Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

自動で初音ミクが自動で喋るツール って凄い!!!

ボーカロイド スピーチ シンセサイザー "Miku Miku Talk" のデモンストレーションだそうです。
随分古い作品の上、ちょっと長いですが、とても面白かったので・・・。
凄いけれどほとんど病気だなぁ。でも、こういうの好きです。



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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

ガザミ(Gazami)

「ああ、少し前に玄関から出て行ったよ。風に当たりたんだってさ」シャウラの質問にガザミが答えた。
 ガザミというのはシャウラ達が泊まっている宿の女主人の名前だ。シャウラはワタリのばーさんが、何度か女主人をそう呼んでいるのを耳にしていた。
「ありがとう」シャウラは慌てて玄関を飛び出した。
「そんなに慌てなくても、大丈夫だよ」ガザミはシャウラの背後から声をかけ、「そこを入って行ったからね」と、玄関の先にある路地の入口を指差した。「その先は塔の登り口しかないし、どこへも行けないよ。見晴らしの良い所を聞かれたから教えたのさ」問題ない、ガザミの口調はそう告げていた。
「わかった。でも一応行ってみるよ」振り向きざまそう言うとシャウラは路地の入口を入った。
 路地を奥へ進むと、赤い煉瓦の壁に囲まれた直径20メートル程(長さや重さなどは我々の世界とは違う単位が使われているが、我々の世界の単位に換算して記載している)の円筒形の空間に出た。空間は塔の上部に向けて続いていて、その壁から突き出した太い角材が塔の上部に向けて螺旋状に連なっている。角材を踏み段にして塔の上部に登れるようになっているのだ。塔はもともとは高さ300メートルはある巨大な物だったと記録されているが現在は崩壊している。螺旋状に続く踏み段は50メートル程の高さまで続き、その上には青空が見えていた。
 シャウラは踏み段を登り始めたが、角材と角材の間が広く開いている上に、壁の反対側には手摺もない。普通に考えてツィーの様な女の子がここを登るのは恐怖が先に立って難しいだろう。だがツィーは自分の体を刀で貫くぐらいの子だ。恐れることも無く登って行ったのだろう。シャウラは自分の命に執着を持たないツィーに一抹の不安を感じていた。
 崩壊した塔の最上部は直径100メートルほどの広さがあったが、塔の構造材の赤い煉瓦が散乱し、壁や柱の残骸が林立しているので全体を見渡すことができない。シャウラはツィーを探すため、とりあえず手近にあった瓦礫の山に登って辺りを見回した。
「いた」ツィーはすぐに見つかった。塔の淵に立って、こちらに背中を向けている。街の様子を眺めているようだ。魔族の女性が着ている作務衣を買い与えたのでそれを纏っている。また銅の粒が減ったが、前の服が血まみれになってしまったのでやむを得ない。
 吹き抜ける風に金色の髪がなびく。ちゃんと食事を取り、風呂にも入るようになって、彼女の髪は輝くように美しくなった。肌も透き通るように白く艶やかになった。栄養不足で全身垢まみれだったのが嘘のようだ。
 シャウラは暫くの間その様子を眺めていたが、やがて瓦礫の山を下って彼女に近づいて行った。瓦礫の間を抜け不安定な煉瓦を踏み越えながら進んだが、足場が悪くて思うように接近できない。瓦礫の崩れる音が聞こえているはずなのに、彼女は気が付いた様子も無い。じっと街の方を見つめたままだ。
「ツィー!」シャウラはついに声をかけ足を速めた。足を置いた瓦礫が崩れて大きな音を立てた。赤い砂煙が立ち昇る。
 その時ツィーの体が一瞬浮いた。そしてスローモーションのように降下を始め、塔の淵の向こうに落ちていく。最後になびいた金色の髪が消えるのを見ながら「ツィー!!!」シャウラは大声で叫んだ。
 シャウラは瓦礫の中を全力で走った。瓦礫は崩れ赤い砂煙はいっそう激しく舞い上がる。シャウラはガラガラと激しい音を立てながら、ようやく塔の淵に辿りついた。
 だがそこは塔の淵ではなかった。ツィーが立っていた所から先は崖になってはいたが、その高さは2メートルほどだ。そして、その向こうには幅3メートルほどのテラスのようなスペースがあって、本物の塔の淵はそのテラスの先だった。テラスは漆喰で出来ているのか汚れた灰色だったが、たぶんもともとは真っ白だったのだろう。テラスの向こうは50メートルの本物の絶壁だ。
 シャウラはテラスを覗き込んだ。すぐ下に金髪の頭が見えた。
「ツィー!」全身の緊張が解けるのを感じながらシャウラは声をかけた。
 青い瞳がこちらを見上げる。そして微かに微笑んだ。
『笑うのか』シャウラはその意外な表情に驚いた。ぽつぽつと喋るようにはなっていたが、ツィーが笑うのを見るのは初めてだった。
 遅れて照れたような声が聞こえた。「驚いた?」
「驚くにきまってるだろう」シャウラは声を荒げた。
「ごめんなさい」ツィーは立ち上がってお尻の埃を払い、シャウラの方を向いた。
「ほら」シャウラが崖の上から手を差し出す。
 ツィーは黙ってシャウラの手をつかんだ。
 シャウラは一瞬かなりの抵抗を感じたが、ツィーの足がテラスを離れると羽のように軽くなり、ふわりと浮いて赤い煉瓦の上に引き上げられた。まるではまり込んでいた泥の沼から足を抜いたように・・・。

「おかえり」ツィーと並んで宿の玄関を入るとガザミが声をかけてきた。
「ただいま」ツィーが応える。
 シャウラは黙ったまま小さく会釈して通り過ぎようとしたが「お茶でもどうだい?」ガザミの声が背中越しに聞こえた。「なぁに、お茶にまで金は取らないよ」振り向いたシャウラの顔が心配そうに見えたのかガザミが付け加えた。
 ツィーがシャウラの袖を小さく数度引っ張った。ご馳走になろうよ、という意思表示らしい。
「じゃぁ」シャウラはツィーを先に立てて部屋に入った。
 部屋ではシュンシュンと薬缶が湯気を上げている。ガザミがそれを使って手早くお茶を入れ「どうぞ」とシャウラたちの前に置いた。
 ツィーはチラリとシャウラの顔を見た。そしてシャウラが頷くのを確認してから、コップを手に取って口を付けた。
「美味しいかい?ツィーちゃん」ガザミが覗き込む。
 みるみるツィーの顔が歪む。「苦い・・・」ツィーは吐き出すような仕草をしたが途中で止めて、そのままゴクリと飲み込んだ。
「アハハハ・・・体にはいいんだよ。慣れれば病みつきになるよ。なぁシャウラさん」ガザミはその様子を見て笑った。
「魔族の間でよく飲まれているグィラと呼ばれる飲み物だ。飲んでも問題ない」シャウラは解説する。
「ミルクと砂糖を入れると飲みやすくなるよ」ガザミはツィーのコップにミルクと砂糖を追加した。ツィーはおっかなびっくりそれに口を付けたが「美味しい」と言った。本当に美味しいらしく何度も口を付けている。
「シャウラさん」その様子を横目で眺めながらガザミはシャウラに声をかけた。「あんたはどれくらいここに留まる算段だい?」
「まだ決めていない。この子の状態もわからないし」
「もう大丈夫そうに見えるけどね。わたしゃ毎日決まった金が入るから居てもらった方がいいんだけどね。でもあんた、なにか目的だあるんだろ?レサトの衆がこんな所をウロウロしているなんておかしいからさ」
 シャウラは少しの間黙って考えていたが、やがて意を決して言った。「サーベイヤーを探している」行動を起こす時期だと判断したのだ。
「サーベイヤー?なんだいそれは?」シャウラも出会うまでは知らなかったが、ガザミも知らないようだ。
「ギルティアからやって来た人間、ギルティのことらしい」
「ギルティ?ギルティアからわざわざやって来るのかい?あそことは行き来できないと聞いてるよ」
「これまでに3つやって来ているらしい。僕の探しているのは4つ目だ」
「そんなに、でもどうしてあんたがそのサーベイヤーを?」
「いろいろ複雑な理由があるんだ」
「どうせ、サーベイヤーを孕ませちまったとかじゃないのかい?」後ろで声がした。シャウラが振り返るとそこにはワタリのばーさんが立っていた。
 シャウラは言葉に詰まった。ツィーもコップを置いて顔を上げた。
「図星かい?」ワタリがニヤリと笑う。「神族の奥ノ院でも魔族の大老会議でも、サーベイヤーは繁殖する前に処理するという方針では一致している。なるべく表に出ないようにな」
「そりゃまた物騒なことだね」ガザミはコップを口元に運んだ。
「だからガザミ、お前が知らなかったのも無理はない。ワシも弱みを握った長老からやっと聞き出したぐらいだからな。奴らはイノセントにギルティの血が入ることを極端に恐れている」
「大昔、イノセントにギルティの血が入った事があって、今でも時々イノセントからギルティが生まれて来るって聞いたことはあるけど・・・」
「ギルティを厳密に選別することによって、近年ようやく出産数がゼロ近くまで下がって来たんだ。ここでまた血を混ぜることはどうしても避けたいんだろう」
「それで処理というわけかい?」ガザミが訊いた。
「そうだな。魔族の場合、処理するとしたら隠密行動のきくレサトが適任だ。だからいずれにしろ接触したお前さんには追跡して処理するように命令が出ただろう。だがそんな場合でも、レサトは必ず集団で行動する。だが、お前さんはテリトリーを遠く離れて単独で行動している。それはお前さんが追放されたことを意味していて、そのことはサーベイヤーと交わりがあったことを示唆している。そうだろう?」ワタリはシャウラを見た。
「そうじゃない。ただ記憶が無いんだ。だからそうじゃないことを主張できない」シャウラは唇の端を噛んだ。
「疑いがあるのなら、同じ事だ」ワタリが断定した。
 シャウラはまた黙り込んだ。親方に正直に話すべきではなかったかもしれない。後悔の念が湧き起こってくる。アルドラの泣き顔が蘇る。
「孕ませたってどういうこと?」ツィーが唐突に口を挟んだ。
「ツィーが気にすることじゃないが、そのサーベイヤーとの間に子供が出来てしまったということだ」ワタリが言った。
「子供?どうして?」ツィーがワタリの方を見る。
「おや、気になるのかい?でもまだツィーには説明しづらいな」
「閨を共にしたということ?」ツィーは少し考えてから言った。
「おやおや!ツィーはおませさんだな」ワタリは頬を緩めた。
「そんなことはしちゃいない」シャウラは反論を試みる。
「だけど、記憶が無いんだろう?」
「僕は大怪我をしていた。だから痛み止めを飲まされて眠っていたんだ。だから・・・」
「そりやぁ。サーベイヤーに上手く運ばれたということかな?」ワタリにたたみかけられてシャウラはまた黙り込んだ。反論の余地は残されていない。
「追放されたっていうのは本当なのかい?」ガザミが訊いた。
 シャウラは力なく頷いた。
「この町でサーベイヤーに関する情報は?」シャウラはワタリとガザミを交互に見やった。
「ないねぇ」ガザミが答える。
「そりゃそうだろう。サーベイヤーもバカじゃない。その名を出せば厄介なことになるのはもう分かっているはずだ。今でもお前さんにしたように名乗っているとは思えない。まぁ、お前さんが特別だったのかのしれないが・・・」ワタリはコップを差し出してお茶を催促した。
「まいったな・・・」シャウラは頭を抱えた。
「シャウラは特別?」ツィーは不思議そうな顔をしてワタリに尋ねた。
「そうだね。閨を共にした仲だからね」ワタリはシャウラの方を見ながら笑った。
「やめてくれ」シャウラは手真似を交えて抗議する。
「だがシャウラさん」ガザミが話を変えた。「これから、そのサーベイヤーとやらを追跡しなくちゃいけないんだろう?なのに、あんたのやっていることはいまいち解せないんだけどねぇ」
「僕の・・・?」
「お前さんとツィーちゃんはどういう関係だい?」そう言いながらガザミはツィーの様子を気にした。「あぁ、本人を前に言いにくいかね?」
「マスターとスレーブの関係」ツィーはポツリとそう言ったまま、2杯目のグィラに入れられたミルクの描く模様をじっと見つめている。
「だろうね。この子は神族だろう?神族を付け狙うレサトとの組み合わせは普通だったら有り得ないからね。それにこの子を買うにはかなりの金が要ったろう?お前さんの財布は随分としけてたからね。有り金を使っちまったんじゃないのかい?それにこの子の治療にライフルまで渡しちまって」ガザミはワタリの顔を見た。ワタリはそんなことは知らないね、という風情で横を向いる。
 ガザミは話を続ける。「レサトの命でもあるライフル無しで、その子を連れて、いったいどうやってそのサーベイヤーを追跡するんだい?」
「いや、正直わからない。気が付いたらこの子を買っていたし。この子が死のうとしたのも僕のせいだし、なんとか助けてやりたかったのも僕の本心だ」
「シャウラはどこへでも好きなところへ連れて行ってやると言った。私を奴隷として使うつもりはないとも言った。だから私は自分の行きたいところへ行こうとした・・・でも今は先に延ばすように言われている」ツィーが語る。
「ツィーちゃん、あんたが気に病むことはない。みんなこの人が勝手にやったことだから」ガザミは優しくツィーの頭を撫でる。
「そうそう、みんなこの男が悪いのさ」ワタリも調子を合わせる。
「気に病んではいない」ツィーはなんでもないという様子で答える。
「フウ~」シャウラは大きく溜息をついて黙り込んでしまった。
「お前さんがそのサーベイヤーに抱く複雑な気持ちも分からんでもない」ワタリの声は少し同情を含んだ。
「複雑な気持ち?」
「お前さんの話だと、そのサーベイヤーに傷の手当てを受けたのだろう?」
「そうだ。僕と彼女は戦闘になって、僕が大怪我をして手当てを受けた。それが彼女の策略だったのか、単純に善意だったのか、僕には分からなくなっている」
「だから、どうするつもりだい?」ワタリは正面からシャウラを見つめた。
「正直、彼女に恨みを抱いているわけではないし。僕の名誉の回復なんかもどうでもいい。だからこの町に着いたときはヤケクソになっていたのかもしれない」
「だろうね。でなきゃこんな無茶、するもんかね」ガザミは納得顔だ。
「だが、追跡は続ける」
「ほう、追跡してどうする?」ワタリが訊いた。
「わからない。彼女に会ってから決める。僕が殺られるならそれも運命だ。しょうがない。とにかくもう一度会ってみたい」
「おお!それは恋なのかい?」ワタリが口を丸くした。
「シャウラは恋しているの?」そしてすぐにツィーが反応した。
「もう茶化すのは止めてくれ」さすがにシャウラは毅然とした態度を取った。
「ハハハハ・・・すまんすまん。ところでそうと決まったらお願いがある」ワタリはひとしきり笑ってから付け加えた。
「何の願いだ?」シャウラは警戒の顔をする。
「追跡の旅にワシを同行してもらいたい」
「なんだって?」
「お前さんは自分のサドルにツィーと2人で乗って行くつもりだろ?ワシもサドルを用意するからそれで同行させてくれ。足手まといにはならんはずだ」
「なんの魂胆があるんだ?」シャウラの疑念はさらに深まる。
「そんなことは心配せんでいい。あとでワシが居ってよかったと思うこともあるはずだ。それにワシはライフルも持っている。旅の間それを貸してやってもいいぞ。どうだ、いい条件だろ?」
「元々僕のライフルじゃないか」シャウラはそう呟き、暫くの間考え込んだ。「いいだろう。ライフルが使えるのはありがたい」
「それからお前さんはとりあえずの金が要るだろ?ワシが紹介してやるから、隊商の用心棒の面接を受けてみるか?用心棒だったら旅をしながら金が稼げる」
「それはありがたい。受けさせてくれ。だがツィーとあんたが一緒でも大丈夫なのか?」
「そりゃもう。その点は話をつける。あとはお前さんの腕次第だ」
「どんなふうに話を付けるんだ?」
「ワシは呪術師だから色々便利に使えるからな。どこでも雇ってもらえる。お前さんの場合は、とびきり腕のいい用心棒を雇わないか?ただし若い女房も一緒なんだが?と頼むつもりだ。ワシの紹介だから腕さえよければ雇うはずだ。女房の食事付きでな」
『女房!』シャウラはツィーの方を見た。ツィーはコップに口を付けてグィラをすすっている。
「それからガザミ、隊商を探している間にこの町での情報を集めておいてやってくれ」ワタリが指示を与える。「お前さんはサーベイヤーの特徴を覚えているんだろ?」
「ああ、覚えている」シャウラはファムの整った顔を思い出しながら言った。
「相当美人だったんじゃないのか?」ワタリはシャウラの顔を覗き込んだ。
 シャウラは自分の顔が一瞬熱くなるのを感じたが、とりあえず返事をするのはやめておいた。
「だったら目立つだろう。人相を教えておくれ。聞いておいてやるよ」ガザミが気前よく答えた。
「ガザミの情報網は正確だ。何かあればひっかかってくる」ワタリはシャウラの肩をポンと叩いた。
「何から何まで悪いな」シャウラは2人に感謝の気持ちを伝えた。
「なぁに、構わないさ。その間、宿賃はきちんと2人と1頭分払ってもらうからね」ガザミは片目をつぶった。
 早く旅立たないとケツの毛までむしられるな・・・シャウラは少し寒気を感じた。
「ニョウボウって何のこと?」ツィーがシャウラの方へ曇りの無い視線を向けた。


2016.05.06
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

ガザミ(Gazami)をUPします。

フォーマルハウト 第5話 ガザミ(Gazami)をUPします。
2年以上の空白期間を置いて、突然何の脈絡も解説も無く第3話を発表してしまい混乱をきたしましたが、今回はちゃんと前置きを入れておきます。

フォーマルハウトに抱く複雑な感情、アルドラに残りまくる未練、自分の行動への疑念、完遂できそうもない試練、すべてを投げ出してしまいたかった優柔不断のヒーロー、シャウラが何となくではありますが行動を開始します。カッコいいんだけどダメダメヒーローなんです。
行動を共にするのは怪しげな強欲呪術師のワタリばーさん、そして足手まとい以外にはなりそうもない薄幸の美少女ツィー。
さて、どうなることやら。
よろしければ下のリンクからお進みください。

フォーマルハウト 第5話 ガザミ(Gazami)
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創作者バトン やってみました。

canariaさん、夕さん、彩洋さんのところでやっておられた創作者バトンというものをやってみました。

Q1 小説、漫画などの創作媒体は何ですか、またそれを選んだ理由はありますか。

小説です。
本当はコミックやイラストが描きたかったのですが・・・思っていることを表現するためには激しく力不足でした。文章だったら力が足りたのか?と言われるとそんなことはないのですが、まだこれが一番ましだったということで・・・。

Q2 主に行っているのは一次創作ですか二次創作ですか。

一次創作です。
二次創作もそれなりに楽しそうですが、今は一次で精いっぱいです。
でもコラボの時なんかは二次創作っぽい雰囲気を味わっています。

Q3 得意なジャンルは何ですか、また苦手なジャンルは何ですか。

SF世界は大好きなのですが、得意と呼べるようなジャンルは有りません。
苦手はドキュメンタリーやドキュメンタリータッチの物かなぁ。
なんでも書いてみたいとは思いますが、引き出しに無い物は書けないです。

Q4 作品を作る際にプロットや設定資料のような物を作りますか。

ほとんど作りません。したがって後で辻褄が合わなくなって書き直したりすることがよくあります。読者の方にはご迷惑をおかけしています。
最近は反省して、書き進めているテキストの下(数行先)の部分に、最低限の設定や、向かっていきたいキラキラシーンを書き込んだりしています。テキストエディターで創作するのでこれができるんですね。
サキの場合、この先をどう展開するのか、エンディングをどうするのか、白紙の場合がほとんどです。

Q5 創作中に設定の練り直しや、文章の推敲等は行いますか。

皆さんよりたくさん練り直しや推敲をしていると思います。章や文塊ごとに読み返し、少しずつ何回も変更していきます。これのせいで物語は進みませんし、良くなっているのかというと改悪だったりしますが。

Q6 Q5を答えた方でその際に修正に気がとられて創作が先に進まなくなることはありますか。

ですからおおいにあります。

Q7 ジャンル、メディアを問わず、自分に大きな影響を与えていると思う作品はありますか。

アニメでは宮崎駿に大きな影響を受けていると思います。
「太陽の王子」から始まって「風立ちぬ」まで、短編・長編、すべて何度も見ているはずです。細かい部分まで語ることが出来るかな?ディズニーの「ファンタジア」も大好きですが、ブルーノ・ボツェットの「ネオ・ファンタジア(Allegro Non Troppo)」の方がより影響を受けているかも。
小説では星新一でしょうか。たくさん読みました。
漫画や小説はごちゃ混ぜに(そんなに多くはありませんが)目を通していますので、いろんな方の影響が入り込んでいるとは思っています。

Q8 スランプ等は経験したことがありますか、その原因は何だと思いますか。

「シスカ」を書き終えた後何も出てこなくなった時期が少しの間ありました。
たぶんそれだったのでしょうか。
まぁ、サキはアマチュアなので誰も困らないですから・・・。

Q9 自分が創作を行う際の目的や原動力はなんだと思いますか。

脳内にだけあった物を形のあるものに書き留めておきたかったから、ということでしょうか。
それに不特定の方に読んでいただける、ということが原動力だったりもします。
これはNETが無ければもっと困難でした。ありがたいです。

Q10 作った作品は公開していますか、またその方法は何ですか。

このブログだけです。家族とリアルコハク以外は、リアルサキが小説を書いているなんて誰も知らないはずですし、先とリアルコハク以外は作品を見せたこともありません。

Q11 こういった作品は好きになれない、苦手だというようなものはありますか。

プロの方の作品でもアマチュアの方の作品でも、読んでいて面白くない、気に入らないと感じる作品は、もちろん好きになれません。こういった作品というように、一括りにすることはできないですね。

Q12 あなたの作品を色にたとえると何色だと思いますか。

え~!難しいですね。黒だったらいいなと思います。しかもツヤッとした真っ黒なやつ・・・。

Q13 あなたの作品を風景にたとえるとどのような風景だと思いますか。

え~!何でこんなことを質問するのかな?(あ、バトンだからか・・・)
しいて言えば、幾重にも砂丘の連なる砂漠でしょうか。風が吹き、風紋が少しずつ動いていく感じです。

Q14 自分的には良い出来だと思う作品、真剣に作った作品が、他人からは評価を受けなかった場合はありますか。

コメントをくださる方はおおむね好意的にとらえてくださっていますが、気を使ってくださっているんだろうなと思っています。
たまたま読んでいただけても最初の数行で離れていく方がほとんどなんだろうな・・・。

Q15 Q14とは逆に自分では失敗作だと思った、手を抜いていた作品が、他人から評価された場合はありますか。

これは無いですね。失敗作や手を抜いたと思った作品をUPする事はありません。でも自分の考えと違った角度からのコメントは勉強になります。

Q16 自分の作品はどういった人に評価してほしいですか、またどのような人に見てもらいたいですか。

どなたでもコメントをいただけるだけで嬉しいです。
でも、辛口コメントはオブラートで包んでくださるとありがたいです。

Q17 科学的な根拠や、現実性の追求等、リアリティにこだわりますか。

凄~くこだわります。虚構の世界でもなるべくそれらしくしたいと考えています。
本当に存在しているように書きたい!これはサキのテーマなんでしょうか?
あ、これってサキの作品に共通するテーマなの?
キャラクターの行動も、こうなったらこうなるはずだし、こうするにはまずこうするはず・・・とか、何度も推敲してこだわります。
でもこれ、そうとうウザいんだろうなぁ・・・と思っていますが、サキの性分なので止められません。これが読んでくださる方が増えない理由だろうと思っています。

夕さんが聞いておられましたが、リアリティーを高めるための専門知識は、ほとんどNETから手に入れます。嘘にならないように注意しながら設定を決めますが、仮想世界の場合は理屈や理論まで自分で決めてしまう事もあります。サキが仮想世界を使う理由の1つはそこです。
現実世界の場合は“先”の知識も総動員します。でも本物の仕組みがちゃんと有りますので、あまり無茶を書かないようにします。

Q18 創作を始めたきっかけは何ですか、またそれはいつ頃ですか。

ついこの間です。2011年の梅雨頃からかな?「シスカ」を書き始めた時です。それまでは“小説を書く”なんて全く眼中にありませんでした。

Q19 ストーリーを前半、中半、後半に分けた場合、それぞれの場面でどういったことに注意しますか。

お作法の勉強をしたことが無いので、よく分かっていません。
好き勝手に書いていますので、起承転結とか誰か教えてください!と言いたいぐらいです。
でも必要以上に説明くさくならないようにしようとは思っています。

Q20 創作をしていてよかったことはありますか、また苦労したことや悩みはありますか。

いろんな役を演じることができるということでしょうか?
それに架空の世界や現実世界も含めて、いろんなところへ行ったつもりになれるって素敵ですよ。
でも、その世界で思うように行動できない(書けない)時は悩みますし苦労もします。

Q21 自分の作品に共通するようなテーマやキーワードはありますか。

無いですね。バラバラの思いつき作品が多いので1つ1つ違っています。はっきりとしたテーマが無いものまであります。
でもこれ、さっき書いた「本当に存在しているように」なんでしょうか?

Q22 自分の作品の気に入らないところ、改善したいところはありますか。

気に入らない所は、読んでくださる方が少ない事です。ようするに読んでいただけるだけの実力が無いということなんですけど・・・。
そして自分が物語世界で生きようとするあまり、必要以上に書き込みすぎるってところは要改善でしょうか?でもサキの頭の中で起こっている事を表現すようとするとこんな風に・・・。思い通りには行かないですね。

Q23 過去の創作で一番気に入っている作品は何ですか、またその作品のどのような点が気に入っていますか。

やっぱり「シスカ」って書かなきゃいけないんだろうな。
でも「太陽風症候群」なんか、不完全ながらも気に入ってるんですけど・・・。

Q24 その作品のキャッチコピーを考えてみてください。

タイトル自体がキャッチコピーだったりして。あ、症候群はシンドロームと読んでくださいネ。

Q25 主要登場人物の年齢や性別に傾向はありますか、また作中の人物の男女比などを気にしますか。

気は使っていますが片寄りはあると思います。
女性が多めになっているかもしれません。

Q26 未完成で投げてしまった作品はありますか、またその作品を完成できなかったのはなぜだと思いますか。

ありますあります。完結している者の方が少ないです。でもまだ諦めているわけではありません。いつかは・・・と思ってはいます。

Q27 その時の流行等を意識して作品を作りますか、またそういった作品に対してどういった考えを持っていますか。

流行は意識していないと思います。ただタイムリーなネタは使うことがあります。
流行を意識した作品に対して、特に思うところはないです。読んで面白ければOKですよ。

Q28 その時自分が熱中している物事の影響が作品に出やすいですか。

出ると思います。

Q29 自分の作品が販売されることになったとします、表紙等はどのようにしたいですか。

limeさんやユヅキさんに描いていただこうかな?
彩洋さんもおっしゃっていましたが、お付き合いのある、しかも読んでいただいている方に描いていただけるのが理想ですね。
仮定の話なので好き勝手に妄想してみました。

Q30 登場人物を作る際、どのようにして人柄やイメージを作りますか、また人物で重要視することは何ですか。

すべてサキが想像し演じます。当たり前ですね。
モデルは意識した状態では居ませんが、たぶんどこかの作品の人物や有名人が潜在的に絡んでいると思われます。

Q31 自分は登場人物を殺す方だと思いますか。登場人物を殺すことに対してどのような考えを持っていますか。

基本的には殺しません。でも一端覚悟を決めると思い切って、非情に殺してしまいます。こうなってしまうと情け容赦はありません。
キタハラやクウやアルフェラはそんなサキの犠牲者です。スピカは老衰ですからちょっと違います。

Q32 暴力やグロテスクな表現、性描写に対してどのようなスタンスを持っていますか、また自分は使用しますか。

サキとしては書いてみたい気持ちはおおいにあります。でも経験値が足りませんから、勢い想像で書いていくことになって、リアリティーの不足を感じています。
R18とかには全くこだわりませんが、経験値の不足によって自然とそこまでの露骨な表現にはなっていないと思います。“先”の検閲も入りますから・・・。
人間って不完全なものですから、こういうシーンを排除するつもりはありませんが、毎回冒険になります。

Q33 日常的(食事風景等)な描写に対してどのような価値観を持っていますか、また自分は使用しますか。

食事シーンは大好きです。食べると言うことは生物にとって必須ですから、こういうシーン無しに日常を描くことは出来ないと思っています。
細かい作法やメニューなども、キャラクターの人となりを表すのにとても有効だと思いますから、書くことに意義があると思います。
それに食事シーンは書いていて楽しいですからね。
何でも無い日常のシーンなども、リアリティーがあれば同じように有効だと思います。一生懸命描写しますが上手に書けているでしょうか?

Q34 作品の評価ポイントはどこにあると思いますか、他人の作品を見る際はどのような点に注目して見ていますか。

ワクワク読み進めることが出来るかどうか・・・でしょうか?
でも一瞬で判断しないようにしています。暫く読み進めてから判断します。
最初理解が進まなくても、読み進めると面白くなってくることがあるからです。
一瞬で引き込まれる物語・・・なんてプロの方の作品でもあまりありませんから。

Q35 意図的であるなしにかかわらず作中で多用する表現、台詞、描写などはありますか。

あります。ボキャブラリーが無いですから、同じ表現になっているのに気づいても、他の表現を思いつけず、そのままになっていることもあります。表現力が欲しいです。

Q36 登場人物と自分とを切り離して考えていますか、性格や思考などが登場人物に出やすいことはありますか。

canariaさんへのコメントから抜粋です。
全く自分と違った性格の登場人物に入り込み、真に迫った演技をすることができるということ。それがすなわち質問にあった登場人物と作者が切り離されているという意味なのなら、サキの演技はまだまだです。したがってやっぱり切り離されていないということになるのでしょう。

でも「投影派」と「絶対に投影させたくない派」で考えると、自分自身は絶対に投影させたくないですね。

Q37 他の創作を行っている人に対して聞いてみたいことはありますか。

う~ん。どうでしょう?
Q38の、あなたにとって創作とは何ですか?ですね。サキが後ろ向きなだけに興味があります。

Q38 今後はどのように創作と関わっていきたいと思いますか、あなたにとって創作とは何ですか。

書く事が出来ている間は、少しずつでも書いていきます。書けなくなったら脳内だけの創造(想像)になると思いますが、それが続いているうちは大丈夫と思います。

現実からの逃避空間、でしょうか?
後ろ向きなようですが、これが本当のところです。

Q39 おつきあいくださり有り難うございました。バトンを回したい方がいましたらあげてください。

長かったです~。やっぱりこんな記事を書いていると創作が全然進んでいません。
3日もかかってしまいました。どうしよう。
ここまでおつきあい下さった方々、ありがとうございました。
どなたでも構いません。やりたい方がいらっしゃいましたら、やってみてください。大変ですよ~。
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22222HITですね!

22222HITが近づいてきました。
この辺境ブログを訪れてくださっている皆様、お付き合いいただいているブロ友の皆様、ありがとうございます。感謝を申し上げます。
次回のイベントは30000HITを予定していたのですが、同じ数字がが5つも並ぶなんてこと滅多に起こらないなぁ・・・などと考えているうちに、イベントを企画しておこうということになりました。
2が並んでいる企画なのですが、いつもと同じように3人の方のリクエストを承ろうとおもいます。アクセスカウンターが22222になった瞬間からこの記事のコメント欄に書き込まれた順に、3人の方のリクエストが揃うまで受け付けます。訪問順は関係ありません。22222になった瞬間から書き込みが早い順です。サキのキャラクターのリクエスト1人(今回は女性に限定しません)と、お題を1つ書き込んでください。それを使ってSSか何かを書いてみますが、リクエストキャラが主人公になるとは限りません。ご容赦ください。
申込期限はサキが諦めるまでです。サキのキャラなんて知らないよ、という方はお題だけでも、あるいはキャラだけでも結構です。お気軽にリクエストをください。リクエスト無しなんて寂しいですから、よろしくお願いします。
サキに構ってやってくださいネ。

いつも代わり映えのしない企画ですみません。あまり大胆な企画だと、本当に企画倒れしてしまいそうなんですもの・・・。

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リクエストありがとうございました。

いつも Debris circus を訪れてくださってありがとうございます。ゆっくりとですが22222HITをいただきました。ようやくという感じもしますが、サキらしいペースかなとも思います。
そして22222HIT企画へのリクエスト、ありがとうございました。
無事お三方からリクエストがありまして受付は終了です。
やれやれホッとしています。いつもこういうイベントを企画すると、リクエストをいただけるのだろうか・・・と不安になるのですが、今回もなんとか構っていただけたのかな、嬉しいことです。

さて、リクエストですが、まずlimeさんから、オリキャラは「シスカ」そしてお題は「思わず顔を赤らめちゃった事」でした。
これは思わぬ難題です。コメントでも書きましたが、シスカって顔を赤らめる設定は無いんです。彼女はそういうふうに作られていません。想定外です。
そうですよね、あの無愛想なシスカですから作り出したサキでさえあの子が顔を赤らめるシーン、ちょっと想像できないんです。精々はにかむぐらいです。
リクエストをいただいてから一生懸命頭を絞っているのですが・・・今のところ出てきていません。どうしようかな、最初から躓きまくりです。
でも、こういうのも楽しいことです。
limeさんリクエストありがとうございました。

でもシスカをご存じの皆さん、シスカが顔を赤らめるシチュエーション、何か思いつきませんか?

お二方目は、TOM-Fさんから、オリキャラは「アルマク」そしてお題は「おしとやか」です。
これもコメントで書きましたが、アルマクにおしとやかモードは無いんです。彼女もそういうふうに作られていません。やっぱり想定外です。
アルマクがおしとやかにしているなんて考えられません。物心ついた時は、もう荒くれ者がいっぱいのアスタリスクの養成所(幼年クラス)に居ましたからね。「オレ」という一人称からわかるように、もうおしとやかには縁遠い環境で育っています。難題だなぁと思っていますが、今はシスカで手一杯です。第1弾が出来てから考えよう~っと・・・。

そしてお三方目は大海彩洋さんから、オリキャラは「ミク」そしてお題は「探し物」です。
この「ミク」の絡むシリーズは、これまで八少女夕さんとのコラボで交互に展開を進めながら来ているのです。そしてそのシリーズに彩洋さんも間接的にコラボされています。
実は、サキの構想の中でミクシリーズの続編は、夕さんの方で書いてくださるかも(ジョゼとのドライブシーン?)・・・とか、ひょっとして彩洋さんが・・・とか、他人任せモードになっていました。でもここでリクエストをいただいたからには書かねばなりません。
「探し物」かぁ。意味深だなぁ。
シリーズの進行から離れる可能性も有りますが、頑張って書いてみようと思います。

暫くの間は、今書いているシリーズからは離れて、この3つのリクエストにかかり切りになると思います。(今書き進めている作品は発表する可能性がありますが)「新世界から」や「フォーマルハウト」のシリーズは止まってしまいますがお許しください。
ストーリーを考え始めると、ワクワクとドキドキが交互にやってくる不思議な状態です。
とりあえず精一杯頑張るぞ!!!
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

物書きエスの気まぐれプロット(23) エスはしゃぎまくる

エスはしゃぎまくる

 朝食を食べながらエスのお喋りは止まらない。
 テーブルに置かれたお弁当箱風の入れ物の中はいくつかの区画に区切られていて、それぞれには京野菜や魚、肉などを巧みに調理したいわゆる“おばんざい”が彩りよく盛られている。
 エスは1つ1つの“おばんざい”を少しずつ口に運び、それぞれについて細かな感想を口にした。
 ケイはそんなエスの様子を眺めながら、昨日からの行動をさらっていた。

 *

 早めに朝食をすませて出発したので、朝10時過ぎには京都駅に着くことができた。南口からホテルの送迎バスを利用してホテルへ。そしてフロントに荷物を預けると徒歩で最初の目的地、美術館へ向かった。青空のもと心地よい春風の中、蹴上坂を下るエスはずっとはしゃいでいる。思い切って連れ出して良かった。この分なら・・・そう思い始めていたケイは、待て待てもう少し、と自分を戒めた。
 今日2人が京都までやって来たのは、まずモネ展を鑑賞するためだった。展覧会にはいくつかの『睡蓮』が来日している。ケイが30年ほど前に同じ京都で見た『モネ展』ほどの数は展示されていないものの、久しぶりに本物の『睡蓮』眺める良い機会だと思ってエスを誘ったのだ。若かりし頃その展覧会でダイスケと見た巨大な『睡蓮』の数々は強烈な印象をケイの心に残していた。さらに展覧会場の階段の踊り場にドカンと掲げられた『ラ・ジャポネーズ』にも大きなインパクトを受けたのだが、今回は来日していない。
 そしてもう一つの目的、こちらの方がずっと大きかったが、それはエスの体調確認と予行演習だった。エスに旅行の許可は出ていて、実際家族旅行も実施済なのだが、次はもう少し遠くへ行きたいと言い出したのだ。しかも友人と2人でだ。その友人はエスの事をよく分かった信頼のおける人物だったし、行けるうちに行っておきたい、と強硬に主張するエスの意見を、ケイたちは無下にできなかった。それならば、ともう一度予行演習を行うことになったのだ。

DSCN1709.jpg

 午前中いっぱいと午後の少しの時間を使って鑑賞を終えた2人はそのまま動物園の横を水路沿いに東へ進み『南禅寺』『水路閣』を回ってから『哲学の道』へ向かう途中で少し遅い昼食を済ませた。疎水沿いは八重桜が満開で、エスは満開の木に差し掛かるたびに咲き誇る花を見上げて歓声を上げた。そして道沿いに生息する猫たちにそっと手を触れた。猫たちは慣れた風に背中や頭を撫ぜさせていたが、やがてツィとエスの元を離れ、自分の生活に戻って行った。エスは猫が去っても、背中を撫でていた手をそのままにして、猫の後姿を見つめていた。

DSCN1714.jpg

 2人はベンチで休憩を取りながらゆっくりと歩き、やがて『銀閣寺』に辿りついた。門前にある茶屋で抹茶アイスを頬張って火照る体を冷まし、門から銀閣寺垣を抜けて庭園に入る。銀閣寺垣では「素敵」を連発していたエスは庭園に入ると静かになった。
「まさか銀色じゃない、とか言うんじゃないでしょうね?」ケイが冗談を飛ばすと「違うよ!」エスは大げさに顔を左右に振った。「もともとは、何色だったのかなと思ったの」
「もともとは銀色だったのよ」ケイは真面目な顔をして言った。
「え?ほんとうに!」エスの目がいっそう大きくなる。
 ケイはその様子を見て朗らかに笑った。
「もう!」エスはからかわれたことに気が付いて、頬を大きく膨らませた。
 池を回り込むと向月台が見えてくる。エスは向月台には“美味しそう”という感想を持ったようだ。どう?と聞いても笑って答えなかったからたぶんそうだ。

DSCN1721.jpg

 庭を巡ってから売店へ入ってお土産を物色する。抹茶を飲みたいというエスのリクエストでお茶券を買って屋外の赤い毛氈の上に席を取ったら、なんと、創建当時の銀閣のモックアップが置かれていた。「こんな色だったんだ」エスは右に左に交互に首を動かしている。空想の中でモックアップの色を実物と重ねているに違いない。わかりやすい子、ケイは改めてそう思った。
 抹茶をいただく時に落雁をお茶に浸したのには驚いたけれど・・・。

 銀閣を後にして銀閣寺道まで出ると、ケイはタクシーを拾った。ずいぶん歩いたし、早めにチェックインしてゆっくりしよう、あまり無理をさせない方がいい、ケイはそう判断した。
 だがチェックインを済ませた後もエスの勢いは止まらなかった。ホテルの庭を見たいと言い出したのだ。このホテルには別館と本館に有名な日本庭園がある。ホームページに掲載されていたので、エスの目にも留まったのだろう。
 館内ガイドで場所を確認し、建物を出て緩やかな坂を登ると、やがて数寄屋風の別館が見えてきた。
 坂の少し先を外国人の老夫婦と、彼等を案内しているボーイが歩いている。ケイはゆっくり歩く老夫婦を追い越そうとしたが、その時夫婦がイタリア語を話している事に気が付いた。ボーイは英語で話しかけ、夫の方も英語で応じているが、夫婦間ではイタリア語を使っているのだ。夫人の方が英語を使えないのかな?ケイはそう考えながらエスを見ると、エスも『だよね!』という顔をしているから同じことを思っているのだろう。
 ケイとエスは老夫婦たちより先に別館の入口にたどり着いた。ボーイが追い付いてきたのでケイは「中の庭を見せてもらってかまいませんか?」と聞いた。
「はい、どうぞ、ご覧になってください」アクセントに微妙なものを感じたケイはボーイの名札をちらりと見た。カタカナの名前が書かれている。『あら、この名前はタイの人かしら』、日本も国際的になったものだとケイは感心した。
「こんにちは、どちらからお越しですか?」後ろにいる老夫婦にエスが声をかけた。もちろんイタリア語でだ。ケイの母親(エスにとっては祖母に当たる)がイタリア人である関係でケイもエスもイタリア語が使える。どちらかと言えば意識して学習したエスの方が堪能だが、ケイも日常会話なら支障はない。
 夫婦は一瞬驚いて顔を見合わせていたが、「こんにちは、お嬢さん、あなたイタリア語が喋れるのね」夫人が嬉しそうに答えた。
「久しぶりにまともなイタリア語を聞いたよ。お嬢ちゃん」夫の方も笑顔を向ける。「ワシらはトリノからやってきたんだよ」
「ようこそ京都へ。日本スタイルの部屋に泊まるんですか?」
「そうそう、フトンやタタミ、楽しみにしていたのよ」夫人が片目をつぶる。
 ボーイに案内されて4人は門をくぐった。
 門の先には白砂敷きの中庭を囲むように数寄屋風の客棟が建っている。右手は岩山を取り込んだ滝のある日本庭園だ。

DSCN1734.jpg

DSCN1732.jpg

 少しの間庭を楽しんでからケイとエスは、イタリア語で話しかけてくれたお礼だと、老夫婦の部屋へ招待された。エスは大喜びで客室を隅々まで見学しハイテンションになった。そして1人でいっぱい喋った。
 部屋を辞する時にケイが流暢なイタリア語で礼を述べると「あんたもイタリア語を喋るのかね」と驚かれたぐらいだ。
 そしてホテルにもう一つある回遊式庭園を散策して部屋に戻った頃には、もう夕食の時間が迫っていた。
 夕食はホテルのレストランで京野菜や丹波牛を使ったフランス料理のコースがセットされている。場所や料理の選択に気を使わないで夕食を楽しむことができるようにとの選択だった。
「お腹すいた~」とエスが出てくる料理を残さず口に運ぶ様子を見ながら、ケイは嬉しかった。けれど、今は気が張っているから元気だけど、明日になってどうなるかだわね・・・エスは少し用心をして気を引き締めたが、それはいらぬ心配だったようだ。

 *

 エスは茶碗を空にすると、小さなお櫃に入れられたゴハンをおかわりした。まだ食べるつもりのようだ。“おばんざい”はすでにみんな食べてしまったので、味付けのりをご飯に載せて食べている。それも食べてしまうと湯飲みに手を伸ばしてお茶のおかわりを要求した。そしてお茶を注ぎに来たウェイトレスに窓から見える東山の風景について訊いている。
「お待ちください」ウェイトレスは窓の風景の写真が入った解説用の小さなパンフレットを持ってきてくれた。「これをお使いください」
「ありがとう。あ!凄い凄い。これ、親切だね!」エスは解説をみながら窓の外の風景を眺め始めた。インクラインから南禅寺、平安神宮、美術館、遠くは東山、比叡山・・・京都のパノラマが拡がっている。
 エスのおしゃべりは果てしなく続く。
「今日の予定だけど!」ケイは言葉を被せた。エスは喋りを中断してケイを見つめる。
「まずチェックアウトしてから歩いて美術館、そこでルノワール展をまず観るの。いい?」美術館ではモネ展と同時開催でルノワール展も開催されている。
「うん。もちろん。その予定だったし」エスが頷いた。
「それからバスで清水寺へ行かない?」

DSCN1743.jpg

「うん、賛成。三年坂と茶碗坂も歩いてみたい」
「そうね、それで帰りましょう。そこからバスで京都駅へ・・・」
「待って!錦市場も行ってみたいな。お願い」
「時間があったらね。あまり欲張らないようにしましょう」
「わかった」エスは残念そうに頷いた。
 ケイはその様子を見ながら、コハクちゃんとの旅行も許可しても良いかもしれないと考えていた。
「かーさん」エスがケイを見上げた。
「なに?」
「行き先だけど」
「なにの?」
「コハクとの旅行、バーチャンのところに、イタリアに行ってみたい」
「え?」ケイにとって海外は全くの予想外だった。しかも自分の母親の里へ行きたいと言っているのだ。そんなことを考えていたの・・・驚きと同時に喜びの気持ちも沸き上がる。
「いいでしょ!!!」エスの大きな目が覗き込んできた。


2016.05.26
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エスはしゃぎまくる!!

 今夜は「物書きエスの気まぐれプロット」の発表です。
 22222HIT企画のリクエスト作品を受け付ける以前から書いていた作品ですので、こちらを先に発表してしまいます。リクエストをいただいた方々には申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください・・・ってまだ全然書いてないんですけど、すみません。作品内の季節にもズレが生じてきていますのでこちらを優先させていただきます。

 この作品は4月中旬、サキが“お出かけ”をしたことの報告も兼ねて、撮ってきた写真と一緒に紀行文風の記事にしようと書き始めたものだったのですが、書いていくうちに自分の行動として書きづらくなってしまいました。
 でもここまで書いて没にしてしまうのも惜しかったので、実際のサキの行動旅程ををエスの行動に置き換え、感情もエスのキャラクターで表現して「物書きエスの気まぐれプロット」シリーズの1つとして書き上げることにしたのです。 
 サキの分身であるエスを主人公に据えてエスの物語とすることで、ずいぶん書きやすくなりました。整合性を考えずに自由に伸び伸び行動できますからね。
 先日のバトンでキャラクターに自分を反映させたくないとか宣言していますが、このエスはちょっと例外なのかなぁ。エスはサキとは性格も外観も異なっているので、もちろんサキ自身ではありません。でもこのキャラクターはサキを反映していると言えるかもしれません。

 そのようなわけで奇妙な物語が出来上がっておりますが、サキが誰と何処へ何を目的で出かけてきたのかは、このお話を読んでいただければお分かりいただけると思います。

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「物書きエスの気まぐれプロット」エスはしゃぎまくる
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


頂き物のイラスト

アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
天使のささやき_limeさん2
limeさんのイラストをイメージにSSを書いてみました。「ダイヤモンド・ダスト」
イラストをクリックすると記事に飛びます。よろしければご覧くださいネ!
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