Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

12000HITですね。

いつも「Debris circus」を見ていただきましてありがとうございます。

ようやくといいますか、順調にサキペースでといいますか、12000HITが目前です。
今回はシスカの執筆で頭がいっぱいということもあって、止めておこうかなと思っていたんですけど、色んな方にかまって欲しい性格のサキとしては少し寂しくなってましたし、気分転換をしておきたいような気分にもなってきましたので、思い切ってイベントを開催しようと思います。
今回はひっそりとですけど。

シスカも書いていきたいので、今回はお1人様だけにさせていただきます。
左紀のキャラクターをリクエストしていただいても結構ですし、お題をいただいてもかまいません。
いつものようにキャラとお題の両方でもかまいません。
お好きなリクエストをいただけたら、何か短いお話しを書いてみます。
受付期間は12000HITになった瞬間からリクエストをいただけるまで無制限です。
こうしておけば誰か哀れに思った方がリクエストをくださるかな?
リクエストはこの記事にコメントで書き込んでください。
かまっていただけましたら嬉しいです。

お待ちしています。
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

シスカってこんな顔じゃない?

コハクは「エスの気紛れプロット」に登場するエスの友人なんですが、その作中作に登場する「コハク」のモデルでもあるんです。
で、そのエスの友人のコハクにもモデルが居まして、それがサキの友人なんです。仮の名前を「リアルコハク」とでもしておきましょうか。
彼女「リアルコハク」は去年スペイン旅行に出かけていて、サキはその土産話をもとにしてバルセロナを舞台にした「物書きエスの気まぐれプロット(コハクの街)」を書いたというわけです。
今までサキはリアルコハクに小説を書いていることは内緒にしていたのですが、リアルコハクをモデルにした関係で、ついに物語を書いていることを白状して「コハクの街」を読んでもらったんですよ。
リアルコハクは結構熱心に読んでくれて、ついには「シスカ」も読んでくれました。
ま、彼女の感想や評価は置いておいてですね。
今日、彼女が遊びに来た特にノートパソコンを持ってきて「シスカを作ってみたよ」って言うんです。何のことか分らなかったんですけど(書いてみた、じゃなくて作ってみた、ですからね。彼女イラストは描かないし)、そのノートパソコンから出てきたのがこれです。

シスカイメージ6

笑っちゃいますけど、まぁ確かにシスカの特徴そのままです。
「どうしたん?これ」ちょっと驚きながら尋ねると、こういうことでした。
これ、ファイナルファンタジー14のベンチマークプログラム・キャラクター編のキャラクター作成で作ったものなのだそうです。
最も人間に近いキャラクターを選んで、色々とパーツを変えてシスカに近い形に作り直したということです。もちろん変えられる部位に制限がありますのでばっちりとはいかないんですが「実在すればこんなイメージかな?位にはなるんやないの」という意見でした。
PC上では瞬きをしたりする姿が表示されています。呼吸に合わせて肩が動いたりなかなかリアルです。いまのゲームは凄いですね!それをJPEGにしてちょこちょこっと不要な部分を消したのがこれなんです。
「顔のイメージはもう少し東洋人的なんやけど」サキは少し意見を言います。
「分ってたけどパーツがないから無理。鼻も一番低くしたし、肌も少し色をつけたし、顔も丸めにしたつもりなんやけど」リアルコハクの返事です。
こんな風に遊べるんですねぇ。面白かったです。TOM-Fさんのとこのエミリーなんかも作ったら面白そうだなぁ……と思ったりしてしまいました。
以前シスカはスカイさんや月子さんにも書いていただいています。リンクを置いておきますので、よろしければ覗いていただけると嬉しいです。

テンプレートとお礼!
B787と700HIT
シスカを見つけました。

ちょっとお遊びのコーナーでした。
ですから作品はリクエストも含めて進んでいません。
ちょっと焦っています……。

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氷風のクルッカ(雪の妖精と白い死神)

分っていたんですけど、ストーリーの展開から充分に予想できていたんですけど、その瞬間に鳩尾がジーンと痺れてしまいました。
これは、反則です。
「あれ?」……と、彼女が死を迎えるシーンのあっけなさ、彼女のあどけなさ、そして終わったらお終いの容赦なさ、にです。
「えっ?えっ?えっ?」暗転する彼女の視野に、こんなに簡単なんだ。とサキは慄きます。
こういう生き方しかできないと自分でも言っていたし、こういう結末になることも充分に覚悟していた様なのですが、彼女はあまりにも若い。
自分がこういう立場に置かれたら、彼女のようにはとても生きれなかっただろうなどと考えてしまって、胸が詰まってしまいます。
これはまた暫く立ち直れないんじゃないか、少し心配しています。
それでは困るので、ここに文章化して整理しておきたくなりました。

あきらかにスカンジナビアとソ連を念頭に置いた1940年前後の仮想世界で展開する、軽快な戦場もののお話しです。面白おかしく(ただしバタバタ人が死んでいきます)読んでいけるのですが、これなら大丈夫と思って読んでいたのですが、やはりこの部分はショックでした。
最後は大団円とも言える結末なのですが、あなたたちこれで大丈夫なの?よく平気でいられるね!と思ってしまって、少し納得できません。
でも、現代ではないのですし、この暗い時代、これぐらいで精神を病んでいたら生きていけないということなんでしょうか?大変な時代です。
主人公、登場人物、彼や彼女らの人間関係、舞台設定、充分に楽しめる展開そして結末なのですが後を引きます。
軽い娯楽作品のつもりで読んだのですが、この部分はショックでした。
たぶんサキが敏感すぎるのでしょう。
この鳩尾がジーンとする状態、暫く続きそうです。
早く脱出しなければ……。

氷風のクルッカ(雪の妖精と白い死神)
柳内たくみ 著
アルファポリス文庫
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酔いどれミクさん、そして関西弁で漫才

今日書き上がったんですよ。12000HITリクエストへの作品。
さっき先がザッと読んで推敲を始めました。
初めは「却下!書き直し」とか言っていたんですけど「もう無理!」と無理やり押しつけました。
サキ自身が書き終わって悶々としていますから、あまり上手く書けていません。
でもこれ以上時間をかけても良くはならないだろうと打ち切りました。
あとは先にお任せです。そして返品されてきてから、今度はサキが先ともめながら推敲するのです。
もう少しお待ちください。

で、早速息抜きをしています。

少し前、ブロ友のみまさかさんが記事の中で、左紀のブログの12000HITを祝ってくださっていたのです。その記事にあったイラストがこれ「酔いどれミクさん」です。(みまさかさんの記事はこちら

酔いどれミクさん

みまさかさんは左紀のプロフ画「ミクダヨー」さんを貸し出してくださっている方です。半年ほど前、ボーカロイド・ミクを購入されて今頃は歌わせているはずだったんですが、なんだかお仕事がとても忙しいご様子で、インストールはされたものの全く起動していない様なんですよ。このミクの荒れようは相当です。はやく起動して歌わせてあげてくださいね。
でも、このミクさんとても気に入ってしまって、またみまさかさんに無理を言ってお借りしてしまいました。
いいですよねぇ。ちょっとあそこが露わですけれど。でもちゃんと足首があるから良いか。そしてこのタッチ、気に入っています。
でも、ミクの前にある茶色の四角い物、なんでしょう?フォルダーかな?
そして何を飲んでいるんでしょうね?
笑っちゃいます。

そして次は関西弁で漫才をするミクです。



記事に載せるのは2回目なんですけど「ちゃう、ちゃう、ちゃう……」とかなり本格的に関西弁で喋ります。ボケや突っ込みのタイミングも上手ですし、なにより聞いていて本当に笑っちゃいます。
ちょっと古いネタですけど、結構いけますよ。
こんなバカなことをしながら今夜も更けていきます。
先は寝床でパソコンを睨んでいるのでしょう。
ご苦労様。
でもサキは美容のためにもう寝なければなりません。
暫しの休息です。
お休みなさい。


みまさかさん
ブログ開設3周年おめでとうございます。
みまさかさんと同じように記事の中でお祝い申し上げます。
これからもよろしくお願いします。

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「創作裏話バトン」

TOM-Fさんがやっておられたバトン、夕さんが受け取ってやっておられたので、バトンですから繋いだ方が良いのかな、ということで夕さんからいただいたことにしてやってみました。
これは、作品を思いついた当初と、実際執筆された際に変化や変更のあった内容をまとめるものらしいんですがサキの作品をごちゃ混ぜにして回答してみました。どうでしょうねぇ。

1.キャラクターの名称

 不思議なことにほとんど変更はありません。「シスカ」はこの名称から物語が始まっていますし、あとは関連づけてはいますが本当に適当です。書いていくうちにだんだん馴染んでくる、いつもそういう感じです。
例外は「エス」です。彼女はそのままでは生まれることができず、絵夢との共演の形で生まれていますが、その際に名前を「由布」に変更しています。「エス」の名前自体はサキの一番の分身として別の作品に登場させています。
あと「シスカ」に登場する「サエ」の母親、名前が無かったんですが、書きづらくなって後から名前を付けています。

「シスカ」は、何回か書いていますか旧樺太の町の名前です。現代ではポロナイスクになっているのでしょうか?
 サキの作るキャラは恒星の名前が多いですね「アルマク」と「ミラク」や「フォーマルハウト」「シャウラ」などはそれですね。
 次はアルファベットから「エス」「絵夢(M)」「クウ(Q)」などがありますがこれはもう名前として使える物が無くなってきています。
 最近は「コハク」とかちょっと変わった名前も使っていますが、こういう過程は結構楽しいです。

2.キャラクターの性格

 上手く書き分けができているようには思っていません。極端な性悪な性格や極悪人などが描けないんです。
 もう少し色んな性格のキャラを描き分けられたら、ストーリーにもっと深みが出るのではないかと思っています。
 嫌いなキャラは書けない。これはとても大きなハンディーです。もっと勉強かな?
 そういうことですので後から変更をかけたことってあまり無いんじゃないかな。
「白い月」の「スピカ」は途中からすこしポンポンと喋るように心がけ、遡って修正した記憶がありますが。

3.キャラクター以外の名称

 こちらは結構変えています。変えすぎて憶えていないほどです。架空世界のお話しが多いので、登場する色んな物に名前を付ける必要があります。そしてイメージに合わなくて後で変更していたりします。名前より気楽に変更できるのでちょこちょこと変更しています。ここには先が絡むことも多いです。

4.設定

 「シスカ」は書き始めた直後に大きく設定を変更しています。実は「ショウ」は最初いなかったんです。ですからプロローグは後から追加されていて、1話以降もほとんどが書き直しになっています。この設定変更で物語は大きく膨らんでいます。
 天然ガスの探査、開発、の設定は、なんとこの後出てきています。ですから調査船マザー2や潜水艇、果てはヘリコプターなんかもこれに関連して設定されています。シスカは整備士になりましたし、潜水艇のコパイのアツコが設定されましたし、ジュナも登場したのです。シスカには大急ぎで歌を練習してもらいました。それまでに設定されていたキャラも配役を大幅に変えています。戸惑っただろうなぁ。
 逆にこれに伴って消えてしまった設定もたくさんあります。

 物語の始まりはシスカとサエが国境の丘から日が暮れてから帰ってくるシーンだったんですよ。「シスカ、サエ、何してるんだ!」とキタハラが声をかけてくるシーンです。7話ですね。

5.背景

 また「シスカ」のことになるんですが、初めは島を国境で分断する戦争があった…と言う単純な考えだったのですが、「先の大戦」と「国境紛争」の2つの戦争があったという背景に変更しています。イルマやベクレラに戦勝国としてのおごりのような物を感じさせたかったですし、登場人物の年齢と戦争の時期を上手く合わせる必要が出てきたからです。
 この世界では軍は非常に大きな発言力と軍事力を持っています。「254」でもその辺を描くことができていたら良いのですが。

6.人称

 変更することは結構あります。1人称を3人称に変えたりその逆をしたり、物語を展開しながらここを変えることは多いです。
「アルテミス達の午後」では最初は榛名目線で始まっていましたが、由布目線に変更したりしています。実は榛名は最初女性キャラだったんですよ。
 ただし物書きとしては素人ですのでかなりいい加減です。でも視点の変更で混乱しないように、なるべく気を遣っているつもりではあります。色々と教えていただけたらありがたいかな。

7.ボツったキャラ

 またまた「シスカ」のことになるんですが、上に書いた大幅な変更でボツッたキャラはたくさんいます。配役を変えてなんとか出演いただいていますが、皆さんかなり大きなキャラ変更になってしまいましたのでもう別人です。
 女性の榛名なんかもこれに入るのかもしれませんし、「V645 Centauri (プロキシマ)」では女性医師の「キャシー」もボツッてます。

8.ボツったストーリー

 limeさんの描かれていた、般若のお面を持った少年のイラスト「サクラ幻想」を使ったストーリーですね。書き出しから数百字書いていたのですが、どうしても学生服・般若の面と上手く繋がらず止まってしまいました。なんとか展開させようと考えていると、頭がオーバーヒートしますね。とんでもなく難しいお題?でした。
 考えてみれば「物書きエスの気まぐれプロット」なんかはボツったストーリーの塊みたいな物だと思います。

9.バトンご指名

 面白いなと思った方、どなたでもお受け取りください。

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Stella/s 月刊ステルラ6月号 投稿作品


 ゴリアテ、彼女は彼女の好みに関わりなくそう呼ばれている。女を全く連想させないこの二つ名、それは彼女の任務にとって有益だったし、彼女の聡明さをカムフラージュもした。その上いつの間にかこの二つ名は、彼女の破壊力を如実に表し始めていた。
 彼女はシンキョウ駅のエントランスにある待ち合わせ場所、“銀の星”のベンチに腰掛けている。そして隣には彼女の“標的の女”が座っている。
“銀の星”は列車の出発を待つ乗客でごった返していて、たくさん置かれているベンチもほぼ満席だ。2人は切符の手配を済ませ、軽くショッピングをして時間をつぶしてから、列車の発車までの少しの間このベンチで休憩を取っていた。
「我が国が再び戦争を始めるといった誤解がある。しかし、そんなことは断じてありえない」壁際に置かれているモニターでは国防大臣が声を張り上げていて、“標的の女”はそれに冷ややかな視線を向けている。
 彼女が身をやつしているヨウコは“標的の女”の幼馴染みだ。懐かしげに接近し恩を売る。そしてヨウコの特別な事情をでっち上げ“標的の女”に同行することを承諾させる。その計画は上手くいった。目的を達して少し落ち着いた彼女は、斜め前に座っている一人の男が気になり始めていた。

 彼はオリーブドラブの軍服に身を包み、制帽を目深に被っている。歳は30ぐらいだろうか。肩には2曹の階級章が付いていて、そのすぐ上には3つの矢が交差した徽章が縫い付けられている。この徽章が国境軍の物だということは一般市民の間でも周知の事実だ。国境軍、それは本来島国であるこの国イルマが、拠所無い事情でベクレラとの間に抱え込むことになった陸上の国境線を防衛するため、陸海空軍の枠を超えた精鋭で組織されたスタンドアローンの軍事組織だ。隣国ベクレラとの国境紛争を抱えたキタカタ州北部に展開し、不測の事態に備えている。

 彼は明らかに“標的の女”のことを気にしていた。“標的の女”の髪はプラチナブロンドと言うよりも、ほとんど白髪に近いくらい色素が少ない。自分たちイルマ人の髪は黒に近いものがほとんどだから、その髪は特に人目を引く。
 だが、それだけではない。いざ事が起れは彼が戦うことになるベクル人には色素の少ない髪を持つ者が圧倒的に多い。しかもかの国ベクレラには女性兵士も多い。その状況が彼を“標的の女”に強く反応させたのだ。その時ヨウコはそう考えていた。

 “標的の女”の名はシスカと言った。ヨウコは隣に座るシスカに目をやると、「シスカ!斜め前の軍服の彼、わかる?」と囁いた。色恋ごとに縁のなさそうなシスカに対するからかいの気持ちも半分あった。
 しかしシスカはちらりと顔を上げてまた下を向くと「ああ……マグロだ」と冷たい声で言った。“マグロ”は国境軍の別称だが、“ヤマカガシ”というコードネームと違って蔑称の意味合いが強い。時には死体を表す隠語である上に、陸上では全く役に立たないからだ。ヨウコはシスカがこの隠語を使ったことに驚き、その話題に触れることを止めた。そしてしばらくシスカの横顔を見つめていたが、やがて手持無沙汰気にショルダーバッグから携帯端末を取り出した。

 5分ほどの間ヨウコは携帯端末の画面をシスカに見られないように操作していたが、発車の時間が迫るとそれをポケットにしまった。
「何の連絡?」シスカが訊いてきた。
「ううん、ちょっとお別れの連絡をね。急だったから」ヨウコは首を左右に振りながら答えた。
「だったら思いつきで行動しなければいいのに。あとから来てもちゃんと迎えに行くよ」シスカは固くなっていた表情を崩した。
「私は思い立ったら……の人だから。しょうがないのよ」ヨウコはシスカの表情に安堵しながら答えた。
「じゃぁ、行こうか。もう入線してるだろう」シスカが立ち上がった。

 シンキョウ駅の高速鉄道ホームは頭端式になっていて、行き止まりの6本の線路が7本の櫛状のホームに囲まれている。さらにホーム全体は巨大なドームに覆われ、心地よく響く出発のアナウンスが旅情をかき立てる。
 このレトロな雰囲気のホームは、イルマに高速鉄道が初めて作られたとき、以前から運用が面倒で取り壊しがささやかれていた古い駅を文化遺産に指定して転用した物だ。
 ヨウコはシスカの後について車両番号を確認しながら、自分が乗車する列車が停車している6番ホームを急いでいた。
 この駅の作りは古いのでホームが低く、車両のドアまでは高さがある。そのままではドアまで上がれないので、それぞれのドアの前には移動式のタラップが置いてある。シスカは立ち止まるとエントランスの方を見ていたが、すぐにヨウコの方を向いて「ここだ」とタラップを上がった。
 横に立っていたパーサーがスーツケースをデッキまで上げてくれる。ヨウコは、大きな荷物を持っていなかったので、そのままタラップを上がった。
「本当に身軽だな」シスカがあきれた様子で言った。
「思い立ったら……の人だから、って何回言わせるのよ」ヨウコが明るく答えると、シスカもつられて笑った。

 デッキから客室に入るとすぐに荷物置き場がある。ワンコインでロックをかけ、外すとコインが戻る方式だ。シスカはそこにスーツケースを置くとロックをかけ座席に向かった。座席は通路を挟んで2列ずつ並んでいて、家族連れや商用の乗客でほとんど満員だ。リザーブしたシートは進行方向左側で右側の2席はまだ空席だった。シスカはさっさと窓側に腰掛け、ヨウコは通路側に席を取った。
 何か気になることでもあるのか、シスカは座るとすぐに首を後ろにまげてホームを見下ろしている。ヨウコは荷物を頭上のラックに収納したが、その様子が気になって中腰になるとシスカの上から同じ方向を覗き込んだ。
 ホームの上には彼が立っている。軍服の彼だ。ホームの後方、エントランスの方向を見つめたままじっと立っている。
「気になる?」ヨウコはシスカが乗車前にエントランスの方を気にしていたのを思い出しながら、白い髪の上に顎をトンッと乗せて尋ねた。
「何が?」シスカの声はまた冷たくなった。
「彼、誰かを待ってるのかな?」
「さあ……」どうでもいいような口調だが、シスカの目は睨みつけるように厳しい。
 彼は苛ただしげにエントランスとホームの時計を交互に見ていたが、やがて諦めたように動きだし、タラップを駆け上がって列車に乗り込んだ。
 シスカはそれを確認すると外を見るのをやめ、顔をまっすぐ前に向けた。プラグドアが閉まる気配がして列車は静かに動き出した。
 プラットホームが流れ去り、古風な作りのドームを出た列車が少し速度を上げる頃、例の彼が客室に入ってきた。
 ヨウコの予想通り、彼は二人の通路を挟んだ反対側のシートの窓際に座った。通路側は彼の待ち人のためのリザーブなのだろう、空席のままだった。彼は気落ちした様子で流れ去る窓の向こうの景色を眺めている。シスカは厳しい視線でまっすぐ前を見つめたままだ。

 車内放送が次の停車駅がシンキョウセントラルであることを告げた。ビジネス街やショッピング街の中心にあるシンキョウ駅と違って、セントラル駅は官庁街の中心に有る。時間にして10分もかからない。列車は速度を上げきらないままシンキョウの堀端を進んでいく。
「何かあるの?」ヨウコはシスカの様子を気にしながら訊いた。
「なんでもない」前を見つめたままシスカは答える。
「とてもなんでもないという顔じゃないよ」ヨウコはいつもの癖で相手の表情の細かい動きを観察していた。
「あいつら国境軍は国境線の利害だけで動く。そこに住んでいる住民なんかどうでもいいんだ。だからマサゴでは鼻つまみ者だ。国境警備隊の方がずっとましだ。それだけだ」そう言った後、シスカの目は焦点を合わさなくなった。そして別人の様な声で続けた。「蜘蛛みたいな長い手足の大男なんだ。吐き気がするほど汚らわしい。ぞっとするほど悍ましい。思い出した……あのマーク……国境軍のだったんだ」ヨウコはシスカの発言を頭の中で繰り返した。シスカの生い立ちに係わる重要な情報に思えたのだ。
「長い手足の大男?誰のこと?あのマークって、国境軍のマークがどうしたの?」ヨウコはシスカの耳元に口を近づけると、シスカにだけ聞こえるような声で訊いた。
 シスカについてはライブラリを総動員して丁寧に調査をした。彼女の生い立ちには問題があって、精神的に不安定な部分を抱えているという結果が報告されていた。重い精神的な障害の診断が下されていたが、治療の結果今は安定していて、それがこのような形で表面に出てくることは無いという内容だったはずだ。
 だが今シスカは不安定になっている。国境軍のマーク、これが引き金になったのだろうか?
 そしてシスカはベクレラの生まれだ。純粋ではないと推測されるが、彼女にはベクル人の血が流れている。これは客観的な情報による確かな結論だった。シスカがなぜイルマに来たのか詳細は不明だったが、国境紛争の混乱に巻き込まれたのであろうことは容易に想像ができる。
 これほどまでにシスカの精神を追い込む何が起こったのか、自分の任務のためにも、そして短い時間の間に生じ始めているシスカへの友情のためにも、ヨウコはそれが知りたいと思っていた。
 常に沈着そして冷静に、全ての感情を廃して与えられた任務を遂行してきたゴリアテにとって、こんなことは初めてだった。
 シスカはヨウコの言葉に無反応だったが、突然前の座席の背をドスンと叩いた。
 前席の客が驚いてふり返ったので、ヨウコは慌てて愛想笑いを返し「すみません」と謝った。
「ごめん。もう訊かないから。ね!」ヨウコがそっと肩に手を置くと、シスカの目はヨウコの方を向いた。その瞳はヨウコを必死で確認しようとしているように細かく動いている。そしてようやくヨウコに焦点を合わせると、シスカは唇の端を微かに上げた。それは笑顔と呼ぶにはほど遠いものだった。

 列車は徐々に速度を落とし、セントラル駅のホームに滑り込む。
 セントラルは高速鉄道のために新しく建設された駅で、ホームはタラップを使わなくても乗車できるように高く作られている。列車は停車位置に向かって緩やかに減速を続けている。ヨウコはシスカの様子を気にしていたが、窓の向こうを走る人影に目を奪われた。グレイの大きな帽子とコートの女だ。彼女は列車に合わせて速度を落とし、列車が止まると同時に窓を覗き込んだ、そしてガラスを叩いた。シスカもその音に気付いて顔を上げたので2人して窓の外の女を見ることになった。彼女はなおも窓を叩いている。何か言っているがよく聞き取れない。周囲の乗客も何事が起ったのかとざわつき始めた。ヨウコも彼女の行動に驚いてはいたが、さらにヨウコを驚かせたのは彼女の瞳がシスカと同じライトブルーだったことだ。シスカも同じように思っているのか、驚いたように彼女の顔を見つめている。
 だが、彼女の視線はヨウコ達2人には向いていない。ヨウコは振り返って例の軍服の彼の方を向いた。彼はまだぼんやりと向こう側の窓から外を眺めている。列車は停止しプラグドアの開く気配がした。
「そこの軍人さん!」ヨウコは彼に呼びかけた。
 彼は窓の外から顔を戻した。そしてヨウコとシスカを見たが、すぐに2人の後ろ、窓の外にいる女に視線を合わせて立ち上がった。
「ヒムカ!」彼は確かにそう言った。女の名前だろうか。
 彼は突如行動した。頭上の収納ラックを開けて鞄を取り出すと、通路を前方に向かってダッシュしたのだ。
 すぐにプラグドアの閉じる気配がして、列車はそろりと動き出す。ヨウコはシスカの頭越しに窓の外を見つめる。シスカも同じように顔を窓の外に向ける。
 列車は徐々にスピードを上げながら1つになった2人の前を通過した。
 彼は彼女をしっかりと抱きしめていた。
 大きなグレーの帽子がポトリと落ちる。
 金色の豊かな髪がふわりと広がった。
「はぁ……綺麗!彼女ベクル人?」ヨウコがポツリと言った。
 ホームの2人はどんどん遠ざかる。
「国境軍の男とベクル人の女?ありえない組み合わせだね。でも彼女の作戦勝ちね」ヨウコの言葉にシスカが顔を上げる。
 ヨウコはシスカの疑問に答えた。「この恋を成就させるには、彼は国境軍を辞める必要があるもの」軽い感じで口に出してからヨウコはしまったと思ったが、シスカの表情は変わらない。
(大丈夫かな……)そう判断したヨウコは、シスカを見つめながら笑顔で言った。「2人に祝福を……」
 シスカは諦めたように笑顔を作った。
 満員の列車は2つの空席を残したまま、最高速度に向けて加速していった。

2014.05.31
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ようやく、ようやく、書き上がりました。

ようやく、ようやく、書き上がりました。
12001 HITを踏まれたTOM-Fさんの一番リクエスト『「シスカ」がらみのサイドストーリー、または、「絵夢」シリーズで……』にお答えしています。
TOM-Fさん、リクエストありがとうございました。

「シスカ」がらみのサイドストーリーを書いたつもりなんですが、はっきり言ってサイドストーリーではなくて本編そのものです。
仮想世界のお話しで、ベクレラとの国境紛争を抱えたイルマの首都、シンキョウでの1シーンです。シスカの幼馴染みを名乗るヨウコが、自分の分身を確認する旅を終えてマサゴに帰るシスカにくっついて、高速鉄道に乗ろうとしているところです。
18話と19話の間に入ってくるお話しですが、そのままはめ込むわけにはいきません。本編を37話あたりまで読んでからでないとネタバレがあるんです。
ただ、本編を読むのにたいした影響のあるネタバレではありませんし、このサイドストーリー単独で読んでも、なんとかお話として成立するように書いたつもりですので、よろしければ読んでみてください。

タイトルは「overhead-bin」です。←このリンクからどうぞ。
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


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アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
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左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
天使のささやき_limeさん2
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