Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

月刊Stella 2015年8・9月合併号 参加者募集中です

月刊Stellaの8・9月合併号のご案内です。

Stella/s

「月刊Stella」は小説、イラスト、詩等で参加するWEB月刊誌です。上のタグをクリックすると最新号に飛びます。


サキはあまり自分のブログ以外で作品を発表する事は無いのですが、月に一度、「月刊・Stella ステルラ」という企画にだけは小説を出しています。
この企画はブロガーの、スカイさんと篠原藍樹さんが、毎月編集してくださっていたWEB月刊誌で、小説・詩・イラストなどで参加することが可能です。

編集してくださっていた・・・と過去形なのは、運営してくださっていたお二人が、暫くの間物理的な事情から定期的な発刊に関われないという状態になったためです。
せっかくの発表の場所ですし、休刊にしてしまうのも惜しいと言うことで、スカイさん、篠原藍樹さんと常連参加者で打ち合わせをした結果、当面の対策として、お二人が復帰されるまで常連参加者が持ち回りで編集発刊を担当する事になりました。これまでTOM-Fさん、八少女夕さんと担当され、今回は、このサキが当番にあたっています。作品をUPするというような形式ではなく、リンクを張るだけで簡単に参加いただけますので、ご参加いただけると嬉しいです。

月刊Stella8・9月合併号は、栗栖紗那さんのご厚意により、
【月刊Stella特設サイト】 http://monthlystella.blog.fc2.com/
にて、2015年9月8日(火)に発刊(掲載)させていただきます。

8・9月合併号掲載作品の応募締め切りは、2015年9月6日です。

参加して下さる方は、この記事のコメントに、
・ジャンル(読みきり小説・連載小説・イラスト・詩 等)
・下記の【ひな型】に必要事項を記載したもの
を書き込んでください。
この【ひな型】を利用して担当者が目次を作り【月刊Stella特設サイト】の表紙ページを編集します。

【ひな型】
<*span style="color:#333333">☆<*/span><*a href="ここに参加される作品のURLを入力してください" target="_blank" title="ここに作品名を入力してください">ここに作品名を入力してください<*/a> 
<*span style="color:#66cc00">ここに参加される作品のサイト名を入力してください  ここに参加される作品の名前を入力してください<*/span>

FC2の月刊Stellaコミュニティのトピック を利用いただいてもけっこうです。
サキのブログでは見てくださる方が少ないので、広報になるかどうかは微妙ですが一応告知しておきます。
ご参加いただけると嬉しいです。
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【初音ミク】エレクトロトレイン

今日は息抜きです。
初音ミクのエレクトロトレインをご紹介します。
サキはLat式のミクが大好きですが、このTda式ミクはまじ素敵です!!
ダンスの動きも、表情や色使いもいいですね。ちょっと気に入っています。あ、曲ももちろんですが・・・。
ぴしっとモーションを決めて。滑らかに。ミクは元気だなぁ。(当たり前ですね)
前半の黒っぽい制服風の衣装もいいですが、後半のデフォルトコスチュームはちょっと凄いです。(サキは余り好みませんが・・・)
歌詞を 海兎氏 が、PVを ブラザーP が手掛けています。



いま、オリキャラオフ会の番外の番外をボチボチと書いているのですが、発表できるのかどうか微妙になってきました。
ですから、息抜きです。
お付き合いありがとうございました。

サキ
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牧神達の午後

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牧神達の午後

 コトリの勤めるバイクショップ「コンステレーション」は、本来は仮想都市・カンデシティー郊外に存在する。しかし現実世界を舞台とする企画との整合性をとるため、この物語では神戸近郊の町を舞台として設定した。
 そのためこの物語に登場する「コンステレーション」は、神戸近郊のとある町の北の外れを東西に貫く3桁ナンバーの国道から、それをアンダーパスする産業道路へ下りていく側道に面して存在している。
 二階建ての古い建物の一階部分にあるその店は、大きなベニヤ板の手書きの看板を掲げた以外は何の装飾も無く、倉庫のような内装のままの店内に大型バイクばかりを並べた一風変わった作りだ。

 8月初旬のとある午後、抜けるように青い空からは刺すような日差しが降りそそぐ。空気はうだるように暑く、期待の夕立は今日もやって来そうに無い。店の中に人影は無く、前を走る国道の自動車のノイズだけが聞こえている。
 人間は恒常的なノイズをいつまでも意識の上に残すことができない。それはやがて意識の上で、静寂と同等に解釈されていく。
 その静寂の中、甲高いツーストロークエンジンの音が聞こえ始めた。ケッチンの運転する大型バイク、マッハⅢが国道を飛ばして来ているのだ。バイクは白煙の尾を引きながら国道を外れると、側道を下って歩道に乗り上げ、コンステレーションの前の駐車スペースに停車した。来客はこの場所にきちんと整列して駐車することになっている。白煙と爆音をまき散らしていた3本のマフラーはイグニッションオフと同時に沈黙した。ケッチンはヘルメットを脱ぐと、暑そうにライディングジャケットの前をはだけ、そのまま店内に入った。
 店内には国内4メーカーに混じってDUCATI、MOTO GUZZI、MV AGUSTAなど大型のバイクがずらりと並んでいる。ただし注文を受けた物以外はすべて中古品だ。かなり年式の古いものも混じっているが、これらのバイクはこの店のオーナーである親父が色々な伝(つて)を使って仕入れてきた逸品ばかりで、1台ずつ丁寧に整備して販売される。その状態の良さはビンテージバイクに乗りたいと思っているライダーの間で評判を呼び、その整備技術の高さに惹かれて新車を注文する者もあらわれ、常連客は徐々に増えていった。
 さらに付け加えれば、ここ数年メキメキと腕を上げてきた後継者が可愛い女性であったということも、それに一層の拍車をかけた。彼女はコトリというニックネームで呼ばれているが、その整備技術とライディングテクニックは“魔法使い”と呼ばれた親父をも凌駕する位置にまで高まりつつあった。
 ケッチンは辺りを見回した。店内には誰も居ない。
「親父さん!」ケッチンは声をかけた。
「おう!ケッチンか?すまんが、冷蔵庫からアイスコーヒーを出しといてくれ。今、手が離せないんだ」TOILETと書かれたプレートの付いたドアの内側から親父の大きな声が答えた。
 ケッチンは「はい」と答えると裏口のすぐ横にあるキッチンに入っていき、暫くしてアイスコーヒーを乗せたトレーを持って戻ってきた。そして一番奥にある大きなデーブルにセットされた長椅子に腰をかけた。
 アイスコーヒーにシロップとミルクを入れグラスに口を付けると同時に、ドアの開く音がして親父が顔を出した。小柄だがガッチリとした男だ。親父は長椅子に腰をかけると、何も入れないでアイスコーヒーのグラスに口を付けた。
「W1はどうした?最近、マッハばかりだな」親父はケッチンの2台の愛車の事を話題にした。
「コトリさんに見てもらってから、調子が良くなって乗りやすいんですよ。それにダンゴがね。マッハを贔屓にするもんだから・・・W1のことは気に入らないみたいなんです」
「ほう・・・。ダンゴはあの騒々しいじゃじゃ馬が御贔屓なのか?最初に店ににやって来たときは、どっちかっていうと、バイクに興味なんか無いように見えたが?」親父はダンゴが単身殴り込んできてコトリに突っかかった時のことを言っている。
「そうなんです。バイクに興味なんか持ってなかったんです。僕の話もつまらなそうに聞いていたし。でもコトリさんと仲良くするようになってから、ちょっと変わったかな」ケッチンはその時の詳しい顛末については分かっていない。いたって呑気にそう答えた。
 親父はケッチンの顔を見てニヤリとした。「真っすぐ走らない、曲がらない、止まらない、の3ないじゃじゃ馬だからな。コトリも難儀していたみたいだったぞ」
「そうでしょ。そこがまたいいんですよ」ケッチンが答える。
 親父の豪快な笑い声が響いたが、ケッチンはよく分からないまま愛想笑いを返した。
「ところでコトリさんから連絡はありますか?」ケッチンは思いついたように訊いた。
「おお、コトリ達は浦河で楽しくやってるみたいだぞ。お前の所には連絡は無いのか?」
「毎日ここまで走って無事、という連絡は来るんですけど。愛想が無くて・・・。もう少し詳しい状況を伝えてくれるといいんですけど」
「そうか。愛想がないか・・・」親父はまた少し頬を弛めた。「道北を回った後、知床で1泊、そして知床峠、羅臼、野付半島、摩周湖から美幌峠、そして屈斜路湖畔へ戻って1泊、それから1日で阿寒湖、オンネトーを回り、野塚トンネルを抜けて浦河まで行ったようだ。写真も送られてきているが、中学生の兄弟とか、婚前旅行中のカップルとか、奇妙な外国人の二人連れとか、面白い出会いもあったみたいだぞ」
「奇妙な外国人・・・ですか」ケッチンはそこに反応した。
「王様と伯爵だと言っていたぞ。写真を見せてやるよ」
「いえ!遠慮しておきます。かえって心配事が増えそうで・・・」ケッチンの声は弱々しい。
「ははは・・・、そうかそうか」親父はまた豪快に笑った。「だが浦河に着いたらもう安心だ。浦河では俺の知り合いが経営する牧場で泊めてもらうことになっているからな」
「知り合いって?」
「ずいぶん前だが、俺がツーリングで走り回っていた時に世話になった人で、相川長一郎という剛健で頑固な爺さんと、その頑固者を密かに尻に敷く相川奏重という婆さんだ。出会った時はまだ若かったんだが、俺も爺さんになったからな。お互い歳を取った」
「浦河では何を?」
「聞いてないのか?牧場の体験実習みたいなことをしているみたいだ。相川牧場は競走馬の飼育をやっているから、特別な体験ができるだろう」
「俺なんかすっかり置いてけぼりですよ・・・」ケッチンはついに弱音を吐いた。
「そうか、置いてけぼりか!」親父は実に楽しそうに笑った。「毎日仕事を終えてからは宴会なんだそうだ。相川の爺さんは蟒蛇だから酒好きをたくさん呼び寄せたようだな。鏡の爺さんも押しかけているしな」
「鏡の爺さん?」
「鏡一太郎といって京都の宮大工の大棟梁だ。この人もまたよく飲む」
「知り合いなんですか?」
「若いころ京都で一緒に飲む機会があってな。底なしだったなぁ。それ以来の付き合いだ。後で鏡の爺さんと相川の爺さんが親友だったというのが分かって、それにも驚いたがな。人間、妙なところで繋がっているもんだ」親父は遠い目をした。
「そんなだったら、親父さんも押しかけたらよかったじゃないですか」
「店を空けるわけにはいかんだろ?お前らも困るだろうし」
「それはそうですけど」
「ヤキダマが出張でアメリカへ出かけてしまって、コトリが寂しそうだったからな。相川牧場がワーキングホリデーって言うのか?それをやると聞いたんで、ちょっと焚き付けてみた訳だ。それにコトリは俺の孫みたいなもんだ。3人に俺の孫をお披露目しておこういう気持ちもあった。コトリがダンゴを誘ったのには驚いたが・・・」
「俺も驚きですよ。急にコトリさんとタンデムで北海道なんて」
「お前も誘われたんじゃないのか?」
「そんなはずないでしょ!あっさりとベンタをお願いね!って言われましたよ」ケッチンは情けない顔になった。
 親父はその様子を見てまたひとしきり笑った。「いいじゃないか。おかげで自分の気持ちに素直になれただろう?」
 ケッチンは複雑な笑顔を浮かべた。
 物憂げな午後、うだるような暑さはまだ収まる気配を見せなかった。
 
2015.08.12 
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オリキャラオフ会2参加作品の3作目発表です。

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大海彩洋さんのところで企画されました『オリキャラオフ会2・また一緒に遊ぼうにゃ~!』への参加作品、その3作目を書きましたのでUPします。
完結編と言うよりも番外編、或いは枠外編という感じの作品です。
皆さんが続々と作品を発表される中、サキ1人舞台の袖から俯瞰で、さらに斜めに見ているような感じの物ができあがりました。
3作目ですから良いかな?という感じで書いてみました。
ちょっとイベントの趣旨とは違ってきているようなのですが、寛大な心で読んでやってください。
よろしければ、この下のリンクからお進みください。

牧神達の午後
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ダンゴのお気に入り、そして新作について

 大海彩洋さんのところで企画されました『オリキャラオフ会2・また一緒に遊ぼうにゃ~!』には、左紀は「696」と「牧神達の午後」で参加しています。その物語のヒロインはコトリとダンゴの2人なのですが、そのダンゴの友達以上恋人未満の関係のケッチンはビンテージバイクが大好きなのです。
 今日はその彼の愛車を覗いてみようと思います。
 まずケッチンとダンゴが始めて登場した「H1」では、ダンゴがケッチンのすみかを訪れた時、倉庫の隅にKAWASAKI W1が登場します。

Stella/s
1967 Kawasaki W1SS

 この写真は左紀の持っているイメージとは少し違うのですが、だいたいこんな感じのバイクです。伝統的な4ストローク650cc2気筒エンジンで、いかにも武骨な感じですね。
 エンジン特性上激しい振動が発生し、それが原因の故障も多かったようです。
「H1」では、ダンゴがこのバイクについて語られるケッチンの蘊蓄にうんざりしている様子が出てきます。

 そしてその後、ダンゴは倉庫の裏手から聞こえてくる大きな音を確かめに行って、ケッチンが友人から手に入れたばかりのKAWASAKI H1を目にするのです。

Stella/s
1969 Kawasaki 500 H1 MachIII

 これはマッハⅢとも呼ばれるバイクで、2ストローク3気筒エンジンです。2ストローク500ccのエンジンはかなり発熱するのですが、現在では考えられないことに空冷なんです。今だったら絶対に水冷にします。
 おかげで発熱には悩まされたようで、オイルの量やガスの濃さなど微妙な調整が必要だったと思われます。
 当時としては高出力だったようですがピーキーな性格で、いきなり繋がるクラッチの特性もあって、発進時に竿立ち(ウィリー)になってしまう。など、じゃじゃ馬ぶりを発揮しました。コーナーでの安定性にも問題があり(直進性もよくなかったようです)利きの悪いブレーキと相まって、現在のバイクとは比べものにならないほど危ないバイクでした。ま、こういう意見は、そうとう無茶な乗り方をした場合のもので、普通に運転したら普通に走るのかもしれません。
 ダンゴは白煙と爆音を吐き出すマッハⅢに辟易とし、マッハⅢの整備のためにダンゴをほったらかして「コンステレーション」に行ってしまったケッチンに腹を立てるのです。その店の店長が若い女性だと言うことも知っていましたから。そうです、その店長がコトリだったんですね。
 その後、ダンゴの殴り込み事件などを経て、コトリとダンゴの関係は非常に良くなっています。さらにコトリのバイク好きに感化さえて、最近ではダンゴはマッハⅢの方を贔屓にしているようです。KAWASAKI W1は相変わらずお気に召さないみたいですけど。

 さて、今回の北海道ツーリングでコトリが運転しているDUCATI 696ですが、こんな感じです。(一番手前のバイクですね)モンスターというサブネームが付いています。

Stella/s
Ducati Monster 696 with Termignoni exhaust, in front of a Ducati Hypermotard, in front of Ducati 848

 いかがです?カッコいいでしょ!
 これの深紅のモデルにコトリとダンゴでタンデムですからね・・・って興味のない方にはつまらない話題だったかもですね。
 お目汚しでした。

 さてさて、ここのところの話題です。
 サキは本日、新作の2編(第1話と第2話)を書き上げています。
 ウェブ月刊誌Stlla用に書き上げたものですが、前にもどこかに書いたとおり、第1話は「物書きエスの気まぐれプロット(16)」の作中作「Firkin(ファーキン)」のかなりの部分を改めて書き直したものです。第2話は「物書きエスの気まぐれプロット(神様の降りるところ)」の作中作「新世界から Scene2」に続きを追記し各部を改変した物です。
 タイトルは「新世界から」で、ウェブ月刊誌Stlla8・9合併号ではScene1とScene2の発表になります。
 今、先の校正と推敲を受けていますので来週中にはUPできると思います。
 お楽しみに!
 Stella8・9合併号はサキの担当なので参加しないという選択肢はありません。頑張って書きました~。偉いでしょ?
 あ、ただしScene3は難航していていつになるか分かりません。

山西 左紀


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新世界から Scene1

Stella/s月刊ステルラ8・9月合併号 投稿作品


 エルロン(補助翼) とは、飛行機を左右に傾ける(バンク、横転、ロール)ために使う動翼である。通常左右の主翼後縁の外側に取り付けられており、機体の前後軸を中心とした回転運動を制御する。

 ラダー(方向舵)とは、飛行機の機首を左右に向ける(ヨーイング)ために使う動翼である。通常垂直尾翼後縁に取り付けられており、機体の上下軸を中心とした回転運動を制御する。エルロンと併用すると、定常釣り合い旋回を行うことができる。

 エレベーター(昇降舵)とは、飛行機を機首上げ、機首下げの姿勢にするために使う動翼である。通常尾翼後縁に取り付けられており、機体の左右軸を中心とした回転運動を制御する

 フラップとは、高揚力装置の一種で、飛行機の揚力を増大させるための装置である。必要時に主翼から展開させるタイプのものが多い。副次的に抗力が増大するため、機体を減速する作用もある。
(Wikipediaより抜粋し補筆)


Firkin(ファーキン)

 ファーキン、それは特定の戦闘機のパイロット、或いはそのパイロットが乗り込む機体を表すコードネームだ。本来は小型の樽や容器を意味する単語だが、この世界では頭文字がファイターを表す「F」だということの方が重要だった。コードネームは戦闘に関連の無い単語が選ばれることが多いが、「G」(ジェネラル、グレート、ガン)や「T」(トップ)など、頭文字に意味を見出し、それに関連付けて付けられることが多かった。戦闘機乗り達はコードネームの頭文字で相手の腕の良さを想像した。

 ファーキンはコックピットからあらゆる方向を素早く見回した。
 空に溶け込むようなブルーグレーの戦闘機が2機!識別は赤。敵だ!
 それを確認すると、エルロンを僅かに操作して機体を右へロールさせる。でもこれはフェイントだ。
 敵のうち1機は右へ流れた。残ったのは1機。
 すぐに反対へロール。左下へほとんど背面でダイブ。
 ついておいで・・・おいで・・・おいで・・・ファーキンは口の中で繰り返した。
 フラップを使って急激に減速。今だ!エレベーターを上げる。目いっぱい。敵は急激な減速と姿勢の変化にに対応出来ず、射撃のタイミングを逃した。エレベーターを戻す。一瞬ラダーをあててからスロットルを閉じる。浮遊感が襲ってくる。
 機体が方向を変え始める。スロットルいっぱい。
 ほら!相手の横っ腹が見えた。トリガーを絞り込む。相手のコックピットに弾が吸い込まれていき、キャノピーが赤く染まる。
 やった!快感!快感!ファーキンの口の左端が僅かに上がった。
 機体は自由落下を続けている。舵面に当たる空気の速度が遅いからまだ舵が効かない。墜ちる。舵は?まだか。敵は?ファーキンは焦り始める。
 その時、ガン!ガン!ガン!機体に大きな衝撃があった。撃たれた?ばかな?どこから来た?裏からか?ファーキンは辺りを見渡す。
 コックピットの中を何かが跳ね回ってる。
 舵が戻った。左へ急旋回。ロール。キャノピー越しに敵の姿を捉えた。怒りが沸々と湧き上がってくる。アドレナリンの分泌は最大だ!この野郎!ファーキンは怒りにまかせて必要以上の弾を打ち込んだ。お返しだ!破片が飛び散り翼がもげる。まだ弾を喰らわせる。相手が火を噴いた。もんどりうって落ちていく。
 ヒャッホ~!
 離脱。反転して下を確認してからゆっくりと姿勢を戻す。辺りを確認。他に機影は見えない。もういないはずだ。
 まずったな~。ファーキンは思い切り顔をしかめた。

「ファーキン。いるか?」無線が入った。
「ガリレオ。いるよ。今のところ2機」
「こっちも2機、状態は?」
「う~ん」ファーキンは少し間を置いた。「コードL33」
「どこだ!」ガリレオの声が慌てている。“L”は「一部に損傷」“33”は「緊急着陸を要請する」というコードだったからだ。腹側から打ち抜かれている。どこか油圧系統もやられて油圧が下がっている。燃料系もエラーが出ている。エンジンにも喰らったようだ。「もってくれると良いんだけど」ファーキンはガリレオに聞こえないように呟いた。
 それにさっき跳ね回った何かがどこかに当たったらしい。ラダーが思うように操作できなくなってきた。さっきまで大丈夫だったのに。
 ガリレオが上がってきて右に並んだ。ファーキンはガリレオに向かって手を振った。
「ファーキン、陸地までは遠い、その様子じゃもたないと思うが、どうだ?」
「かもしれない」ファーキンは短く返事を返した。
「近くに空母が居る。お前の腕なら甲板をいっぱいに使って降りられるだろうし、だめなら着水という手もある。そこへ向かうか、あとは時間はかかるが降りやすい91ベースまで飛ぶかだ、どっちを選ぶ?」
 ファーキンは少し考えてから答えた。「空母を選択する」
「了解、ついてこい」
 ファーキンはそのままガリレオの左側に並んで降りていった。

 高度を下げ、いったん水平飛行に入ってからガリレオが真横、少し上方に並んできた。背面飛行でコックピットを覗き込んでくる。ファーキンはガリレオに向かってもう一度手を振って見せた。
「ファーキン、戦闘空域を出た」ガリレオから無線が入る。
「了解」
「空母とは連絡を取った。甲板は着くまでに空けてくれるそうだ。機体は空母の軸線に乗っている。このまま真っ直ぐ進入する」
「了解」
「大丈夫そうだな。だが主翼と胴体に幾くつも穴が開いているぞ」
「へまやっちゃった」ファーキンは声を振り絞った。
「オイルが漏れているようだ。コントロールは?」
「真っ直ぐなら問題ない」
「エンジンは?」
「シリンダーが2つ死んでいる」
「またあれをやったのか?」ガリレオが訊いてくる。何もかもお見通しだ。ファーキンは返事をすることが出来ない。
「そいつは無暗に使うなと言ったろう?無防備になるから、やるのは相手が1機の時だけだ」
 言い訳をすることが出来ない。でもこれまでそれで生き延びてきたんだ。ファーキンは心の中で呟いた。
 ガリレオが少し離れて前方に出た。
 ファーキンはコックピットを覗き込まれなくなったのでホッとした。腰から下の感覚が無い。でも真っ直ぐなら問題ない。問題ない。自分に言い聞かせる。
 徐々に高度が下がる。雲が切れて下にはキラキラ光る海面が見え始めた。この機体であそこに降りたら助かる保証はない。滑らかに着水する自信はあったが、ほんの僅かな角度の違いが、うねりのタイミングが、致命的な結果をもたらすことはよく分かっている。できれば甲板にふわりと降りたいんだけど・・・。ファーキンは楽観的に考えることに意識を集中した。
 飛行艇に乗っていたころなら、あそこは帰るべき場所だった。滑るように海面に降り立ち、そのままゆっくりと機体を桟橋に横付けする。そして係留作業を眺めながらエンジンを止めると、その日の仕事は終わった。呑気なものだ。
 そして桟橋ではあいつが待っていた。ファーキンはほんの少しの時間、あいつの顔を思い浮かべた。
 夕闇の迫る茜色の風景が広がっている。
 ヤシの木は穏やかな風に微かに葉を揺らせる。
 ラグーンの海面は穏やかだ。
 潮の香りがした。

 空母までまだあるのかな?視界は徐々に暗くなり始めた。日が沈もうとしているのかな、ファーキンはそう考えた。
「ガルレオ、空母に誘導灯を点けるように言ってほしい」
「なんだって?ファーキン、繰り返してくれ」
 下半身ばかりでなく痺れと冷たさは徐々に拡がり始めている。太陽は完全に沈んでしまった。辺りはどんどん暗くなる。どうしたんだろう?空母は?誘導灯は?ファーキンは足掻く。
「ガリレオ・・・あと・・・どれぐらい?」
「あと3キロ、いや2キロだ」
「暗いな・・・」
「どうした?」
 体がゆっくりと傾き始める。
「おい!そっちじゃない。戻せ!ファーキン!ファーキン!」
 無線機からは叫び声が聞こえる。妙にはっきりと。
「カンザキ!上げろ!カンザキ」
 アタシを呼んでいる。
 だがファーキンにはどうする事も出来なかった。

2015.08.26
2016.09.05 若干の修正

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「新世界から」の掲載を開始します。

 今日は新しい作品をUPしたいと思います。
 構成・推敲係りの先がけっこうバタバタしていたので時間がかかってしまいました。とりあえず今日は第1話「Scene1・Firkin(ファーキン)」です。
 前にも書いたように、この第1話は「物書きエスの気まぐれプロット(16)」の作中作「Firkin(ファーキン)」のかなりの部分を改めて書き直したものです。展開は少し変わっていますが、ベースが同じですので、この作品を読まれた方は既視感があると思います。お許しください。
 第2話「Scene2」も完成していますので、最後の詰めを行ってから近日発表します。
 どちらもウェブ月刊誌Stlla8・9合併号掲載作品です。合併号ですから2話分用意しました。よろしくお願いします。
 ただし、「Scene3」は難航していて、「Stlla」の発刊に合わせて月1の連載としてUPすることは難しそうです。ウンウン唸らないとアイデアや展開が出てきません。「シスカ」を連載開始したときみたいなわけにはいかないようです。ちょっと苦しいなぁ・・・。
 それにこの調子だと、後から例のごとく細かい修正が入る可能性も排除できません。
 寛大な気持ちでお待ちいただければ嬉しいです。

 作品のタイトルは「新世界から」です。よろしければ下のリンクからお進みください。

新世界から Scene1・Firkin(ファーキン)
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


頂き物のイラスト

アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
天使のささやき_limeさん2
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