Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 

3000HITありがとうございます。

  3000HITに到達していたんですけど、コメレスを書き込んだり、お題について考え込んだりしていて、お礼の記事のUPが遅くなってしまいました。すみません。
「DdebrisCircus」この変なブログに3000HITものアクセスをいただいて本当にありがとうございます。思えば2011年の10月1日に最初の記事をUPさせていただいてから11ヶ月、長いようですがなんだかあっという間だった様な気もしています。
 山西は文章を書くのが遅く、書いたとしても何回も見直さないと上手く表現できていなかったりするので、あちこちのブログを覗かせてもらって、それに対して気の利いたコメントをどんどん入れるということができません。小さな記事にも1時間も2時間もかかってしまうこともしばしばです。実はこの記事にも2時間以上かかっています。
 そんなですのでアクセス数も特に増えることも無かったのですが、何回かコメントのやりとりをさせていただいているうちに、徐々にブロともさんも増えてきて(なんと現実世界より多いんじゃないかと思ったりして)楽しくブログを続けさせていただいております。思い切って始めてみてよかったのかなと思っています。
 アクセスいただいた方、拍手いただいた方、コメントいただいた方、そして拙い作品を読んでいただいた方、本当にありがとうございます。

 3000HIT踏まれた方は海外在住の日本出身のブロともの方で、その方(八少女夕さんなんですけどね)から、「3000HIT記念に掌編を書いてみる企画」のために頂いたお題は「サイダー」(飲み物の…)でした。そして選んでいただいたオリキャラは「コトリ」です。「コトリ」は『第3回目(となった)短編小説書いてみよう会』のために焦り気味で思い切って作り上げたオリキャラですが、準備不足もあってしっかりとしたバックボーンが決定していなかったキャラクターです。再度活躍させるためにはその辺をきちんと決めておく必要があるように思います。ちょっと難題ですがやってみるつもりです。
 チャレンジですね。どんな作品が出来上がってくるか、今のところカオスですがなんとかまとめていきたいと思っています。掌編を書いてみるって宣言したんですけど、短編ぐらいになるかもしれません。

 まもなくブログ開設から1年がやってきます。また何か企画を設定できればいいなと思っています。
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シスカを見つけました。

エーッと、山西、少し驚いてます。そして嬉しいみたいです。
…というのはですね、山西のブロとものスカイさんのブログ
「星たちの集うskyの星畑」を訪問させていただいた時に、
なんとシスカを見つけたんです。
スカイさんは「シスカ」を30話まで読んでいただいた数少ない
読者のお1人で、読み通して気に入っていただけていたようで、
シスカのイメージイラストを描いてブログに載せておられたんですよね。

スカイさんの絵はシンプルな味のある絵で、童話の挿絵などに使ったら
ピッタリとはまりそうな夢のあるものです。
(あのまん丸頭のキャラも大好きなんですけど)
せっかく書いていただいたので、ここに掲載しておこうと掲載の許可をいただきました。
いかがですか?

スカイさんシスカイメージ

そして近況です。
いま、「3000HIT記念に掌編を書いてみる企画」を進めています。再度載せておきますが、
お題は「サイダー」御指定のオリキャラは「コトリ」です。
実はすでにラストまで書きあがっていますが、例によってただいま校正中です。
6300文字程度の短編になっています。発表までもう少しお待ちください。
やっつけで書き上げたので意味不明の部分がかなりあります。
意味が分かるように直さなければ……。
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うっかり……

なんとなく動画の表示テストをしていて……泣いてしまいました。



By: フェイP
詞:Gigio mylist/22130953
曲・ピアノ:フェイ mylist/8018988 tw:Faye_Chiara
録音協力:妹
動画:水奈 mylist/19199987 tw:mina_mm
2011年09月23日 20:00 投稿
ニコニコ動画より転載

それをリンク
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254 enhanced

 この世のすべての光を吸収するようなつやの無い黒、そんな色がこの世に存在するならばそれはこの機体の色だ。レーダーの電波もほとんど反射しないこの特殊な機体、B94型戦略爆撃機ピースキーパーは、午前2時の闇に溶け込むように徐々に高度を下げて市街地の上空へと進入していた。信じられないことにコックピットには誰も居ない。誰も座っていないシートの前にある幾つものモニターには様々な図形や数字が表示され、一部は点滅を繰り返していた。
 このあまりにも静かな市街地直上の飛行は、真夜中の時間帯だったこともあって、下から見上げて不審に思う市民なども全く居ないように思われた。

 サヤカは急いでいた。もう午前2時が迫っている。サヤカは1週間の予定でバイク(オートバイ)で1人旅に出かけていた。もう1泊する予定だったのだが、気が変わってそれを切り上げ、休憩もそこそこにフリーウェイを飛ばして帰ってきたのだ。(そっと家に忍び込まないと父さんにお目玉を食らいそうだな。まいったなぁ。お兄ちゃんの部屋の窓からいれてもらおうかな)サヤカは物置にあるはしごを使って2階の兄の部屋から家に潜入する方法を考えながらフリーウェイを降り、愛車DEZMO720にもう一息の鞭を入れた。

 静かに飛行を続けるピースキーパーの胎内には、イルマ空軍が開発した新型爆弾「NAGI」が眠っている。この兵器はその威力を実験以外で見せつけることは無く、永遠に抑止力として眠り続ける……はずだった。しかし、無人のコックピットでは警報が鳴り始め、失速警報のシグナルが点滅し始めた。フルパワーの指示が発せられるがそれを実行に移す者は居ない。

 前方の信号が赤に変わった。(もう。こんな夜中に赤にしなくてもいいのに)サヤカは文句を口の中で唱えながら停車した。(いつもの角までいったら720のエンジンを止めて、押してガレージに入れなきゃ)家族や隣人を起こさないように配慮することを考えていたサヤカは、微かなジェット音に上を見上げた。人々の生活から夜空に漏れだす鈍い明かりの中を、黒い大きなエイのような物体がゆっくりと通り過ぎていくのが見えた。それはまもなく街並みの向こうに消えていった。

(何だろう?UFO?)サヤカがそう考えた次の瞬間、街全体が真っ白な閃光に包まれた。
この世が終わったかのような閃光が町を包み込み、少し遅れてあらゆるものを消し去った後の轟音と爆風がやって来た。体を低くして何とかバイクを転倒させずにやり過ごしたサヤカは、何が起こったのか分からず本能的に自分の家の方向にバイクを発進させた。
 その後のことをサヤカは途切れ途切れにしか憶えていない。閃光のあった方向の住宅街だった所には広大な空間ができていて、中心部は熱を持ち、すぐには近づくことができなかった。そこにあったはずの建物はすべて消えていた。
 サヤカはその空間を当ても無く長時間さまよった後、夜明けの薄明かりの中ようやく自分の家のあった場所を見つけることができた。そこはその広大な空間の中心で、足元には超高温で変質した瓦礫が広がっているばかりだった。昨日は家族全員がそこに居たはずだ……そう考えると一気に膝の力が抜けて座り込んだ。
 気がついた時、DEZMO720はフリーウェイを時速150キロで西へと向かっていた。サヤカは狂気を含んだ顔で彼720の背中にしがみついていた。

 すべてが終わり。幾つかが無から始まった。
 そして
 雨の季節が始まろうとしていた。

 ヤキダマはフェンスの前に立っていた。フェンスの向こうには広大な空間が広がっている。
 そこには建物は言うに及ばず、あちこちに生えている雑草以外立っているものは何も無い瓦礫の空間が広がっていた。
 フェンスには立ち入りを禁ずる旨を書いたプレートが風に揺れていた。
 ヤキダマの隣には、コトリがひょろりとした体に“オカッパ”の黒い髪を風に揺らして立っている。両手の指はしっかりとフェンスを掴んでいる。指先が白くなっているので力が入っていることが分かる。
 そんなコトリをさりげなく見つめながら、ヤキダマは鈍い疲労感を感じていた。早朝カンデシティーを出発してから550Kmを延々と時速120キロ以上で走行した。1時間以上走り続けないようにサービスエリアで休憩を取ったが、コトリは東へ進むにつれ無口になった。最初の休憩ではまだ笑顔をみせて冗談も言っていたのだが、2回目3回目と笑わなくなって、心ここにあらずの時間が長くなった。どんどん無口にそして表情が乏しくなってゆくコトリに昼食を進める機会を失ったまま、6時間以上をかけてウラスの街にようやくたどり着いたのだった。
 事故の現場に行くという予想はしていたが、実際コトリのバイクがそこに向かっていると分かった時にはやはり緊張したし心配もした。そこはサヤカ……今はコトリと呼ばれている……の実家の有ったところだ。事故の原因は、新型爆弾を積んだ最新鋭爆撃機の自動攻撃訓練中の墜落とされていたが、その“爆心地”の中心にあったコトリの、いや、サヤカの実家は跡形も無くなり、サヤカの家族も思い出もみんな消えてしまったのだ。なんの痕跡も残さずにだ。傍目にはきちんと現実に向き合っているように見える。しかし乏しい表情の内側が表面に出てくることはほとんど無い。あからさまにならないように気を使いながらヤキダマはコトリの様子を見守っていた。
 どれくらいそうしていただろう。コトリは指先に込めた力を緩め、フェンスから手を離すとヤキダマの方を向いて「行こうか……」と言った。
「いいのか?」ヤキダマはコトリの目を見つめて言った。
「……」コトリの唇は微かに揺れたが言葉にはならなかった。かわりに顔が僅かに上下に動いた。ヤキダマはコトリの顔を暫くじっと見つめていたが、彼女の唇がきつく結ばれるのを見るとゆっくりと頷いた。コトリはフェンスに背を向けると歩き始めた。
 そして振り返ることなくバイクのところまで一気に歩くと、ジャケットをはおりヘルメットを被りエンジンをスタートさせた。コトリのバイク、赤い254は直列4気筒の滑らかなエキゾーストノートを響かせた。ヤキダマはあわてて自分のバイクに跨るとエンジンをかけたが、ヘルメットを被ろうとしてあご紐を留めるのに手間取っていた。
 コトリはそれにかまわずバイクをスタートさせた。甲高い音を響かせて2速・3速とレッドゾーンまで加速していく。ようやくあご紐を留め終えるとヤキダマは大急ぎでコトリの後を追った。

 事故のあった住宅街は台地の上に広がっている。そこからフリーウェイのインターチェンジへ向かうには、台地から平地へ急激に下って行く2箇所のヘアピンカーブを抜けなければならない。ヤキダマは台地の端にたどり着くとバイクを道の端に寄せ下を覗いた。ここで道は90度右に曲がって坂を暫く下ると最初のヘアピンがある。そこで180度方向を変えてさらに下って、ヤキダマが覗いている場所の真下辺りで2つ目のヘアピンに達する。そして再び180度方向を変え、暫く直進してから緩やかに90度カーブを描いてインターチェンジの方面へ抜けてゆく。いま、真下の2つ目のヘアピンカーブをコトリの赤いバイクが抜けていった。車体を右に大きく傾け高速で安定したコーナリングを済ませたそのバイクは、甲高い排気音を響かせながらその次の緩やかなカーブをなぞった。その遙か向こうには午後の日差しを受けて晩夏色に輝く大洋が広がり、その向こうには真っ白な入道雲が立ち上がろうとしていた。走り去るバイクからそのまま目線を上げて雲を見上げていたヤキダマは、ふと空から目を離してあわててバイクをスタートさせた。
 ヤキダマはインターチェンジからフリーウェイに入ると、スピードメーターを時速130キロに合わせ走行しようとした。コトリだったらたぶん140キロ程度で走っているだろうと想像したが、疲れを抱えた体では安全性から考えても自信が無かった。今のスピードでも一旦ハンドルから手を離すと、風圧の影響を受けて手をハンドルに戻すのにかなりの力を必要とする。そのうちにこのスピードにも絶えられなくなって、もう少し速度を落とさざるを得なくなった。気持ちは焦っていたが体が、そして精神が弱っていた。
 給油をするサービスエリアはあらかじめ決めてあった。254とヤキダマのバイクEXP600の航続距離を考えながら給油の出来るサービスエリアを決めておいたのだ。万が一相手を見失ってもここで出会える作戦だった。復路での最初の給油ポイントが迫っていた。ヤキダマは減速レーンに入るとスピードを落としサービスエリアへ入っていった。駐車場をざっと流しながら254の姿を探すが見当たらない。もうすでに給油を終え出発したのだろう。バイク駐車場に600を停めると建物の中のコンビニに飛び込んだ。腹ペコだった。サンドイッチと缶コーヒーを大急ぎでお腹に詰め込み、親父とコトリに現在位置と時間を簡単に記したメールを発信しながら給油しすぐに出発した。
 復路2つ目の給油ポイントにも254は見当たらなかった。長い長い1日だった。おまけにまだまだ終わる目処は立たない。疲労は重たい塊になって体内に蓄積し、眠り込んでしまいそうだった。時速100キロ以上の風圧もなかなか目を覚ましてくれない。
(600マイルブレンド、これがどれだけバカげたことか想像してみたらいい。たった1杯のコーヒーの為にカンデからウラスまで1000キロ以上を往復するんだ。今回は一応の目的はあるが、何も1日で往復する必要なんか無いんだ。誰でもいい、やってみろよ。走ってみればどれだけバカげた事か分かるだろう)
 道路情報の大きなモニターに事故の表示がないことを確認し、目覚ましのブラックコーヒーの缶を開けた。休憩もそこそこに給油をしながらメールを発信し出発した。最後の給油ポイントまで止まらないつもりだった。
 コトリは本当にこのフリーウェイを走っているのだろうか?どこか別の方向へ飛び立ってしまったのではないだろうか?あそこに行って、あの風景を見て普通の精神状態であるはずが無い。先に行かせるんじゃなかった。ウラスでもっとしっかりと捕まえておくんだった。事故があったときのように思いもかけない方向に飛び立ってしまったら、僕にはもう二度とコトリを捕まえるチャンスは無いんじゃないのか?自然界に飛び立った小鳥には自由は与えられるが、常に危険が付きまとう。1人で飛び立ってしまったら、僕はもう守ってやることは出来ないのだ。
 ヤキダマの朦朧とした頭の中では、エンドレスに繰り返される思考に重なって非常警報も響いていた。それは高回転でまわり続けるエンジン音だったのかもしれないし、ヘルメットをかすめる時速100キロ以上の風の音だったのかもしれない。夕方が近づいて暗くなり始めていたが、ヤキダマの判断力はかなり低下していた。
 ふと気付くと3つ目、最後の給油ポイントが迫っていた。ヤキダマは減速を始め、ゆっくりとサービスエリアへと入っていった。今回も駐車場をざっと流しながら254の姿を探すが見当たらない。バイク駐車場にも停まっていない。親父からもコトリはまだ到着していないとのメールが入っていた。
 最後の期待を裏切られたヤキダマは、ショップエリアの端に設けられた大きなソファーに座り込んだ。暫くそうして下を向いていたが、我慢できなくなって、背もたれに大きくもたれかかった。そうしてから目を瞑り、眠りの世界に落ちようとした。
 その時、両方の頬に冷たい感触を感じてヤキダマは飛び起きた。目を開けると目の前にコトリの顔があった。ヤキダマは暫く呆然とコトリの顔を見つめていたが、思いついたように「コトリ?」と言った。そして両手をコトリの背中に回すと引き寄せ、グッと抱きしめた。コトリは目を見開いたが、そのままヤキダマの上に倒れこんだ。そしてそのまま暫くじっとしていたが、ヤキダマが涙を流しているのを見るとその涙にそっと唇を触れさせた。
「どこを走ってたんだ。駐車場にもバイクは無かった」
「給油してガソリンスタンドに停めて、ずっとこっちを見てたんだ。600が見えたから……」
「心配したよ」
「そう?でも普通に走ってきたんだよ。ヤキダマの位置はメールで分かってたし」コトリはこともなげに言った。
「僕には何も分からなかった」ヤキダマは抗議の声を上げた。
「ごめん。走るのに夢中になってた」
 ヤキダマは少しの間コトリの顔を見つめた。「大丈夫なのか?」
「何が?」コトリはキョトンとした顔で答えた。「私のことを心配してた?」
「当たり前だろ。どこかへいってしまったのかと思った」
 コトリはヤキダマの耳元に口を近づけて「ありがとう。私、このまま進んで行こうと思う。ここまで走ってきてやっとそう思った……上手く進めるかどうか分からないけれど……」と言った。ヤキダマはもう一度コトリを抱きしめ、その存在をしっかりと確認してからそっと横に座らせた。
 並んで座りながらコトリは「親父さんに連絡を入れなきゃね。ここまでたどり着いたらあと少し休憩しても安全運転で間に合うよ。もっとも254はオーバーヒート気味だから、安全運転じゃないと走れないんだけど」
「調子が悪いのか?」ヤキダマが心配して訊くと「大丈夫。充分走れるよ。ほら。これ。飲んじゃおうよ。喉が渇いた」コトリは持っていたサイダーの瓶をもう一度ヤキダマの両頬に当てた。ヤキダマの涙は瓶に付いていた水滴で帳消しになった。
「冷たくて気持ちいい。僕もカラカラだ。飲もう」ヤキダマはコトリの分もキャップを開けるとコトリに手渡した。
 2人はサイダーを一気に飲み干した。飲み終えると2人はソファーに背中を預け、そして何気なくお互いに寄りそった。お互いがお互いを意識の中に置いたその時、2人同時に大きなゲップが出た。
 2人は暫く顔を見合わせていたが、やがて同時に笑い始めた。


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3000HIT記念掌編できました。

 お待たせしました(誰も待ってないかも……)。
 こんにちは~。サキです。やっと出来上がりましたのでUPします。
 お題をもらってからずいぶんたったので忘れちゃった方もいるのでは?
 Debris circus 3000HIT記念の掌編です。夕さんに踏んでもらって、もらったお題は「サイダー」そして指定のオリキャラは「コトリ」でした。
 がんばって指定のされたとおり書き上げました。タイトルは「254 enhanced」です。興味がある方は、とりあえず先に読んでみてください。この記事、後半は軽い反省会になってます。下のリンクからどうぞ。アッ!でももし「254」を読んでないなら先にそっちを読んだほうが分かりやすくなるかな。こちらもリンクを置いておきます。

「254」
「254 enhanced」

 いかがでしたか?コメントなど入れてもらえたら嬉しいです。
 で、ですね。このお話は「254」の続編になります。
 ぶっちゃけた話になりますが、サキは『映画でも小説でも「2」というものは「1」より面白くなることはない!』とかいう説をどこかで聞いたことがありまして、じゃぁ、そういうものはなるべく書かない方がいいのかな、と思っていたのですよ。でも苦労して作り上げたオリキャラが短編1作でおしまい。というのに満足できなくなって、いろいろ画策している最中だったんです。たとえばEridanus(エリダヌス)や Achernar (アケルナル)なんかそうですよね。
 で、今回の企画では「お題」のほかにもう1つ「オリキャラ」の指定をお願いしたんです。設定を20年後とか10年前とかにして、もっと関連を薄くしても良かったんですが、(例えばもう結婚しているとか…子供がいてその子をメインで動かすとか…コトリの小さい頃のエピソードとか…)このお話はもろに続編です。「254」が謎をたくさん残した作品だったので、この作品ではそれをできるだけ埋めてみました。そのせいでなんだか訳が分からなくなっているかもしれないけど「2」の弊害ということでごめんなさい。コトリが指定された時、これを書かなくちゃ…と思ってしまったんです。
 こういうチャレンジができてとても楽しかったです。そしてとてもすっきりしました。夕さんありがとうございました。(面白いお話が書けたかどうかは別にして…)
 これからは「続編」もどんどん書いていこうかな。
 あ!先に「ステルラ」用の作品を書かなくちゃ。

 先へ、校正とUPお願いします。

 先です。帰ってきたらここまで書いてデスクトップに置いてありました。校正してUPしておけ。ということでしょうか?本文の方は校正は済ましてますのでこのままUPするとして。夕食はどうするんだ?連絡ぐらい入れてほしいなぁ。
 この記事は少しだけ腹が立つのと、けっこう素面のコメントなのでこのままUPしてしまいます。生サキです。ざまみろ!どこ行ったのかな?でもやっぱりチラッとチェックしておこう。でもほぼ生サキです。
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愚痴を聞いてください!!!

 いま、なかなか更新ができていないのは……そうなんです。
山西はスカイさんと藍樹さんとの共同企画「月刊・ステルラ」に参加しておりまして、
それに掲載する作品をいそいそと書いているんです。
そうそうたるメンバーが参加されていて企画自体はとっても楽しみにしているんですが、自分の作品ができなければ何にもなりません。

 やはり相変わらず山西の筆はとても遅くて、アイデアは出てもいざ書こうとすると進行できない……という状態に陥っています。キーボードもタッチタイピングには程遠くて、カタ・カタと打っているうちに文章を忘れてしまってぶちきれるとか。
書きながら、あぁマンネリ!と、ごっそり消去してしまって後で後悔、なんてことを繰り返しています。

 どうしようかな?間に合うんだろうか?少し締め切りを意識しすぎなのかもしれません。
今回は急に参加を決めてしまって「短編小説を書いてみよう会」の時のように余裕がありませんでした。あっこれすごい言い訳です。
「ⅱ第四日曜日から7日の間に、企画参加作品の投稿をしてください」ですよね?
ということは9月29日までに投稿すればいいんですよね?間違ってないですよね?
間違ってたら誰か教えてくださいね。

 そこで途中まで書いて前編として公開する、なんていう奇策も視野に入れて、少しリラックスして書いていこうかなと思っています。この記事を書いている場合じゃないとは思いますが、気分転換になればいいなと思っています(大丈夫か?)。

 で、ですね。今回の作品は、登場するキャラも少なくて舞台も展開しません。まぁこれが進行できない原因かもしれません。設定を掘り下げると膨大な物語になってしまうので難しいところです。いったん文章に仕上げて校正(推敲)する段階で「どうするよ?この展開。矛盾だらけだよ」という状態になってしまいます。あぁ、困った。こんなアイデア採用するんじゃぁなかったな。あれ?また愚痴になってますね。愚痴の記事だからいいか!

 よ~し。少しすっきりしたぞ。また物語の世界に戻って書き始めようかな。
では、また。
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主人公走る!

ご心配をおかけしています。(誰も心配してないのかなぁ?)

報告です。エッとですね。
今日(9/23)の夕方頃から主人公が走り始めました。

今まで何を言っても知らん顔、向こうを向いたまま暗い顔、小さな声で嫌々演技をしていた主人公は、ようやくこちらを向き始め笑顔を見せるようになりました。
自然な声で生き生きと喋っています。感情も表現できて来ました。

おぉ、いい笑顔です。前向きにやってみる性格が上手く出てるといいんですけど。
山西も名前を気安く呼べるようになり、返事も返ってきます。
彼女から(やっぱり女です)応答がなければまったくお話は進みません。
何しろたった1人の登場人物なんですから。本当に大変でした。
こんなに名前を呼びなれないキャラは初めてです。
途中で何度も変更したせいもあるんですけど。
そして性格もしっくり来ていなかったんです。

ようやく頭の中で馴染んで山西が中に入り込めるようになりました。
そしてこのあと山西の意向を無視して動き始めるのです。どうなるんでしょう?
いつもより不安な要素が多いんですがもうやり直しできません。このまま突っ走ります。
どんな物が出てくるかお楽しみに!(どんなものが出てくるか、気にしてくださる人がいますように……)

いそいそいそいそ……(書いている音)
では、また
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東京キッド

「東京キッド」TVでやっていました。
1950年のとても古い映画です。
もちろん観たことは無かったのですが、このタイトルに惹かれました。
もちろんこのタイトルの曲も知ってはいたのですが……。
山西はどちらかというと美空ひばりという人はあまり好きではありません。
でも、なんとなくこのレトロな映画を見ていて、衝撃でした。
やはり、天才ですね。驚くべき歌唱力です。
13歳のひばりを見ていて圧倒されました。
美空ひばりがあまり好きではないといっても、
「東京キッド」の歌自体はひばりの歌の中でも好きな作品ですのでタイトルに惹かれたんですが、
13歳のひばりが歌う「東京キッド」はとても良かったです。

「右にポッケにゃ夢がある
左のポッケにゃチューインガム」

このフレーズはとても気に入っています。
今日の映画でさらにその思いを深めました。
年齢を重ねてから歌うのを何回か聞いたことはあったのですが、
やはりオリジナルのこの年齢13歳での歌?すごいです。
もう生きていないんですよねぇ。
これを聞いてから。晩年の歌声を聴きたかったと思いました。
また、印象も変わっただろうと思います。
映画自体もあちこちにちりばめられた演出、レトロですが素敵でした。
けっこう面白かったです。

で、山西はUSBメモリーをもって職場に行っています。
中にはもちろん今書いている途中の作品が入っているのです。
休み時間にチョコチョコと校正と推敲をしているのですが、そのメモリーを職場に忘れてきてしまったんです。今ここには推敲を済ませた最新の原稿が無いのです。先へ進むことができないんです。
困った。開き直って映画を見てこの記事を書いています。
この大事な時期に大変です。うかつでした。
でも、この映画を観られてちょこっと得した気分です。
でも、どうしよう。
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白い月

 こんにちは、世界!(Hello warld!)
 私は観測装置。型式名はオブザーバー880・サポートする人工知能はゲンマV30
 今、起動プロセスを完了した。
 観測を開始する。詳細データの収集はサブシステムに任せる。

 空は抜けるように青い。そして日の光は穏やかに降り注いでいる。環境は人が暮らすのに最適だ。
 真上を向いていたカメラを振ると、目の前には大きな湖が広がった。
 周りに見える山々は中腹までびっしりと木々に覆われていて、その上は灌木や草が生え、さらにその上は赤錆色の岩がむき出しになっている。風がまったく凪いでいるので周りの山の萌黄色と緑色、その上の赤錆色、その向こうの抜けるような空の色が、まるで鏡のような湖面に逆さまに映り込んでいる。今、水辺にいた薄紅色の羽を持った鳥の群れが飛び立った。鏡のような湖面は乱れ、空と山の色は混ざり合い、乱れあい、ざわめきあってから、ゆっくり元の鏡面に戻ろうとしている。周りの地形からみて、山々の壁に囲まれているここは多分カルデラの底で、この湖はカルデラ湖だ。私はこの場所で目覚めたことに幸運と幸福を感じていた。
 私は浮かび上がると湖に向かって移動し、水辺に到着した。
 美しい水だ。鏡に戻った湖面には再び山と空、それに真っ黒な球体が移りこんでいる。それは私の姿だった。そして人間の感度では無音に感じるほど静かだ。私の聴覚はセンサーのデータを無視し、耳鳴りのようなノイズを感じている。
 向こう岸に何かが見える。ズームしてみると向こう岸から突き出した半島の先端、森の中に、ぽつんと小さな小屋が建っている。ここで始めて見る人工物だ。
 私は岸に沿って回り込みながらその小屋へ接近することにした。
 水辺はそのまま森につながっていて、森は照葉樹に落葉広葉樹を一部含む原生林だ。
 小屋が見えていた半島は中央火口丘からできた馬蹄形の第2カルデラの一方の端が湖に突き出したもので、もう一方も湖に突き出して半島になっている。2つの半島は深い緑に覆われ、その一方の先端に目指す小屋は立っている。手前にある半島を飛び越え、湾となって入り込んだ湖水を渡り小屋に接近する。
 小屋は50平米程の広さで、半島の斜面に張り出すように立ち、南側に大きなテラスを持っている。テラスの奥、深い庇の下には大きな窓があって、流れ始めた穏やかな風にカーテンが揺れている。テラス側からそっと近づいて内部に侵入すると、窓の中は大きなリビングキッチンでその奥にドアが3つ見えている。開けてみると左側は寝室で大きなベッドが真ん中に置いてある。右側はユーティリティ。真ん中は開いていて廊下へと繋がっていた。
 中には誰もいない。
 リビングキッチンの半分は座り心地のよさそうなソファーと大型のモニターが占めていて、あとの半分にはアイランドキッチンが座っている。私はゆっくりとそのカウンターの上に着地した。
 そのとき「動かないで!レーザーで狙ってるわよ!」声がした。
 センサーは生物の接近を関知していたが、私はあえて反応しなかった。ハンディレーザーぐらいはどうということはないが、一応動かずにおく。
「こんにちは、私はオブザーバー880、サポートする人工知能はゲンマV30。危害を加えるつもりはない。顔を見せてくれないか?」私は冷静に声をかけた。
「オブザーバー?ゲンマ?なによ。それ!出て行っても安全だって証明してくれたら出て行くわ」
「それは無理だ。信じてもらうしかない。まあ、危害を加えるつもりならとっくにやってると思わないか?」
「それもそうね」ベランダの窓際から女がゆっくりと姿を現した。
 細身の体に漆黒の髪、肩まで伸ばしているが半分ぐらいは引力に逆らっている。両の瞳は濃い茶色だ。顔の作りは東域系の民族の血を強く引いているようで彫りは深くない。だがそれにしては色白だ。
 彼女は腰の横に小さな黒いものを構えていて、それをこちらに向けたままゆっくりと近づいてくる。
「こんにちは、私はオブザーバー880、サポートする人工知能はゲンマV30」私はもう一度繰り返した。
「それはあなたの名前なの?そんなに幾つも名乗っても覚えられないわ」
「私のこの体はオブザーバー。そして喋っているのはサポートする人工知能のゲンマだ」
「体なんてどうでもいいわ。考えて喋っているのはゲンマ、あなたなの?」
「そういうことになる」
「あなたは何?そこで何をしているの?」
「観測だ」
「観測?」彼女はからかうように繰り返すとそのまま笑い始めた。
「観測?それって、何の意味があるの?」
「私は手順どおり動いているだけだ。幾許かの疑念は感じるが取りやめるだけの理由は無い」
「ここを観測して誰に報告するの?あなたを雇ったのは誰?その報告を聞いて誰かがここにやって来るの?」
「それらの質問に対する答えを私は持っていない」
「それは分からないってこと?でもここは素晴らしいところよ。ここの報告を聞いて、ここに住みたいなんて奴が居たらもちろんだけど、たとえわたしからこの世界を奪いたいなんて思う奴がいたとしても、悪魔でも神様でもかまわないわ。喜んでご招待いたしますわ。会ってみたいもの。たとえ出会った次の瞬間に殺されるとしても……」
 彼女は構えていた小型のレーザー銃をテーブルの上に放り出すと、ソファーにボウンと身を投げ出した。そして大きな窓の向こうに広がる湖をぼんやりと眺め始めた。鏡のように風景を映していた湖面は、吹き始めた穏やかな風から生まれたさざ波で、精密な打ち出し細工の銀板に変化していた。
「ねえゲンマ」彼女はふいにこちらを向いて声をかけてきた。「ゲンマと呼んでもいいかしら?」
「何の問題もない」私はそう答えてから続けた「では私はあなたをどう呼べばいい?」
「わたし?わたしはスピカ。スピカっていうのよ。変な名前でしょ?あまり気に入ってないんだ」
「変だとは思わない。チャーミングな名前だと思うが?星の名前で、穂先というような意味を持っている」
「ふ~ん、そう」とスピカは興味なさそうに続けた「本当は別の名前だったんだけど、ここに来てからこの名前なの。本当の名前は思い出せないわ。忘れたのか消されたのか、それすらね」
「ここは何ていう所だ?」
「ここ?この大きな丸いへこみはアルファルドっていうの。湖はミアプラキドゥスよ。舌を噛みそうね」
「アルファルドは“孤独なもの”ミアプラキドゥスは“静かな水”というような意味だな」
「そうなんだ。孤独なもの……か、静かな水はピッタリね」スピカは静かに繰り返してから「ゲンマは人工知能って言ったわね。だったらそんなボールみたいな体には入らないわね。ゲンマは本当はどこにいるのかしら?」と訊いてきた。
「人工衛星の中だ。この体オブザーバーとはNETで繋がっている」
「傍には誰かいるの?」
「センサーはこの体にしかない。だからデータがない」
「そう……」スピカは遠い目をしてそう言うと力を抜いてソファーに沈みこんだ。
 驚くことにやがて寝息が聞こえ始めた。私はそっと上昇して近づいたが、目を覚ます様子は無い。私は元のカウンターに戻って彼女が目覚めるのを待つことにした。色々と疑問を感じるが、質問はスピカが目覚めてからにすることにした。

 2時間22分が経過した。スピカは小さなうめき声を出し、それから目を開けた。自分が生きていることを確認するように暫くぼうっとしてから、やがてゆっくりと周りの様子を目に収め、私のほうを向いた。そして声を出した。
「夢じゃなかったんだ……。ゲンマ、今何時?わたしどれぐらい寝てた?」
「12時18分、そして2時間22分だ」
「そう?ありがとう。さすがに細かいね。じゃぁそろそろお昼ごはんにしなくっちゃ」とキッチンに入っていった。冷蔵庫を開けて中を覗きながら「ゲンマは何か食べたりするの?」と言う。
「私には必要ない」
「そう。便利ね。でもつまんないかも」そう言いながら中からパウチパックを取り出し、それをレンジに放り込み調理ボタンを押した。暫くすると軽やかな音がして調理が修了した。スピカは熱くなったパックを慎重に取り出し、中身を皿に開けて食べ始めた。
「スピカ、質問してもいいか?」「いいわよ。なぁに?」
 私は素直に感じた疑問を口にした。「その食べ物は冷蔵庫の中に入っているのか?」
「そうよ。まだたくさんあるわ」
「その冷蔵庫の中の物だけでずっと食べていけるのか?」
「冷蔵庫の中だけで足りるわけないじゃない。他の場所にもっともっとたくさんあるわ」
「なぜ、そんなにたくさんそこにあるのか疑問に思ったことはないのか?」
「なぜそんなにたくさんあるのかって?」スピカの声はきつくなった。「それがどうかしたの?あるならあるでいいじゃない。それを確かめて何の意味があるのよ?これが誰のために用意されたものか知らないわ。でもここにはわたししか居ないし、もし他の人のために用意されていたとしても、誰も咎める人は居ないわ。わたしが食べられればそれでいいじゃない!何か問題でもあって?その黒い頭で……そりゃぁわたしよりずっと優秀なんでしょうけど……その優秀な頭脳で疑問を解明しようとしてつつきまわして、もし消えちゃったら、あなた責任を取ってくれるわけ?責任を取って自分からパワーオフなんてだめよ!ちゃぁんと元に戻してもらいますからね」スピカは喋りたてていたが私が反応しないでいるとやがて喋るのを止め、フゥとため息をついて食事を続けた。
 食べ終わるとスピカは顔を上げ「わたしはねゲンマ。聞いてる?」と言った。
「聞いている」
「よろしい。わたしはね、今22歳なんだけど18歳までは普通に生活していたのよ。家族と家庭があって友達と学校生活を送って。こういう生活は分かる?」
「知識として持っている」
「ならいいわ。でも18歳の時に突然それは終わって、目が覚めたらここに居たの。わたし1人で。そんなこと疑問に思わない訳がないじゃない。どれだけショックを受けたか想像できる?どうやってここで生活してきたか想像できる?」
「想像できるだけのデータがない」
「クククッ」スピカは少女のように笑った。
「何一つ不自由はないのよ。食べる物はいくらでも有る。それにね、なんと電気が使える。コンセントからふつうにね。水道も出る。綺麗な美味しい水よ。トイレは水洗だし、シャワーやお風呂も使える。家電が壊れても予備まであるのよ。不思議よね?ゲンマの優秀な頭脳で何故だか分かる?」
「私は今朝目覚めたばかりだ。データが不足しているので推測できない」
「そう。なんでもデータ・データ。結局は役に立たないのね。人工知能もさっぱりだわ。でもちょっと見て欲しい物があるんだ。来て」
 スピカは真ん中のドアを抜けて廊下出ると「ここよ」と床面にある扉を持ち上げた。そこには地下に降りる階段があった。階段を一番下まで下り、突き当たった最初の重いドアを開けると冷気が噴き出した。そこは冷凍庫で、壁一面に設けられた引き出しの中には、大量のそして多くの種類のパウチパックが収められていた。私はその引き出しの一部に植物や動物の名前がたくさん書かれた物があることにも気がついていた。スピカはそこから1階層ずつ上がりながら各層を説明してくれたが、さっき言っていた家電の数々が収められた倉庫以外は、何に使われるものかスピカにも分かっていなかった。そこには空気や水の浄化装置、汚水処理装置、循環装置、それに培養槽や調整槽などが収まっていた。そして多分最下層には核融合電池が収まっているに違いない。
「次はこっちよ」リビングに戻ったスピカは開いていた窓からテラスに出ると靴を履き替え地面に降りた。そのまま森の中を下って行く。
「見て」スピカの指さす先には小さな穀物畑があった。その向こうには野菜畑が見えている。畑ではたわわに実った穂が揺れ、色々な種類の野菜が実っていた。
「まだ実験段階だけど。森を焼いて種を蒔くと結構簡単にできるの。さっきの冷凍庫に種がたくさん入っていたの。動物や魚の卵子や精子もたくさんあるみたいだけど、わたしには無理ね。でもこの湖には結構魚が居るの。工夫すれば釣れるし美味しいのよ。だから、わたしが少しずつ始めたいろんなこと、ゲンマが手伝ってくれると嬉しいんだけど」
「私をパートナーとして認めるのか?」
「だって、どうせ観測で暫く居るんでしょ?認めるほうが上手くいきそうじゃない。ゲンマに対して疑心暗鬼でやっていくなんて意味ないわ。多分時間の無駄よ。上手くいかない時はそれでお終い。そういうことよ。あなたもそう思わない?」
「私は賢明な判断だと思う」
「でしょ?じゃあそういうことで、よろしくね!ゲンマ」明るい調子でそういうとスピカはさっき下った道を戻り、張り出したテラスの下に入った。そこには奇妙な形の道具の数々や石を積み上げて作られた窯が座っていた。
「脱穀や製粉ができるように道具も作ったわ。あの倉庫にはいろんなものが入っているのよ。せいいっぱい利用させてもらってるわ。薪の使える窯もあるからパンも焼けるのよ。それにここの森には食べられる果物や木の実もたくさん生るのよ。さあ、ゲンマ。この結果をご主人様に報告すればいいわ。どんなご褒美が貰えるのかしら。そして何者がやってくるのかしら。今から楽しみだわ。でさ、次はパンを焼くわ。生地の発酵は終わってるのよ。手伝って!そんな格好をしてるけど手はあるんでしょ?」
「手はちゃんと2本装備している」私の返事を聞いているのかいないのか、スピカは楽しげに階段を登り、ベランダから小屋の中に入った。その日の午後はパン焼きに使われ、赤い夕日が外輪山の向こうにゆっくりと沈んでいった。
 開かれた窯からは芳ばしい香りがした。「できたできた!美味しそ~う。いい匂い。ね!ゲンマ」スピカは喜びの顔を私に向けた。
「美味しそうだし、いい匂いだ。センサーはそう判断する」
「あ、そうか。ゲンマは食べないんだっけ。ごめんね。すっかり手伝わせちゃったね」
「かまわない。人間の役に立つことは私にとって喜びだ。そういう風に作られている」
「そうなの。じゃぁ、とっても役に立ったわ。ありがとうゲンマ」
「どういたしまして」
「ふふっ。ゲンマ、なんだか照れてるみたいよ」スピカはレディーの笑いをした。
 オレンジ色の歪な月が登り始めていた。

 シャワーを浴び、私と他愛のない話をしながら夕食を済ませると、「ちょっと待っててね。済ませてしまうわ」スピカはPCの前に座った。スピカのPCはタブレットではなくノート型だ。絶え間なく喋り続けてきたスピカは、急に黙りこくってPCに向かってキーボードを叩きはじめた。私は作業の邪魔をしないように静かにカウンターの上に載っていた。そこは私の場所になり、クッションが1つあてがわれていた。
「よしっと」3時間ほどそうしていただろうか(正確には3時間17分だ)スピカはノートを閉じると顔を上げた。
「何をしていたんだ?」私はもう邪魔にならないと判断して声をかけた。
「物語を書いていたのよ。それをNETに上げているの」
「どんな物語を?」
「つまらないものよ。ファンタジーみたいな感じね。恥ずかしいから読まないでよ。ゲンマもNETに繋がってるんでしょ?」
「繋がっているし、もうすでに検索をかけて読んでしまった」
「うそ~!油断もすきもあったもんじゃないわね」
「だが、NETに上げるということは不特定多数に読まれることを前提としているはずだ」
「デリカシーがないわね。私を知っている人に読まれるっていうのは、ちょっと恥ずかしいじゃない」
「そういうものか?でもなかなか良く書けている」
「そう?ほんとに?でも人工知能はお世辞も言うのよね?」
「そのことについては否定しない。だが、なぜ物語を?」
「う~ん。そうね。たった1人で寂しかったっていうことが一番じゃない?NETに上げると結構コメントが入るのよね。とっても嬉しかったし。たくさんの常連さんができたり、その人達のサイトでまたコメントを書き込んで盛り上がったり。イベントもあったりしてとっても楽しいからよ」
「なるほど、わかった」
 スピカは暫く私のほうを見てから「それだけ?それ以上は聞かないのね」と言った。
 私は黙っていた。スピカはじっと私を見つめていたがやがて口を開いた。
「この世界が、アルファルドが何か解らない力でコントロールされて微妙なバランスを保ってるってのは、わたしの頭でもなんとなく分かってるのよ。わたしたち人間が何をしたのか、どうなったのか、私は知らないんだけど、わたしは生かされている……至れり尽くせりでね。そんな感じがするの。でもそのことに頼りっきりってのもなんだか嫌じゃない?」
「それが昼間のことに繋がるわけか?」
「そうね!そういうこと。やれるだけやってみるってことかしら。ほんの少しの事なんだろうけどね。じゃぁ、もう寝るわ。ゲンマのようにずっと起きてるなんてできないから」
「そうだな。おやすみ」
「おやすみなさい」スピカは寝室に入って行き、観測第1日は終了した。
 小さな天窓からは青く輝く月が覗いていた。

 無音の夜明けが訪れようとしていた。いや、人間の感度では、だ。センサーには微かに鳥の声が聞こえている。上空は夜明け前の明け紫から、明るい空色に染まり始めたが、カルデラの底にはまだ比重の高い瑠璃色が溜まっていて薄暗い。私は静かにカウンターから上昇すると窓を開けベランダに出た。
 そしてゆっくりと上昇を始めた。徐々に速度を上げて上空を目指す。外輪山を越えて朝日の中へ入った。暖かいマンダリンオレンジの光は私の体を優しく包み込み、そして上昇する私の体を祝福する。私はもう周りを見ることは止めて目的の1万メートルを目指す。
 10分ほど経過しただろうか?(正確には上昇開始から11分46秒)目的の高度に達した。
 センサーを起動し周囲を見渡す。真下にアルファルド・カルデラが小さく見える、西半分に朝日が差し始めて美しい。ミアプラキドゥス湖が黒く沈んでいる。センサーはカルデラ内の植物そして水の反応を濃色で表している。そこはまるでアルカディアだ。
 私は同心円状に観測範囲を広げていったが、アルファルドの外側では一切の反応が消えた。何も無い事を意味する灰色の反応が返ってくる。そしてそれは遙か彼方、地平線まで続いてた。アルファルド、孤独なもの、何という名付けだろう。その外側には何も無いのだ。何も無い赤錆色の砂漠が広がっているだけなのだ。
 可視光線でもそれを確認すると、私は徐々に高度を下げ始めた。
 高度を千メートルまで下げた時、「ゲンマ!ゲンマー!」呼ぶ声がセンサーに入ってくる。スピカの声だ。
 しばらく周囲の様子を観察した後、私は降下速度を上げた。
 西の空では、今にも消えてしまいそうな白い月が、地平線に沈もうとしていた。

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月刊・Stella ステルラ 参加作品【小説】白い月

Stella

【小説】白い月
 月刊・Stella ステルラという企画に参加しています。これはその最初の作品です。7500文字程度あります。全くの新作ですが、前に書いた「オレンジの月」「青の月」そして「白い月」と月シリーズになっています。「オレンジ」はまったく別物の試作品ですが、「青」と「白」はなんとなく繋がっています。分けて数回にわたって発表してもよかったようなのですが、一挙に書き上げましたので発表してしまいます。まだ校正と推敲が不足しています。チョコチョコ修正が入るかもしれません。ご了承ください。
 またこんな訳わからん物を書いちゃったな~という感想です。それにシスカ31が生れかかっています。ちょっと短期間に絞りだしすぎたかもしれません。ですから次回はお休みかも……。

月刊・Stella ステルラ 10月号参加 掌編小説

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【小説】白い月

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それと 山西 左紀 です。






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