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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 
★作品へのリンク!&お願い!
 
 

ツィー ⅱをUPしています。

先日「ツィー ⅱ Tsih ⅱ (前編)」をUPしました。
Fomalhautシリーズの8作目です。
このシーンは描きたかったシーンなので珍しく筆が乗って、比較的順調に書き上げることができたように思います。
シンガリ国のシブレ村を出発したアズミの隊商は順調に旅を続けていて、もう隣国タブリ王国との国境線近くまで進んでいます。
(前編)と銘打っているからには(後編)があり、その中で幾つかの地名や国名が登場します。
物語を進行させる上で、それらの位置関係を把握する必要がありましたので、簡単な手書きの地図を書いていたのですが、今回それをすこし小綺麗な画像に作り直してここに表示しておきます。

フォーマルハウトマップ2

始めて具体的にお目にかけるイノセンティアの世界なのですが、これは世界地図のほんの一部分です。というか、全体像はサキの頭の中にもまだ出来上がっていません。
おいおい物語が進めば出来上がっていくだろうと希望的観測を持っています。
この先重要な役割を持たせたい国の名前も登場していますので、チラリとでもよろしいですから見ておいてくださいネ。
ただ、行き当たりばったりのサキのことですから、あくまで今のところということでご了承ください。
本当は全編を書き上げ、キチンと推敲と校正を重ねてから発表しなければいけないのでしょうが、そんなことをしていたら2~3年は更新できなくなりそうです。
サキの七転八倒の創作記録のような本ブログ、お付き合いいただければ嬉しいです。
幸いなことに(後編)はほぼ書き上がり、現在推敲と校正の真っ最中です。間もなく発表できると思いますのでもう暫くお待ちくださいネ。

「ツィー ⅱ Tsih ⅱ (前編)」へはこのリンクからお進みください。
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ツィー ⅱ Tsih ⅱ (前編)

Fomalhaut 8

「ああ、うう・・・ん・・・」
 シャウラは目を覚ました。
 普段から深く眠り込むことは無いのだが、今夜は不覚にも眠り込んでいたようだ。自分がどういう状態なのか一瞬把握できなかったが、まもなく今が夜中で、自分が隊商の輸送車の床下に設けられた小さなキャビンで寝ていたことを自覚した。
「あ・・・ん・・・」うめき声に合わせて辺りがぼんやりと明るくなり、徐々に暗くなった。
 声の主は隣で寝ているツィーだ。
「んん・・・う・・・ん」呼吸も荒くなっている。一旦弱まっていた光はそれに合わせるようにまた強くなる。ツィーは布団に包まっているのだが、光はそれを透過して辺りを照らしている。
 何かの夢を見ているようだが、この光はいったい何だ。シャウラはそっとツィーの布団をめくったが、そのまま動きを止めた。
 ツィーの胸の部分がぼんやりと光を発している。
 しばらくの間シャウラはその様子をじっと見ていたが、やがて意を決してツィーの上着のボタンを外した。
 そこには発達途中の2つの乳房があった。薄闇の中、真っ白なそれははっきりとした盛り上がりを見せて浮かび上がっていたが、光っているのはその少し下、心臓のある辺りだ。内部から照らし出されるように青白く発光している。それはシャウラの驚きをよそに、ツィーのうめき声に合わせるように強弱を繰り返した。やがて彼女の寝息が聞こえ始めると光は徐々に弱まり、静かに消えていった。彼は暗闇の中に1人取り残された。
 シャウラはキャビンに設けられた明り取りの小さな窓を開けた。青い月光が室内を薄く照らし、その気配にツィーが薄く目を開けた。
 だがすぐにその目は大きく見開かれ、自分の胸がはだけられている事に気が付くと、胸の前で両手を組み合わせてその胸を隠し、にじるように後ずさりしてシャウラとの距離を取った。あきらかに警戒行動だったが、それは女性としての正常な行動だ。シャウラはその様子にかえって安心した。
「うなされていた」シャウラは端的に言った。胸の光のことも付け加えたかったが、どう説明していいかわからなかったから、とりあえずそれはやめておいた。
 ツィーは自分の置かれた状況を懸命に分析しているようだったが、やがてその格好のままシャウラの傍へ戻り臥位で横になった。
 しっかりと目をつぶっている。
「違うんだ。お前はずっとうなされていたんだ。怖い夢でも見ていたのか?」シャウラはツィーの体にそっと布団を被せた。
「うなされていた?」ツィーは布団から顔だけを覗かせて訊いた。
「ああ、すごくな」
「何も覚えていない。ただ・・・」ツィーは記憶を辿るように遠くを見た。
「ただ?」
「もがいていたの・・・それだけ」
「そうか。大丈夫か?」
「はい」ツィーは顔を緩めた。
「明日は長丁場になる。寝ておいた方が良い」シャウラも横になり布団を被った。
「はい」ツィーは布団を目の位置まで引っ張り上げた。
 シャウラは明り取りの窓を閉めようとしたが、そのまま開けておくことにした。

 夜明けまでにはまだ少し時間があった。内陸性の乾燥した気候は昼間は暑いくらいだが夜間は冷え込む。今朝も息が白くなるくらい冷え込んでいた。
 ツィーはそのままおとなしく眠ってしまい、その後は何事も起こらなかった。シャウラも眠ろうとしたが眠りはなかなか訪れなかった。いったい何が起こったのかまったく理解できないまま時間ばかりが過ぎていった。
 シャウラはいつもより早めに起きだし、スハイルの体にブラシをかける作業をした。真っ白な短い毛で覆われたその体は、ブラシがけをしてやると一層滑らかになった。
 スハイルは気持ちよさそうに体を揺すると、ちいさくいなないた。そして隣へ首を向けて上下させた。隣も見てやれということだ。
 隣にはワタリのサドルが繋がれている。白地に茶色の斑点が細かく入った俗に言うブチと呼ばれるサドルだ。シャウラはスハイルと同じ手順でそのサドルの手入れをした。あまり手入れもされていないのか、あちこちに毛玉がある。そう言えばこいつの名前を聞いたことがない。あの婆さん、名前すら付けてないんじゃないか?シャウラは適当な名前を思い浮かべながら手入れを進めた。ブチのサドルは気持ちよさそうに体を揺すった。作業を進めるうちの東の空が少しずつ明るくなり始めていた。
 サドルの手入れを終えると、シャウラは整列して駐車している輸送車の周りを見て周った。異常は無い。アダブラたちはまだ寝息を立てて眠っているし、御者たちも全員御者台に設えた寝床で眠っている。ワタリの婆さんも最後尾の輸送車のキャビンに気配があった。全員が無事に揃っていることを確認してからシャウラは先頭の輸送車へ戻った。

 隊商はシンガリの国境間近までやってきていた。昨夜は国境警備の兵隊たちの砦の傍でキャンプを張った。そこは兵士たちの目も届き比較的安全だったが、今日国境を越えてしまうとそこからはまた無法地帯だ。
 のんびり出来るのも今日までだな。それにしてもこんな時に厄介な・・・シャウラは隊商の防御隊形を考えながら、昨夜の不思議な出来事についても思いを巡らせていた。
「早いな」車両の傍、僅かに燻っている焚き火の傍にアズミが腰掛けていた。
「頭こそ」シャウラは近づきながら挨拶をした。
「夜中に目が覚めて、寝付けなかった」
「珍しいですね。寝付けないなんて。どうかしたんですか?」
「なに、今夜からはウツボの車のキャビンを1つ開けさせるよ。そっちへ引っ越すから大丈夫だ」
 ウツボというのは先頭から2両目の輸送車の御者だ。
 輸送車の車輪の間、床下には小さなキャビンが設けられている。通常二部屋に分かれていて、そこには食料や水、修理用の道具や予備の部品等雑多なものが詰め込まれている。先頭を進む輸送車のそれは、頭のアズミとシャウラが一部屋ずつ使っていた。だが、アズミは2両目の輸送車のキャビンに引っ越すと言っているのだ。
「引っ越すんですか?なぜ?」
 アズミは意味ありげにうす笑いを浮かべた。「良い声で鳴かせていたじゃないか」
「どういうことですか?」
「気になって気になって眠れやしない」
「あ!」シャウラの記憶が繋がった。「いや。違うんです。ツィーの奴、何の夢を見たんだか、うなされてしまって・・・」
「そんなに慌てなくっていいさ。お前たちは夫婦なんだ。肌を温め合うことは何も悪いことじゃない。これまでずっとあたいが邪魔をしていたみたいだね。気が付かなくって悪かった。あたいはとんとデリカシーって物が無いから」
「いや、だから、違うんです。つまり・・・」シャウラは力説しようとした。
「わかったわかった。照れなくても良い。自然な営みなんだから」アズミはシャウラの言い訳を止めると「さて朝食当番は誰だったかな・・・」とその場を離れた。

「良い声で鳴かせたのかい?」後ろから声がした。
 シャウラは驚いて振り返った。いつの間にか黒ずくめのワタリが立っていた。ワタリが気配を消すと、シャウラでも気づくことは難しい。
「いや、違うんだ。ツィーは夢を見て・・・」空しい言い訳だと思いながらシャウラは言葉を続けた。
「さぞかし良い声で鳴いたんだろうねぇ」シャウラの言い訳をさえぎるようにワタリは猫なで声になる。
「いや!だから、夢を・・・」
「フン」ワタリは急に真顔になって言った。「その時何か不可思議なことは起こらなかったかい?」
「どうして、それを知ってる」シャウラは驚いて訊いた。
「やっぱりそうかい。何が起こったのか言ってみな」
「ここが」シャウラは心臓の位置を差した。「ぼんやりと光ったんだ」
「強弱を繰り返しながらか?」
「そう、そうだった」
「わかった」ワタリはニヤリとほくそ笑むと踵を返し、シャウラに背を向けた。
「待ってくれ、あの光はいったい何なんだ?教えてくれ」
「安心しろ。ツィーの健康に問題は無い」ワタリは足早に歩き去った。
 シャウラはまた1人取り残された。


2020.07.30
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

最新作「ミモザ Mimosa」をUPしています。

先日「フォーマルハウト」の最新作「ミモザ Mimosa」をUPしています。
ここのところサキはこの作品を書くことにノッいて、「アズミ Azumi」発表の後、約一月を空けてのサキとしては珍しく順調な発表になりました。
物語では、シャウラは用心棒としてアズミの隊商に雇われ、ツィーを伴って無事に旅を続けているようです。

ここのところサキの創作はノッていて、このお話の続きも書き始めています。
ノリノリなのはサキが入り込めるキャラが見つかったからなのですが、サキは今ツィーに入り込んでいます。残念なことに物語はシャウラ視点で書かれているため、完全に入り込むことが出来ないのですが、シャウラの視点を想像し、それを基本としながらツィーに入り込んでいます。こんなに面倒くさい事をやっているから、この前みたいに視点が混乱するんですね。
でも、これがサキの書き方みたいです。その証拠に執筆のペースは上がっています。

もっとも、先日発表した「アズミ」も頭の1000文字程を書いてから一旦ほったらかしにされ、それに追記して完成するまで数年を要していますから、近日の完成を保証するものではありませんけれど・・・。
さらに、その続きは?と言われると、すべては不確定の闇の中です。

続いて参考までに登場人物を下記に紹介しておきます。実は以前発表した記事に追記したものです。参考にされると読みやすいかもしれません。
あらすじは「フォーマルハウトの世界」を参照されるとよろしいかも。

読んでみようかなと思われた方は、このリンク「ミモザ Mimosa」からどうぞ。

*** 記 ***

●フォーマルハウト:人間。この物語の主人公。この世界の年齢に換算すると20代前半の女性。人間界からやって来たサーベイヤーで、生まれ落ちてすぐ人間界を旅立ち、長い時間をかけて結界を越えてきた。愛称はファム。人間だがイノセントに近い、あるいはそれを凌駕する能力を持っており、一方の主人公であるシャウラですら破れてしまった。怪我をしたシャウラを一晩介抱し、翌朝旅立ったまま行方不明。

●ブースター:フォーマルハウトが乗っている動物。有袋類なのでお腹の袋の中に入って眠ることもできる。生まれたばかりのフォーマルハウトは、この袋に入れられて人間界を旅立ち、ブースターの乳で育った。イノセンティアの動物とのハイブリッドなので知能は高く言葉を話すこともできる。フォーマルハウトの教育係も務める。

●シャウラ:魔族。20代前半の男性。この物語の男性側の主人公。神族の狙撃を生業としているレサト一族の若きホープだった。偶然フォーマルハウトと戦闘になり破れた。意識を失った状態でフォーマルハウトと一晩過ごしたため、人間との性的関係を疑われ部族を追放になった。フォーマルハウトを処理しない限り部族には戻れない。第7話「ミモザ」ではツィーと共に隊商の用心棒として旅を続けながらフォーマルハウトを探している。

●親方:魔族。レサトの親方衆の1人。シャウラたち狙撃手の1部隊を束ねている。親代わりでもある。

●アルドラ:魔族。20代前半の女性。シャウラの婚約者だったが、シャウラが追放されたため婚約は解消されている。親方の1人娘。長い髪を持つ超美人。

●スハイル:シャウラが乗っているサドルという動物。村を出ていくとき、親方から贈られた。村一番のサドルで足が速く頭もよい。

●ツィー:神族。奴隷として売られていたのをシャウラが有り金をはたいて買った。12歳。神族らしく金色に輝く髪、白い肌、青い瞳を持つ美しい少女。一度死のうとした(死んでしまった家族のもとへ行こうとした)がワタリの治療により助けられた。今はマスター(主人)であるシャウラに生きるように命令されている。相当高貴な家の出身と思われる。

●ガザミ;シャウラとツィーが泊まった宿の女主人、たぶん魔族。肝っ玉母さん風。強力な情報網を持つ。素っ気なく見えるがシャウラとツィーはかなり世話をやいてもらっている。

●ワタリ:たぶん魔族。全身黒づくめの呪術師。不可思議な呪術を使い呪術師としてはかなり経験豊かで有能。老女だがまだまだ若い者には負けない。

●アズミ:交易を生業としている隊商の長(おさ)。輸送車10台からなる大きな隊商を率いている。シャウラより少し年上のエキゾチックな女性。たぶん魔族。
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

ミモザ Mimosa

 見渡す限りワスプの畑だった。
 つる植物であるワスプは地面に立てられた柵に巻きつくように育てられ緑の垣根を形作る。そしてその垣根は、丘陵の起伏に沿ってうねりながら連なって緑の大地となり、彼方、空との境目まで続いている。
 その境目からは紺碧の空が立ち上がり、無限の奥行きを持って全天をくまなく覆っていく。大気中の水蒸気は少なく、雲はほんの僅かしかない。
 傾き始めた太陽は緑色の連なりを輝かせ、吹き渡る夕方の風はその輝きに微妙なグラデーションときらめきを付け加える。
 風はそれらを伴いながら丘陵の上を進み、ついには彼が立つ丘の頂上まで達し、隣に立つ少女の金色の髪を吹き上げる。
「わあっ!」呆然と風景を見つめていた少女は不意打ちを喰らい、両手で髪を押さえながら思わず声をあげた。

 隊商がバンガイル・ステイグルドを発ってもう一月(長さや重さなどは我々の世界とは違う単位が使われているが、我々の世界の単位に換算して記載している)が過ぎようとしていた。
 アズミの隊商は1台につきアダブラ2頭で牽引された輸送車10台と、輸送車それぞれに1人の御者、隊長であるアズミ、用心棒のシャウラ、その女房のツィー、それに呪術師のワタリを加えて14人で構成されていた。
 隊商はバンガイル・ステイグルドで大量の交易品と、食料品や水など、必要な物資を積み込み、乾燥した大地の中にポツリポツリと置かれた頼りなげな宿場や水場を辿りながら進んだ。
 先頭の輸送車にはアズミが乗り込んで指揮を執り、シャウラはスハイルに乗って警護に当たった。ツィーはアズミの横に座ったが、危険の少ない地域ではシャウラと一緒にスハイルに乗ることもあった。ワタリはもう一頭のサドルで付かず離れず同行した。
 出発からしばらくは気を許せない旅程が続き、実際にシャウラが活躍する場面も何度かあった。だがここ数日は内陸の神族が支配する巨大国家、シンガリの領内に入ったこともあって、安心して距離を稼いできた。
 この国はもともと穏やかな気候と豊かな土壌を持っていたうえ、民主的に選ばれた頭領が安定した治世を行ったため農業国として発展していた。さらに神・魔両種族の共生や自由な往来を認めたため、交易でもおおいに潤っていた。
 まもなく隊商は丘陵地帯の只中、一番高い丘の上にあるシブレの村にたどり着こうとしている。村といってもワスプ畑の中にポツリポツリと家が立っているだけの田舎なのだが、その1軒1軒は城を思わせるくらい大きな屋敷だった。
 隊商が進む先にはアズミが懇意にしている屋敷があり、隊商はいつもそこに数日留まった。旅程はちょうどここで半分を消化し、人や獣の疲れはピークに達している。充分な休養が必要だった。

「いこうか」シャウラはスハイルに跨るとツィーに声をかけた。
「はい」ツィーは緑の丘から視線を戻し、鐙に足をかけてスハイルの背中によじ登った。そして鞍の後ろ側に付け足されたクッションに小さなお尻を乗せた。
 シャウラは斜め後ろを振り返り、ツィーがちゃんとタンデムバーを掴んでいることを確認してから「ハッ」と声をかけ手綱を鳴らした。スハイルは速歩で隊商を追い始めた。
 道はワスプの垣根の中を続いている。辺りの空気がホコリっぽくなったのは10台もの輸送車が通過したばかりだからだ。丘を2つ回りこむと先に進んでいた隊商の列が見え始めた。シャウラがもう一度軽く手綱を鳴らすとスハイルは少し速度を上げ、やがて輸送車の最後尾に付くワタリのサドルに追いついた。道は上り坂に差し掛かり、坂の上には大きな門が見え始めた。どうやら到着したようだ。
 車列は明るい黄土色に塗られた門をくぐった。門の内側にも同じように緑の垣根が続いていたが、よく見ると区画ごとに実や葉の色や形が微妙に異なっている。種類の異なるワスプが少しずつ植えられているようだ。
 道の行き着く先、丘の頂上には門と同じ色に塗られた屋敷が立っていた。
「ここはこのへんじゃ最も大きいワスプ酒の生産者だ。今夜からは高級なワスプ酒が飲み放題というわけさ」並んでサドルを進めるワタリが嬉しそうに言った。
 熟れたワスプの実を発酵させて作られたワスプ酒はこの地方の特産として周りの国々に輸出されている。アズミはこの国の首都であらかじめ交易品を降ろして輸送車のスペースを空けていた。そのスペースにワスプ酒を積むことで、もう一儲けを企んでいるのだ。
 車列は勝手を知った我が家にでも到着したように、建物の横手のアーチをくぐって中庭に入り、きちんと整列してからその歩みを止めた。
 屋敷の裏口が開いて2つの人影が現れた。
「よく来たね。待ちかねたよ」男の声がした。
 建物と同じ色の明るい黄土色の上着に黒いズボン、明るい茶色の髪を長く伸ばし、手入れされた顎髭をたくわえた精悍な感じの中年の男だった。
 隣には彼の妻だろう。白地に繊細な模様の入った衣装を着て、豊かな金色の髪を後ろにまとめた女性がにこやかに立っている。2人とも輝くような白い肌を持っていて、それは彼らが神族であることを示している。
「ゴタゴタがあってね。少し遅れたんだ。またお世話になるよ」先頭の輸送車から長が答えた。用心棒がシャウラに変わり、そのシャウラがガザミの情報を待った分、出発が遅れたのだ。
 だがガザミの情報網でさえも数日では有益な情報を得ることはできず、シャウラは手がかりの無いまま出発せざるをえなかった。
「なんのお構いもできないけれど、ゆっくりしていってね」女性の方が声を出した。澄んだ美しい声だ。
 御者の男たちはなれた様子で輸送車を降り、すでにアダブラの世話を始めている。
 アズミも輸送車を降りて2人に近づき「待っていたよ」「久しぶり」とそれぞれハグをした。
「ああそうだ。新しいメンバーを紹介しておこう」アズミは今思いついたようにシャウラたちの方へ顔を向け、こっちに来るように合図を送った。
 シャウラはツィーが降りるのを待ってスハイルを降り、アズミの方へ近づいた。ツィーはシャウラの背中に隠れるように従った。
「この男はシャウラ、ウチの用心棒だ。そして後ろに隠れているのがツィー」アズミは2人をそう紹介した。「あと呪術師がいるんだが、御者たちと居るのかな?」ワタリの婆さんは姿を隠していた。
 しかたなくアズミはシャウラたちに神族の2人を紹介した。「シャウラ、こっちはこの農場の持ち主のイーザル・デネボラ、そして奥さんのミモザ」
 シャウラは2人と笑顔で挨拶を交わしたが、ツィーはまだシャウラの背中に隠れている。
「こんにちは、お嬢さん」ミモザが優しく声をかけ右手を差し出した。
 ツィーはシャウラの後ろから恐る恐るといった様子で出てくると優雅に膝を曲げ、差し出された右手に自分の右手をそっと添えた。
「おお」驚きの声を上げたイーザルも右手を差し出す。ツィーは彼に対しても同じ姿勢で挨拶をした。
「これはこれは、丁寧な挨拶をありがとう。それにしてもずいぶん古風な挨拶だね」イーザルが説明を求めるようにツィーを見る。
 ツィーはそれには答えず再びシャウラの後ろへと下がった。
「とりあえず旅装を解いてゆっくりしてくれたまえ」イーザルはツィーの様子を見ながら話題を変えた。「それから夕食だが、御者の皆さんはウチの連中と一緒に食べる方がいいだろう?いつものように大食堂に用意させている。それから、今回はこんなに美しいお嬢さんが一緒なんだ。あなた方3人は私たちのディナーに招待申し上げたいんだがいかがかな?」
「よろこんでお招きに預かるよ」アズミが嬉しそうに答えた。「久しぶりのちゃんとした夕食だ。おおいに楽しみだ」
「いいんですか?」シャウラはレサトである自分が招待されたことが信じられずに念を押した。
「ははは、ここは自由と平等の国シンガリですよ。種族を気にする必要はありません。どうぞ遠慮なくいらしてください」イーザルがにこやかに答えた。「よろしければ、その呪術師の方もご一緒に」
「まぁ、奴のことは放っておいても大丈夫だよ」アズミはこの点については遠慮した。
「それから今思いついたんだが・・・」ツィーのことをチラリと見てイーザルが言った。「夕食の前に新酒の初仕込式を行おうと思うのですが、いかがでしょう。アズミ?」
「初仕込式?そんな季節なのか?」
「実はまだ少し早くて、本格的な仕込みは皆さんが出発されてから始まります」イーザルは解説を続ける。「でも屋敷の前庭で試験的に栽培している種類のワスプは今がまさにその時期なのです。ちょうどいい機会です。そのワスプを使いますから、隊商の皆さんにぜひ立ち会っていただきたい」
「そういうことなら・・・」
「では決まりです。用意はすぐに整います。皆さんは2時間後に酒蔵のホールにお集まり願えますか?」そう言い残すとイーザルはミモザと共に醸蔵へ向かった。

 酒蔵のホールはすでにたくさんの人が集まっていた。
 イーザル、ミモザをはじめとする醸造所の蔵人たちと隊商の御者たちがホールの中央に据えられた木の桶を取り囲んで談笑している。
 シャウラはアズミに続いてホールに入った。ツィーは相変わらずシャウラの後ろを歩いている。
「さて、皆さん」イーザルが大きな箱の上に立って発声した。
「今日ここにお集まりいただいたのは他でもない。これからここで新酒の初仕込式を執り行うためです。簡単に解説をさせていただければ、初仕込式というのはその年の一番最初に取れたワスプを絞り、神にその年の豊作を感謝し、今年の酒が良い出来になるように祈る神聖な儀式です。ホールの中央にある桶には先ほど収穫したワスプの実が入っています。これからそれを古式ゆかしく素足で踏んで果汁を搾るのですが、初仕込式でワスプを踏むのは若い女性でなければならないというしきたりがあります。例年私の醸造所が初仕込式を行わず、簡易な式でお茶を濁しているのは、残念ながらここに若い女性がいないからなのです」イーザルはそう言いながらミモザの方を見、ウインクを付け加えた。
 ミモザは少し怒った顔を作ったが、すぐにイーザルに笑顔を向けた。
 イーザルは続けた。「ところが今年はたまたまこの時期に客人を迎え、その中に若い女性がいらっしゃる」
 ホールの全員がツィーの方を注目した。
 ツィーはシャウラの後ろで小さな体を一層小さくした。
「どうか、この醸造所のために一役買ってくださいませんか?ツィーさん」
 ツィーはシャウラの服を掴んで顔を横に振ったが、シャウラはアズミと一緒に彼女を説得した。世話になっているのだ、断る選択肢は無い。ツィーは困惑した顔でようやく頷いた。
「よかった。ありがとう」ツィーの様子を心配そうに見ていたミモザがホッとした表情で言った。「でもその服装じゃ駄目ね。搾出作業をするとどうしても汚れるの」
 ミモザはツィーの手を取った。
「私の衣装を使って頂戴、若い頃のだから何度も使って染みが残っているけれど・・・」ミモザはそう言いながらツィーを伴って一旦ホールを出た。

 ツィーがホールに戻ってきたとき、ホールは一瞬ざわめいた。
 いかにも神族然としたツィーのたたずまいは神々しさを感じさせるほど美しかった。
 着せられたのは農作業用の簡素なものだったが、神族の伝統的な民族衣装だった。それはツィーの幼さを覆い隠し、神秘的な色香を引き出していた。
 息を飲んでツィーを見つめていたシャウラはあわてて視線をそらせた。
 パン!パン!イーザルが手を打って全員の耳目を引いた。
「さて、お待たせしました。ツィー嬢の用意も整ったようですので始めようと思います。さあ、こちらへ」イーザルはうやうやしくツィーの手をとって、ホール中央に置かれた桶のところへ誘った。
 付き添ったミモザがツィーの靴と靴下を脱がせて素足にし、衣装の裾をたくし上げると、ツィーの形のよい足が露になった。それから用意されていた手桶の水を使ってそれを清める。
 ツィーは導かれるままに台の上に上がり、桶の中央に立っている棒に掴まりながら、桶の中に素足を下ろした。桶の中は熟れたワスプの実でいっぱいになっている。実の潰れる音がしてツィーの両足が桶の中に入っていく。ツィーはその感触に驚いたように顔をしかめた。
 蔵人たちの歌が始まった。
 農作の神に感謝し、酒の神に祈る歌だ。
 魔族の歌とは異なる独特の旋律が組み込まれている。おそらく伝統的な祈りの歌なのだろう。。
 曲に合わせてワスプを踏むようにミモザがジェスチャーをした。
 ツィーは棒に掴って少しずつ進みながらワスプの実を潰し始めた。
 シャウラはツィーの目に光る物があることに気が付いた。
 涙だ。ツィーはワスプを踏みながら泣いているのだ。「どうしたんだ」思わずシャウラはつぶやいていた。
「“若い女性”という言葉は部族によって別の意味を含んでいることがある」ワタリの声がした。シャウラの後ろにはいつの間にか真っ黒な衣装を纏ったワタリの影があった。
「どういうことだ?」シャウラはワタリのほうを向いて訊いた。
「お前たちレサトにとっても、この国の神族にとっても“若い女性”という言葉の意味はやはり若い女性で、特に別の意味は持たない。そうだろう?」
「ああ、それがどうかしたのか?」
「だが、ツィーはおそらく神族の中でも特に純血を指向する保守的な部族出身だ。彼らにとってこういうしきたりは・・・」ワタリはホールの中央に据えられた桶の方へ首を振った。「我々が思っている以上に神聖で絶対に侵すことのできないものなのだ」
「そこまで・・・」
「そうだ。特に神が絡むとな。お前たちレサトもある意味純血を指向する部族だ。お前たちが命を懸けて純血やしきたりを守るように、彼らも純血やしきたりを守っている。お前に理解出来んことは無いだろう?」
 ツィーはポロポロと涙をこぼしながら歌に合わせてワスプ踏みを続けている。
「だから、泣いているのだ」ワタリは説明を終えた。
「わかるように説明してくれ」シャウラは食い下がる。
「ツィーの部族では“若い女性”という言葉は“処女”を意味するのだ」
「え?」思わぬ単語の登場にシャウラは驚いた。
「イーザルは神聖な儀式だと言った。そしてその儀式を行うのは“若い女性”でなければならないと言ったんだ」
「だから?」
「鈍い奴だな。ツィーは自分は儀式を行う資格は無いと言って断ったんだろう?」
「ああ」確かにツィーは資格が無いと言った。
「だが、この状況ではそれができなかったんだ」
「なぜだ?」
「ここまで言ってもわからんか」ワタリは溜息をつき首を大きく左右に振った。「ツィーは処女では無いと言うことだ」
「それが何だと言うんだ?彼女は奴隷だった。奴隷がどんな仕打ちを受けるか、僕はある程度知っている。だから・・・」
「ツィーは神族の高位に生まれた者として神との係わり方を厳しく教育されている。だからこの神事をツィーが行うことは彼女にとって神への冒涜にあたる。だが、ツィーはたとえそうなったとしても、そのことをお前に知られたくなかったんだ」
「どうして?」
「女心のわからん奴だな。ツィーたちの部族の女は結婚までは処女でいるという因習がある」
「え?でも僕らは別に結婚するわけじゃ・・・」
「だからツィーは純血やしきたりを重んじる保守的な部族だと言っている。おまけにまだ幼い。便宜的で形式的な関係などと説明しても、それを理解できるはずはない。だからお前と結ばれるまでは自分が処女じゃないことを知られたくない、ツィーはそう考えている。お前はまだツィーと関係を持っていないんだろう?」ワタリは端的に訊いた。
 シャウラはこの質問には答えなかったが、答えは明白だった。
「だからツィーは自己矛盾に涙を流したのだ」
「どうしてそんな・・・」シャウラは絶句した。
「そういうことだったの・・・」傍でミモザの声がした。ワタリの隣にミモザが立っている。
「どうしてアズミの隊商に神族の少女がいるのか、不思議に思っていたんだけど?」ミモザはシャウラに質問した。
 シャウラは事の顛末を話した。
「そうだったの・・・」ミモザは遠目にツィーを見ながら言った。
「でも、それくらいの時期に滅んだ神族と言えば・・・」ミモザは少しの間思考を巡らせる。「まさか!いえ、でも・・・ううん、時期的にそれしか無いはず。アルゴル皇家よ!」
「ワシもそう考える。しかもあの品格や態度からみて、相当の高位の者だと思う」
「ひょっとして、お姫様とか?」シャウラが思い付きを言った。
「であってもおかしくはない」ワタリが神妙な面持ちで答えた。

 ツィーは桶の中を何周もした。もう泣いてはいなかったが罪の意識に苛まれているのか俯いたままだ。ワスプの実は潰れ、紫色の果汁が桶の底に設けられた樋から流れ出し、受け桶はほぼいっぱいになった。
 ツィーが涙を流しても蔵人たちはかまわず歌い続けている。
「今年の初仕込は若い女に絞ってもらって、おまけに涙入りだ。きっといい酒が出来る」誰かがはやし立てた。
 見ているもの全員がツィーに拍手と歓声を送り、やがて初仕込式は幕を閉じた。
 ミモザが桶に近づき台の上に乗った。
 そっと手を差し出す。
 ツィーはその手を掴んで桶から上がる。
 その瞬間、ミモザはツィーの手を握ったまま跪いて頭を垂れた。
 ツィーは真っ直ぐに立ったまま、もう片方の手をミモザの頭の上に置いた。
 だがそれは一瞬のことだった。ツィーは驚いたようにその手を戻し、握られた手も振りほどいた。
「誠実の礼を受けよった」ワタリがつぶやいた。
「誠実の礼?」
「王家の者だけに対して行う礼だ。これは本物かも知れんな」

 出発の予定日を、もう1週間も過ぎていた。
「悪かったね。あまりにも居心地が良かったものだから」アズミがイーザルとミモザに礼を言った。
「なに、気にすることはない。各方面の貴重な情報をたくさんもらったし、食事は大勢で食べる方が楽しい。それに必要なものを運んでもらったし、酒もたくさん仕入れてもらった」イーザルが笑顔で言った。
「次にここを通るのは半年後?必ず立ち寄ってね」ミモザも名残惜しそうだ。
「ああ、たぶんそれぐらいになると思う。リストの品もなるたけ仕入れてくるよ」
「よろしく頼む」イーザルはそう言うとアズミとハグをした。「旅の無事を祈っている」
「きっと戻ってね」ミモザもそれに続く。
「じゃあ」アズミは輸送車に乗ると顎をしゃくって御者に出発を指示した。アズミの乗る輸送車が動き始めた。残りの9台がそれに続く。
 シャウラは最後の荷物をスハイルの背中に掛けた。ツィーは続いてその後ろに自分の袋を掛ける。
 ミモザは2人に近づいた。「お二人も気をつけて」
「ありがとうございます」シャウラが答えた。
「ツィー、きっとまたきてね」ミモザは顔の高さをツィーに合わせる。
「はい」小さな声だったがツィーは力強く答えた。
「幸せになりなさい」ミモザが声に力を込める。
 そしてツィーのことを強く抱きしめた。
 ツィーは最初体を硬くして抱かれていたが、やがて目を瞑りミモザの胸に顔を埋めた。顔には小さな笑みを浮かべている。
「旅の無事と再会を願っている」イーザルが声をかけた。
「ありがとうございます」シャウラは鐙に足をかけスハイルにまたがった。
 腰を屈め手を下に差し伸べる。
 ツィーはシャウラを見上げてからその手を掴む。
 シャウラは軽々とツィーを引っ張り上げ、鞍に跨がる自分の前に座らせた。手綱を取ると丁度ツィーを抱きかかえるような格好になる。ツィーは一瞬シャウラの方を振り向いてから顔を前方に向けた。隊商は先に進んで、すでに門を出るところだ。
 シャウラは「ハッ」とスハイルに声をかけると手綱を鳴らした。スハイルは速歩で隊商を追いかけ始めた。


2020.07.14
2020.07.19 微妙な修正
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三人称多視点ってあり?

サキは三人称で物語を書くことが多いのですが、いま書いている小説もやはり三人称で書いています。
そしていつものように一度書いたものを何度も読み返し、修正しながら物語を完成に近づけていっています。
ところが、先日読み返していて「ん?」と思う事態に遭遇しました。
 途中経過なのでまだ固まっていないのですが、以下が「ん?」とひっかかってしまった文章です。

 シャウラはアザミに続いてホールに入った。ツィーは相変わらずシャウラの後ろを歩いている。

 ・・・しばらくシャウラ視点で物語が展開します・・・

 ツィーはシャウラの服を掴んで顔を横に振ったが、アズミとシャウラに説得された。世話になっているのだ、断る選択肢は無い。
 作業はどうしても汚れを伴う。
 ミモザはツィーを伴って一旦ホールを出た。
「私の衣装を使って頂戴、若い頃のだから何度も使って染みが残っているけれど・・・」ミモザは心配そうに言いながらツィーを着替えさせたが、その神々しいまでの美しさに息を呑んだ。
 着せたのは農作業用の簡素なものだったが、神族の伝統的な民族衣装だった。それはツィーの幼さを覆い隠し、神秘的な色香を引き出していた。

 ツィーがホールに戻ってきたとき、ホールは一瞬ざわついた。
 驚いてツィーを見つめていたシャウラはあわてて視線をそらせた。
 ・・・以下シャウラ視点で展開・・・

 いかがでしょうか?
 初めはうっかりしていて気づかなかったのですが、シャウラの視点で展開してきた物語が、途中からミモザ視点に変わっていて、シャウラを残してホールを出てしまっています。
 三人称多視点っていうんでしょうか?一人称だったらあり得ないことですよね。
 小説としてこういう書き方ってありなんでしょうか?
 勉強不足で小説の作法がよくわかっていないサキなのですが、自分としては視点の変化も不明確だし、ダメなんじゃないかと思っています。
 先も「読めることは読めるんだが・・・」と言いながら、気に喰わない様子です。実は先もよくわかっていない。
 気になったので以下のように書き直しましたが・・・。

 シャウラはアザミに続いてホールに入った。ツィーは相変わらずシャウラの後ろを歩いている。

 ・・・しばらくシャウラ視点で物語が展開します・・・

 ツィーはシャウラの服を掴んで顔を横に振ったが、アズミとシャウラに説得された。世話になっているのだ、断る選択肢は無い。ツィーは困惑した顔でようやく頷いた。
「よかった。ありがとう。でもその服装じゃ駄目ね」ミモザが言った。搾出作業はどうしても汚れを伴うから着替える必要があった。
「私の衣装を使って頂戴、若い頃のだから何度も使って染みが残っているけれど・・・」ミモザは心配そうに言いながらツィーを伴って一旦ホールを出た。

 ツィーがホールに戻ってきたとき、ホールは一瞬ざわついた。
 いかにも神族然としたツィーのたたずまいは神々しさを感じさせるくらい美しかった。
 着せられたのは農作業用の簡素なものだったが、神族の伝統的な民族衣装だった。それはツィーの幼さを覆い隠し、神秘的な色香を引き出していた。
 驚いてツィーを見つめていたシャウラはあわてて視線をそらせた。

 これでとりあえず視点は安定したかな?。
 とにかく悩みながらも書いています。
 ここにあげた文章も今後の読み返しで変わってしまうかもしれないのですが、近日発表の予定です。
 コロナに負けるな!ですね。
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