなぁ・・・。
 ですから、雰囲気すらつかめません。
 でも、せっかくリクエストをいただいたのですから、なんとしても形にしてそれにお答えしようと、あちこち調べながら頑張りました。ちょっと頑張りが空回りして、定番ドロドロサキワールドになってしまったきらいもありますし、断片で、落ちも続きもありませんが、時代小説「ふう」ということでイベント用に書いた作品ですのでご了承ください。
 よろしければ下のリンクからお進みください。
「白火盗」(40000 HIT記念企画第三弾)
「反省会」も読んでくださいね。
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。

山西 左紀

Author:山西 左紀
「山西 左紀について知りたい方はこちら」
プロフィール画像について(“みまさか”さんに特別にお願いして使用許可をいただいた「ミクダヨーさん」です。)

ようこそ!


頂き物のイラスト

アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
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左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
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イラストをクリックすると記事に飛びます。よろしければご覧くださいネ!
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