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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

JET STREAM

2018年3月27日、羽田からフランクフルトへ向かう飛行機(ボーイング747-8IC)から撮影した写真です。
お目汚しですが、スポンサーサイト除けの記事としてUPさせていただきます。

欧州行きの便は午前中の出発ですので、すっと太陽を追いかけて飛行します。
ですから12時間以上飛行してもずっと昼間なんですよね。
途中食事とトイレ以外は何もする事が無いので、皆さんは睡眠を取ったり、映画を見たり、本を読んだり、それぞれの時間を過ごされているのですが、サキは合間合間で窓から見えるジェットエンジンの点検をし(サキの作品に登場したズイキと同じで、ちゃんと動いているか気になります)、眼下の風景を覗き、撮影をしていました。
こんな不思議な風景、普段は見られませんから・・・。
その撮影した写真のほんの一部ですがご覧ください。
初めの6枚はシベリアの大地、たぶん東から順に並んでいるはず。
7枚目は北極海だと思います。北極海の上を飛ぶんですね。
8枚目はスカンジナビアのはず・・・。

DSCN3745.jpg
シベリア、凍った谷がまるで毛細血管のよう・・・。

DSCN3747.jpg
等高線状の不思議な模様です。どうしてこんなになるんだろう?

DSCN3749.jpg
シベリア、凍てつく名も無き川、自然のままの流れは人間の制御は受けていない。

DSCN3750.jpg

DSCN3751.jpg
一面の雪、雪、西日が美しい・・・。

DSCN3752.jpg
シベリア・・・永遠の白、白・・・

DSCN3755.jpg
ひびが入っているのでたぶん海面じゃないかと・・・。海面は北極海?

DSCN3761.jpg
スカンジナビアだと思うんだけど・・・。

肝心の小説の方はいま先が校正中です。
まもなくUPの予定ですので、もうちょっとお待ちください。
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

33333HIT記念企画第一弾、追記と解説

 えっと、このお話、実は33333HIT記念企画第一弾なんです。
 ずいぶん長くかかりましたがようやく完成しました。

 リクエストをいただいたのは八少女夕さん、

> サキさんのキャラからは「黒磯(パパの方)」
> キーワードは「Vespa (Piaggioの)」「仮面」の二つでお願いします。

とのことでした。3つの要素、ちゃんと組み込みましたよ!

 黒磯は「絵夢の素敵な日常」の登場人物ですから必然的にこのシリーズが舞台となります。
「絵夢の素敵な日常」は華麗なる一族(?)であるヴィンデミアトリックス家のお嬢様、絵夢や彼女の周りの人々の日常を描いたお話なのですが、この作品はその絵夢の娘、エル(絵瑠)のお話ということになります。
 夕さんをメインターゲットに、いつも読んでくださっている方が楽しめるように、書いている方も楽しみながら(半分遊びながら)書いています。

 たとえば・・・、
 エルの苗字が白川であることから、絵夢が白川という人物と結婚しているとか、・・・。
 サキの設定ではすでに離婚しているのにエルは白川性のままとか・・・。
 絵夢とエルは神戸のヴィンデミアトリックス本家に身を寄せている、とか・・・。旦那はどうした?
 ヴィンデミアトリックス本家は絵夢の兄が継いでいる、とか・・・。
 黒磯(パパの方)はだいぶお年である(もちろん香澄もですが)、とか・・・。
 そして、恋のキーワードになりそうなベスパはコトリが整備して販売している、とか・・・。
 初めて読まれる方は意味不明の部分も多いと思いますが、リクエストをいただいた夕さんへのギミックですのでお許しください。

 そして、あらかじめ白状しておきますが、この作品にはベースとなったTV番組があります。気がつかれた方は寛大な心でそっとしておいてくださいネ。

更にもう一つ、ここ一ヶ月ほどあまりにも書けなかったのでこの作品を夕さんの「scriviamo! 2019 」にも出してしまおうと思います。こんなペースでは専用に書いていたら締め切りに間にあいそうもないですからね。
 兼用にするなんて夕さんに失礼かなとも思ったのですが、背に腹は変えられません。お許しください。
 でももし間に合うようならもう一つ、なんて野望は捨てていませんので、万が一完成した場合は受けていただけると嬉しいです。

 最後に次の創作について一言。
 予定しているのは33333HIT記念企画第二弾です。
 TOM‐Fさんからのリクエストで、

> 『サキさんのキャラおひとり』と、『私のキャラのひとり』で、『三つのなにかを一緒に探しだすストーリー』をお願いします。
> 三つのなにかは、なんでもかまいません。モノでなくてもいいです。

に取り掛かろうと思います。

 これ、けっこう難しいので時間をいただきますが、ちゃんと仕上げるつもりですのでTOM‐Fさん、気長にお待ちくださいね。

 読んでいただいてありがとうございました。

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PX125

scriviamo! この作品は八少女夕さんの「scriviamo! 2019」参加作品です。

「ベスパ?イタリアのスクーターの?」彼女は顔を上げて黒目がちの大きな目を見開いた。ショートにした黒髪とあいまってボーイッシュな印象だ。
「知ってるの?」隣の男は少し驚いた声を上げた。彼女がこんな反応をするとは思っていなかったようだ。風采はあまり挙がらないが誠実そうな男だった。

 駅前通を南にまっすぐ5分、信号のある小さな交差点を右に、さらに左手の細い路地の奥、隠れ家のように存在する小さな寿司屋、カウンターだけのこぢんまりとした店内は隅々まで清潔で気遣いが行き届いている。その店内の一番奥の席に2人は並んで腰掛けていた。
 男は半年ほど前、彼女の勤める研究所にやってきた。東京の大手メーカーから技術交流で派遣された若手の技術者だ。男は研究開発、彼女は広報と所属は違ったが、年齢が近いせいもあって、必然的に接する機会が多くなった。
 最初は同僚達と、ある時期からは2人だけで、あちこち出かけるようになったのは自然な流れだった。今日は何だかあらたまった様子でこの店に誘われたのだが、実は彼女はこの店を知っている。
 店は昭和初期から続く老舗で、今の店主は4代目、京都の名店で修行を積んだ料理人だ。祖母の代から3代続く付き合いで、店主とは顔なじみだったが、店に入ってすぐの目配せで知らないふりをしてくれていた。

「知ってます。スクーターですよね?ローマを舞台にした古い映画に出ていて、とっても可愛いくて印象的だった」彼女は明るく応じる。
「ローマの休日、かな?」男は遠慮気味に質問する。
「そんなタイトルだったかなぁ。カップルがスクーターで町を走り回る・・・」わかっていたけれど彼女はそんな答え方をした。
「それそれ。そのスクーター。あんなにクラシックなモデルじゃないんだけど、ベスパのスクーターを手に入れたんだ。しかもガソリンで動くやつ」
「・・・」どう反応すればいいんだろう?彼女は黙ったまま男を見つめる。
「あぁ、ごめん、つい夢中になって・・・」男は慌ててテーブルの上のグラスに手を伸ばした。
「大丈夫ですよ。乗り物は好きですから」彼女は笑顔で答えながら、たった今店主が握ってくれた握りを口に運ぶ。いつものようにネタは新鮮で酢飯の握り具合も絶妙だ。
「そう?」男は疑いの眼差しを彼女に向けた。
 彼女は幾筋かの気泡が立ち昇るグラスをそっと持ち上げ、ほんのりと琥珀を帯びた液体を口に含ぶ。
「おいしい」彼女は素直な感想を口にした。
 葡萄を原料とする酒なのに相性は抜群だ。
「よかった。僕は東京生まれだから、地元っ子の白川さんをどこへ連れて行ったらいいか迷ったんだ」
「おいしいですよ。素敵な店だし」そう言いながら彼女はちらりと店主のほうへ目をやる。店主は小さく微笑むと軽く頭を下げた。
 彼女は酒で口を湿らせてから話題を戻す。「でも、ベスパのガソリンエンジンモデルって20年以上前に無くなったでしょう?」
「詳しいね!」男は驚きの声を上げた。
「ピアッジオも大手に吸収されてそこのモビリティー部門になってるから、パーツの供給も不安だし、整備も大変そうですね」
「それが大丈夫なんだ。買った店できちんと整備してくれるんだ」
「どこの店ですか?」
「コンステレーションという古いバイクも扱うショップなんだ」彼女の問いに男は店の名前を挙げた。
「ああ、聞いたことがあります。たしか女の人が経営してる・・・」
「そうそう、若い頃からずっと整備をやっていて、とても腕が良いんだ」
「それなら安心ですね!」
「でも、驚いた!白川さんがこんなに詳しいなんて・・・」
「普段はこういう話、しないんです。思いっきり引かれますからね」
「そうかも、僕も少し引いたから・・・」
 2人は一緒に笑い、なおいっそう打ち解けた雰囲気になった。
「今度そのスクーターを見せてください」
「乗せてあげるよ」
「ローマの休日みたいに?」彼女は男を少し見上げるようにして言った。

 +++

「ご馳走様でした」店の入り口のところで待っていた彼女が頭を下げた。
「また誘ってもいいかな?」会計を済ませて出てきた男が遠慮気味に言った。
「ええ、喜んで」彼女は快活に応える。
 喜びに満たされた顔になって男は言った。「今日はタクシーで送っていくよ」
「あの・・・」彼女の顔が一瞬曇った。
「たしか山手の方だって言ってたよね?山手幹線を使えば通り道だし・・・」
 彼女は少しの間黙っていたが、やがて覚悟を決めたように「わかりました」と、小さく頷いた。
 すでにタクシーは手配されていたようで、程なく店の前に1台のタクシーが到着した。
 彼女が方面と通りの名を告げるとタクシーは走り始めた。
 JRと阪急のガードをくぐり、山手に入るとタクシーは徐々に高度を上げる。
「お客さん、この辺ですか?」運転手が声をかける。
「その信号を左へ入ってください」
「そこを右へ」
 彼女の指示で進むとやがて道は大きな門に突き当たった。
「お客さん、ここは・・・」
「あの・・・」男も不安な様子だ。
「ちょっと待ってください」彼女はバッグから携帯端末を取り出すと慣れた様子で操作した。
 音も無く大きな門扉が開いていく。
「入ってください。道なりで・・・」彼女は静かに指示した。
 運転手は驚いた様子で車を進める。
 男は黙ったまま辺りの様子をうかがっている。
 タクシーは山を登り幾つかのカーブを曲がり、大きな建物の車寄せに到着した。
「ここで結構です」彼女は冷たい声で告げた。
 車を降りると彼女は幅広い階段の前で振り返った。
「こんな立派なお屋敷のお嬢さんだったんですね」男が言った。
 彼女は小さくはにかんでから「隠すつもりはなかったんですけど、ここが私の家です」と、はっきりとした口調で話した。
「そう・・・ですか」男の困惑した様子が見て取れる。
「今日はありがとうございました」男の固い表情を見ながら彼女は別れを告げ、ゆっくりと頭を下げた。
「おやすみなさい」そして、くるりと振り向いて階段を駆け上がる。
 タクシーがゆっくりと車寄せを出る気配があったが、彼女はもう振り向かない。
「おかえりなさいませ。エル様」階段を上りきった先には老人が立っていた。全体に白くなった髪で相応の年だとわかるが、背筋をピンと伸ばしたシルエットは年齢を感じさせない。
「黒磯」彼女は老人の前で動きを止めた。
「いきなりここにお連れになるとは、冒険をされましたね」
「いい人なの。だから、それだけにいつまでも仮面を被ったままお付き合いをするのもどうかなぁって思ったの」
「だからといっていきなりこれでは・・・エル様らしいというか、驚いておられましたでしょう?」
「うん、はっきり言って、相当引かれた。もうメールも来ないと思う」
「そうでしょうか?この後どうなったのか、またこっそりとお教えください」
「わかった。黒磯にだけは教えてあげる。でも香澄には言っちゃだめだよ」
「かしこまりました」老人は静かに頭を下げた。

 +++

 土曜日、半日だけの勤務が残業になって、もう午後3時をまわっている。
 そろそろ桜も開花しようという時期なのに、今日もうららかとは程遠い曇天だった。
 坂の上に立つ研究所の門を出てバス停までの道を下り始めていたエルは、急に視界の隅が明るくなったような気がして、そちらへ顔を向けた。
 雲の隙間から陽光が漏れ、斜めになった幾筋もの光線の柱が眼下に広がる海に達している。
“天使の梯子”と呼ばれる現象だ。
 キラキラと輝く海は徐々にその面積を増し、天気が回復に向かっていることを告げている。
 ここのところ、まるでエルの心を写し取ったようにずっと曇天だった空は、彼女の気持ちを置き去りにして春への変化を開始したようだ。
 エルは暫くの間立ち止まり、その風景を眺めてから視線を元に戻した。
 思い出したように腕時計を見てため息をつく。
 そしてバスを1本諦めることにして、ゆっくりと歩き始めた。
「どうしたの?ここのところずっとそんな調子ね」後ろから追いついてきたチームの先輩が声をかけてきた。
「なんでもないです・・・」
「失恋?」並んで歩きながら先輩の声はからかうようなニュアンスを含んでいる。
「そんなんじゃないです」エルは笑顔を作る。
「何か私にできることがあったら言ってね」
「ありがとうございます。でも大丈夫です」エルはまたため息をつきそうになったがあわてて飲み込んだ。
「バスに乗らなきゃ・・・あなたは?」
 エルは小さく首を横に振った。
「じゃ、お先に」
 彼女は駆け足になって坂を下って行く。
 エルはいっそうゆっくりになって彼女との距離をあけた。
 あの出来事の後、彼からの連絡は無い。
 これまで何度か経験したことだから覚悟の上の行動だったが、やはり現実になると心に重くのしかかってくる。
『隠すのは嫌だもの・・・いつまでも仮面を被っていたって何も始まらないし・・・』
 エルはまたため息をついたが、ふと何かに気がついたように顔を上げた。
「何の音だろう?」エルは耳を澄ませる。聞き慣れない音だ。
 聞きようによっては蜂の羽音にも聞こえる少し甲高い振動音だ。
 そのノイズとも呼べる音は徐々に大きくなっていく。
 やがて坂道の下にその正体が姿を現した。
「あ・・・」エルは小さく口を開けて歩みを止めた。
 甲高い音を響かせ、白煙をたなびかせながらスクーターが坂を駆け上ってくる。
 ベスパだった。
 ベスパはエルの横を通り過ぎ急停車した。そしてユーターンして戻ってくる。
「よかった。もう帰ってしまったかと思った」彼の声だ。
「このあいだはどうもありがとうございました」エルは様子をうかがうように礼を言った。あの出来事の後、彼と顔を合わせるのは初めてだったからだ。
「とんでもない、お礼を言われるほどの事じゃないよ」彼はいつものようににこやかだ。
「でも・・・」
「それよりこれ!」彼はスクーターを左右に揺らした。
「ついに来たんですね」
「やっとね、バイクショップの店長が完璧に拘って納車が遅れたんだ」
「PX125?最後の2ストロークモデルですね。よく手に入りましたね」
「このモデルの後は排ガス規制で4ストロークになって、今は電動ばかりになったからね。でも、ほんとうによく知ってるね。」
「ちょっと調べたんですよ」エルはようやく笑顔になった。
「乗ってみるかい?」彼はキャリアに積んであったバッグからヘルメットと上着を取り出した。最初からそうするつもりでやって来たようだ。
「・・・ええ、喜んで」一瞬間を置いてからエルは答えた。
 この町に桜の開花宣言が出されたのは翌日の午前中、久しぶりに晴れ上がった青空の下でのことだった。

 おしまい・・・

追記と解説へ続く(読んでね!)


2019.01.29

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