Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

物書きエスの気まぐれプロット(12)中編

 月刊ステルラ8月号 投稿作品

HARTS Field

 薄い雲にさえぎられて血の色になった大きな夕日が、グランタウンの遺跡群の向こうに沈んでいく。トロは徐々に遺跡の陰に飲み込まれていく斜面の最上部に立って下を見下ろしていた。
 下手をすれば転がり落ちるほど急な斜面の下は掘割になっていて、その底には線路が敷かれている。掘割の両端にはトンネルがぽっかりと大きな口を開けていて、そこから出てきた線路はトロの見下ろしている掘割を通過して向かいのトンネルに入るまで、ほんの100メートルほどの間だけ地上に顔を出しているのだ。
 トンネルはどちらも入り込むとすぐに緩やかな下りになって、壁に突き当たるまで真っ直ぐに続いていた。この間までは……だ。
 この間のトンネル調査の最中に突然壁を破壊して弾丸列車が通過してからは、両方の壁の向こう側に延々と続く真っ直ぐなトンネルが現れ、不規則に列車が通過するようになっていた。

 トロのすぐ後ろは線路で、そこには1台のトロッコが止まっている。トロッコの上には車輪が二つとトロと同じぐらいの背格好の人影が佇んでいる。
「トロ、本当に決行する気?」人影はトロに話しかけた。
「ここまで来たらやってみるよ。トモ」トロは人影に向かって話しかけた。
 トモと呼ばれた人影はトロッコを降りてトロの横に立った。背丈はトロと同じ、肩まで届かないくらいの真黒な髪、大きな焦茶の瞳、驚いたことにその人物はトロと瓜二つだった。
「トロは好奇心の塊だものね」トモはあきらめ顔で言った。
「ウチ?ウチはトモと同じだよ。何もかも」トロは大きな瞳で見つめる。
「ううん。違う、私は恐いもの。そしてとても心配。心臓のところが少し痛い」トモは大きな瞳を暗くした。
「え?大丈夫?そう言えば顔が青い」トロはトモの顔を覗き込んだ。
「大丈夫だよ。炉の補助が効いているから心臓に負担はかからないよ。痛いのは本当に心配だからだよ」トモは胸の所に両の手の平をあてた。
「なら、いいんだけど。ウチ等は全く同じにできているはずなのにね。なぜ違っているんだろう?」
「ほら!認めた」トモの顔は明るくなった。「私達は見かけは同じだけど全然違うの。私はトロと同じようには動けないよ」
 トロは暫くの間トモの顔をじっと見つめていたが、やがて視線を掘割りの底に戻した。
「今日は来なかったね。そろそろ戻りましょう」闇に沈もうとしている周囲を気にする様子でトモが言った。
「そうだね。もう3日になるのにね……」言葉を続けようとしたトロの言葉が止まった。右側のトンネルから微かに音がするような気がしたのだ。
 気のせいでは無かった。音は徐々に大きくなり、トンネルの出口辺りの雑草がなびき始める。トンネルから風が吹き出て来ているのだ。
 音は轟音に変わりはじめ、吹き出る空気もどんどん強くなる。トンネルの中が徐々に明るくなり始めた。
「来る!」トロが抑えた声で言い、トモはおびえるようにトロに寄り添った。
 轟音がドラゴンの雄叫びのように変わる。その瞬間、炸裂音と共に尖った先端を光らせた巨大な弾丸のような物体が、トンネルから飛び出してきた。そして掘割りの底を猛スピードで通過していく。
 空気を切り裂く轟音の中、トロは先頭からの数を冷静に数えていく。……14・15・16、最後尾の尖った尻尾と、その先端に灯った毒虫の様な赤い光がトンネルに吸い込まれ、やがて世界は闇と静寂の世界に帰って行く。
「トモ?」我に返ったトロが寄り添っていたトモを気遣う。トロの頭上には発光環が出現し、輝き始めた。
「なに?」トモが瞑っていた目を開ける。トモの頭上にも発光環が作り出される。
「大丈夫?」トロは発光環に照らし出されたトモの顔を見つめる。
「平気」トモは気丈に答え、トロから離れて足を少し拡げて真っ直ぐに立った。トモの発光環は彼女の凜としたその姿を浮かび上がらせる。
 トロはその様子を見て満足したのか「今ので取り付けてあったセンサーからの信号がタモに行ったはずよ。もうすぐ飛んでくるから、すぐに出発する」と言った。
 トモは黙って頷いた。

 待つほども無く、すぐ後ろの線路から振動音が聞こえ始めた。やがて発光環の灯が見え始め、もの凄いスピードで1台のトロッコが接近してきた。
「トロ!待たせたかな?大急ぎで来たんだけど?」タモの声が響き、タモの小型のトロッコがトロのトロッコのすぐ後ろに停車した。
「ううん。ウチ等は昼過ぎからずっとここで見張っていたから。通り過ぎるのも見たよ」トロが答える。トモはタモが現れてから発光環を消滅させていたが、そのままそっとトロの後ろへ移動した。
「ウチ等?ああ、トモも一緒だったのか?悪かったな」タモは自分の発光環で2人を照らしながらトモに声をかけたが、トモはますますトロの陰に入り込んだ。トロはその様子に少し驚きながら、タモに向かって「すぐに出る?」と聞いた。
「ああ、弾丸列車は暫くは来ないだろうからな。車輪は積んできてくれてるんだろうな」
「もちろん!ウチのトロッコの上」トロは自分のトロッコに積まれた車輪を指さした。
 タモはトロのトロッコの上に上がり、車輪を両方の手に1つずつぶら下げると、そのまま急な斜面を下った。車輪は幅の広い線路用の物で、タモが掘割りの下の線路に置くとピタリとはまった。そのままタモは斜面を駆け上がると、自分のトロッコの右側のハンドルに手をかけトロを見た。トロははじかれるようにトロッコの左側に駆け寄るとハンドルを両手で掴んだ。
 そして2人は、阿吽の呼吸があるようにタイミングを合わせてトロッコを持ち上げ、ゆっくりと慎重に急斜面を下っていった。
 斜面を下りきるとトロッコは新しい車輪の上に乗せられた。すぐに2人は斜面を駆け上がり、タモは自分のトロッコがここまで履いてきた標準の車輪をトロのトロッコの上に乗せた。
 トロは自分のリュックを背負ってからトモをギュッと抱擁した。「じゃぁ。行ってくる」トモは黙ったまま抱かれていたが、最後にトロをギュッと抱きしめて、そして離れた。「気をつけてね」トモは静かにそう言った。
 タモはその様子を黙ったまま見つめていた。
 トロは大きく頷くとタモと2人並んで斜面を降りていった。
 斜面を半分ほど下った時、静かなマルベル機関の作動音が聞こえ始め、線路を走るトロッコの音が遠ざかっていった。2人は振り返らずに斜面を下りきると、タモが先に荷物をシートの後ろのカゴに入れてからシートに収まった。
 トロも続いてカゴにリュックを入れてから、シートに収まろうとトロッコに足をかけた。
「タモ!」トロはタモに声をかけた。
「何?」タモが答える。
「もう少し詰めてよ」トロは少し恥ずかしそうに言った。
「あ、ああ」タモはシートの右側を少し開ける。
 トロは一瞬間を置いてから、そのスペースに収まった。
 2人の発光環はその一瞬だけ輝きを増した。

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物書きエスの気まぐれプロット(12)後編……と、エスの部屋

 月刊ステルラ8月号 投稿作品

HARTS Field

 トロは真っ直ぐに前を見つめている。
 発光環に照らし出されるトンネルは闇の中を真っすぐに続いていて、そこには一筋の線路が真っ直ぐに敷かれている。
 そして、その上を軽やかな音を響かせてトロッコが進んで行く。すぐ横にはタモの顔があったが、トロは黙り込んでいた。
「なあトロ。トモ……何かあったのか?」突然思いついたようにタモが言葉をかけてきた。
「すごく心配してた」トロの声は少しつっけんどんだ。
「そうか」タモはまた黙り込んだ。
「タモ、前に注意してよ。いつ来るか分らないんだから」トロが話題を変える。
「ちゃんと見てるよ」
「後ろは大丈夫だよね?」
「今まで反対方向の列車が走ったことは無いんだけど、入り口に置いてきたセンサーが生きているから、そこから信号が来る。それに気をつけていれば大丈夫」タモは少し早口で言った。
「でも、どうして一方通行なんだろう?」
「さあな。だけど俺は反対方向はあり得ないって考えてるんだ。反対方向に走ったら正面衝突するだろう?」
「ふふ……」トロの顔が明るくなった。
「トロはあの壁の有った所の向こうに何があると思う?」今だとばかりにトモが訊いた。
「あの向こうにはあの人達の世界があるのよね?そうでしょ?」
「あの人達?指先の光る奴らか?」
「そう!すごく綺麗だった」トロは思い出すように言った。
「俺はあまりそんなふうには思わなかった。不気味だったな」タモが呟く。
「ウチはきっと優しい人たちだと思うよ」トロがその発言に突っかかる。
「だったら良いんだけど」タモは主張を引っ込めた。
「そうに決まってるよ」
「でも、慎重に接触しないとな」
「わかってるよ。そんなこと当たり前でしょ」トロは前を向いた。
 やがてトロッコはトンネルの断面が少し拡がっている部分に差し掛かった。タモは一旦トロッコを止めた。
「ここがこの前調査に来たトンネルの最深部だったところだ」タモが言った。
「そうね。その先が壁のあった所だね」
 タモはゆっくりと壁の有った辺りまでトロッコを前進させた。
 飛び散った瓦礫が、壁の破壊された時の衝撃の大きさを物語る。トロはその時の様子を回想し、胸の奥に痺れるような感覚を蘇らせていた。
「大丈夫か?」そんなトロの様子を気にするようにトロが言った。
 トロは黙って頷いた。
 タモはトロの目をちゃんと見てそれを確認すると、おもむろにシートの下を覗き込んで、キルヒホッフ反応機関の様子をチェックした。機関の上部にはマルベル機関と同じように小さな透明のドームが乗っていて、それが緑色の光を発している。その色はエネルギーの放出やリンクの接続、リゾームの形成、すべてが安定していることを示している。暫くの間ドームの中の気泡の様子を確認してから、タモはスティックを手前に引いた。
 トロッコは再び加速を始める。たちまち壁のあった地点を通過しグングンとスピードを上げた。
「あの壁が有った所から先が新界になるんだよな?」タモは前方を監視しながら言った。
「内陸に向かう線路があるでしょ?ウチはあれを使って行くつもりだった」
「ナカスの駅跡のところから分岐している線路のことだよな。俺もそう考えていたんだけど、こっちの方が手っ取り早そうだったからな」タモが笑う。
 このトロッコは、これまでのトロたちが作ったトロッコよりずっとスピードが出る。
「ねえタモ。もう少しゆっくり行った方が良いんじゃない?」トロは前方を見つめたままタモに声をかけた。
 トロッコはどんどんとスピードを上げる。
 返事が無い。トロはおかしいと思ってタモの方を向いた。
 そこに確かにタモは座っていた。だがそこに有る物体はタモでは無かった。「タモ!タモ!タモ!」トロは何度もタモの体を揺さぶった。
 それはタモの形をした人形の様だった。さっきまで喋っていたのに、トロの身を案じてくれていたのに、トロは狂気を含んだ声でタモの名を呼び続け、体を揺さぶった。
「タモ!タモ!!タモ!!!」
 発光環は光ったままなのに反応は無い。タモの首はぐらぐらと揺れ、がくりと垂れ下がった。
 トロはタモをシートにもたれかからせて左手で押さえると、右手を使ってシートの前のスティックを前方に押した。
 ギギ~~~~!!!急制動が掛かる。トロッコは速度を落とし停止した。
 トロはタモの胸に顔を埋めると、心臓の音を確認した。はっきりとした心音が耳に届く。とりあえず息もしている。意識が無いだけだ。トロはそう判断した。
(リンク切れのせい?だったら早く戻らないと)トロの頭は事態の把握と対応策のために全速で回転した。(でも新しいリゾームが作られるからリンク切れの心配は無いはず。そう、ウチが大丈夫なんだもの。じゃぁタモはなぜ?)トロの頭は混乱していたが、一刻も早く出発地点に戻ることを選択した。
 しかし、いくら最新型のトロッコでも、キルヒホッフ反応機関を積んでいても、同じ原理で動く乗り物である限り、このトロッコは逆向きに走行することはできない。どうしても一旦線路から降ろして、全体を逆向けに線路に乗せ直す必要がある。
 トロはまず隣のタモの体の下に両手を差し込み持ち上げようとした。(重い!)全身の力を振り絞り、肘を支点にしてようやくタモの体を浮かせ、肩にもたれかからせた。そしてヨロヨロと立ち上がり、慎重にトロッコを降りて、トンネルの壁際にタモの体を横たえた。少しの間、肩を大きく上下させていたトロは(グズグズしていられない)と次の作業に取りかかる。カゴに置いていた2人の荷物を両手に提げ、同じように壁際に並べる。そしてトロッコを分解するために再びトロッコに近づいていく。
 そのとき、トロの顔がふとトンネルの先の方に向いた。ジッと聞き耳を立てる。
(そんなバカな。まだ数時間しかたってないのに)微かな気配は微かな音になり、やがて徐々に大きくなり、空気が流れ始めた。
 トロはトロッコに駆け寄るとサイドに付けられたハンドルを両手で掴んだ。
 音は轟音に変わりはじめ、流れる空気もどんどん強くなる。トンネルの中が徐々に明るくなり始めた。
「来る!」トロは車体を揺すってタイミングを計ってから「うおおおおお!!!」全身の力を振り絞ってトロッコを押し上げた。


「ふ~ん」コハクは舐めまわすようにエスの顔を見た。
「なに?なに?」エスは慄いて顔を後ろに下げる。
「やっと押し入れから出てきたと思ったら、これ?」コハクはモニターの画面をコンコンと叩いた。
「え?ずっと籠ってたわけじゃないよ。でも、だめ?やっぱり」
「やっぱりって何よ!これ前中後編を読んだけど背景が全然わからないよ」コハクの声は控えめに尖っている。
「だよね。でも最初から読んでも多分わからないと思うよ」エスの声は消え入りそうだ。
「じゃぁ。なぜそれを私に見せるの?」コハクは呆れ顔になった。
「あの……どうかなぁって」エスは上目づかいにコハクを見る。
「じゃぁ解説しなさいよ。トロやタモのいる世界ってどういう世界?」コハクはリビングのソファーに座りなおした。
「もちろん架空の世界なんだけど、とても大きな戦争が何度もあって、多分ガンダムみたいなスペースコロニー落としや中性子爆弾の使用、高高度核爆発なんかがあった後の世界、かな?漠然とそういう世界を考えてる」エスもソファーの座りよい位置に移動する。
「なんでトロッコなの?」コハクは次の質問に切替える。
「どこかの番組で、打ち捨てられた線路を地元住民がトロッコを使って運搬に利用しているのを見たの。そこからの発想。だからトロもタモもトロッコで物や人を運ぶことを生業にしているの」
「じゃぁ、キルヒホッフ反応機関って?」コハクの疑問はたくさんあった。
「話せば少し長くなるよ。もともとこの世界には“フラウンホーファー炉”というものが発明されているの。それはあらゆる物質をエネルギーに変えたり、逆にエネルギーから色々な物質を作り出すことが出来る変換炉なの。大きい物から小さい物まであって、大きい炉からは人類に必要なあらゆる原材料が生産されるの。そして小さい炉は人間の体内に埋め込まれて、生命を維持するためにあらゆる物質を供給するの。これを埋め込まれた者は何も食べなくても生きて行けるんだよ」
「まぁ実に都合のいい機械だね」コハクは楽しげに言った。
「だってウチの頭の中だもの。なんでもありだよ。でね!このフラウンホーファー炉は、大きいのから小さいのまでみんな無線のネットワークで繋がっていて、リゾームというまとまりを作ってるの。そして同時にそれは大量のデータをやり取りする巨大なソサイエティーも兼ねているんだ。そこでは余ったり足りなかったりするエネルギーを融通しあっていて、スマートグリッドって言うんだけど、トロたちのトロッコもこのリゾームのエネルギーを受けたマルベル機関で動いているという設定なんだ」
「ふむ、つまりタモの新型トロッコは、フラウンホーファー炉のリゾームから外れてしまう新界へ行くために、マルベル機関じゃなくて独立したリゾームを形成することのできるキルヒホッフ反応機関を使っているってわけね?」
「さすがコハク。呑み込みが早い」エスは胸の前でポンと手をうった。
「茶化すんじゃない!で、ここに出てくる弾丸列車は?」コハクの疑問は尽きない。
「前々回のお話かな?トロたちの住んでいる街の地下にトンネルがあって、そこに線路が引かれているんだ。トンネルの先は壁で塞がれていたんだけど、そこの調査が行われるの。その調査団を運ぶためにトロとタモのトロッコが雇われてトンネルに入っていくことになるのね。そして調査が行われている間、2人は行き止まりの壁のところで愛を育もうとするんだけど」エスはそこでコハクをチラリと見たが、続きを促すコハクの目に触れると慌てて付け足した。「そこへ地底から壁を突き破って弾丸列車が現れるの」
「それ以降、不規則に通過する弾丸列車のために、調査はできなくなったって訳ね?」
「さすがコハク。呑み込みが早い」
「だから茶化すなって!多分どこから来てどこへ向かっているかとか、どんな目的で走っているか、なんてことはまだ考えてないんでしょ?」コハクの視線が突き刺さる。
「さすがコハク……」
「やっ・ぱ・り・ね」コハクは言葉をかぶせてエスを黙らると「あと、発光環って?」と訊いた。
「これはトンネルの調査の時に出てきたんだけど、トロたちこの世界の人間は、体内に埋め込まれた小型のフラウンホーファー炉のエネルギーを使って、頭の上に光の環を作ることができるの。暗くなると各自でそれを灯して辺りを照らすことができる。そういう設定になってる」
「ふ~ん、天使の輪みたいなもの?」
「イメージ的にはそういう感じ。触ることはできないし熱も出さないんだよ」
「トモって?」
「彼女は今回が初登場。外観はトロと同じという設定だよ」
「どっちかっていうと、エスはトモの方だよね?」
「そうかもね」はにかみながらエスは答えた。
「やっと少し分ってきたわ。でもエス、あなた、人をさんざん心配させておいて、その上にいきなりこの話を読めって言ったのよ」
「ごめんなさい。頭の中の物を書き出して、見てもらいたくなったんだ。なんだかすごく不安な気持ちになったんだもの」
「どこかの大臣のせいかしら?」
「それもあるけど、世界中がなんだか不安定でしょう?とても良くない方向に動いてるんじゃ無いかって考えてしまう。これぐらい当然の権利だ!っていう人もたくさん居るし。宗教っていったいなん何だろうって本気で考えてしまったりして。人間ってもっと賢い生き物だと思うんだけど……」エスは正面を向いた。
 コハクはそんなエスを一歩引いて見ていたが「でもこのお話、ラージエスには見てもらってるんでしょ?」と訊いた。
「見てもらってるよ。でもラージエスは共同執筆者だもの。身内以外の人に見てもらいたかったの。NETに上げるのも断片だから気が引けるし」エスはコハクの目を見つめた。
「好きなだけ書いて、私にみせて、とりあえず満足した?」
「うん。まあ満足かな」エスは頷いた。
「あなたの頭の中には不思議な世界が詰まっている。そしてその世界はいろんな意味で結構興味深い……ということだけは分かったわ」
「ありがとう。それで充分だよ」エスはソファーの背もたれに沈んだ。
「でもそんなこと言わないでNETに上げちゃえば?マリアにも読んでもらえるかもしれないでしょ?」コハクは顔を緩める。
「そうしようかな?」エスが天井に向かって問いかける。
「そうなさい」コハクはそう命令してから「でさ、ここまでアドバイスして何も出ないの?」と言った。
「え?あ、じゃぁコーヒーでいい?」エスは立ち上がった。
 コハクはようやく安心したのか笑顔を見せた。

2014.07.11

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予告編のようなもの?

 山西 先です。こんばんは。お久しぶりです。
 このところサキは「シスカ」の執筆に籠もっていますので、すこし私の方で更新をしておこうかな……という気になりました。
 共同執筆者などとサキは勝手に言っておりますが、私が書いているわけでは全くありません。ストーリーはサキの物ですし、文章もやはりサキの物です。私は推敲と校正をし、求めに応じてアイデアを提供する。そういう係わり方ですね。
 最近は私が忙しいこともあって(雑用ばかりですが)あまり見てやれないので、コメントなどは野放しになっていることもあります。タイピングや変換のミスなども見逃していることもあって「何のための校正?」って怒られたりもしています。
 最近のサキはイライラしていて短気です。
 シスカは39話から進んでいて、現在48話の途中までをサキとやり取りしています。最初に読んだ時のあの奇妙な面白さは陰を潜め、展開に四苦八苦している様子が感じられます。完結することを最優先に考えるあまり、ストーリーに「それは無いだろ?」といいかげんさを感じる事もあります。なるべく辻褄だけは合わせるようにしてみますが、それにも限界があります。でも大きな改変をしてサキの文章で無いようにしてしまったり、サキのアイデアに現実や理屈をぶつけて木端微塵に粉砕してしまうようなことは止めておこうと思っています。
 それがサキには不満なようですが「俺もそんなに暇では無いからなぁ」ということにしています。不満なら自分で満足いくように推敲してみろ……なんてね。
 ここにこっそり「シスカ」の一部を載せてみます。こんな感じなんですよ。



 潮の香りを含んだ風が頬に心地よく触れて行く。
 2月だというのに気温は全く冬を感じさせない。
 ラサはテラスに置かれたテーブル席にゆったりと腰を掛けて、目の前に広がる風景を眺めていた。
 丘の中腹に立つホテルのロビーに続けて設けられたこのテラスからは、真っ白な砂浜に沿って開けているエルズラムの街を見渡すことができる。街の中心にはラヴェラ広場が見え、広場からは人々の喧噪が伝わってくる。人々は今朝方よりもさらに数を増やしていて、普段はのどかな雰囲気のエルズラムの街は、馬追いの祭りを上回るような奇妙な熱気を帯び始めていた。もっともこの馬追いの祭りの開催が禁じられてからすでに30年近くが経過していて、ラサもその賑わいは映像でしか見たことは無かったのだが。
 エルズラムの街は青の内海の北側に突きだしたネラブ半島の突端にある。この辺りはベクレラ連邦の中では最も低緯度に位置しているため、真冬でも半袖で過すことができる。エルズラムは何の取柄も無い街だったが、この過ごしやすい気候のおかげで近年ようやくリゾートとしての賑わいを享受し始めていた。
 同じ緯度にあっても青の内海から大洋に繋がる海峡部分にあるボスラウムの街がベクレラ海軍の軍港として、その隣のシエキの街が貿易港として発展したのとは対照的だった。



 どのような感想をお持ちでしょうか?ほんの断片ですがラサが登場しています。こんな所で何をしているのでしょうね。
 サキ自身が満足するお話しが出来てくるかは分りませんし、読んでくださる方が面白いと思ってくださるか、私には判断できません。
「思いもかけない結末があるかもよ」などとサキは言っておりますが、さてどんな結末が待っているのやら……。案外私には予想できているのかもしれませんが。
 とにもかくにも「シスカ」完結。そこに向かって一文字ずつ、ゆっくりとではありますが(本当に少しずつしか進んでません。だからイライラしているのでしょう)進んでいるサキの邪魔をしないように、そして出来れば完結まで支えてやることが出来ればいいかなぁ。そんなふうに考えています。
 お目汚しでした。ではまた機会がありましたら……。

山西 先
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
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アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
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