Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

『小説バトン』やってみました~!

『小説バトン』です。
TOM-Fさんのところからいただいてきました。
そしてこの中に「シスカ」についての報告も少し入っています。
よろしければ、どうぞ!
そして今回はサキがとても真面目に回答しています。


1.書くならパソコン? 携帯? パソコンなら使っているツールを教えて下さい。

 サキはパソコンです。ツールは、「MKEditor for Windows」ミクエディターですね!を使っています。このエディターと作成中の小説テキストファイルをUSBメモリーに入れて持ち歩いています。
先がこれを出先に忘れて大騒ぎになったわけですね。WINDOWS PCさえあれば、いつでもどこでもいつもの環境で書くことが出来ます。
でもどこででもならタブレットにも興味あります。新型iPadとか……。

2.下書きはしますか?

 しません。デジタルデータは改変自在で便利です。
 ダイレクトに打ち込んでいきますが、設定やプロットなど思いついたことはテキストの先端に打ち込んであります。
 それを参考にしたりコピペしたりして文章を作っていきます。
 完成しても何度も何度も見直して書き直しますので、その時間が結構必要です。

3.執筆は早い方?

 とても遅いと思います。作品を読み返しているだけで1行も進まずに1日終わる、ということも良くあります。自分が読者になっているときもあります。
『面白くないなぁ~』などと落ち込んだりして、ますます進まなくなることもよくあります。

4.今まで何作書きましたか?

 え?数えたことはありませんが目次を見たところでは20作くらいでしょうか?
 シリーズ物やサイドストーリーをどう数えるかで変わってきます。
 一番長い長編は未完です。

5.尊敬する作家、影響を受けた作家は?

 小説を書いていらっしゃる方は読書量も半端でない方が多いようですが、サキはあまり読みません。そして文学作品のような重いものではなくて、流行の軽いものを主に読みます。いろんな作家の影響を受けているとは思いますが、特に思い入れがある作家があるわけではありません。

6.書くにあたって気をつけてること、自分ルールは?

 あの、誠意を持って一生懸命書くということでしょうか。誰に読まれても言い訳できるように、出来るだけきちんとした文章を残しておきたいと思っています。
 あ、上手い文章ということではないですよ。どんなにふしだらなメチャクチャなストーリーでも、こういう心境で書いたんです……といいわけが出来るようなものを残しておきたいとは思っています。なかなか上手くはいっていないんですけど。

7.キャラ設定は細かくする方?

 メインキャラもサブキャラも簡単なイメージは持っていますが、かなり適当です。後はストーリーの中で動き回ることによって勝手に出来てきます。サキの意思とは関係なく、自由に動き回って出来てくることが多いです。
 のってくると本当に勝手に動き回ります。どうしようもないくらいに。その時は執筆も自分でも驚くほど早いです。
 ですから後で推敲する際に調整が大変ですけど。(本当です。先)

8.ここだけの秘密、あのお話の裏設定を聞かせて。
 
 サキの作品の中に“サキ”が出てくる作品が1つだけあります。それは「Blue Moon(青の月)」という作品なんですけど、これはサキがクウモードになっていたときに、自分のためにだけ書いた短い作品です。この作品の最初にも断っていますが、自分のために書いたので面白い作品ではありません。それどころかほとんど意味不明だと思います。
 まだ“左紀”の名前単独で書いていた頃で“サキ”としては初めての登場ではなかったかと思います。
 どうしようもなく落ち込む自分の気持ちを何とかしようとして、衝動的に書いたものです。お勧めしませんが、ここだけ……なんて言われて紹介してしまいました。
 アハハ!ここだけの秘密です。


9.自分で執筆した作品は好きですか?

 もちろん、大好きです。結構何度も読み返したりしますし……。
 まぁ、そのたびに粗が見えてきて、何度も書き直すことになってしまいますが。
 サキにしろ先にしろ、やはりド素人ですので。

10.今後書いてみたい設定など教えてください。

 ファンタジーですかね?
 この間ファンタジーらしきものを導入部分だけ仕上げてそのままになっていますので。きちんとお話になればいいなぁ。とは思っています。

 そして「シスカ」、なんとか完結に持って行きたいです。この作品のためにブログを始めたようなものですから。
 で、今書いているんですよ、シスカ。でもやっぱりプロットをきちんと仕上げてない弊害が出てきまして、第29話から32話を少し書き直しています。
 でも、ストーリーには大きな変化はありません。
 会議の開かれる時間を午後8時から深夜に、シスカが夕食を食べにラサと出かけていたのを、軽く夕食を済ませてから出かけるように変更しました。そのためにシスカとラサが一緒に出かけたのを知っているのは、ヨウコ1人だけということに変わっています。
 これがどう影響するのかというと、まだお答えできないんですけど、続きを書く上で必要な変更だったと言うことしか申し上げられません。
 この場を使って報告しておきます。


11.このバトンは……

 そうですね。ここまで読まれて興味を持たれた方、あなたにお渡しいたします。ではでは。
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またまたバトン

篠原藍樹さんとこでバトンいただいてきました。
ここんとこバトンばかり受け取ってますけど、ネタ切れかなぁ。
尋ねられれば答えることができるんですよね。
文字数制限は無視してしまいました。すみません。

小説書きさんに聞きたい事バトン

Q1 小説を書く時に始めにする事は何ですか。
A1 サキはまず主人公を作り出します。これは意外でしたか?そして主人公を活躍させる舞台を考えていきます。細かい設定はそれからです。「○○は××した」の一文から小説ができあがっていったりもします。(A10参照)

Q2 プロットはどの程度まで書き込みますか。
A2 キャスティングの大まかな設定。簡単な舞台や時代背景。それと数行ぐらいの簡単な展開ぐらいを決めます。キャッチコピーのような物だけのことが多いです。

Q3 キャラの名前や設定はどうやって考えますか。
A3 名前はウィキやネット検索でイメージに合うものを探します。星や星座、神話から決めることもありますが、物語によっては本当に適当に決めてしまった物もあります。ひらめきで決めてしまう事もあります。

Q4 キャラのセリフや仕草などの書き分けのコツありますか。
A4 これは結構難しくていつも苦労します。キャラの区別がつかないのでは、と思ったりしています。これからの課題だとは思っていますが、ある種の才能が必要なのかも……。プロットを作り込めばある程度解決するのでしょうが、サキはあまり得意でないので。

Q5 一人称と三人称の書き分け方、地の文書く時に気を付けている事は何ですか。
A5 地の文というのがよく分かってないんですが(サキは素人です)、三人称で書き始めたら、ずっと三人称のままです。そう心がけているつもりです。

Q6 情景描写や心理描写のコツや勉強法はありますか。
A6 周りを観察するということもありますが、サキの場合は情景描写はひたすら空想です。思い浮かぶ風景を文字にします。出来るだけ詳しく細部まで思い浮かべるのがこつでしょうか?心理描写はキャラの動きを何度も追って、矛盾点をつぶしていきます。勉強法……は、勉強したことはありません。きちんと教えて欲しいです。

Q7 やってはいけない事は何ですか?
A7 “品”の無い文章は書かないように気をつけています。が、本人に品がないのでこれがなかなか難しいんです。品のない部分がありましてもお許しくださいね。

Q8 小説を書く時に自分なりの書き方、コツがあったら教えて下さい。
A8 文が間違っていても、辻褄が合わなくてもとりあえず書き進めていきます。あとで見直して固めていきますので、その時にじっくりと修正します。思いついたときに進まないと忘れてしまいます。

Q9 上手いなと思う小説を教えて下さい。
A9 まぁプロの方はそれなりに上手いんでしょうけど、アマチュアの方が書かれているブログ小説でも感心することが多いです。皆さん上手いし面白いですよ。そうでないとなかなか読み続けられないですからね。

Q10 最後に一言。今まで書いた作品の一文でもいいので何か書いて下さい。
A10 “コトリは「コンステレーション」に向かって自転車を走らせていた”
254はここから始まっています。

お付き合いありがとうございました。

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絵夢の素敵な日常(11)(ラグーン)

空気の読めないお嬢様、絵夢が素敵!と感じたことを感じたままに写し取る、読んでくださる方の都合など全く考えない、とっても自分勝手なショートストーリー。
絵夢の素敵な日常の第11話をUPします。

よろしかったらどうぞ。


絵夢の素敵な日常(11)(ラグーン)


 潮騒が微かに聞こえる。
 緩やかな空気の流れがレースのカーテンをそっと揺らす。
 潮の香りがほのかに鼻孔をくすぐる。
 絵夢はそっと目を開けた。
 天井には海面で反射した太陽光線が不思議な模様を描いていて、それは一瞬も静止すること無くユラユラと形を変える。
 絵夢は心地良いまどろみの世界を漂いながらその様子を眺めていたが、やがてシーツから右手を出して枕元をさまよわせた。そして目的の物が見つけられないことが分ると顔を緩め、ゆっくりとベッドの上に起き上った。
 長く伸ばした黒い髪がシーツの下から流れ出す。絵夢はベッドから足を下ろすと立ち上がった。
 広々とした部屋は木を基調とした南国風の内装と調度品の落ち着いた色合いで統一され、ベッドの正面と左側の二方向が大きな窓になっている。絵夢はそのまま正面に真っすぐ歩いて大きな窓に近づいた。
 大きく開け放たれた窓の外は広いテラスになっていて、その向こうには明るく輝く淡いエメラルドの水面が広がっている。ラグーンになっているのだろうか?水面は穏やかで、高度を上げ始めた太陽がその透明度の高さを際立たせる。目を沖に向けると、環礁だろうか?白い水平の帯が海を分かち、その向こうに白く砕ける波が見る。さらに向こうにはコバルトの海が水平線まで続いている。
「ここは?」絵夢は少しの間放心したように窓際に立ちつくしていた。

「お嬢様?」後ろから声をかけられ、絵夢は驚いて振り返った。
 部屋の入り口に女が立っている。やせっぽちな体型、ふわりした黒い髪、白すぎるくらいの肌、丁度好い位置についているのにアンバランスに大きな目、その中に輝く好奇心に満ちた大きな焦げ茶色の瞳。「香澄!」絵夢は一瞬戸惑ったがやがて笑顔になり、そのまま駆け寄ると勢いよくハグをした。長いハグになった。
「どうしたの?急に!びっくりするじゃない」絵夢は体を離すと改めて言った。
「それについてはあまり深く詮索されないほうがよろしいかと……」香澄はサラリと言うと言葉を続けた。「それよりお嬢様、朝食の用意が出来ております。お召し上がりになりますか?」
「そうね。なんだかお腹が空いた。今何時なのかしら?」絵夢はさっきから感じている疑問を口にした。
「朝、ですけれども、時間はちょっと……。ここには時計が無いのです」そう言いながら香澄はテラスの方へ歩き出した。
「あ、それで……」絵夢はさっきいつもの場所に目覚ましが無かったことを思い出しながら、あたりを見回したがすぐに時計を探すのを諦めた。そして香澄に付いてテラスへ出た。
 テラスは大きく張り出した庇に覆われ、それが作り出す影の下にテーブルと椅子がセッティングされている。香澄は朝食が並べられたテーブルに絵夢を誘った。
 テーブルの上には、フランスパンやコーヒー、トロピカルジュースなど定番の朝食メニューの他にトロピカルフルーツを美しく盛り合わせたボールが置かれている。
 絵夢はいつもと違って2人分の用意がされていることを一瞬不思議に思ったが、すぐに「うわ~綺麗」と歓声を上げた。
 香澄は椅子を引いて絵夢を腰かけさせてから「では失礼して……」と、向かいの席に座った。
「香澄とこうして食事をするなんて初めてじゃないかしら?」絵夢は楽しげだ。
「今日は特別です」2人はいただきますを言うと食事を始めた。

「香澄、香澄が来てくれたのは私が6年生の時だった?」ジャムをつけたパンをほおばりながら絵夢が訊いた。
「正確には6年生の3学期の始業式の日からです。一旦退職しておりましたから補助的な立場でしたけれども……」
「そうだったかな?傘を差して空から降りてきたんだよね?」
「またそんなご冗談を。私はメリーポピンズではありません」
 フフフ……2人は顔を見合わせて笑った。
「香澄が来てくれてからはとっても面白かった」
「それはありがとうございます」香澄が嬉しそうに礼を言った。
「だって、メチャクチャなんだもの」いたずらっぽく絵夢が笑う。
「どちらがですか?前言は取り消します」言葉とは裏腹に香澄は微笑んでいる。
「一番面白かったのは2人で香港の家に行った時だったわ。九龍を散策したときは本当に楽しかった」絵夢も微笑み返す。
「散策だったんですか?誘拐事件と間違われて大騒ぎになって、後でこっぴどく叱られましたけれども……」香澄はコーヒーに口をつけながらすました顔で言った。
「ごめんなさい」絵夢は神妙な顔になった。止める香澄を引っ張り回し、警察が出動する大騒ぎになった記憶があったからだ。この後、香澄は絵夢と2人きりで出かけることはなくなった。
「謝ることはありません。私も連絡を怠りましたし、これ以上無いくらいスリルを楽しみましたから」香澄は本当に楽しそうに話し、絵夢も笑顔でそれを受けた。
 2人は朝食を終えてからもそのままテラスで思い出話に花を咲かせていたが、やがて絵夢が大きく伸びをしながら欠伸をした。
「ごめんなさい。2度寝をしてもいいかしら?なんだかまた眠くなっちゃった」
「どうぞ、ご自由になさいませ。ここでは何をしても自由ですから。時計もありませんし」そう言うと香澄は立ち上がり「少しお待ちください。ベッドをお直ししますから」と部屋に入っていった。
 絵夢はしばらくの間ラグーンを眺めていたが、やがて香澄に呼ばれて部屋に入っていった。
 絵夢がベッドに横になると香澄はシーツをかけ「ごゆっくりお休みください。私は隣に居りますので」と言った。香澄がレースのカーテンを閉めたので、部屋は落ち付いた雰囲気になった。
「ありがとう。おやすみなさい。でも香澄、ここはどこなのかしら?」
「それについてはあまり深く詮索されないほうがよろしいかと……」香澄はまたサラリと言った。
 絵夢はゆったりとした気持ちになって天井を見上げていたが、やがて心地よい眠りに落ちて行った。

 断続的に繰り返す耳障りな音に眠りは中断された。絵夢はシーツから右手を出して枕元をさまよわせ、目覚まし時計を見つけるとスヌーズボタンを押した。
 しかし音は鳴りやまない。「香澄!香澄!」訳が分からなくなって絵夢は香澄を呼んだがどこからも返事はない。
 ようやく鳴っているのが自分の携帯電話だということに気が付くと絵夢はサイドテーブルに手を伸ばした。そして携帯を取り、発信者を確認すると電話に出た。
「出るまで鳴らせとのご指示でしたので……」電話の向こうから黒磯の声がする。
 今までのウキウキした気持ちが萎えて行くのを感じながら絵夢は沈んだ声を出した。「ええ、ありがとう。黒磯。もう大丈夫、目が覚めたわ。スケジュールは決まった?どうすればいい?」
 黒磯の長い説明が始まった。絵夢はそれ黙って聞いていたが、思っていたことが思わず口をついた。「香澄の方が優しいな……」
「何かおっしゃいましたか?」
「香澄の方が優しいなって、今なんとなくそう思ったの」
「香澄……ですか?あれはお嬢様を甘やかしすぎます。あれとお嬢様を組み合わせたら最強ですが、破壊力が大きすぎますので……で、あれが何か?」
「ううん。何でも無い。暫く会ってないなと思って」
「お嬢様が独立なさった時にお側を離れましたからね。でも、いつでもお会いになれますよ」
「そうね」絵夢は今度黒磯家に押しかけようと考えて、いたずらっぽい笑顔になった。
「でも黒磯の説明、聞いてなかった。もう一度最初からお願い」
「は?もう一度ですか?」黒磯は今日のスケジュールについての長い説明を最初から繰り返した。絵夢の忙しい1日が始まった。


2013.11.17

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物書きエスの気まぐれプロット(4)

物書きエスの気まぐれプロット(4)

 トロは真っ直ぐに前を見つめている。
 トンネルは闇の中を真っすぐに続いていて、そこには一筋の線路が真っ直ぐに敷かれている。
 そして、その上をマルベル機関の軽やかな音を響かせてトロッコが進んで行く。
 今日のお客は若いのから年寄りまで、しかめっ面をした調査団の男ばかり5人だ。
 トンネルの中は本来真っ暗なはずだが、体内に埋め込まれたフラウンホーファー炉からのエネルギーで全員の頭上に発光環が作り出され、自分たちの周りだけは明るさを保つことができている。
 トロの頭の上にも美しく輝く円い輪が浮いていて、肩まで届かないくらいに切り揃えられた黒い髪や好奇心に満ちたクルクル動き回る大きな焦茶の瞳をくっきりと照らし出している。それはトロという女の子の性格を想像することが出来るくらいの明るさを持っている。
 光が有ることと、マルベル機関が快調に回っているということは、こんな場所でもリンク切れが起きていないということを示している。事前に説明は受けていたものの一抹の不安を抱いていたトロは、この光と軽やかな音によって大きな安心感を得ることが出来ていた。
 奥へ進むにつれて気温が少しずつ低下する。十分な防寒着を着込んではいるが、トロは吐く息の白さに思わず襟元を引き締めた。
 前方には同じスピードでタモのトロッコが進んでいる。トロのトロッコはこの間、車輪の軸受けをメタルからボールベアリングに交換してずいぶん滑らかに走るようになったのだが、タモのトロッコはその改造を施した上に更にショックアブソーバーを取り付けている。だから、ゴトン・ゴトンと振動が直接伝わるトロのトロッコより格段に乗り心地がいい。
 トロは金払いの良い市長や議長達がタモのトロッコを選択するのを横目で眺めながら、今度はあれを取り付けるのだと心に決めていた。

 まもなくトロッコはトンネルの最深部に到達した。
 トロッコが止まったところはトンネルの断面が少し拡がっていて、それは多分トンネルの維持や補修作業のために設けられたスペースなんだろうとトロは想像した。
 乗客達は下車すると1カ所に集まって調査を始めたが、トロとタモは一旦トロッコを分解して線路際の作業用のスペースにどけた。調査の邪魔になるということもあったが、進行方向を逆向けに線路に乗せ直す必要が有ったし、タモのトロッコを前にする必要もあった。線路はそこから100メートル程続いてからコンクリートの壁に吸い込まれて行き止まっているのだ。
 その壁には人が立ったまま通り抜けられる程の四角い穴が開いていたが、そこから先への立ち入りは硬く禁じられている。この先はリンクが切れてしまうのだ。
 トロとタモは分解作業を終えると線路の上に並んで座り込んだ。
「なあ」タモが声をかけてきた。
「なあに?」トロは少し気だるそうに答え、タモの方を向いた。白い息が2人の上で混ざり合う。
「ここのレールはずいぶん立派だろ?」タモはレールをポンポンと叩きながら言った。
「そうだね。いつも走っている線路より倍ぐらいしっかりした感じだね」
「トンネルの直径もずっと大きいだろう?」
「うん、これも倍ぐらいある感じがする。スラブもしっかりしているし。ウチらのトロッコが走るだけじゃもったいないよ」
「だな……。でもお前、よく幅の広い車輪を持っていたな」タモは少し悔しそうに言った。ここの線路はいつも走っている線路とは違って少し幅が広い。今回の依頼が舞い込んだ時、こういう特殊な幅の車輪は自分しか持っていないとタモはトロに自慢したのだが、なんとトロも持っていたのだった。
「準備万端怠りなしだよ。参った?あらゆる所に行けるようにしておかないと、商売にならないからね」トロは頭の上の光の輪と一緒に小首を傾げるとフフッと笑った。
 タモはそんなトロを少し驚いたような顔になって見つめていたが、やがてチラリと調査団の様子を確認してから「トロ、行き止まりへ行ってみないか」と言って立ち上がった。
「え!大丈夫?」トロは調査団の方を向いて首を伸ばした。
「大丈夫さ。奴ら忙しそうだし。行こうぜ」タモはニヤリと笑うとトロの手を引いた。
 トロはまだ調査団の方を見ていたが、タモの手に引っ張られるようにして立ち上った。
「そうだね。少しくらいなら」そう言うと手を引かれたままタモの後をついてレールの間を歩いていった。
 行き止まりの壁は2本のレールを吸い込んで冷たく立ちはだかっている。トロはその壁に近づくと天井を見上げながらそっと手を触れた。「冷たい」凍り付くような感触にトロは思わず声を出して手を離した。
 タモは手を繋いだまま壁にポッカリと空いた穴を覗いている。「トロ。覗いて見ろよ」何故か小声になったタモに引っ張られてトロは穴の中を覗いた。
 穴の中はまた同じ大きさのトンネルになっていてやはり真っ暗だった。しかし僅か20メートルほど向こうはまた壁になっていて、同じくらいの大きさの穴が弱い光に浮かび上がっている。
「人だ!」トロは叫んだつもりだったが、感情だけが先に飛び出し、実際は囁くような声になった。穴からは幾つかの人影がこちらを覗き込んでいる。彼らは指先を輝かせていて、その明かりがこちら側に漏れてきているのだ。
 2人は声を出すことも出来なくなってじっと向こうの穴を覗いていたが、向こう側の人影も同じように思っているのだろうか、動きを止めてこちらを見ている様子がぼんやりと照らし出される。彼らの指先の輝きは、トロやタモのように強くは無いのだ。
 ようやくトロがタモと顔を見合わせた時、トロの全感覚は地底の最深部から響いてくるような、体の中の不安に共振して増幅するような、そんな微かな振動とそれに付随する音を捕らえ始めた。
「タモ……」トロの声はそんな微かな振動にも共振して震えていた。
「感じてる。何の音だ?」タモの声も震えている。
 やがて微かな振動は小さな振動になり、トロはそれが自分が足を乗せているレールから伝わってくる事に気がついた。「タモ、レールが震えている」かすれるような声でトロが言うと、タモは急いでしゃがみ込んでレールに耳を当てた。
「来る!何かが来る!」タモはレールに耳を当てたまま叫んだ。
 トロもしゃがんでレールに手を当てた。少しずつ、少しずつ振動は大きくなっていく。「来るの?」ようやく少し大きな声を出したトロは、立ち上がって穴の中を覗き込んだ。向こうの穴の中では人影が忙しなく動いて指先に灯った光が動き回る。同じように慌てているのだろうか。振動はどんどん大きくなって、地の底から聞こえてくる唸り声のような音に変化した。やがて唸り声はドラゴンの雄叫びのように大きくなり、振動もトンネル全体から伝わってくるようになった。 2人は向こうの穴を覗き込んだがもう人影は見えなかった。その代わり穴の中が徐々に明るく輝き始めた。
 「来る!」タモが鬼気迫る声で叫び、トロの手を引っ張って壁を離れて駆けだした。「来るぞ!逃げろ!」タモは叫び走った。トロも全力で走り「壁際に避けて!」と叫んで手を大きく振った。轟音で声は届いていないがリンクがつながっているはずだ。調査団の連中が大慌てで壁際に避難するのが見える。「伏せろ!」タモが叫んだ。音と振動はもうこれ以上は無いと思われるほど大きくなった時、タモは右手でトロの体を抱きかかえ、左手でトロの頭をかばいながら壁際に大きくジャンプした。
 地殻が裂けるかと思われるほどの大音響が響いた。
 タモはトロの上に被さると両手と胸でトロの頭をかばった。
 トロは顔を横に向けタモの体の隙間から線路の方を見た。轟音と共に尖った先端を光らせた巨大な弾丸のような物体が、2人のすぐ横を猛スピードで通過した。
 激しい振動と轟音と爆風とさらに輝きを発しながら、幾つもの巨大な筒が弾丸の後に続いて通り過ぎるのを見ながら、トロはその筒の数を妙に冷静に数えていく。2・3……13まで数えたことははっきりと憶えていたが、14・15……思い出すように湧き上がってくる恐怖に耐えきれず、トロはタモの体に顔を埋めた。


 わたしは目を覚すと、いつものように気配を消したまま片方の目だけをそっと見えるようにした。わたしはエスの小さな机のいつもの場所に座っている。ここはエスのPCのモニターが目の前に見えてとても楽しい場所なんだ。そしてわたしは大体はここに座っているんだよね。
『あれ!ダイスケだけなんだ』けれども今隣にはダイスケが座っていて、じっとモニターを覗いている。わたしは暫く耳を澄ませて他に誰もいないことを確認すると、もう片方の目を見えるようにした。壁の時計は午後11時を少し過ぎているから、エスはもう寝室へ行ったんだろう。
 フムフム、これはこの間エスが書いていたトロのお話しだ。
 でも確かあのときエスはパスワードの効いたフォルダーに放り込んでいたんだけど。だからまだダイスケには読んで欲しくないお話しのはずだよ。おかしいな?
 ダイスケは黙り込んだままこのお話しを読み終わると、フウ~~ッと長いため息をついてからファイルとフォルダーを閉じた。
 そしていつも開いている校正用のフォルダーを開いた。

 起動に失敗したA.I(人工知能)S9004のサルベージは、同じA.Iの試作機S9000を使って行われた。そしてあらゆる不測の事態を想定し、用意周到に行われたサルベージは見事に成功し、S9004は起動した。研究者達はモニター上に表示される起動確認出力「Hello world」に歓喜し安堵した。その出力の後に表示されたプロンプトは、開発者たちの問いかけを待っているように物欲しげに見えた。
 起動したA.Iには開発チームから選りすぐられたメンバーで構成された専属チームが四六時中貼りつき、起動メンテナンスを行う事になっている。
 彼らは試作0号機から3号機までの4機のA.Iから得られた経験と精神原型のバージョンアップ情報を踏まえながら、慎重にS9004とのコミュニケーションを開始した。その作業は非常に順調に進んでいるように見えた。
 だが間もなく研究者達は混乱のどん底に突き落とされることになった。
 S9004はコミュニケーション開始後30分で自己崩壊ループに入り込み、そのまま閉塞したのだ。
 それだけならS9004のダメージだけですんだはずだった。しかし問題はサルベージ終了後もサポートのために試作機S9000を接続したままにしていたことだった。途中で研究者の1人が気づいて緊急で接続を遮断したのだが、若干時機を失していて、その時にはすでにS9000にも浸食が及んでいたのだ。
 スタッフの懸命な復旧作業によってS9000は何とか再起動することに成功したが、どのような影響を受けたのかは不明だった。


「あれ?見てくれてるんだ」エスの声がした。わたしは慌ててエスの方を向いた目の気配を消した。
「ウン?寝たんじゃなかったのか?」ダイスケがエスの方へ顔を向けた。
「目が覚めちゃった。早く寝すぎたのかも」エスはリビングに入ってきて「で、どう?」と訊いた。
「おお、起動は失敗したのか?」
「ううん。成功はしたの。でも目覚めた知能はそのまま自分で閉じてしまったの……」
「世界には生まれてくる値打ちは無かった、ということか?」
「う~ん、そんな感じかな?」
「だがこんな断片ばかりじゃ、話がよく分からんぞ」
「断片?ああ、このお話はオムニパス作品の1つで、作品の切れ目に断片で挟み込むつもりだから、こんなふうに書いてるんだ。でもねウチは人工知能が大好きで、自分がそうだったらいいなって思うくらいなんだけど、人工知能が本当はどんな物なのかが分かってないし、想像だけで書いていくのはもう限界なんだ。トーサンで何とかそれらしく解説を付け足して、少し長くしてれないかな」
 フウ~、ダイスケはため息をついて言った。
「エス、お前は変な奴だ。変わってる。だが俺だって知識があるわけじゃな無いからな。上手く書けないぞ」
「かまわないからやってみて!お願い!」エスはいつものお願いの顔をした。
「だが、ここんとこ気になってるんだが話が暗過ぎないか?」
「アハハ!いつも明るい話ばかり書けないよ。ウチはそんなに脳天気じゃないし」
「そうなんだろうがな」ダイスケはまた長いため息をついた。

 健気に受け答えをするS9000には異常はまったく無いように見える。しかし、サルベージ中にどのような経験をしたのかはS9004が正常に動作しなければ正確に検証することは不可能だ。すべては未知数で、長い検証作業が必要だった。
 新しい精神原型を使用する予定の5号機、S9005の起動は無期限に延期された。

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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


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アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
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