Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

あのサキがアルファポリス大賞に参加しています。

どんな心境の変化があったのでしょう?
サキが山西左紀として「アルファポリス」で行なわれている大賞に参加しています。
でも参加されている皆さんの豪華な作品群に紛れると、相当な場違い感と疎外感を感じています。
SF小説/ファンタジー小説が参加の対象だとは書いてはありますが、タイトルは「第9回ファンタジー小説大賞」ですからね。
まぁいいや。とりあえず置いておこう。

投票権を持っておられるかたは、
http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/576072964/ へジャンプして、左上隅の投票ボタンをポチッとやっていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。

ポール・ブリッツさんが参加されているのを応援していて、おっしゃ~!サキもいっちょ出してみるか!!!
なんて調子に乗って思ってしまったんですよ。(先は止めておけと言いましたが)
投票するためにアカウントは持っていたのですが、作品をUPするのは初めてです。なかなか段取りがわからなくて(サキは説明文を読みませんから・・・)手間取ったり、試行錯誤をくりかえしたりしましたが、なんとか上手くできたのかな?

もし読んでいただけるなら、そしてコメントをいただけたりしたら、もう飛び上がるくらい喜んでしまいます。
そういう機会が少しでも増えるかなぁと思って参加したんですから。
でもやっちゃったかなぁ・・・。
いまさら取り消すのも嫌だし。
ということで、ちょっとだけお願いして、何事もなかったように静かに退場しようっと。

あ、Debris circus の中で読まれる方はこちらへ・・・


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新世界から Scene4

Zuiki(ズイキ)

 翼の後方に有る3つの巨大な二重反転プロペラは高速で回転しているため、その姿を視認することはできない。この機体には6機の四重星型28気筒エンジンが付いているが、少なくともそのうちの3機は問題なく動作しているようだ。反対側の窓から覗くことができれば、残りの3機も確認できるはずだが、さすがにそこまでは実行できない。
 ズイキは乗客として飛行機に乗る場合、多くの時間をエンジンを監視することに費やす。今回のフライトでも、ズイキはエンジンを監視するために翼後方の窓際席を希望したが、あてがわれたのはアッパーデッキに設けられたファーストクラスの窓側席だった。ファーストクラスに乗せてもらえることはありがたかったが、席は翼よりかなり前方だったので、首をいっぱいに曲げて窓の外に見えるエンジンを監視しなければならなかった。
 ズイキは信頼する整備士によって整備され、自分自身で点検し、自分自身が操縦する機体以外は基本的に信用しない。監視することで問題が解決するとはもちろん思っていないが、それはズイキにとって習慣というよりも止めるに止められない伝統的な儀式のようなものだった。
 窓の外をじっと見ていたズイキは目線を前方に戻し、フッと溜息を洩らした。
 首の位置で綺麗に切り揃えられた髪は、卵型の頭に添って緩やかに曲線を描いている。基本的に髪の色は黒だったが、部分的に銀髪が混じっていて、その容姿に独特のアクセントを加えている。そして引き結ばれた大きめの口や、長くて少し上がった細い眉、それに合わせた様な切れ長の目、黒い瞳、小さめの鼻はそれぞれが彼女が持っている頑固さを端的に表している。たとえば初対面の人が彼女と口をきくのを躊躇してしまう。そんな面立ちだ。だが、さっきそっと溜息を洩らした瞬間の表情は、強固な装甲の僅かな隙間から漏れ出た彼女の穏やかな一面のように思われた。
 ファーストクラスには余裕があり、ズイキの隣も空席だった。彼女は通路側の席に移ると今度は通路の前方へ目をやった。ファーストクラスの座席は左右に2席づつ振り分けられ、中央が通路になっている。通路の先はアンダーデッキへの階段、その先はコックピットで、そのドアは大きく開け放たれている。ドアの中では操縦士と副操縦士が何か会話を交わしているのが見え、その手前には航空機関士の背中も見えている。
「カンザキ様」スチュワーデスが声をかけてきた。ズイキはコックピットを眺めるのを止めて顔を上げる。
「あと15分ほどで着陸態勢に入ります。なにか御用はございませんか?」
「遅れはどれくらい?」クロノグラフに目をやりながらズイキは質問した。
「申し訳ございません。予定より1時間遅れています。シンキョウ時間で15時20分の到着予定です」
「問題無い。後は特にないよ。ありがとう」ズイキは少しの笑みを見せる。
「失礼ですが・・・」スチュワーデスは一瞬言いよどんだ。
 ん?という感じでズイキは顔を上げる。
「カンザキ様はパイロットでいらっしゃいますね?」
「そうだけど、何か?」
「戦争中に新聞で何度かお見かけしたことがあったので・・・」
「人殺しとして?」ズイキは皮肉を含んだ笑みで見上げる。
「いえ・・・そんな」スチュワーデスは言葉を失う。「お気を悪くされたのならお詫びします。申し訳ありませんでした」
「いや、謝る必要は無いよ。本当のことだ。殺せば殺すほど有名になった。多分アタシが女だったから余計にだろうね。変に突っかかって申し訳ない」
「どんでもございません。こちらこそ失礼いたしました」スチュワーデスは通路を移動していった。
 エンジンの音が少し小さくなった。高度を下げ始めるのだろう。ズイキは窓の外を確認してから背もたれに頭を戻し、静かに目を閉じた。

 空港は到着する飛行機でごった返していた。ズイキの乗った飛行機は1時間遅れで着陸したものの誘導路で待機させられ、タラップが接続されるまでに遅れはさらに20分ほど広がった。乗客たちはドアが開くと同時に慌ただしく通路を進み始めた。ズイキはオーバーヘッドビンがら小さなスーツケースを降ろすと隣の席に置き、乗客たちの様子をシートに座ったままぼんやりと眺めていた。
 乗客たちがほぼ降りて行ってしまうと、前方からさっきのスチュワーデスが通路を進んできた。彼女はズイキを見て少し微笑んでからもう少し進み、やや後方の席で立ち止まった。ズイキは何となく気になってそちらに顔を向けた。
「お待たせしました」スチュワーデスは席の主に声をかけた。「さあ、降りましょうか。お迎えがお待ちですよ」
 シートの主はシートの陰になって見えなかったが、やがてスチュワーデスに促されて姿を現した。
 中学生くらいかな?ズイキにとってそれくらいの歳に見える背の高い少女だった。真っ黒な髪をハーフアップにして上の方で小さなリボンで留めている。髪は腰まで届いていて緩やかにウェーブしている。ずっと下を向いていたので表情は分からなかったが、肌の色はやや濃いめだ。飾りの少ない明るいグレーのワンピースは地味な印象を与えたが、それなりに似合っている。暫く小声で会話をかわしてから、彼女はスチュワーデスに促されて通路を進んできた。
 ズイキは少女をずっと見ていたので、彼女がふと顔を上げた瞬間目が合うことになった。大きな目と深い湖を思わせる藍色の瞳が印象的だ。ズイキはその瞳に吸い込まれるような感覚に襲われ動きを止めた。少女はそのまま前方へ歩き、アンダーデッキへの階段を下りて行った。
 ズイキは暫くの間そのままの姿勢で座っていたが、やがてゆっくりと立ち上がると降りる準備を始めた。

 入国審査は一瞬で終了した。軍人専用のブースが設けられていて、そこで軍人用の緑のパスポートを見せると、審査官はろくに顔も見ずにスタンプを押した。ズイキは予備役扱いになっていたが、書類上では軍人として扱われる。そしてその効力は絶大だった。
 入国審査を終えてバッゲッジクレームに着くと、もうすでに荷物が回り始めていた。大小さまざまなスーツケースや梱包された段ボールなどがコンベアー上を移動していく。先に降りた乗客たちはコンベアーの周りに集まり、各々の荷物が出てくるのを待っている。ズイキはコンベアをざっと見渡して自分のスーツケースを探した。ファーストクラスの荷物は真っ先に降ろされるはずだからだ。スーツケースはすぐに見つかったが、ズイキの居る場所とは反対側を回っている。ズイキはそれを目で追いながら、その視線の向こうにさっき少女が立っているのに気が付いた。ユニホーム姿の女性と並んで荷物を待っている。さっきのスチュワーデスとは違っているから、航空会社の地上スタッフと交代したのだろう。女性は笑顔で話しかけているが、少女はほとんど何の反応も示していない。
 ズイキは少女の様子を気にしながら、回ってきた自分のスーツケースを取り上げ足元に降ろした。ほぼ同時にユニホーム姿の女性もスーツケースをコンベアから下ろし、少女を伴って税関審査場の方へ歩き始めた。それに合わせたわけではなかったがズイキも2人の後を追った。
 税関審査場では一旦スーツケースを開けさせられたが、パスポートを見せた瞬間から審査官の態度が変わった。やはり軍人用のパスポートは効果てき面だ。
「けっこうです。どうぞお通りください」審査官は自らスーツケースを閉じるとにこやかに応対した。
 隣のレーンで審査を受けていた少女も特に問題はなかったようで、ズイキとほぼ同時に審査を終え並んで到着口のゲートをくぐった。少女が真横に並ぶと背の高さが際立つ。ズイキが小柄なこともあるのだが、少女の方が数センチは上回っている。細身の体はその身長を余計に高く見せ、腰まで届く黒髪が、律動的な足取りに合わせてリズミカルに揺れる。ズイキはそれを何となく良しとせず、ロープで区切られた通路のロープよりに進路を変え、歩く速度を落とした。
 少女はそのままの速度で進んでいき、やがて通路の向こうを曲がっていった。
「どこへ行くんだろう?」姿が見えなくなると、行き先を確かめてみたいという強い衝動に駆られたが、あまりにもバカげた行為に思え、それは断念した。どうしてこんなに彼女の事が気になるのか、ズイキにはまったく理解できなかった。
「カンザキさん!」声に驚いて顔を上げるとフラッシュが光った。
「シンキョウ新聞のウチヤマです」何度か見かけたことのある記者が隣にカメラマンを従えて立っている。またフラッシュが光る。ズイキは目を守るために右手をかざしながら言った。「カメラはやめて」
「すみません。オイ」ウチヤマと名乗った記者は隣のカメラマンに声をかけた。カメラマンは素直にカメラを下ろしたが、すでに目的は達したということなのだろう。
「軍を離れられるんですか?」
「どこでそんな話を?」ズイキはかざしていた右手を下ろした。
「情報源は明かせませんが、確かな筋からの情報です」
「今は何も話せない」
「否定しないということですね?」
「・・・」ズイキは無言で答える。
「終戦になったとはいえ、一触即発の状況は続いています。今の段階でエースの1人を失うことは空軍にとっても相当な痛手だと思いますが?」
「話すことはないって!それにアタシなんかに切り込んでも、得るものは何も無いよ」
「そうでもないんですよ。カンザキさん。あなたはアギナミ空戦のただ一人の生存者ですからね。しかも女性だ。それだけで空軍のアイドルと言ってもいい」
「アイドル?」ズイキの声は怒りを含む。
「すみません。言い方が悪かったかな?言い方を変えれば、空軍にとってあなたはエースパイロットであると同時に、大切なコマーシャルガールなんです。だから話題性は充分ありますよ」
「コマーシャルガール?」ズイキは思わずウチヤマを凝視した。
「あ?コマーシャルレディーの方が良かったですか?」ウチヤマはズイキの顔を覗きこんだ。小ばかにしたような表情が読み取れる。そしてズイキの顔の変化を確認してから続けた。「いずれにしろ、あなたは国家や軍のプロパガンダにとっては最適の媒体なんです」
 ズイキの感情は一瞬動きを止めたが「なんでもいいけど、もうそんな役回りはごめんだ」ついそんな台詞が口を突いた。
「ということは退役したということでよろしいんですね?退役の理由は何ですか?待遇ですか?アイドル扱いが嫌になったとか?」
「何も話せないと言ったろ!」ズイキは叩きつけるように言った。
「自分がプロパガンダに利用されることに我慢が出来なくなったんですか?」
「黙れ!」ズイキの声は大きくなり、周りに居た人々がこちらを向いた。
「ただ一人生き残ったことに負い目を感じていますか?」
「もうアタシにかまうな!」ズイキはウチヤマにクルリと背中を向けると歩き始めた。
「あ!退役に当たって何かコメントを!」ウチヤマは背中に向かって質問を投げかけたが、後は追ってこなかった。
 ズイキは背中を向けたまま歩調を速めた。


2016.09.07
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新世界からScene4の発表です

こんばんは。
今夜は、「新世界から」Scene4の発表です。
最初に謝っておきますが、サキが暴走気味になっていて、今回は(あ、今回もかな?)メカ方面の書き込みが少々ウザくなっています。
有りもしない知識で無理やり書き込んで、“先”があちこち調べまくって修正しています。サキがこういうふうにしたいとわがままを言って、“先”に書かせた部分もあります。完全にサキの自己満足なんですが、サキとしてはこの雰囲気がどうしても欲しかったんです。
本編に関係ない描写が長々と続く部分がありますが、どうかお許しください。

さて物語ですが、シーンが変わって今回はズイキの登場です。途中から登場する少女はあの子だと思われますが、まだほとんど大きな動きはありません。
先ほど触れた“ウザい書き込み”は、このズイキの人間性と雰囲気を表現したかったのでこんなことになったのですが、ほんとズイキはこんな人です。
最後に出てくるウチヤマですが、まだまだどんな動きをするのかは決めていません。自分で勝手に動くようであれば、この先重要な役割を担ってもおかしくない人物です。
どうかなぁ。

よろしければ下のリンクからどうぞ。

新世界から Scene4・Zuiki(ズイキ)
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ライブラリーの発掘

ようやく秋の気配が漂ってきました。
夜も涼しくなって過ごしやすくなっていますし、少しずつ夜長になって来ています。創作の秋がやって来たんですね。
ところがです。
サキの物語を書く速度が遅くなっています。というか、ほとんど書けていません。
色々なイベントが控えていて気もそぞろになっているのでしょうか?
サキはたくさんの創作中の作品を抱えていて、今は「新世界から」と「フォーマルハイト」をメインに書いているのですが、(放り出しているとも言う)、両方ともなんか書けていないんですよね。
ブログの更新も滞ってるので、覗いてくださる方もますます減ってきています。
そこで困ったときのライブラリー頼みということで、以前にサキが描いたイラストをご紹介しようと思います。下手くそなものですが、話題性ぐらいはあるだろう、ということで・・・。

前にも書きましたが、以前サキはイラストを描いていました。
いくら頑張っても気に入った物が書けないため今はやめてしまいましたが、友人に頼まれて物語にイラストを付けたこともあります。(今から考えるとその友人、とっても寛大な人だったんだなぁ、と思います)
たくさんあった作品はイラストを諦めた時に勢い余って処分してしまったのですが、後々あ~ぁ!ましなものだけでも残しておいたら良かったなぁ・・・と、後悔したりする事もありました。

ところがです。その友人のところにイラストが残っているのが見つかったんです。
これまでにその中から何点かを紹介させてもらってますが、今回はこれにしましょう。
「日曜日の教室」というタイトルなんですが、なぜそうなのかはよくわかりません。
お目汚しですが紹介させていただきます。

日曜日の教室
「日曜日の教室」

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フェールオーバ

 意識が戻ってくると猛烈な苦しさが襲ってくる。
 助けて・・・アタシは目を開けようとした。
 瞼の裏側でも外の世界が明るいのは分かる。
 だが、瞼はまったく動こうとしない。
 瞼でさえそうだから体の他の部分が言うことをきくはずもない。
 苦しい・・・この状況から逃れるためならもう諦めてもいいかもしれない。
 アタシは疲れ果てて、すべてを放り出す事を考えた。そう考え始めると苦しさもいく分か和らぐような気さえしてくる。

「まもなくアップロードが終わります。あと少しだ。頑張ってくれ」声が聞こえる。その頑張れはアタシに?
「いけそうか?」何がいけそうなの?
「コピー元の生体レベルは基準内です。この分ならベリファイの完了まで持ちそうです」
「それはありがたい。だがいったい何時間待たされるんだ」
「人間1人分の脳回路と神経回路の情報を全て写し取るんですよ。どれだけのデータ量があると思ってるんですか。それなりの時間が必要です」
「そんなことはわかってる。だが今回は第三世代のスキャナを使ったんだろう?もっと高速で転写が可能だと思っていた。身体スキャンとMEMSによる身体形成よりも時間がかかるとは・・・」
「格段にスキャニングの精度を上げていますがらね。人1人分のデータはさらに膨大なものになります。でもこれだけ拾えれば完璧な人格が再構成されるはずです」
「だったらいいんだが」
 なんの話をしているんだろう?アタシは朦朧とする意識の下で考えた。

「誘導シナプス経路が定着しました」別の冷静な声が告げる。
「バックアップ」事務的に答えが返ってくる。
「ホログラムの形成を確認」
「形成されたネットワークは正常です」何人いるんだろう?また別の声だ。
「バックアップ」事務的な声。
「覚醒します」冷静な声。
 沈黙・・・。そして小さなどよめき。
「ここは?」誰かの声。
「お目ざめですか?あなたのお名前は?」最初の声が尋ねる。
「×××」え!今なんて言った?
「フルネームはなんとおっしゃる?」二番目の声。
「×××・××××××」アタシの名前だ。じゃぁこれはアタシの声?
「生年月日は答えられますか?」最初の声。
「××××年×月×日」アタシ?が誕生日を答えている。そう、正解。
「ご家族はお見えか?」二番目の声。
「控室に」最初の声。
「お呼びして!確認を」
「はい」人が動く。
 ややあって誰かが入ってくる気配。
「×××!」おかあさんの声だ。アタシを呼んでいる。
「おかあさん」アタシ?の声。
「手を貸してさしあげて」
「×××!×××!よかった!」おかあさん。泣いているの?
「どうしたの?おかあさん。何が起こったの?」アタシ?の声。だけどそれを聞きたいのはアタシの方。
「事情を説明しよう。動力炉の暴走事故でね。君は大量の放射線を浴びてしまったんだ。記憶に有るかね?」
「はい、確かアタシはオイローパ号でオべリスへ向かっていて・・・途中でトラブルがあって・・・そうしたら急に世界が真っ白になって・・・」アタシ?の声。確かにアタシはオイローパ号でオべリスへ向かっていた。そして真っ白になって・・・。
「その通り。その時に君は放射線を浴びたんだ。記憶は上手く定着しているようだね」二番目の声。
「おかあさん。お嬢さんは暫くは入院して精密な観察とリハビリが必要です。このまま特別病棟へ運びます」最初の声。
「よろしくお願いします」おかあさんの声。
 もう1人のアタシ?が運び出される気配。キャスターの音。
 アタシは?アタシは朦朧とする意識の中で訴えたが、やはり体はどこも動かない。
「あの・・・先生、こっちの×××はどうなるのでしょうか?」おかあさんの声が不安げに尋ねる。こっちのって、アタシのこと?
「残念ですが、こちらの体はもう使えません。致死量を遙かに超える放射線を浴びてしまいましたからね。スキャンのために生体レベルは最低限維持されていましたがそれももう限界です。規定によって冷凍状態で保存されます」おかあさんは二番目の声の主を先生と呼んだ。この人お医者さん?
「そうですか」それだけなの?おかあさん。
「お嬢さんの医療記録を見せていただきましたが、卵子も規定量を保存されていますね」
「ええ、そのはずです」うん、ちゃんと規則通り保存したよ。
「だったら安心ですよ。あの体で問題になるのは生殖機能だけです。お嬢さんは何の不自由も無くこの先の人生を送ることができますよ。処理が間に合ってよかった」何が間に合ったの?
「ありがとうございます」ありがとうって?
「さ、お嬢さんのところへ」おかあさんと先生は部屋を出て行ったようだ。
 辺りが暗くなっていく。こういう状態を意識レベルが下がると言うんだろうか。不安でいっぱいになっていた心は諦めで満たされていく。さっき目覚めたアタシは、本当にアタシなの?もしあれが本当のアタシなら、このアタシはいったい誰?ずっとアタシはアタシのつもりでいたのに・・・。
 ますます暗くなってきた。
 もうくたくた・・・。
 そろそろお終いにしようか。
 アタシは頑張ったよ!
 だからもういいでしょ?
 

2016.09.30
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


頂き物のイラスト

アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
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