Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

Prologue Sikisima Miyuki Var.

「じゃあね!」ミユキはしっかりと繋いでいた手を離すと、手を軽く挙げてから角を曲がった。
「うん。また」そう言ったショウが自分の後ろ姿を見つめているのは分かっていたが、あえて振り向かないでなるべく早く彼の視界から消えるようにした。そして彼が行ってしまったことを確認すると、2人で一緒に登ってきた坂道を下り始めた。ビル群の向こうには濁った灰色の空をバックに大きな赤黒い太陽が沈んでいこうとしている。見たことの無い色・・・ミユキは不思議に思ったが、それより学校が閉まってしまう前に教室へ戻る必要があった。どうしてそんな必要があるんだろう?ミユキにはその理由がまったく思い浮かばなかった。

 ***

 ミユキが当番を終えて教室に戻ってきた時、ヤマネ・ショウは確かに変だった。
 同級生のショウとは、2か月ほど前に話しかけられてから、時々会話を交わすようになった。取っつきにくい部分もあったが、話してみるととても親しみやすかったし、音楽について造詣が深く、ミユキの好きなボーカルグループの話で盛り上がる事もあった。だが、まるで別人のようにミユキにまったく感心を示さない時もあった。すれ違いざまミユキが目で挨拶を送っても、まるで気が付かないように通り過ぎて行く。何故だろう?ミユキは不思議に思ったし、傷つきもした。実はショウは双子で、時々入れ替わっているとか?ミユキはそんなふうに勘ぐる時もあった。そして、そういうときは自分からは声をかないようにしていた。
 でも、今日はいつもとはいっそう違っていた。1人でぼんやりと教室に座っている彼は、まるで操り手を失った操り人形のように、全ての糸が弛んでしまっていた。操作をするための木の枠は傍の机の上に投げ捨てられ、操り手はどこか遠くの町へ出かけてしまっていた・・・。だから思い切って声をかけた。「元気ないね」
「あっ。いや。」顔を赤くしてドギマギする様子がとても可愛かったが、やはりいつものショウとは違っていた。
「どうしたの?もうみんな帰ったよ。当番済まして戻ってきたら1人でボーっと座ってるからびっくりしちゃった」
「え?みんな帰ったの?さっきチャイムが鳴ったのに」ショウは周りを見回した。
「だれも声をかけなかったの?チャイムが鳴ってからもう30分以上たってるよ。なんか最近おかしいね?具合悪いの?」
「うん。相当おかしいかもしれない」ショウは驚きながらも事情を話してくれた。
 時々自分の記憶が抜け落ちている事、自分では経験したことが無いはずの記憶がある事、そして自分のノートに見慣れぬ筆跡の文字が書かれている事。そしてその文字を見せてくれたが、ノートの文字は全く別人の物のように見えた。
「わざと字体を変えて書いて私の気を引こうとしてるとか?」ミユキが上目使いで見つめると「そんなことしない!」ショウは激しく抗議した。
「わかってる。悪かった。ごめん、ついね」可愛い!そう思いながらミユキは謝った。
 じゃぁ、いつも自分が話していたのはここにいるショウではなくてもう1人のショウなんじゃないの?だから別人のように思えるときもあったんだ。そう考え始めたとき、ミユキはふと思いついて質問した。「ヤマネ君、私と始めてしゃべってるって思ってる?」
 ショウが大きく目を見開いてミユキを見上げる。
「私何度かヤマネ君と音楽の話で意気投合してるんだよ。さっきの授業前の休み時間だってあなたと話をしていたんだよ」
「へっ?」ショウの声は裏返った。
「覚えてないんだ。こんなに歌に詳しかったかなあって、U・B・Aの話とか・・・。でも当番済ませて帰ってきたら全然違うでしょ。ボーっとして。どうしたのかと思って」ミユキはショウの目を見ながら話し続けた。
 理由はわからない、けれどショウは2つの人格を持っているんだ。ミユキの推測は確信に変わった。
「でもそれってショウともう一人誰かが出てきてるって事だよね?」ミユキはショウの顔をの覗き込むようにして尋ねた。
「そうかな?僕、そんなになるほど精神的プレッシャーなんかうけたことないんだけど……」ショウの顔は見る見る赤くなった。
 ミユキは口元に指を添えて頭をめぐらせた。ミユキは物事を正面から真っ直ぐに見ることは少ない。どちらかというと他人とは違った方向から見て判断する。
 今のショウと、いつも喋っていたショウ、2つの人格が存在するのならどちらのショウが本当のショウなんだろう?確か、主人格というメインの人格と交代人格が入れ変わって登場する。そんな精神的疾患があるということを本で読んだことがある。交代人格といってもとてもリアルで、出現していない時でも脳の中に作り出された別の世界でリアルな生活を送っている。とも書いてあった。ここにいるショウは主人格?それとも交代人格?どっちだろう。いつも喋っていたショウはどっち?そんなことは本人にも分からないことじゃないの?驚き方からしてきっとそうだ。ショウの記憶が途切れているときは、誰か別の人格がショウとして生きている。そしてこれまでわたしが喋っていたショウはその誰かだったんだ。きっと・・・。でもショウが精神的なプレッシャーを受けたことが無いのに、なぜ人格が2つもあるんだろう?今のショウがその誰かの交代人格……?だったらプレッシャーを受けたことが無いというのも説明が付く。私が休み時間に話したのが主人格かもしれない。きっとそうだ・・・。
「とりあえず帰らない?もう遅くなってるよ」ミユキは話を終わりにした。
 2人は校門を出ると国道を渡り、ニュータウンに繋がる坂道を登り始めた。

 ***

 坂を下り国道を渡ったミユキは校門をくぐって校舎に入り、急ぎ足で教室に向かう。もうあまり時間がない。夕日が沈んでしまう前に辿り着かなければならない。理由はわからない。早く!早く!ミユキは後ろのドアから教室に飛び込む。
 なんとか間に合ったようだ。室内は最後の夕日が差し込み、まだ充分に明度を保っている。そしてミユキはショウの席に誰かが座っていることに気がつく。
「誰?」声にしたつもりは無かったのに、言葉が口をついて出る。その誰かはゆっくりとこちらへ顔を向け始める。
 ミユキは息をのんだ。艶のあるプラチナの真っ直ぐな髪は、肩に届かないぐらいにカットされていて、それがまるで銀糸のようにキラキラと夕日を反射する。
 顔に光が当たり始め、光線が彼女の瞳に到達すると、その左側はライトブルーの、右側はブラウンの波長を返してくる。『オッドアイ』ミユキは唾を飲み込み、喉の奥で奇妙な音が鳴る。
 潤いのある2つの大きな瞳はそれぞれの波長でミユキの方を見つめている。感情を排除したその視線は左右で微妙に奥行きが異なり、ミユキをいっそう不安定な気持ちにさせる。
 顔はどちらかというと丸顔に分類され、東域系の特徴を持っている。だがその割には肌の色は白い。そしてそれらの特徴は彼女の容姿を現実離れした物に昇華させ、どこか別の世界から迷い込んできた妖精を連想させる。しかし真一文字に結ばれた小さめの口や、真ん中にきちんと置かれたやや小さめの鼻は、その意志の強さを端的に表している。
 彼女はゆっくりと立ち上がる。背丈は170センチを超えているだろうか、セージ・グリーンのフライトジャケット、胸には赤い星を3つあしらったワッペン、カーキ色のチノパンツ、それに黒っぽいスニーカー、格好だけを見ればまるで男だ。
 そこまでを照らし出すと夕日は役目を終えて舞台下へと去り、そろりと夕闇が忍び寄る。

シスカlimeさん作
このイラストの著作権はlimeさんに有ります。

「誰?」ミユキはもう一度繰り返す。
 彼女はまだ黙ってミユキを見つめている。いや、たぶん彼女は遙か彼方からじっとこちらの方向を、ミユキを通り越して遙か彼方をじっと見つめているのだ。それも左右の瞳で微妙に異なる彼方を。彼女に自分は見えていないのだろうか?質問は聞こえているのだろうか?そして彼女は本当にここに居るのだろうか?ミユキの精神はいっそう不安定に揺れ始め、振幅はどんどん大きくなっていく。
「あなたは誰?」三度ミユキが問う。
 彼女の意識がやって来る。ずっと彼方を見ていた視線はゆっくりとミユキに焦点を合わせる。
「ミユキ・・・」彼女は初めて口をきく。
「ショウ?ショウなの?」ミユキは彼女にショウを感じ、そのままの印象を口にする。
「うん。でもどうしたんだろう?どう見てもショウじゃないよね」彼女は自分の体を見下ろす。
「いつもはそのショウという男の子なんだけど・・・」と少し首を傾げる。
「あなたはショウの主人格?それとも交代人格?」
「わたしは時々ショウとして君に会っている。気が付いたらそうなっていたんだ。そうでない時はこの格好なんだけど」
「普段は女性なの?」
「こことはまた違う世界では、わたしはずっと女性だ。この姿をしている」彼女はまた自分の体を見下ろす。
「違う世界?それはここじゃない別の世界?」
「そう、こことはよく似ているけれど全然繋がっていない別の世界」
「その世界はあなたの精神が作り出した世界なのかな?」
「わたしはここが自分の精神が作り出した世界じゃないかと思っている」
「こんなにはっきりしているのに?」ミユキは自分の体をギュッと抱きしめる。
 ミユキは口元に指を添えて頭をめぐらせる。さっきショウと繋がって坂を登りながらこの世界こそ仮想世界なんじゃないか・・・と考えた。それは事実かもしれない。彼女がこの世界で今の体とショウの体の両方が使えているとしたら、もしそれが嘘でないのなら、この世界こそが仮想世界だという事になる。この世界が現実だという事なんか証明できない。だとしたらこの世界が誰かの脳の中に作り出された仮想の世界ということだってあり得るかもしれない。そうじゃ無い事なんてどうやって証明できるんだろう?
「あなたは現実なの?」
「現実か仮想かを聞いているなら、わたしは現実だ。でも仮想でもある」
「時と場合によるという事?」
「見る角度によって、という事かもしれない。でもわたしには正確なことは分からない。君が現実だということを証明できないのと同じように」
「私が?」
「そう、君は自分が現実だということをどうやって証明する?」
 ミユキは闇に飲み込まれたように黙り込む。実際に夜の闇がそこまで迫っている。
「あなたは誰?」四度ミユキが問う。
「シスカ」彼女はそう名乗る。薄くて少し引いた、作り出すのを失敗したような微笑みを浮かべながら。
「でも聞いても無駄かもしれない。多分あした目が覚めたら、いや、この後振り返ったらきっと忘れている」シスカは遙か彼方からミユキを見つめ続ける。

 ***

 3分の2ほど坂を登った時、ミユキはそのままショウに寄り添い、後ろに組んでいた手を解いて手を繋いだ。ショウは一瞬手を引っ込めようとしたが、ミユキは強くつかんで離さない。
 ショウの顔は火を吹きそうに赤くなる。『可愛い!』ミユキはショウと繋がったまま坂を登った。そして交差点の横断歩道を渡ったところでしっかりと繋いでいた手を離すと、「じゃあね!」手を軽く挙げてから角を曲がった。
「うん。また」そう言ったショウが自分の後ろ姿を見つめているのは分かっていた。
 日々の生活はこの恋の始まりも含めて時の流れと共に順番に過ぎていき、そして続きもやって来るように思えた。

しかし・・・・

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15000HITのキリ番企画第3弾が完成しました。

ふう~~。第2弾からずいぶん間が空いてしまいました。
リクエストされた方もすっかり忘れておられるんじゃないかと思うくらいです。
ようやく完成しましたのでとりあえずUPします。
リクエストをいただいたのはlimeさんで、ご希望は・・・

やはり私もシスカのSSをリクエスト。
本編の最初の方にシスカの容姿が少し出てきましたが、シスカって普段どんな服装が好きなのかなとか、どんな表情なのかな、とかそんなことも気になります。

・・・でした。
最初に謝っておこうと思います。遅くなってしまいました。まずお詫びします。そしてさらにすみません!ごめんなさい!普段のシスカを書いてほしいというリクエストだったのですが、シスカは本当に愛想もクソ(失礼)も、そして色気もありません。もともと設定がそういう女の子だということもあるのですが、サキにはこういう分野の表現力が極端に不足しています。一生懸命表現しましたがこの辺が限界です。たくさん謝ったので、あとは苦情がきても、もう謝らないことにします。でも実際に普段のシスカはこんな感じだと思っています。おかしいかなぁ?本編では最後の方にシスカの普段の様子が少し描かれています。
では、読んでやろうかという慈悲深い方、天の邪鬼な方、この下のリンクからお進みください。あ!「シスカ」を始めから読んでみようと思っておられる方は若干のネタばらしになるかも・・・。途中まで読んでおられれば大丈夫かな?ご注意ください。

Prologue Sikisima Miyuki Var.
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Promenade 2

scriviamo! この作品はscriviamo! 2015の参加作品です。

 関西国際空港、そのターミナルビル4階にある国際線出発ロビーは、大勢の人で溢れていた。チェックインの列に並ぶ団体客、大きなスーツケースを曳いたビジネスマン、レジャーに出かける家族連れ、カートを押した友達連れ、どう見ても新婚旅行のカップル、そして彼等を見送りにきた人々、この奇妙な高揚感の漂う特異な空間には様々な人々が集まっている。彼等は出発への期待に胸を膨らませて楽しげに会話を交わしたり、1人でベンチに座って書類を確認したり、様々な思いを胸に自らの旅立ちへの備えを継続している。流れる外国語のアナウンスはこれから向かう異国を連想させ、人々を、特に日本人をいっそう特別な気分にさせる。
 その人々の中に、それとは異なる雰囲気の1人の女が座っている。出発ロビーの端の方のベンチに、足下に機内持ち込み用のスーツケースを従えて、彼女はポツリと座っている。歳は20代後半だろうか、ゆったりとしたベージュのロングニットにストレートのデニムパンツ、首元からはチェック模様のシンプルなシャツの襟が覗いている。髪はちょっと短すぎるくらいにカットされていて、それが気になるのか時々首筋に手を当てる仕草をする。腕時計をチラリと見て、それから出発の予定が表示されたモニターに目をやる。そして小さくため息をつくと、彼女はまた出発を待つ人の群れに自分を紛れ込ませた。

 絵夢は改札口を出るとデッキを渡ってターミナルビルへ急いだ。そしてエスカレーターを使って一気に4階まで上る。
 昨夜遅くの彼女からの電話は唐突だった。絵夢は彼女が日本に帰ってきていることをまったく知らなかったのだ。いつもの調子でとりとめのない日常の会話を続けるうちに、彼女の様子がいつもと違う事に気がついた。それにこれは普通の通話だ。海外からなら追加料金不要のパケット通信でかかってくるはずだ。
「今どこにいるの?」絵夢の追求に彼女は今日本に帰国していることを白状した。
「どうして知らせてくれなかったの?」彼女は絵夢にポツリポツリと事情を話し始めた。
 彼女は絵夢より6つも年下だったが、とても大切な友人の1人だ。彼女が16歳、絵夢が22歳の頃からの付き合いになるから、もう12年来の友人ということになる。
 彼女とは日本で出会ったのだが、その後事情があって生活の拠点を海外に移した。絵夢は何度か彼女が世話になっている家を訪問させてもらって楽しい時間を過ごしたし、彼女が学校に通うためにアパートを借りてからは、そのアパートを訪れることもあった。彼女には歌の才能があって、声楽の専門教育を受けるために世話になっていた家を離れたのだ。
 彼女はすぐに頭角を現したが、世界はそんなに甘くなかった。教授に認められて院まで進んだものの、卒業後幾つかの役をこなしただけで、そのあとオファーが無くなった時期もあった。
 彼女は自信を無くして殻に閉じこもったこともあったが努力を続け、最近は端役や、時にはサブキャストの仕事も舞い込むようになって、地道に歌手生活を続けている。絵夢も色々と相談を受けアドバイスもしたが、やはり彼女の努力が報われたと考えるべきだろう。絵夢も何度か舞台を観たが、評価はけっして悪くは無かったし、卓越している部分もたくさんあった。今準備中の公演ではメインキャストを割り付けられていて、日本でのんびりしている暇など無いはずだ。
「喉にポリープが出来たの」彼女は日本にいる理由を語り始めた。「たいしたことは無いんだけど。やっぱり全力で歌うと声が微妙に割れるの」電話の向こうの声は沈んでいる。
「それで日本に?」
「専門のお医者さんに診てもらったんだ」
「結果は?」声質に気をつけながら絵夢は尋ねる。
「手術は難しいと言われた。位置が悪くて失敗すると声に影響がでるかもしれないって」
「そう・・・」絵夢は言葉を失った。
「でも日常生活にはなんの問題も無いんだよ」彼女は声を明るくする。
「会いたい。会って話がしたい。いつまで日本にいるの?」
「明日の飛行機で帰る」
「明日?」絵夢の声は珍しく裏返った。
「いまどこにいるの?何時の飛行機?どこの空港?」絵夢の質問に彼女はホテルの場所と飛行機の時間を答える。
「神戸?今からじゃそこへは行けないわ。明日1番の新幹線でそちらへ向かいます。出発ロビーで待ち合わせにしない?会いたい。会って顔が見たい」

 絵夢はエスカレーターをおりるとあたりを見渡した。
 彼女の姿は見当たらない。まさかもう出国したの?そんなことはしないとは信じているが、絵夢の心を不安が満たしていく。GのチェックインカウンターからAまで順にベンチを覗いていく。居ない。気を取り直してもう一度AからGへ、ベンチとチェックインカウンターに並んでいる人々を確認していく。やっぱり居ない。携帯電話を取り出そうとしたその時、絵夢は1人の女性に目を留めた。
 彼女だ!見つけた。あまりにもイメージが違っていたため最初は見過ごしてしまっていたのだ。絵夢は彼女に駆け寄った。
「ミク!」
 彼女は顔を上げた。あのツインテールにまとめられ長く伸ばされていた髪はショートカットに変わっていた。でもクリッとした大きな目、小さな鼻、凜々しい口元は確かにミクだ。「ミク!」絵夢はもう一度彼女の名前を口にした。
「絵夢」ミクは安心したようにふわりと微笑んだ。そして恥ずかしそうに首筋に手を添える。
「どうしたの?その髪」絵夢は思わずそう尋ねた。尋ねてしまってから少し後悔したがもう口にした後だ。どうしようもない。
「これ?もう歌えないんだったらいいかなぁって・・・おかしいかな?」ミクは髪の上から首筋に手をあてた。
 絵夢は黙ってミクに近づくときつく肩を抱きしめた。ミクははじめ黙って抱かれていたが、やがて絵夢をきつく抱き返した。
「会わないで帰ろうって思っていたんだよ。でもけっきょく電話しちゃった。声だけでも聞けたら良いなぁって思ったの」
「それだけで済むはずがないじゃない」絵夢はもう一度しっかりとミクを抱きしめた。そのまま2人は仲の良い姉妹のように、ベンチに並んで腰掛けて話し込んだ。
 暫く顔を合わせていなかった2人は近況を伝えあい、抱えている大きな問題について深く話し合った。
 やがてミクの乗る便の搭乗開始を予告するアナウンスが流れる。
「そろそろ行かなきゃ」ミクが出発の予定が表示されたモニターに目をやった。
「本当に搭乗をキャンセルすることは出来ないの?」絵夢が食い下がる。
「舞台に穴を開けるわけにはいかないからね。今度は久々のメインキャストなんだけど・・・でもこれで最後にする。仲間にこれ以上迷惑は掛けられないもの。その公演が終わったらメイコのところに、ポルトへ帰るつもり」
「まだ歌えなくなるって決まったわけじゃないわ」
「え?」
「私は諦めの悪い性格なの。イタリアのその方面の専門家を紹介するわ。幾つもの難しい手術を成功させた名医よ。諦めるのはその先生に診てもらってからになさい。メイコのところへ帰るのはいつになる予定?」
 ミクは日付を言う。
「そう。じゃぁその頃にまた電話を入れる。イタリアの先生にも連絡を取っておく。それから日本で診てもらった先生の名前を教えてちょうだい」絵夢はてきぱきと話を進める。
 有無を言わせぬ絵夢の気迫に押されて、ミクはメモを書いて絵夢に渡した。
「ミクに直接電話をしてもらわなくてはいけないこともあると思うけど、その時はまた連絡する。動いてくれる?」
 ミクはあっけにとられた様子で頷いた。
「少しは元気になった?」少し間を開けて絵夢が尋ねる。
「うん」ミクは頷いてからゆっくりと微笑んだ。
「よかった」絵夢はミクの顔をじっくりと覗き込んでから言った。
「さ、行きなさい。舞台が待っているんでしょう?」
 ミクは立ち上がった。いままで出発を待つ人の群れに紛れ込んでいたミクの姿はすこし浮き上がって見えるようになっていた。
 保安検査場の入り口で挨拶を交わしてから、絵夢は思いついたように尋ねた。
「ところでジョゼはどうしているの?」
「元気だよ。元気だけが奴の取り柄だからね。メイコのところで一緒に夕食を食べようって言ったら喜ぶかなぁ」ミクは笑顔で答えた。
 絵夢はその笑顔にさらに安心を感じながら言った。「そう、じゃぁジョゼには隠し事をしないで、喉のこともちゃんと話しておきなさい。あなたにはそうする義務があるわ」
「え?」
「そうしておきなさい!」絵夢は言葉に威厳を込めた。
「うん・・・そうする」ミクは素直に頷いた。
「約束よ。じゃあ行ってらっしゃい!」絵夢は満足げに頷くと軽く手を挙げた。そして「その髪型も可愛いよ」と付け加えた。
「ありがとう!じゃあまた」ミクはまた首筋に手をあてた。そして保安検査場の通路を進みながら振り返り、思い切ったように大きく手を振った。
 絵夢は笑顔で手を振りかえす。
 ミクもそれに笑顔で答えた。

2015.02.10
2015.02.17微調整
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初めての音 Porto Expresso3

scriviamo! この作品はscriviamo! 2015の参加作品です。

 フランクフルトからの便が到着してから30分以上が経過したのに、到着ゲートからは待ち人は出てこない。ジョゼは出迎えの人々の中に立って辛抱強く待っていた。ポルト空港の到着ロビーはそれほど混雑しているわけではないから、見逃すはずはないし、向こうも気がついてくれるはずだ。
『おかしいなあ、乗り遅れたのかな』ジョゼは到着便が表示されているパネルに顔を向けた。
「お待たせ!」突然後ろから声をかけられて、ジョゼは驚いて振り返った。ジョゼは一瞬記憶と現実とのギャップに翻弄されて認識に手間取り、ようやく認識を終えてからさらに度肝を抜かれた。「姉貴?姉貴・・・だよね」
「驚いた?」ミクは首筋に手を当てながら恥ずかしそうに言った。
「ど・・・どうしたんだ?その髪」ジョゼはようやくそれだけを口にした。
 ミクのツインテールにまとめられていた長い髪は、見事なショートカットに変わっていた。いつもはゆったりとしたラフな格好ばかりなのに、今日はおしゃれな感じの明るいショートコートと紺のミニスカート、少し踵のある黒い靴、そして耳元にはトパーズの並んだヘアピンがキラキラと輝いている。その大人っぽい雰囲気もジョゼにとっては初めての経験だった。
 ジョゼは訳が分らずただジッとミクを見つめるだけだったが、混乱の中で『レースのリボンにしなくてよかった』と、とりあえずホッとしていた。
「ジョゼ、時間ある?メトロに乗る前に軽くお茶に付き合ってくれない?」ミクが訊いてきた。
 ジョゼはまだ驚きを収めることが出来ていなかったが「いいよ!」と答え、大きなスーツケースを引き受けてミクの後を歩き出した。

 到着ロビーに隣接した喫茶スペースに座り、それぞれに飲み物を注文し他愛のない話を少しした。そして飲み物がテーブルに置かれると、少し口を付けてからミクは話し始めた。
「あたし、歌手を止めなければならないかもしれないの」
「え?どうして!」ジョゼはようやく落ち着き始めた心をまた震わせた。「今回の公演だって評判はよかったじゃないか」
「喉にね、ポリープが出来ているの」
「ポリープ?」ジョゼは立ち上がりそうになる自分を押さえ込んだ。
「うん、暫く前から全力で歌うと声が微妙に割れるの。この間、日本のお医者さんに診てもらったんだけど手術は難しいと言われた。位置が悪くて失敗すると声に影響がでるかもしれないって」ミクは淡々と事実を語る。努力してそうしているようだ。
「そんな・・・」ジョゼは言葉を失った。
「それで髪を切ったのか?」暫く間を開けてからジョゼが訊いた。
「これ?もう歌えないんだったらいいかなぁって・・・そう思ったの」ミクは髪の上から首筋に手をあてた。
「で、そのポリープって、まさか・・・」
「ううん、日常生活にはなんの問題も無いんだよ。悪性ではないって」彼女は声を明るくする。
「そうか」ジョゼは安堵の息を漏らした。そして顔をあげて言った。「でも、何か上手い方法はないのかな」
「日本にいるときにね、絵夢に会うことが出来たの」ミクはカップを口に運びながら言った。
「絵夢に?それで?」ジョゼは続きを促す。
「言われたの、まだ歌えなくなるって決まったわけじゃないって」
「うん、その通りだと思う」
「ジョゼもそう思う?」ミクはカップに口を付けた。
 ジョゼは大きく頷いた。
「でね、絵夢にお医者さんを紹介してもらうことになってるの。イタリアの専門の先生なんだって。諦めるのはその先生に診てもらってからになさいって」
「で、いつ診てもらうんだ?」ジョゼは身を乗り出す。
「ポルトに帰ってから連絡をもらうことになってる」
「そうか、そんなチャンスがあるならチャレンジするべきだし、まだまだ希望を失うことはないよ。
「そうだね」ミクは少し顔を緩めて微笑んだ。
「でも絵夢に会えてよかったな」ジョゼは飲み物で口を湿した。
「うん。実は不安になって、あたしから呼び出しちゃったんだけどね」
「かまわないんじゃないのか。友達だし。黙っていたら絵夢が怒ったと思うよ」
「そうかな?迷惑かけてなければいいんだけど」
「そんなこと言うなよ。絵夢はそんなこと思ってないよ」
「ごめんね。こんな話をして。でもジョゼにはちゃんと言っておきたかったんだ」
「謝るなよ。友達じゃないか」そう言いながらジョゼはミクとの関係について考えていた。「絵夢から連絡が来たらちゃんと僕にも知らせてくれ。絵夢みたいに色々出来るわけじゃないけど、出来ることは何でもするし、一生懸命応援するから」
「うん、ありがとう」ミクはそう言いながらジョゼに頭を下げた。耳元のヘアピンがキラリと輝く。
「ところでさ、そのヘアピン可愛いな」ジョゼは話題を変えた。
「あ、これ?」ミクはヘアピンに手をやった。
「この前の舞台の演出家の人にもらったんだ。喉の治療のために暫くお休みするって言ったら。成功を祈っている。復帰したらまた一緒に仕事がしたいって」ミクは下を向いたので表情が読めない。
「そうか・・・」ジョゼは複雑な心持ちで返事を返した。
「そろそろメイコのところへ行こうか。あまり遅くなると心配する」ミクは腕時計をチラリと見て言った。
「そうだな。今日は何を食わしてくれるのかな」
「もうお腹すいてるの?」
「僕はいつも腹ぺこさ」ジョゼがそう言うとミクは声をたてて笑った。
「そうだ!姉貴。明日時間があるならちょっと僕に付き合ってくれるかな?」ジョゼは勇気を振り絞って言った。
「明日?いいよ、何も予定は無いから」ミクはそう答えたが、その声は少し寂しげに聞こえた。
「じゃぁ、明日の予定に入れといてくれ。午前10時に迎えに行く」力強くジョゼが言った。
「わかった」ミクは明るい声で答え、そして付け加えた。「また姉貴って呼んでるよ。姉貴はやめてよ」
「ごめん。ずっとそうだったから・・・気をつけるよ」ジョゼは苦笑いになって頭を掻いた。
 2人は横に並んで、メトロ乗り場に向かって歩き始めた。

2015.02.15
2015.02.17微調整
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初めての音 Porto Expresso3 について

「Promenade2」を2月10日に書き上げてUPしてから僅か4日後、八少女夕さんは「サン・ヴァレンティムの贈り物」で答えてくださいました。
サキはドキドキしながらジョゼやミクの行動を追いかけたのですが、素敵なお話しでした。
 夕さんは今、「scriviamo!」(一緒に書きましょう!)という企画をなさっていて、次々とリンクされる小説やイラスト、詩などに対して、ブログ上で作品を返されるのです。それもとても短い時間で。
Promenade2」もこの企画の為に書かれた作品ですから、それに対して「サン・ヴァレンティムの贈り物」で答えていただいた。というわけです。
 TOM-Fさんのリクエストで何気なく登場したミクというキャラクターは、夕さんとのコラボによって、サキの意思とは別のところでドンドン成長していったのです。

 さて、サキはその夕さんの「サン・ヴァレンティムの贈り物」に感激をしたのですが、さらにその作品に触発されてまた1つ作品を書き上げました。
 ですからこの作品はもちろん「scriviamo!」参加作品です。
 でも夕さんご安心ください。本作は夕さんの「サン・ヴァレンティムの贈り物」と言う作品の真ん中に挟まる位置づけの作品です。この作品に対する夕さんのお答えはすでにいただいているのです。
 本作を読む前に「サン・ヴァレンティムの贈り物」の前半を是非お読みください。「* * *」のマークが出てくるまでが前半です。そして本作を読んでいただいてから「サン・ヴァレンティムの贈り物」の後半をお楽しみください。それが夕さんからのお答えと言うことです。

 この続きですが、サキに特にアイデアはありません。ただ思い切りわがままを言わせていただけるのなら、こんなことを考えています。
 この作品で使われているポルト、或いはPの街ではコラボをしながらいくつかの作品と作者が錯綜しています。まず八少女夕さんの「Infante 323 黄金の枷」から、遙かなる過去から純粋な血筋を完璧に維持するために存在し続けてきたドラガォンシステム(TOM-Fさん命名)、大海彩洋さんの「青の海 桜色の風」から、遙かな過去から教皇を守るために存在してきたヴォルテラ家。そしてそこにまだ何も設定を考えていませんが絵夢のヴィンデミアトリックス家を加えていただいて、全体から見れば些末な出来事であるミクのポリープ手術がとんでもなく大きな3つのシステムによって進んでいく・・・なんて、すごいでしょ?彩洋さん!
 あ、あくまでサキのわがままです。聞き流して置いてください。
 では作品をお読みになりたい方は下のリンクからお進みください。

夕さんの「サン・ヴァレンティムの贈り物」
初めての音 Porto Expresso3
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「絵夢の素敵な日常シリーズ」ポルトのミクについて

 今日は宣伝と自分のための備忘録です。
 ここで取り上げるのは、絵夢の素敵な日常シリーズの中でリレー小説のようになってきているポルトのミクのお話しなのですが、書いている本人も混乱してきましたので、まとめておこうと思います。

 このストーリーは「絵夢の素敵な日常」シリーズの中では長く続いている物語で、構造も若干複雑です。順番にお話ししていきますが、雰囲気をつかんでいただこうと少し長くなっています。適当に端折ってお付き合いください。

 始まりは「絵夢の素敵な日常(10)Promenade」という作品です。舞台は阪急宝塚駅で、そこでメイコが絵夢と出会うところから物語はスタートしています。
 メイコはこの町、宝塚の生まれなのですが12歳の時にポルトガル(ポルト)に移住しています。そして18歳の時に女の子を出産するのですが、色々な事情でその子は日本へ連れ戻されてしまい、親子は生き別れになってしまいます。
 でもメイコは自分が生きていくことに精いっぱいで、子供を追うことができなかったのです。ようやく余裕ができたころには、もうその子に合わせる顔が無くなって日本に近づくことも出来なくて、メイコは30年以上悶々とした生活を送っていたのです。
 そんなメイコにある日手紙が届きます。手紙はメイコの娘の娘、孫からのもので、彼女はもう16歳になっています。その手紙にはメイコの娘・・・その子の母親が病気で亡くなったこと、母(メイコの娘)が亡くなる前にメイコを探したこと、探すのにとても手間取ったこと、見つかった時にはもう会いに行くことが出来なくなっていたことなどが書かれていて、日本までの航空券と宝塚歌劇のチケットが入っていたのです。(メイコが小さいころ宝塚歌劇の大ファンだったのを誰かが覚えていて、孫娘に伝えたとメイコは推測しています)
 居ても立ってもいられなくなったメイコは取る物もとりあえず40年ぶりに宝塚に帰ってきてしまいます。メイコは大阪や宝塚の変貌に驚き、大劇場で待っているであろう孫に会うべきか迷っているところで絵夢に出会ったのです。
 絵夢は不安がるメイコをアシストして大劇場へ連れて行き、孫娘(彼女がミクですね)に会わせたのです。
 どんな事情があったのかは書いていませんが、次話の「絵夢の素敵な日常(12)Porto Expresso」ではミクはポルトに移住してメイコと一緒に生活しています。いろいろ理由があってミクは日本を飛び出してメイコのところに身を寄せたようです。ですからミクの家(帰るところ・実家)はポルトのメイコの家ということになります。ポルトではジョゼと知り合ったりして、楽しく生活を送っていたようですが、八少女夕さんの「追跡『絵夢の素敵な日常』二次創作」はこの辺りのお話しです。その後、歌の才能を見いだされ、専門教育を受けるためにヨーロッパのどこかの学校へ留学します。どこかの都市にアパートを借りて住んだのかな?。場所や学校は設定していません。
絵夢の素敵な日常(初めての音)Porto Expresso2」ではポルトに帰ってきたミクが、ジョゼに院に行く話をしている部分はこういう事情です。メイコの家を離れている期間が2年長くなったので、メイコを1人にしておくのが心配になったという訳ですね。その後ミクは本当にプロの歌手になります。夕さんの「再会」はここら辺りのお話しです。 
Promenade2」ではミクが、ポリープによって歌手生命を絶たれかねない状況に追い込まれている様子が書かれてます。ミクは日本出身ですから日本にはやっぱり“帰る”のですが、あくまで実家はポルトのメイコの家ですから、ヨーロッパでの公演を終えるとミクはポルトへ帰るということになります。
このときのエピソードが夕さんの「サン・ヴァレンティムの贈り物」と「初めての音 Porto Expresso3」です。
 ミクは日本へ帰るとは表現しますが、実際は日本に気安く帰れる家はもう有りません。
 ミクは普段は劇団のある町にアパートを借りて住んでいて仕事をこなしていて、少しでも休暇が取れるとポルトの実家へ帰ってくるという生活を送っています。メイコの1人暮らしを心配していますからね。

 ミクが具体的には何の歌手かというと、これまでははっきりとは書いていません。リレー作品の様相を呈していましたので夕さんの選択肢を少しでも残しておこうと思っていました。
 でもここまで来たらもうオペラ歌手でいいと思いますが、いかがでしょうか?
 ですからミクにトパーズのヘアピンを渡したのは、どこかの歌劇団の演出家ということになりますね。ミクとしては最後になるかもしれない公演でしたので、力を入れたんだと思います。場所はヨーロッパを想定していますが決めていません。
 ただミクがポルト空港に着いたとき乗ってきた飛行機はフランクフルト発でしたね。

 この後は大海彩洋さんが引き受けてくださる予定になっています。設定のない部分は自由に設定していただいてかまいません。楽しみにはしていますが、ご自分のスケジュールに合わせて、無理をなさらず仕上げてくださいね。
 ふつつかな子ですが、ミクをよろしくお願いいたします。
 なんて、一度言ってみたかったと、先が申しております。
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