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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

物書きエスの気まぐれプロット 北紀行(前編)

 彼女は足早に歩き続けたが、体は冷え切ったままだ。何も食べていないから、お腹の虫も鳴きっぱなしだ。
 無性に腹が立って積った雪を蹴り上げる。
 舞い上がった雪は風に流されて自分の顔にふりかかり、口の中にまで入り込んだ。可愛い顔も台無しだ。
 彼女は服の袖でそれをグイと拭うと再び歩きだす。
 正面に駅の建物が見え始めた。
 思ったとおり駅には明かりが灯っていた。

 彼女の名はユキ(雪)といった。彼女の持つプラチナの髪と白い肌は、その名の持つ印象そのままだったが、この土地の住民は民族的に黒っぽい髪の者がほとんどだから、とてもよく目立つ。たまに同じような髪色の者を見かけることはあっても、それは国境の海を越えてやって来る漁師や船員たちで、ユキのような少女はやはりとても珍しかった。
 ユキはまだ中学2年生だったが、年相応の少女っぽさの中に、どこか魔物めいた妖艶な雰囲気を持っている。だがそれはその風貌ゆえだし、本人の本質とはまた別の次元の話だった。ユキは大人たちが勝手にそんな印象を持ち、それを自分の本質に上書きするのを酷く嫌っていた。
 ユキの母親は海の向こうから国境を越えてやって来た。ユキと同じように白い肌を持っていたが、髪は赤茶色だった。父親はこの土地の出身で、髪は黒く肌の色も浅黒かったから、ユキが生まれた時にその姿に驚いてこの名前を付けたと聞いたことがある。父親と母親がどのようにして結ばれたのかについては長い物語がある様子だったが、ユキはまだ聞いたことが無い。
 その母はユキが小学4年生の時に亡くなった。こちらの土地に馴染めず、心の病気になったのが原因だった。それ以来ユキは男手一つで育てられたが、よくあるように思春期を迎えた娘と、妻を亡くした男親の関係は上手くはいっていなかった。
 昨日の夜の事だった。それはほんの些細ないさかいだったが、内容についてはもう忘れてしまった。それぐらいつまらない事だった。そのいさかいが引き金となってユキの進路へと話が進み。そして決定的にこじれたのだ。
 ユキの父親は典型的な農民であり保守的だったが、ユキはそうではなかった。2人はお互いに引っ込みがつかなくなり言い争った。
 やがてユキはふてくされて自分の部屋に籠り、父親はヤケ酒をあおり、仕事の疲れもあってグッスリと眠ってしまった。こっそりと部屋を出たユキに気がつかないほどに。自分の背中にそっと毛布を掛けられても気がつかないほどに。

 ユキの行きたかったKの町へ向かうバスはもう運行を終えていた。あと残っているのはNの町方面へ向かう最終便だけだ。毎日通学に使っているし、本数も極端に少ないので時刻表は頭に入っている。
 自暴自棄になって飛び出してきてしまったが、この格好は寒すぎた。上半身はオフホワイトのダウンジャケット、頭はフード、足元はショートブーツにハイソックスだから一応は大丈夫だ。ただお気に入りのミニスカートの下の生足が失敗だった。そこから体温が奪われ、凍えてしまいそうだ。ユキはバス停でバスが来るのを今か今かと待ち構えた。
 2つの大きなヘッドライトが近づいてくる。バスだ。誰も乗っていない。ウィンカーを点滅させ路肩に寄ってくる。ドアが開いた。運転士の顔が驚いているように見える。ユキは生き返るような気持ちで、暖房の効いた車内へのステップを上がった。

 Nの町は本当に最果てだ。正直に言って何も無い。バスのターミナルの待合室で粘ったが、暫くして鍵を閉める様子だったので目立つ前に外に出た。
 街中でも凍える寒さだ。暗い町には粉雪が舞っていて、誰も歩いてはいない。コンビニも閉まっているから何かを食べることはおろか、温まることもできない。開いている店も中学生が入れるような店は一軒も見当たらない。貯めていたお小遣いを全部持ち出したからお金には不自由はないが、中学生が1人ではホテルに泊まることもできない。交番に駆け込めばなんとかなるだろうが、それでは何のために飛び出してきたのかわからなくなる。ユキにも意地があった。
 ユキは空腹を抱えたまま町を彷徨ったあげく、風を避けるために電話ボックスに避難した。辺りを歩く人もいないので、かまうことは無い。しゃがみこんで太ももをダウンジャケットの中に抱え込む。それでも寒さと空腹は容赦なく襲ってくる。
 ユキは自分が何をしたのか、何をしようとしているのかわからなくなった。
 このまま眠ったら死んでしまうのだろうか。そんなことを考えながらウトウトしていると、内ポケットの携帯がコール音を鳴らし始めた。
 父親の名前が表示されている。時間を見ると午前3時過ぎだ。父親は仕事を始めるために午前3時には起床する。たぶん目が覚めてユキが居なくなっていることに気がついたのだろう。携帯はコールを止めない。ユキはあわてて電源を切った。
 自分が心配されていることがわかってユキは嬉しかったが、頑なな心はまだ開かない。心拍数が上がって寒さが遠のいたように思えたのは一時的なものだった。ユキは奥歯を鳴らしながら時の過ぎるのを待った。

 どれぐらい経ったのだろう、ユキは列車の音が聞こえたような気がして目を開けた。一瞬自分の部屋のベッドに居る錯覚に陥ったが、ここはやはり電話ボックスの中だ。
『幻聴?』それは早朝寝床で時折聞く列車の音だった。ユキの家から線路までは相当に離れているが、辺りが静かなこともあって、気象条件によっては聞こえてくることがあるのだ。
『列車?そう言えば・・・』ユキは考えを巡らせる。聞こえるのはいつも6時ごろだから、5時過ぎにNの町を出る列車があるはずだ。
 ユキは時計を見た。時間は午前5時になろうとしている。
『駅へ行こう。始発列車があるんだから、駅の待合はもう開いているだろう。その列車でKの町まで行けばなんとかなるかも・・・』ユキは微かな希望を得たような気になって立ち上がった。

 思ったとおり駅には明かりが灯っていた。
 二重になった入口の引き戸を開けて待合室に入ると、ストーブがゴウゴウと音を立てている。
 先客がいた。旅行者風の青年だ。ユキは彼とストーブを挟んで反対側に腰掛けると、覗き窓の中で吹き上がるオレンジ色の炎に凍える手をかざした。
 指先にしびれるような感覚が戻ってから、頭を被っていたフードを下ろす。
 一瞬彼が目を見開いたように見えたがいつものことだ。ユキは受け流すとストーブに体を寄せ、青年を観察した。
 無精ひげに覆われていて表情は読みにくいが、細面で精悍な印象だ。
 カーキ色のブルゾンを着て、ジーンズにトレッキングシューズを履いている。横に置いたリュックサックはそれほど重装備でない上に、身につけている物があか抜けているから、どこか南の方の大都会に住んでいるに違いない。
 彼はそこでどんな生活を送っているんだろう?想像は膨らみ、そこで生活している自分の姿が浮かんでくる。
 青年と目が合った。
 ユキの鼓動が早くなる。
 ユキは慌てて目を逸らし、観察を中断した。
 青年も何気ないそぶりで改札口の方へ顔を向けた。
 ユキも観察されていたようだ。どのような印象を持たれたのかユキには想像がついたが、こんなことをいちいち気にしていてはやっていられない。
「5時30分発の改札を始めま~す」駅員が改札口に立って声をあげた。
 青年が立ち上がって改札口へ向かう。
 ユキは敢えて青年には目を向けず、ストーブにかざした自分の手をじっと見つめていた。

 ホームに入ると青年はカメラをかまえ列車の撮影をしている。
 ユキは彼が後ろを向いているうちに列車に乗り込み、一番後ろの席に腰掛けた。
 間もなく地元民と思われるの乗客達が10人程乗り込んできて、車内は少し賑やかになった。
 駅員が待合室を確認してから改札を閉じると、青年も慌てた様子で乗り込んで、一番前の席に座った。
 ブザーが鳴りドアが閉じられる。
 重々しいエンジン音が響き、列車は軽やかに動き始めた。
 車内は暖房が効いていて暖かい。人心地がついたユキは激しい眠気に襲われた。だが、それに対抗するかのように空腹感も大きくなり、そのまま眠りに落ちることができない。
 このまま2時間と少しこの列車に乗っていれば、大きな町へ辿り着く。
 さっきまでは辿り着けさえすればなんとかなると考えていた。
 だがとりあえず人心地がついた今、空腹と同時にユキが感じ始めたのは絶望?『いや、違う』ユキは即座にそれを否定した。そんな悲壮感はなかったからだ。
 そう、それは絶望というよりも諦めだった。
 力不足だということは頭の中では理解していたつもりだったのに、昨夜はどうしてもやらなくちゃいけないと思ったのだ。
 だが、突発的であったにせよ行動したことによって、ユキは現実というものを赤裸々に見せつけられた。
 今の自分ではどこへも行けないし、どうにもならない。このまま無理やり進んでも破綻が待っているのは明らかだった。悔しかったが今はそれを認めざるを得ない。
 地平線のあたりが、ほんのりと明るくなり始めていた。夜明けが近づいている。
 列車は薄明かりの中を疾走し、やがて駅に停車した。
 何も無い、誰も乗らない、そして誰も降りない、うす闇に包まれた荒野の中に、小さな街灯と箱のような待合室だけがポツンとある小さな駅だ。
 決断を下すのにもう時間的余裕は無い。

 この鉄道は最果ての港町Nの町と、この地域の中核都市Kの町とを結んでいる。道路が未発達の時代は物資を輸送する唯一の手段として、町や集落が近くにあれば駅が作られ、多くの人が利用した。また厳寒期には、入植者達の生命線にもなった。
 だが、やがて産業構造が変化して人口が減少すると集落は捨てられ、道路網が発達して鉄道を利用する人がいなくなると駅の周辺には何も無くなった。
 廃止案も何度か浮上したが、国境の町への唯一の鉄路であることから辛うじて存続しているというのが現状だ。

『よし!』ユキは覚悟を決めると、席から立ち上がって通路を進んだ。一番前の席に座っている青年と一瞬だけ目が合ったが、彼は戸惑うように視線を外した。
『うん、大丈夫』ユキは自分の気持ちに整理がついている事を確認した。
 運転席の後ろに置かれている運賃箱に切符を入れ、ドアボタンを押してドアを開ける。そして粉雪の舞うホームへ降りた。プラチナの髪が風に巻かれ、スカートから突き出した白い太ももが凍えそうだ。
 車内の青年は首を伸ばすようにして辺りの様子を見渡している。
 ぼんやりと明るくなり始めているホームの向こうはずっと原野が続いていて、その遙か先は森だ。
 反対側もずっと原野で、その向こうは海だ。
 辺りには人工物は何もない。雪に埋もれていて道すらはっきりとしない。
 青年は今にも降りてきそうな勢いで腰を浮かせる。
 ユキは一瞬ドキリとしたが、ドアが閉じられると小さく安堵した。
 列車が動き始める。
 青年が腰を浮かせたままこちらを見ている。
 ユキは青年から目をそらし、あらぬ方向に視線を向けた。
 風が舞い、それにつれて雪が舞い、ユキの髪が舞う。
 列車はスピードを上げ、どんどんと遠ざかる。
 赤いテールライトが点のように小さくなってから、ユキは携帯を取り出した。
 電源を入れると何通ものメールが受信される。すべて父親からの安否確認のメールだ。着信も何度も記録されている。
 ユキは暫くの間それを眺めてから、かじかむ指で『今、U駅に着いた』とメールを入力し、父親宛に発信する。
 すぐにメール受信のコールが鳴る。父親からだ。
『すぐ迎えに行くそこにいろ』慌てて打ち込んだ様子が思い浮かぶ。ユキは安心感を覚えたが、それには悔しさも混じっている。
 ユキは待合室には入らず、そのままホームで待つことにした。
 
 15分ほど経っただろうか?意地を張ったことを後悔するほど凍えたころ、薄明の中に2つのヘッドライトが現れた。
 本来は牧草地である荒野の中の一本道を速度を上げて走ってくる。デコボコの路面に激しく揺さぶられているがお構いなした。
 やがて十字路に差し掛かり、駅の方へ方向を変えた。
 聞き覚えのあるエンジン音と、壊れそうなサスペンションの軋み音が聞こえ始めた。


2017.12.02
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

「視点を変えて書く」UPします

今夜は先日の記事「視点を変えて書く」で予告した作品をUPします。
作品のタイトルは「北紀行(前編)」です。
あれ?どの作品の視点を変えたか、わかる人にはわかってしまいましたね。
面白がって書いているうちに無駄に長くなってしまいましたので、前後編に分けます。
自己満足作品です。すみません。
後編は近日UPということで・・・。
よろしければ、下のリンクからお進みください。

北紀行(前編)
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物書きエスの気まぐれプロット 北紀行(後編)

「これって、前に読ませてもらったお話の視点を変えたバージョンだよね?」モニターから目を離したコハクが訊いた。
「久しぶりだったんだ。こんなキャラクター」エスは夢見る目をしている。
「大げさだね」コハクはエスの言葉を軽く受け流す。エスがこんな目をしている時に相槌なんか打ったらろくなことにならない。
「じっと彼女の事を考えてドキドキできる。そんなヒロインなんだ」
「ふ~ん。でもエスは白っぽい髪が好きだね」
「なんでだろうね。自分でも変だと思うけれど、変身願望というか、ウチのなってみたい憧れのキャラみたいなものなのかもしれないね。キャラとしてはマンネリだけど、このお話ではこれ以外のキャラにはならなかったんだ」
「なるほど」コハクは余計な装飾はせずに頷いた。
「本当はこの元の作品だけで完結のつもりだったの。でも書いているうちにこの子の魅力というか魔力?に取り憑かれてしまって、どうしても彼女に入り込んで世界を動き回って見たくなったの、だから・・・」
「だから?」コハクは斜めの視線をエスに送る。
「発展させてこんな物語にしてみました。どう?」
「迷惑な話ね」コハクは冷たく答えた。
「え~~!!!やっぱり?」エスの声が大きくなる。
「冗談よ。でも感想を求められてもね。私だから読めるっていうことはあるかもしれないけど・・・」コハクの声はあくまで冷静だ。
「だよね~」エスはソファーの背にもたれかかり、天井を見上げる。
「でもブログには上げるんでしょ?」
「そうするつもり・・・ほんの少しの人の目に触れるだけでもいいんだ。メモリーの中に置いていても何も始まらないからね」
「でもこの少女、元になった作品とだいぶイメージが変わったね」
「あ、さすがはコハク・・・」
「茶化すなって!」コハクはいつものようにエスをたしなめた。
「ごめん、彼女を主人公にしたら謎だけでは片付かなくなったんだ」
「ふ~ん」コハクはモニターに目を戻した。
「彼女の原型は鬼だから、そのままであれば何も設定はいらないの。単に未知の生命体なんだから」
「鬼?」コハクはモニターから顔を上げた。
「そう、彼女にはモデルがあってね。原案では人を喰らう鬼の様な存在を想定していたの」
「元の作品ではそんなイメージでも大丈夫だね」
「でもそうじゃなくって、この子が普通の人間だとしたら?」
「人間ならいろんな事に人間として整合性のある理由が必要になるね」
「あんな最果ての町、あんな不毛な荒野で、あんな容姿の少女が生活を営むにはどんな設定が必要か、最低限不自然でないようにしなくちゃ書けなかったから、ちょっと頭を捻っちゃった」
「どうせ元の作品では、鬼だからって後先考えずに書いてたんでしょ?」
「わかる?ミニスカートや生足、白い肌にグレーの瞳、それにプラチナの髪なんて不気味さを出すための設定だから、困った困った。とてもあの町を歩いているようには思えないんだもの。それになぜあの列車に乗ってたのかとか、だいたいあの格好であんな駅で降りたら普通凍死しちゃうし。氷点下15℃だからね。荒野ではもっと寒いだろうし、風もあるから体感温度も・・・」
「そんなに不自然さは感じなかったよ」コハクはエスの発言を遮った。
「よかった」エスは少しホッとした顔になった。「でも、単純な家出話になっちゃったけどね。彼女のオドロオドロしさは無くなっちゃった」
「しょうがないじゃない。彼女が主人公なんだし。それとも鬼のまま主人公にして書き直す?」
「勘弁!それをやろうと思ったこともあったんだよ。青年を取り込んでオホーツク海に浸けて凍らせるとか・・・」
「その方が面白そう」コハクは身も蓋も無いことを言った。
「でも、それだといちいち説明が必要だから物語の解説が長くなるし、ファンタジーの要素まで出てきそうだもの。なによりウチはこの子を人間として、ウチが入り込んで動き回れる現実世界の人間として書きたかったんだ。だからこっちの選択肢は取れなかったの」
「そういうことか・・・で、この続きは?」
「あは?!」エスの目は大きく見開かれた。
「考えてないの?」コハクは少し意地悪そうに口角を上げた。
 エスは小刻みに何度か頷く。
「じゃぁ、この続きをクリスマスをお題にして書いてみてよ」
「え・・・」
「ドキドキできるお気に入りのキャラなら続きが書きたいでしょう?」
「ええ・・・?」思わぬコハクの反撃にエスは言葉を失っている。
「クリスマス企画なんだから、クリスマスまでに余裕を持って発表してね」
「えええ・・・!」
「コーヒーを飲みながら、もう少し思ったことを話すわ」コハクは立ち上がってキッチンへ向かった。


2017.12.06
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北紀行(後編)をUPします

今夜は北紀行(後編)をUPします。
先日「北紀行(前編)」をUPしましたが、この(前編)も今回の(後編)も「物書きエスの気まぐれプロット」の一編です。
「北紀行(前編)」の物語は作中作と言う事になっていて、「物書きエスの気まぐれプロット」全体の主人公であるエスが書いたという設定になっています。
ですから、今回UPする後編は、その作者のエスとコハクの会話シーンになります。コハクは数少ないエスの友人であり、またエスの作品の数少ない読者でもあります。
今回はエスが書き終えた「北紀行」をコハクに見てもらって、コハクが感想を述べるというシチュエーションで展開させています。
今回このシーンを書いていてあらためて気がついたのですが、コハクは肯定的な意見を言いにくいんですよ。
コハクの感想を書きたくても、これってサキが自分の作品に対する感想なんですよね。今頃気がついたのかって言われそうですけど、自画自賛なんてとてもできません。これまで、どうやって書いていたんだろう?
あとで調べておきますが、今回はヒロインの設定の変化について、客観的に意見を述べてもらいました。エスはコハクに対してヒロインの設定に苦労した様子を話しています。
このお話しの後、コハクはコーヒーを飲みながらもう少し感想を話してくれるのですが、少しは誉めてくれていたら嬉しいんだけど・・・。

ヒロインの設定の変化については、別カテゴリーのこの作品「北鬼行」を読んでいただければわかりやすいかも・・・。
でも、ヒロインの成り立ちが全く異なるため、あえて同じシリーズには入れていません。2つの物語のヒロインはサキの中では繋がっていますが、全くの別人です。

よろしければ下のリンクからお進みください。
北紀行(後編)
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今年もお世話になりました

「じゃぁ、この続きをクリスマスをお題にして書いてみてよ」 (北紀行より コハクの台詞)

こういうのを事故突っ込みって言うんでしょうね。
北紀行(後編)」で、コハクにクリスマスをお題とする「北紀行」の続編をリクエストをさせたのですが、いざ書こうとすると予想以上に難しくて・・・。
クリスマスの時期だし、企画としてはタイムリーだし、ちょっと面白そうだし・・・なんて、軽い乗りでリクエストさせてしまったのですが、これがなかなか設定も展開も難しい。
自己突っ込みのつもりだったんだけど、これはもう事故ですよ。事故。
思わずエスにボヤかせてしまいました。

閑話休題、今年も間もなくクリスマスがやってきます。
そして年が明けますね。
今年は特に大きなイベントも無く(小さな驚きはたくさんありましたが)淡々と過ぎて行った感じでした。
新年はもう少し動けるといいなぁ、と考えています。

小説はブロ友さんのイベントに参加させていただきながら、ボチボチと短編やSSが書けたら良いなとも考えています。
できれば長編にもチャレンジしたいのですが。

そして、たぶん次の記事を書くのは新年に入ってからになると思いますので、ちょっと早いのですがご挨拶を。

本年も変なブロガーの山西左紀にお付き合いいただきましてありがとうございました。
かまってくださった皆様に感謝しています。
また、サキの自己中作品を読んでくださった方、コメントをくださった方、ありがとうございました。
来年も変わらぬお付き合いをよろしくお願い致します。

コハクのリクエストした続編は、20日か21日頃の発表になります。
エスとダイスケが仕上げを急いでいますのでお楽しみに。(大丈夫かな?)

それでは皆さま、楽しいクリスマスをお迎えください、そして良い年をお迎えください。


2017.12.18
山西 左紀(先&サキ)
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物書きエスの気まぐれプロット 北紀行(リターンズ)

 メリークリスマス!エスです。
 あ、クリスマスにはまだ早いか。
 今夜UPする作品は、以前に書いた「北紀行」の数少ない読者である友人からのリクエスト(むちゃ振りともいう)によって書いた作品です。
 クリスマスに余裕を持って発表するように言われていたのでフライング気味の発表です。
「北紀行」は、ようやくヒロインの設定に折り合いをつけて書き上げた作品だったのですが、読んでもらったとたんにリクエスト(というか課題)をもらってしまいました。
 この作品の続きを、しかもクリスマスのお題で、ということで驚きましたが、時間を動かし、主人公まで新しく作って、ようやくストーリーを成立させました。
 鬼?妖精?物の怪?から人間になったユキが、ますます人間臭くなってしまいましたが、モデルとなったキャラクターがけっこう悲壮なので、うちのユキぐらいはこうでもいいかなぁ・・・と。
 ウチはこういうユキも好きです。
 そして、ついにユキを含む既出のキャラ2人と新出の主人公にフルで名前を付けました。
「北紀行」のその後、しかもクリスマスバージョン、よろしければ読んでみてください。
 言っときますけど脱力ものです!そして思いっきり遊んじゃってます。すみません。
 でもコメントをいただけたら嬉しいです。

北紀行(リターンズ)

 電車を降りた僕は、いつものように上を見上げる。
 この駅は11番ホームまであるメガステーションなのだが、プラットホーム全体を覆うように巨大な屋根が設置されている。僕はその大きさに、ついつい目を奪われてしまうのだ。
 大概の人は当然のように自分の歩く方向を向いて寡黙に、あるいは語らいながら、あるいはスマホを覗きながら通り過ぎていく。巨大な屋根の下にはクリスマスのイルミネーションも輝いているのだが、プラットホームから見上げる者は少数派だ。今宵はクリスマスイブ、上を見上げる余裕もなく急ぐ理由もいろいろとあるのだろうが、それを考えに入れても、僕はこの巨大な構造物に無関心でいられることが信じられない。毎朝、毎晩、何度ここに降り立っても、やっぱり僕は上を見上げてしまうのだ。

『ん?』視線を屋根からホームに戻した僕は、見覚えのある顔を見たような気がしてその方向へ顔を向けた。
『須藤君?』須藤タカシ、彼は僕の勤める会社の同僚だ。少し早足でM筋口のエスカレーターの方へ向かっている。
『おかしいな』僕は首を傾げた。一昨日、彼を独身連中が対象のイブの飲み会に誘ったとき、イブは遅くまで残業になるからと言って断られたからだ。
 彼は時間を気にするように腕時計に目をやり、エスカレーターを下って行く。僕は一瞬考えてから彼を追った。エスカレーターを降り改札を抜けるとコンコースだ。乗り換えのためにH急のターミナルへ向かうものと思っていたが、彼はコンコースにあるスーパーマーケットの前で立ち止まり、壁際に立った。どうやら誰かと待ち合わせをしている風情だ。
 スーパーのガラスの仕切りにはクリスマスのデコレーションが施されている。店内からはちょっとベタだが、ホワイトクリスマスのBGMも聞こえてくる。
 僕の心にムラムラと悪戯心が、好奇心が、老婆心が、そしてたぶんこれは嫉妬心?が湧きあがってくる。僕は彼がスマホを覗き込んでいるうちに、風のように左サイドから接近した。
「須藤くん!」朗らかに声をかける。同じ歳だけど僕の方が1年だけ先輩だから、それをいいことにくん付けだ。
 思った通り顔を上げた須藤は固まってしまった。
「若槻・・・さん?」
 ようやく反応した彼に僕は容赦なくたたみかける。「今日は遅くまで残業やなかったん?」
「あ、いや、ごめん。本当はちょっと用事があって・・・」彼の目は泳いでいる。
「誰かと待ち合わせ?」僕がにこやかに尋ねると、須藤は観念した様子で「ちょっとね・・・」と言った。物凄く迷惑そうな表情が漏れ出ているが、かまうもんか。適当な嘘で僕の誘いを断った罰だ。心して受けるがいい。こいつのせいで男女比がくるってしまい、必然的に幹事である僕が浮いてしまう事になったんだから。
 たぶん僕は勝ち誇った悪魔のような表情をしていたに違いない。バックグラウンドで高笑いを入れてもらってもいいくらいだ。『アハハハハハ・・・』ざまを見ろ、僕は小さな高揚感に酔った。
 でもそれは一瞬の事だった。今度は僕に罰が下される番だった。
「タカシ」背後から澄み切った声が聞こえて、僕は振り向いた。
 たぶん2秒ぐらいの間は声を出すこともできず固まっていたと思う。
 振り向いた先には女の子が立っていた。
 ちょっと可愛めの女子・・・ぐらいだったら僕だってもう少しましな対応ができたと思う。でもそうではなかったのだ。
 振り向いた先にはプラチナブロンドの髪をオカッパにした(オカッパという表現がピッタリだ)女の子が立っていた。
『プラチナブロンドやで!プラチナ!』しかも輝く白い肌、小ぶりな薄紅色の唇と大きな灰色の瞳が少し居心地が悪そうに納まる顔、それに明るい色合いのアウターとミニスカートが良く似合っている。おまけに、その灰色の瞳で僕の方を見上げてくる。
『どうしたらええと思う?どうしたら?』
 頬に散らしたソバカスのその幼げな印象の中に、どことなく妖艶な香りがするのは、彼女のこの容姿のせいかもしれないが、とにかくよく目立つ。周りを通り過ぎる人が、露骨に視線を向けるくらいだ。
「ハ、ハロー?」『ああ、僕はなんて間抜けなんやろ。思い切り動揺が・・・』
 彼女はほんの少し頬を弛めて「こんばんは」と言った。流暢な日本語だ。そして須藤の方を向いて「こちらは?」と訊いた。
「ああ」須藤はこの一瞬で自分を立て直した。『伊達に何年も営業をやってるわけやないんや』
「紹介するわ。こちらは会社の同僚で、若槻ヤヨイさん。ユキを待っていたら偶然ここを通りかかったんや」須藤は彼女に僕を紹介した。そして僕の方を向いて「彼女は林ユキ。なんて言ったらええんかな?まぁ俺の・・・交際相手って言うのかな」と言葉を濁した。
 ユキと紹介された女の子は頬を赤くして視線を下げた。
「それから」須藤は続けた。「ユキはこんなんやけど日本人やから日本語で大丈夫やで」
 今度は僕が赤くなって俯く番だった。しかも真っ赤になって・・・。
 ユキがこちらを向いて自己紹介をした。「始めまして、林ユキといいます。よろしくお願いします」
「失礼しました。若槻ヤヨイです。こちらこそよろしくね。でもこんな可愛い子が須藤くんの傍におるやなんて、ちょっとびっくりしたわ。そんな気配は全然なかったもん。それでユキさんはどちらにお住まい?」僕はなんとか立て直そうと必死だ。
「実家は北海道です。でもいまは学校の関係で東京のSに住んでいます」
「東京!それやったら、遠恋やん?」僕は須藤の方を向いた。
「まあね。ユキは冬休みを利用してこっちに来てるんや」
「それで有給を取ってたんや。珍しい思た。で、ユキさんは須藤君のところに?」こうなったら意地悪な質問をしてやる。
「まさか、ちゃんとホテルを取ってるよ」ユキが答える前に須藤が慌てて答える様子が可笑しい。
「ふ~ん」ほぼ立ち直った僕は上目づかいに須藤を見る。「まぁ信じてあげるわ。学校の関係って、ユキさんは大学生?」
「はい、1年生です」
「1年!やったら19?」
「3月生まれなんで、まだ18歳です」ユキが遠慮がちに言った。『ひょっとして僕に気を使ってる?』
「へえ!けっこうな歳の差カップルやん。意外!須藤君、そういう趣味やったんやね」
「失礼やなぁ!そういうのはハラスメントに・・・」
『まずい、いらんこと言うてもた』僕は慌てて話題を変えた。「で、これからクリスマスデート?」
「まあね」須藤は短く答えたが、やっぱり迷惑そうな様子が見てとれる。ユキまで心配顔だ。
「そこまで野暮はせぇへんから安心し。ユキさん、2人でクリスマスイブを楽しんで」僕は時計を見ながら言った。こっちの飲み会の開催時刻が迫っている。H急東通りまではちょっと歩くから、あまりグズグズしてもいられない。
 須藤が声を落として言った。「若槻さん、この件は内密にたのみます」
「それはできない相談やね」僕は2人を見て言った。「ユキさん、こう見えても須藤くんはもてるからね。この情報はマイルドに味付けして社内に流しておきます。その方が安心でしょ」
「まいったなぁ」須藤は困ったように言ったが、ユキは笑顔になって頷いた。
「じゃぁ、こっちも宴会があるから行くわ。ユキさん、また会いましょうね」
「はい、是非」ユキは小さくお辞儀をする。
 僕は仲良さそうに並ぶ2人を残してその場を離れた。
 コンコースから外に出て横断歩道へ向かう。信号は赤だ。
 立ち止まった僕の周りに白いものが舞う。
 雪が降り始めたようだ。
「何がホワイトクリスマスや・・・」
 信号が青に変わった。
 道路を渡る人の群れに追い立てられるように、僕は歩き始めた。

2017.12.20
2017.12.23 地名表記とエンディングを変更。ストーりに変更はありません。
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。

山西 左紀

Author:山西 左紀
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