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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 
★作品へのリンク!&お願い!
 
 

オフ会(大阪秋の陣)に参加させていただきました。

 先日オフ会に参加させていただきました。
 オフ会というものに参加するのは人生2回目なのですが、今回は1回目にもましてたくさんの刺激や驚きをいただきました。
 ・・・といっても、参加したのはサキではなくて先の方だったので、後日2人で長い時間をかけて、先が撮ってきてくれた写真を見ながら(またピンぼけがありましたけど)報告会と検討会を開きました。そして、その内容をふまえてサキが記事にしてみました。

 第1回の時の参加メンバーは先を含めて4人でしたが、今回は実に7人、しかも第1回が午後6時半集合だったことに比べて随分早く、午後2時の集合でした。
 第1回の時は全員初対面ということと時間不足で、話が核心まで行かない場面もあったのですが、今回は集合を早くしたおかげで時間もたっぷりあって、色々な話で盛り上がりました。
 そのたくさんの会話の中で今回サキが一番驚いたのは皆さんの創作にかける情熱と半端ない知識と見識、それと読書量の物凄さでした。 
 先は結構読書もするのですが、系統立てた読み方はしません。ジャンルや作者も行き当たりばったりで、面白そうなものを拘りなく手に取って読むという読み方をします。サキは彼の蔵書を引っ張り出してきて読む、ということから読書を始めていますから、傾向としては同じようなものです。
 先はただ圧倒されて凄いなぁと思いながら座っていたと言うのですが、ジャンルも古事記から始まって純文学からコミック、アニメ、果ては映画・演劇・音楽まで、話の幅は広いし、語られる内容は濃く深い、次々と出てくる作家もメジャーな人以外はチンプンカンプン、とても付いていけなかった、とのことでした。
 サキが参加していても同じような状態だったろうなぁと思います。
 そりゃそうですよ。サキが小説を書き始めたのはブログを始めた2011年の事で、それまではコミックを書こうとして四苦八苦していたんですから、小説を書くことはまだまだヒヨッコというかド素人です。
 先に至っては、小説を書くなんてこと自体、サキが自分の書いた物を見てほしいともちかけるまでは、想像すらしていなかったようですしね。
 サキが小説を見てほしいと持ちかけたのは、先が読書好きなのを知っていましたし、リビングでビジネスレターを作ったり校正しているのを見ていたからなのですが、それは小説を書くという事とはやはりまったく違うことです。
 サキは右も左もわからないまま執筆活動を始め、山西左紀としてブログを始め、覗いてくださる方にブロ友をお願いし、ここまで闇雲に進んできたのですが、実はとんでもない皆様とお付き合いさせていただいていた・・・それが今回参加させていただいて感じた2人の共通した感想です。
 そんな皆様にサキの拙い小説の感想をいただいたり、小生意気にも感想を書かせていただいたり、時にはコラボまでさせていただいたりしてたなんて、先の報告を聞きながら本当にサキは恐縮してしまいましたよ。
 でも、ここまで来てしまってから恐縮ばかりもしてはいられません。
 こんなに素晴らしい方々とお付き合いいただけているのは、拙いながらも書いてみようというサキの情熱を感じていただけたからだと思うんです。
 プロ並みの実力をお持ちの皆さんの中に混ぜていただくのは気が引けるのですが、とても素晴らしい環境の中で過ごさせていただいていると前向きに受け止めて、楽しみながらマイペースで(この条件は必須です)創作とブログ活動を続けて行こうと改めて思っています。ほぼ、開き直り状態です。
 そういうこと(開き直り!)ですので、これまで通り無遠慮な感想やコメントを書き込んだりすると思いますが、大目に見てやってくださいませ。

 この度はオフ会(大阪秋の陣)に参加させていただいてありがとうございました。先ともども厚く御礼申し上げます。
 そしてこれからもよろしくお願いいたします。


追記:皆様それぞれの事情もおありのようですので、参加された方についてここでは詳しく触れていません。ブログの世界もいろいろあるのですね。
また、皆様からは心のこもったプレゼントをいただきました。宝物にして、大切に使わせていただきます。食べちゃったのもありますが・・・。ここに改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
そして、何も持たずに参加してしまった先をお許しください。気のきかないやつですみません。怒っておきました。
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テーマ : 恋愛小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

今夜は久しぶりに小説をUPします

気が付いたら11月の声を聞いています。
 今夜は久しぶりに小説をUPします。
 物書きエスシリーズの一編ですから、本来このヘッダーはエスが書かなきゃいけないのですが、今回は特別にサキが書いています。(カテゴリーを変更しました。これでサキが書いていても問題ありません)
 UPするのは6000文字ほどの短いお話ですが、完成させるのにかなり時間がかかってしまいました。
 前半部分は乗って書いていたのですが、後半部分でスピードがどんどん遅くなって、なかなか進まなくなったんです。
 何が原因なのかは難しいのですが、やはりキャラクターが暴走しなかったということが大きいかもしれません。
 ウンウンと理屈で考えないと動いてくれないんですよ。
 10月1日で山西左紀のブログ「DebrisCircus」は7歳の誕生日を迎えていたのですが、それもすっかり忘れるほど唸ってました。(他にも色々雑用があったんですけれど・・・)
 なかなか進まないので細かい文章を考えるのは諦めて、とりあえず出てくる文章の流れで、一旦無難にエンディングまでまで書き上げました。
 会話の部分なんか「〇〇〇」が並んでいるだけだったんですよ。
 誰が喋っているのかわからないような状態ですね。
 物語の流れもカクカクだし、膨らみも無くて、読んでも意味不明かも・・・状態です。
 そうやって一旦書き上げてから、全体を少しずつ読み進めながら細かい部分を加筆し、修正し、矛盾点は書き直しました。
 これでようやく読める状態にはなったと思うのですが、相変わらずの文章ですね。すみません。
 骨格だけだった物語が徐々に肉付けされていくのは、それはそれで面白かったのですが、ちょっとこれはスランプ気味なのかも・・・。
 夏バテからも完全に回復できていないのかな?
 早寝、普通起きで睡眠時間はちゃんと取っているんですけどね。

 これ以上触っていても完成しませんので、思い切ってUPしてしまいます。
 よろしければ下のリンクからお進みください。

 センチメートル・ジャーニー
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

センチメートル・ジャーニー

 砂浜が続いている。
 曇の向こうに浮かぶ太陽は弱々しく、海からは強い風が吹き付ける。風は防風林の間を速い速度で吹き抜け、助命を請う悲鳴のような音を響かせる。
 寒流を越えて吹いてくるその風は俗にヤマセと呼ばれ、霧を伴って冷え切っている。砂浜には大きな波が白い波頭を伴って押し寄せ、吹き飛ばされた飛沫は霧と一緒になって内陸に向かって流れて行く。まるで荒れ狂う海の怒気が白い流れになって陸地を侵略しているかのように。

 砂を踏む感触が靴底から上がってくる。
 心地よい感覚だったが、それを楽しんでいる余裕は無い。
 山梨美里は肩からカメラをぶら下げ、両手をポケットに突っ込み、背中を少し丸めて歩いている。
 唯一気に入っている大きなブラウンの目は細められ、小ぶりな薄い唇は硬くむすばれている。肩より少し長く伸ばした髪は風をはらんで乱れ、むき出しになったうなじは見るからに寒々しい。8月というのに、風は徐々に彼女の体温を奪い、寒さが増していく。
 もうすこし厚着にすべきだったかな。彼女はたまりかねて弱音を吐いた。
 ある程度の寒さは予想して、長袖のウィンドブレーカーやフリースは用意してきた。都会を離れ最寄りの駅に着くまでは冷房が作動するくらい暑く、半袖で充分だった。だが、駅を降りてバスに乗り込むときにはフリースが必要だった。
 駅から目的地へ向かうには、バスが唯一の公共交通機関だったが、そのバスも第一原発と環境科学技術研究所を通り過ぎ、次世代エネルギー開発センター前が終点だった。バスを降りた美里は肌寒さに驚いて、そこでウィンドブレーカーを着込んだ。だが、それでも不十分だったようだ。
 目的地の対屋(ついのや)はそこから徒歩でまだ30分程かかる。二車線の舗装された道路はあるが、内陸を通るため遠回りになる。歩きなら砂浜を歩いたほうがだいぶ早い。町の案内所で仕入れた情報をもとに美里は歩き始めた。
 道路は次世代エネルギー開発センターの広大な敷地に沿って海岸線を進んだ後、内陸に向きを変える。
 そこから砂浜に出て波を避けながら進むと、やがて第二原発の予定地にたどり着く。先年の津波による原発事故の影響で工事は止まっているが、敷地内には入り込めない。美里は一旦仮設通路を迂回してから、また砂浜に戻った。
 第二原発が完成すればこの仮設通路も無くなってしまう。対屋に住む人はますます不便を強いられるだろう。ま、歩いて行き来する物好きはそんなにいないだろうけど。美里は寒さの中、そんなことを考えながら歩き続ける。
 防風林の向こうに建物が見え始めた。
 対屋の集落だ。美里は目標物の出現に力を得て歩調を速めた。

 対屋は小さな船着き場を持った集落だった。船着き場から一段高い位置に家並が見える。どの家も高い塀と防風林を備えているのは強風に備えてのことだろう。美里は砂浜から道路に戻ると集落の中に入って行った。
 集落に入るとさすがに風は弱くなった。人影は無い。家に籠っているのか、あるいは無人なのか、あきらかに廃屋となっている建物もある。
 美里は道中でもことあるごとにシャッターを切って映像を記録してきたが、ここでも家々にレンズを向け何回もシャッターを切った。
「あんたぁ、なにもんだぁ?」
 突然声を掛けられた美里は驚いて振り返った。小柄な老人が立っていた。
 灰色の地に派手な柄の入った分厚い服を着込んで、少し背中を丸めたその様は、どこか妖精のドワーフを連想させる。どうやら女性のようだ。
「か、観光です」美里はとっさにそう言った。
「観光?こんなついの地にか?」風で乱れた白髪の間から疑い深そうな目が覗く。
「ついの?」
「“終い(しまい)”ちうこった」
「ああ、終(つい)」
「ここは対屋(ついのや)じゃでな」老婆は吐き捨てるように言った。
 なるほど、そういうことか。きっと漢字を当てる時、無難な字を当てたんだ。ここまで寒さの中を歩いた美里にとっては納得のできる説だった。
「すみません。実はこの先の弾道弾試験場を見に来たんです」美里は正直に答えてみることにした。
「そんなとこやろぅ思うたわい。お前様はジャーナリストちうもんかいな?立派なカメラを下げとるけえの」老婆は美里のミラーレス一眼に目をやりながら言った。
「いえ、学生です。将来的にはジャーナリストになれたら、とは思ってますけど」
「学生がそのジャーナリストの真似事かぇ」
「そうですね。レポート・・・というか自由研究みたいなものです」美里は少しわかりやすく言い換えた。
「夏休みの宿題かぇ」
 老婆は何気なくそう言ったが、今回の取材にはまさにピッタリの表現だった。
「まぁ、感心なこった」少々皮肉交じりに老婆が言う。
「ありがとうございます」美里は一応礼を言った。
「じゃったら・・・」
 老婆は長いスカートのポケットをまさぐり、何かを取り出した。
 携帯デバイスだ。大きな液晶を持つ最新機種のようだ。驚く美里の視線を気にする様子も無く、画面をフリックしながら素早く入力していく。
「ついて来やれ」
 操作を終えると老婆は歩き出した。
 老婆はその見掛けに似合わぬしっかりとした足取りで進んで行く。美里は疑問を抱えたまま遅れないようにその後に続いた。

 やがて集落が尽き、再び砂浜が見え始めた。道路は集落から下って砂浜に達するところで終わっている。
「呼んだから、来とぉはずやが」老婆が誰にともなく言う。
「誰が、ですか?」
 老婆は質問に答えない。
「婆ちゃん」
 突然後ろから声をかけられ、美里は振り返った。
 振り返った先には人が立っていた。両腕を前に組み、深く被ったフードの中から眼光鋭くこちらをうかがっている。
 くすんだ緑色のヤッケ、ビンテージ物で通用しそうなジーンズ、一見中学生くらいの少年に見えるが、声からすれば少女のようだ。
「これに案内させるで」老婆は少女に向けて顎をしゃくった。
「案内?」
「1人で行くのなら止めんせんが、なんせ軍事基地やでな。見慣れんもんがウロウロしとったら何が起こるかわからんせん」老婆が不吉な口調で言う。
「お姉ちゃん、どうする?」せっつくように少女は訊いてくる。
「どうするって・・・」
「安くしとくよ」少女はあっけらかんと言う。
「え!お金取るの?」
「あたりまえじゃん」少女は軽い調子で金額を言った。
 この先に有るのは確かに軍事基地だ。しかも新型ミサイルの実験場だ。ただ写真を撮るためだけの訪問だが、やはり何が起こるかわからないと言われると不安になってくる。この少女が案内に付いてくれたところで、不安が解消されるとは思えなかったが、彼女の慣れた様子には心が動く。それに提示された値段はべらぼうに高いわけでもない。
「先に確認しておきたいんですけど」
「何かぇ?」
「帰りのバスが夕方の5時半なんですが、それに間に合うように帰ってこれますか?写真を撮る時間も欲しいし・・・」
 少女が何か言おうとしたが、それを制するように老婆が口をはさんだ。
「そうやのぉ。向こうで半時間ほどおっても、ここへは3時までには戻れるやろぉの」
 それなら、このお婆さんにインタビューする時間も取れそうだ。
「お婆さん、戻ってからインタビューに答えていただけますか?」
「わしゃぁ、かまわんが」
「じゃぁ、お願いしようかな」
 美里は案内を頼むことにした。
「やりぃ!」
 少女は嬉しそうにガッツポーズを作った。

 集落を出るとまた風は強くなったが、別れ際に老婆が自分のケープを脱いで美里にかけてくれたおかげで、寒さは随分ましになった。
「この村には何人ぐらい住んでいるの?」美里は先を行く少女に声をかけた。
「婆ちゃんとあたし。それにヤマシんとことカイノんとこと合わせて9人、あ、ミノヤもおるから10人かな」
「それだけ?少ないね。後は誰も住んでいないの?」
「4軒以外は空家。時々町から帰ってきて暫く家の様子を見て行く人もおるけど」
「ふ~ん、あなたは中学生?」
「マリアって呼んでくれたらいいよ」
「じゃぁマリア、あなたは中学生?」マリアって本名?どんな字を当てるんだろう?美里はそんな感想を持った。
「中3」
「学校へはどうやって通ってるの?」
「スクールバスが有るから、それで通ってる。1時間ぐらいかけてね」
「受験は?」
「ちゃんと受験生もやってる。高校に行ったら村を出なきゃいけないけど」
「たいへんだね」美里が労いの言葉をかけると「まあね・・・」マリアは寂しげな表情で応えた。
 少女はそのまま黙って砂浜を進んで行く。
 美里は遅れないように後を追った。

 2人は砂丘のてっぺんに腹ばいになって向こう側を覗いている。
 ここまでして身を隠す必要があるのか美里にはよく分からなかったが、マリアが慎重にそういう行動をとったので黙って従った。まるでスパイ映画のような行動はそれなりに楽しかった。
 50メートル程先に砂浜を一直線に断ち切る柵がある。それは防風林の中から海中にまで続き、すべての者の立ち入りを拒んでいる。
 風はやはり強く、波しぶきか霧か、或いは両方が内陸に向かって流れ、視界はあまり良くない。
 柵の向こうにはこちらと同じように砂浜が続いていて、特に変わった様子は無い。防風林の向こうに櫓のような物や、大きなドーム状の建物が見えているが、ここからではそれが何の目的で建てられた物かはわからない。
 事前に見学を申し入れたが、けんもほろろに断られた。
 美里はレンズのズーム機能を目いっぱい使って何枚も写真を撮った。
「お姉ちゃん、名前は?」唐突にマリアが訊いた。
「美里、山梨美里」
「ミサトは基地を見るためにわざわざここまで?」
 いきなり呼び捨て?美里は少しムッとしたが、老婆に話したのと同じことをかいつまんで話した。
「夏休みの宿題みたいな感じ?大学生も大変なんだ」マリアの反応は老婆と同じだ。
「お互いにね」美里は同意を求めたが「へへ・・・」マリアは曖昧に返事をした。
「それでさ」マリアは話題を変えた。「ミサトは何が調べたいの?」
「わたしはこの基地を見るためにだけやって来たんじゃないんだ」
「ふーん」マリアは何か珍しい物でも見るような目をした。
「おかしい?」
「だいたいはさ。ここに来る人って、最果てマニアか軍事マニア。最果てマニアはこの風景を見て勝手に悦に入っているし、軍事マニアはどこで調べたんだか発射実験の日にやって来て、発射される弾道弾の写真や動画を撮る人が多いんだ」
「見えるの?」
「普段は水平に飛行させるから、ここからは見えないよ。あの松林の向こうに何キロも続くモノレールみたいな設備があって、そこで実験するからね。でも上に向かって撃つ時もあるんだ。それは嫌でも見える」
「あの櫓から?」
「違うよ。発射場はもっとずっと向こう、半島の先の方にあるんだ」
「まるで見てきたみたいだね」
「そんなはずないじゃん。想像だよ。想像」
 普段はもっと危険なガイドもやっているのかもしれない。美里はマリアの言葉を鵜呑みにする事は出来なかった。
「でさ、ミサトは何が調べたいの?」マリアの質問は元に戻った。
「わたしはね」美里はジッと見つめてくるマリアの視線を感じながら続けた。「ここに基地ができて、住んでいる人がどんな影響を受けたか、それが知りたい」
「ふーん、やっぱり変わってる」マリアは視線を基地の方へ向けた。
「そうかな?普通に持つ疑問だと思うけど?」
「そう?でもこういうのはなかなかマスコミも取り上げないよ。ミサトのレポートも日の目を見ればいいけど・・・」
「どういうこと?」
「相手が巨大すぎるってこと!ま、いいや。そういうことなら少し話してあげるよ」マリアはゴロリと寝返って空を向いた。
 フードが落ちて整った色白の顔が現れる。耳の位置で短くカットされたやや灰色みの強い黒髪や、それと同じ色の虹彩は、自分たちとは異なった何かを感じさせる。
「うちの婆ちゃんの両親、あたしの曾爺ちゃんと曾婆ちゃんだね・・・は、先の大戦の前は植民地の開拓民だったんだ。大きな農地を持って、そこを開拓してある程度上手くいってたらしい。婆ちゃんはそこで生まれたって言ってた」マリアは淡々と話し始めた。
 美里は話の流れがわからなかったがとりあえず聞いてみることにして頷いた。
「でも戦争、負けちゃったでしょ。負けたら全部取り上げられて、命まで取り上げられた人も多かったんだけど、曾爺ちゃんと曾婆ちゃん、そして婆ちゃんは、なんとか上手く引き上げられたんだ。そして荒れ地だったけど土地を買ってそこを開拓したんだ」
「そこが対屋?」
「ううん」マリアは首を横に振った。
「そこはね、あの松林のずっと向こう」マリアは弾道弾試験場の方向を指差した。
「え!だったら」
「そう、収穫が軌道に乗り出した時、この基地の話が持ち上がって、なんだかんだで取り上げられちゃったらしい」
「そんな・・・」美里は上半身を起こした。基地の方から丸見えになるはずだ。
 だが、そんなことにはまったく構わず、マリアは話を続ける。
「それでも、保証ということで代替え地が用意されて、曾爺ちゃんと曾婆ちゃんはまたそこを開拓したんだ」
「そう。でも、そんなに何度も大変だね」腹ばいで隠れていたことを思い出した美里は、慌ててマリアの横に仰向けになる。
 2人は砂丘の上に並んで灰色の空を見上げた。
「ところがどっこい。今度はその辺りに原子力発電所が出来る話になってね」
「また!?それってまさか第二原発のこと?」美里はここへ来るときに通った第二原発の荒涼とした風景を思い出した。
「御明察!さすがに今度は大々的に反対したらしいけどね」
「そりゃそうだよね」
「でもね。用地からは外れても、周りの地主が売っちゃったらねぇ。畑へ行くのにすら発電所の用地を通らなくちゃならないし、水の確保もままならない。1軒だけで反対を続けて行くことは大変だったみたい」
「周りの人はみんな土地を売ってしまったの?」
「こんなとこじゃジリ貧だと思ったんだろうね。まとまった保証金と発電所や研究所での安定した雇用が魅力に感じたって、しょうがないかもね」
「酷い、そんな事があったんだ」
「詳しいことは婆ちゃんから直接聞いたらいい。きっと今夜、婆ちゃんからたっぷりと聞かされるよ」
「今夜?今夜ってどういうこと?」美里は意味がわからず、マリアの方へ顔を向けた。
「ミサトは知らないみたいだから、教えといてあげるよ。今日は土曜日だから夕方5時半のバスは運休だよ」空を見上げたまま、何でもないことのようにマリアが言う。
「運休!?」一瞬状況が把握できず、美里は素っ頓狂な声を上げた。
「そう」楽しそうにマリアが答える。
「え?それって、帰れないってこと?」
「そう、土日は2時半のバスが最終だからもう無理」
「だったら最初に・・・」美里の声から力が抜けた。
「大丈夫、婆ちゃんが宿泊の準備をして待ってるよ。ウチは民宿もやってるんだ」マリアは美里の方を向き、満面の笑みを浮かべた。


2018.11.1
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

復活です。

 もう少し時間がかかるかと思っていたのですが、案外早く復帰できました。
 まだソフトのインストールが必要ですが、それはまた必要になった時に少しずつ作業していこうということで・・・。
 コメントでもお返ししたのですが、WINDOWSには「復元」という機能があって「復元ポイント」の時点まで遡ってトラブルを回避する事ができるようになっています。「復元ポイント」は任意でも作成できますが、何かアクションが有った時には自動で作られます。
 ところが起動出来ない場合はその機能自体が使えないため、役に立たなかったんですよ。最悪でした。
 この間のハードディスクエラーにはなんとか対応できたのですが、その後シャットダウンが出来ないという状態がしばらく続いていたのでやばいなぁ、とは思っていたんですよ。でもパワースイッチONからいきなりエラー画面が出てリセットを繰り返しすのは勘弁してほしいですね。この間までは、しばらく大きなトラブルに遭遇していなかったので油断していました。
 やっぱりPCというのは完璧な製品ではないということですね。

 そして、トラブったSSDはリスクが高いかも・・・と考えて、新しいSSDにまっさらな状態でWINDOWS10をインストールし、データドライブと連動させました。

DSCN7252_2.jpg
Crucial MX500 250GB
新しいSSD(Solid State Drive)です。120GBから250GBに大きくなりました。
安定性や寿命も良くなっているといいのですが。

 でも、データをすべて別ドライブにしていたのは正解でした。
 こっちの部分には被害が無かったのは不幸中の幸いです。
 今後はこのデータもUSBハードディスクか何かにコピーしてバックアップしておこうかな、と思っています。痛い出費ですがデータは無くなったら帰ってきませんからね。
 書き溜めた小説はもちろんですが、書きかけの作品、大幅な変更がされる前の作品、別バージョンのお話など、ブログに上げてない作品群が無くなったら目も当てられませんから。

 さて、ボヤキはこのへんにして、そろそろ創作に取り掛かるとしましょうか。
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ここのところのPC

こんばんは。
突然ですが、サキのパソコンが起動しなくなりました。
どうもWINDOWSの基本的なファイルが壊れてしまっているようなのですが、原因不明の上、修復にも失敗してしまいます。
現在大急ぎでSSDを仕入れ、ピュアなWINDOWS環境を作って、そこからデータファイルを救い出すべく準備を進めています。
別のパソコンを使えばWEBを覗いたりすることはできるんですが、サキ専用ではないので自由が効きません。
時間さえかければ何とか復活できそうなんですが、それまでの間自分のブログの更新、皆様のブログへの訪問・コメントが滞ります。
お許しください。

先!協力して!!!
あ~大変だ!!!
面倒くさい!!!
小説を書きたいのに!!!
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プロフィール
こんにちは!サーカスへようこそ! 二人の左紀、サキと先が共同でブログを作っています。
ようこそ!


頂き物のイラスト

アスタリスクのパイロット、アルマク。キルケさんに書いていただいたイラストです。
ラグランジア
左からシスカ、サヤカ(コトリ)、サエ。ユズキさんにイラストを描いていただきました~。掌編「1006(ラグランジア)」の1シーンです。
天使のささやき_limeさん2
limeさんのイラストをイメージにSSを書いてみました。「ダイヤモンド・ダスト」
イラストをクリックすると記事に飛びます。よろしければご覧くださいネ!
スカイさんシスカイメージ
スカイさんのシスカイメージ
シスカ・イメージ高橋月子さん作
シスカ・イメージ 高橋月子さん作
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