Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

「僕だけがいない街」を見た。

「僕だけがいない街」

原作:三部けい
監督:伊藤智彦
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:佐々木啓悟
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:A-1 Pictures

僕だけがいない街

 今日はアニメをご紹介しようと思います。まずネタバレに気をつけながらストーリーの紹介を・・・。

 主人公「悟」はピザの宅配のアルバイトをしながら生活している売れない漫画家です。彼は人との係わり合いを1歩引いて生活する目立たない男なんですが、自分で「リバイバル」と名付けた不思議な現象に悩まされています。
 それは何か「悪いこと」が起きる時、その事件の直前まで時間を遡ってしまう現象で、それはその「悪いこと」の原因が取り除かれるまで何度でも繰り返されるのです。
・・・まるで、誰かに「お前が防げ」と強制されているかのように。
 ここまではこのご都合主義的な設定に、これで大丈夫?面白いの?と疑心暗鬼だったサキは、この後の展開に一気に引き込まれていくことになります。

 ある日、「悪いこと」の予感に襲われた彼は、その原因を取り除くことが出来ず、何回も時間を行き来します。同行していた母親とその原因を探るうちに時間は再び流れ始めます。悟には何が原因だったかわかりませんでしたが、母親は「誘拐事件が回避された」と呟きます。
 母親は何かに感づいた様子だったのですが、その夜に殺されてしまいます。
 母親殺害の容疑をかけられた悟は逃走中「リバイバル」に襲われます。

 時間が戻った先は悟が小学生の頃、クラスメートが誘拐され殺された「連続女児誘拐殺人事件」の直前、昭和63年でした。
 悟は母親の死がこの誘拐事件に関連があると考え、母親を救うために誘拐の阻止に動き始めます。
 犯人はひとりぼっちで過ごす子(しかも女の子)を狙います。
 悟は誘拐された子を1人にする時間を無くすために、その子達に1歩踏み込んで接しようとします。
 最初の犠牲者を守ろうと近づいた悟は、彼女が家庭内暴力にさらされていることに気づきます。
 以前は誘拐直前1人で公園に佇む彼女を目撃しながら、声をかけられなかったことを後悔していた悟は、今度は積極的に誘拐阻止に向けて動き始め、その行動は同級生達や学級担任の信頼を得、児童相談所も巻き込みんで家庭内暴力の阻止にも繋がり始めます。
 悟の積極的な行動は彼の人間関係をも変え始め、殺人犯はターゲットを次々と奪われ苛立ちをつのらせる・・・。

 こんな感じのお話なんですが、青春群像としてもミステリーとしても面白いです。子供達が抱えている様々な問題の描き方がいいですね。
 軽い気持ちで、連休中の暇つぶしに何かDVDを借りてきてくれるように先に頼んでいたのですが、「たぶん気に入ると思うぞ」と借りてきてくれたのがこれです。
 DVD6枚、全12話、ちょっと長いかな?と思ったりしたのですが、一気に見てしまいました。出だしの不安を差し置いて、当たりだったと思います。
 この事件、何人も殺害されているのに、最初の世界では犯人が捕まっていて死刑が宣告されています。でもこの展開だとこの死刑囚は冤罪だということになりますし、真犯人に対してはすでに時効が成立していることになります。冤罪、家庭内暴力、いじめ、現代社会が抱える様々な問題を内包しながら物語は進んでいきます。
 実に残忍冷酷、そして緻密な誘拐殺人犯がいったい誰なのか?その猟奇的な心理状態、殺人の手口、深く掘り下げられていてリアルで、見ていて恐いです。サスペンスやスリル溢れる展開の部分もあってドキドキしちゃいます。
 本来なら誘拐されて殺されていた女の子達の境遇や環境が悟によって変えられていく様子がとても印象的でした。それにどんどん協力的になって団結していく仲間達もとても素敵な奴らです。彼らの行動がこの悲惨な事件にかかわった人々の運命をどのように変えたのか?はたして犯人は?
 実写版も見たのですが、サキ個人としてはアニメ版の方をお勧めします。
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三つの手紙


― 快紗瑠さんの「手紙」 ― (「三つの手紙」の元になった快紗瑠さんの「手紙」を読みたい方はこのリンクからお進みください)





― けいさんの「来世の自分へ」 ―


どんな形にせよ、このメッセージは間もなく自分に届くだろう。

「前世や来世の自分へのメッセージ」なんて、今や簡単にできる。

だから、来世の自分に送ってみた。

前世は歴史であり学び。

積み上げ、その上に立つのが現世。

自分は自分の現世を進む。

現れた以上、自分であるしかない。

正直今、しんどい。

切羽詰まった、酷い状況だ。

それは、手にあるAIフォンのように。

青く淡く光るスクリーンが、間もなく切れて黒くフェードアウトする。

そんなところまで来ている。

だが、ここまで自分は、まっとうに自分を貫いて生きて来た。

他の誰でもない自分だ。

だからこうして今、自分は家族や友人に囲まれ、感謝と幸せな気持ちの中で現世から身を引くことができる。

もう一度自分となるのが、今から楽しみなところだ。

そこで待ってろよ。


来世の自分へ。
現世の自分より。





― 前世の自分へ ―


 メッセージ受け取りました。

 驚きました。

 でも、正直迷惑でもあります。

 というのは現在では、前世や来世へのメッセージは非常識なものとされているからです。

 もちろんあなたからのメッセージも、歴史を改変しないように厳しい校閲を経て発信されているのでしょう。

 でも、問題はそれだけではないのです。

 来世の存在が確実になった今、人々は大きな安心感を得ることができるようになりました。

 その一方、僅かな不満だけで自分の人生をリセットする人が増え、それが大きな社会問題となってもいるのです。

 人類にとっては輪廻が実証される以前、死の闇を恐れ、天国や地獄といったお伽話を信じていた時代の方がよかったのかもしれません。

 わたしはわたしの人生を生きています。

 あなたの背負ってきた物を送られても迷惑でしかありません。

 わたしはあなたなど待っていないのです。


前世の自分へ。
現世の自分より。

2017.05.15
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400字で書いた「手紙」

蒸し暑くなってきましたね。
ここのところ創作が滞っておりましたのでちょっと無理やりにでも書いてみようということで、けいさんのところから「課題」をいただいてきました。

3月に東京で開かれたエブリスタさん主催の小説についてのトークショーで「あなたがただ一人に向けた『手紙』というものを、400字以内で書く」という「課題」を発表する時間があったそうです。
後日、その手紙を発表された方が、ご自身の『手紙』の「その後」を同じく400字以内で書いて欲しいという企画を募集され、それにけいさんがチャレンジされて、ご自身のブログとエブリスタ内で発表されています。
そして、“もしもお時間がありましたら、私の書いた「手紙」からさらに妄想展開する、なんていうのはいかがですか?”とコメントされていますので、サキも調子に乗って、そしてお言葉に甘えてチャレンジしてみることにしました。
だらだらと長い説明を付けたがるサキには「400字」と、「手紙のその後の展開」という制限は難しかったです。このコメントの方が長くなっちゃってますしね。
そんなこんなですが、なんとか形にはなったようなので、ここにUPしておきます。

まずは、オリジナルの快紗瑠さん(エブリスタ会員の作家さんで、サキにとっては雲の上の方ですね)の「手紙」。リンクを辿って読んでみてください。
つづいてけいさんの書かれたその後「来世の自分へ」。
その後に僭越ながら、サキの「前世の自分へ」を置いておきます。
だいぶレベルが違うなぁというのが正直なところですが・・・。
よろしければこの下のリンクからお進みください。

「三つの手紙」



オリジナル作品へのリンクはこちら。

「快紗瑠さんの手紙」

「けいさんの来世の自分へ」

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アンジェリーナ (Angelina)

「・・・」その子はあたしの名前を呼んだが、声はもうほとんど聞き取ることができなかった。
「レティナ・・・」あたしはその子の亜麻色の髪をそっと撫でながら名前を呼んだが、もう聞こえてはいないだろう。呼吸はどんどん浅くなり、肺から出入りする空気はもうほとんど無くなった。レティナはこの監房の闇に飲み込まれ、もう明るい所へは出ることはできないのだ。
 どうしてこんなことになったんだ。
 あたしは忸怩たる思いで自分をなじった。
 
 2年前の事だ。あたしは特級時空管理者として強大な能力と権力を与えられ、この時代の管理の任に当たっていた。
 時代は風雲急を告げており、早急な、しかも強力な安定化策が必要だった。
 あたしは時空を円滑に運営するためには、一刻も早くあの独裁者を排除する必要があると判断し、それを実行に移そうと動き始めていた。
 だが、あたしは事を焦りすぎた。急激な時空の改変は空間そのものを破壊してしまう。あたしはその独裁者が時空に与えていた歪みを過小に評価しすぎていたのだ。その結果、あたしは時空間の破壊者と判定され、すべての能力と権力を奪われ、強制的にEDENに収監された。EDENの絶対的な権力者、時空間総合管理者は時空間の存在そのものを最優先にする。あたしはその絶対的な権力者の逆鱗に触れてしまったのだ。
 収監されたあたしは担当していた時空間をなんとか立て直そうと幾つかのプランを上程し、寛容な処置を願い出た。
 だが処分が覆ることは無かった。査問委員会でも言い分は認められず、ついにあたしは能力も権力も奪われた姿のまま、自分が担当していた時空に堕とされた。
 あの独裁者が生き延びたその時空では、恐れていたジェノサイドがすでに始まっていた。絶滅対象人種は移住させられ、さらに特定の場所に収容され、そして労働を通じた絶滅、すなわち収容者たちが完全に消耗し使い果たされるまでの労働を強いられていた。
 堕とされたあたしは絶滅収容所に収容された絶滅対象人種の1人の女として蘇った。EDENはあたしを抹殺するつもりなのだ。
 そしてそこで出会ったのがレティナだった。
 レティナは明るい子だった。暗い収容所の中で太陽のように輝いていた。
 毎日課せられる単純できつい労働にもめげなかった。常に希望を口にし、夢を語った。
「お母さんの作ったパンケーキ、おいしかったなぁ。あの溶けたバターとシロップ、混ぜて染み込ませるととっても美味しいんだよ」食事の量がどんどん減らされ、空腹を抱えていることが多くなっても彼女は明るく振舞った。
 だが、生存させることを前提としていない収容所での生活は徐々に彼女を蝕んでいった。
 体力が低下しても救済は一切なく、労働だけが強制的に与えられた。彼女の顔からは笑顔が消え、やがて希望も夢も語られなくなった。
 衰弱が進むとあたしが支えながらカバーしたが、看守の目があるのでおおっぴらに庇うこともできない。彼女の体力は使い果たされ、そしてついにその時がやって来た・・・。

 あたしはもう一度レティナの亜麻色の髪をそっと撫で、柔らかかった頬に触れた。その肌は荒れ、弾力は失われていた。呼吸は今にも止まりそうに弱々しい。
 命の重みに差はないという。
 それはある意味では真実なのだろう。だが、立場によって見方によってその重みは様々であり、刻々と変化するというのが現実だ。
 普通人は自分の命を最も重いものと考える。
 そして国家の中枢を握った者は、多くの命を支えていると考えられる国家、或いはそれを動かしている自分自身の存在を優先し、個別の命には優先順位を付ける。まず国家の末端部分にある命までは考慮しない。
 そしてそれは時空間総合管理者の場合でも同じ事が言えるだろう。
 わたしはあの独裁者を排除しようとしていた。彼が着々とジェノサイドの計画を進めていたからだ。わたしは末端部分にあるたくさんの命を救おうとしたのだ。
 だがきっと時空間総合管理者は予想していたのだ。あの独裁者を排除してしまうと時空の歪みがさらに増し、さらなる凶悪な独裁者が現れることを。そうなった場合の方が遙かに多くの命が奪われることを。人の欲望に限りは無く、その凶悪な独裁者を排除しても、さらに凶悪な者が現れることを。
 冷静に統計をとり、ケースごとに比較した時、あの独裁者にそのままジェノサイドを続けさせた方が失われる命は少なかったのだ。
 人類はこの惨劇に驚愕し学習し、さらなる凶悪な独裁者の登場は阻止されるのだ。
 “些末”な命への過剰なこだわり、これがあたしが収監された理由だ。
 例えばこのレティナ、目の前にこんな命が存在したら、更なる歪みの発生を防ぐためにそれを犠牲にする・・・そんな冷静な判断はあたしにはできない。あたしは時空の歪みを無視してでも全力でこの命を守るだろう。
 あたしは優しすぎる。
 あたしから管理権限を剥奪し収監したのは適切な判断だったのだ。
 あたしはレティナの髪を撫でながらそう思った。 
 だからと言ってこのままにはしない。あたしは考えを巡らせた。

 あたしは収監される直前、能力を奪われる前に新しい擬体を作っていた。
 擬体があれば体を失っても、これを入れ物として自我を保つことができるし、我々の持つ一般的な能力も使えるようになる。
 もちろん許可が無ければ違法だが、堕とされて人間になってしまえば、寿命が尽きると本当に死んでしまうのだ。背に腹は代えられない。
「これを使おう」暫くの間思案してから、あたしは決断を下した。
 命は尽きる直前に一瞬輝きを増す。あたしはその瞬間にレティナの命があたしの擬体に注ぎ込まれ、彼女が望んでいる時空に送り込まれるようにセットした。これくらいの能力はデフォルトだから、堕とされたあたしにもまだ備わっている。
 あたしはじっとレティナの顔を見つめる。
 苦痛と疲労と諦めに歪んでいたレティナの顔が緩み、穏やかなものに変化した。上手くいったようだ。

 そしてあたしを抹殺するというEDENの目論見は達成された。
 あたしは自分の擬体を失ってしまったのだから・・・。

 ホットケーキとスイーツ天使
このイラストの著作権はlimeさんに有ります。

 2017.05.25
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「アンジェリーナ (Angelina) 」を発表します。

今夜は「アンジェリーナ (Angelina) 」を発表します。
limeさんのところのイラストをイメージにした作品です。
limeさんの了承も得ずに勝手に書き始めていたのですが、かじぺたさんがこのイラストを拉致して書かれていたので、サキも拉致ってくることにしました。
limeさん、都合が悪ければお申し出ください。ただちに対処します。
実は最初ホンワカとした軽い物語を書き始めていたんですよ。
ところがかじぺたさんが書かれた作品が素敵すぎて、こっちの作品が書けくなっちゃったんです。
で、路線を変更して書いたんですが今度は重い!
でもできちゃったものはしょうがない。UPしますので、よろしければこの下のリンクからお進みください。

ホンワカストーリーの時点では「隣の天使」シリーズだったんですが、これでは「太陽風シンドローム」シリーズに変更です。

アンジェリーナ (Angelina)
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


頂き物のイラスト

アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
天使のささやき_limeさん2
limeさんのイラストをイメージにSSを書いてみました。「ダイヤモンド・ダスト」
イラストをクリックすると記事に飛びます。よろしければご覧くださいネ!
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