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Debris circus

Debris circus

頭の中に散らばっていた破片(debris)を改めて文章に書き起こし、オリジナルブログ小説としてサーカスの舞台に上げていきます。読みにくいものもありますが、お暇な時にパラパラとめくる感じででも読んでいただけたら嬉しいです……

 
★作品へのリンク!&お願い!
 
 

「ルビコン」をUPします

 今夜は「ルビコン」をUPします。5000文字弱の掌編です。
 書きかけで放置されていた2作品の片割れです。
 書きかけの作品にはもう1つ、八少女夕さんが35000HITピッタリを踏まれていただいたリクエスト作品があるのですが、それとは別の作品です。
「ルビコン」の方を優先したのは、この作品は急に思い立ったアイデアをそのまま作品にしているので、新鮮なうちに作品にしないと消えてしまうように思ったからです。
 それに、夕さんからいただいたリクエスト作品は、サキの以前書いた物語のキャラクターたちが活躍するお話ですから、後に回しても色あせてしまうことは無いように思いました。
 それで悪いとは思ったのですが、夕さんのほうをお待たせしてしまう方を選択したというわけです。
 夕さん、この場を借りてお詫びします。
 永らくお待たせしてすみません。ちゃんと書きますからね。

 今夜の「ルビコン」は最近カテゴリー化した「アリスシンドローム」シリーズに含める1編です。
 サキがよく使うシチュエーションで書かれていて、ちょっとマンネリ気味です。そしてやはり、ここのところありがちな断片的な作品です。
 こんな作品でもよろしければ、この下のリンクからお進みください。

「ルビコン」

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テーマ : 二次創作:小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

ルビコン

 肩越しに甲高い声が響き、数人の女子が僕を追い越していった。白いブラウスに明るい色のチェックのスカート、襟元に同じチェックのリボンが付いた制服を着ているから、おそらく通学中の高校生だろう。
 どうにも女子は苦手だ。何を考えているか分からない彼女たちは僕にとって未知の生物だ。友達の中には個人的に付き合っている奴もいるが、傍から見ていてもその気苦労は同情に値する。そうまでして?僕には到底理解できないことのように思える。僕にとって彼女たちと付き合うという行為は、集団的にしろ個人的にしろ、そう、ルビコンを渡る?って表現でいいのかな?それくらい覚悟のいる行為のように思える。
 僕は下を向いたまま眉をひそめると、彼女たちに続いて改札口を入った。
 駅は朝の通勤ラッシュの只中にあったが、大都市のそれに比べるとかなりの余裕がある。僕は所帯道具一式が入ったリュックを背中にしょったままゆっくりと階段を上った。

 学校をさぼって旅に出てもう一週間になる。
 大学受験に追い回される日々から少し距離を置きたくなったのだ。
 家族はなんとなく理解をしてくれているが、正式には何も告げていないから、暗黙の家出と言ってもいい状態だ。
 学校には家族が取り繕ってくれているはずだが、もうそろそろ限界かもしれない。
 それに思ったよりも宿泊にお金がかかって、財布の中も心もとない状態だ。道端やベンチで寝ることに抵抗は無かったが、警察沙汰になりそうだったし、まだ彼らの世話になるつもりもなかった。
 のどかな内海に沿ってひたすら西へ・・・フリー切符での気ままな一人旅のつもりだったが、そんな悠長なことは言ってられなくなってきた。金の切れ目が縁の切れ目?って表現でいいのかな?今日辺りが潮時かな?僕は気弱になり初めていた。

 階段を上がりホームに出ると、すでに電車は停車していた。
 いつも見慣れている電車は銀色や葡萄色の艶のあるボディを持っているのだが、ここに停まっている電車のホワイトで塗られたボディは錆と汚れでくすみ、ところどころに雨が流れた跡がこびりついている。ペンキもあちこちが剥がれ、サイドに一直線に引かれたブルーのラインも勢いを失っている。いつごろから使われている車両だろう?
 僕はくたびれた電車を横目に足早でホームを進み、編成の真ん中あたりのドアから乗り込んだ。
 車内には据えたような臭いが漂っている。辺りを見回したが込み合っていて、すでにシートは埋まっている。僕は比較的空いていたドア横のロングシートの前に進んだ。
 そこもやはり乗客で埋まっていたが、一番奥の端に女の子が座っている。さっきの女子たちと同じ格好で、大きなトートバッグを抱えているから、やはり通学中の高校生なのだろう。背中まで伸ばされた真っ直ぐな黒髪、眼鏡をかけているが、外せばぐっと引き立ちそうだ。おとなしそうな感じだし、1人だし、そっと眺めるだけなら危害はないだろう。
 彼女の前にはすでにOL風の女性が立っていたので僕はその横に並んで、つまりその女の子の斜め前に立った。僕の前では中年のサラリーマン風の男が眠り込んでいる。
 急に静かになった。照明が消え、同時に床下にある機器のファンも止まったようだ。明るい時間だから問題は無いが、非常灯だけが灯っている。
 故障?僕は不思議に思ったが、誰も動じる様子は無い。女の子も無表情でじっと座っている。
 彼女の顔を覗いたままの数秒が過ぎると、まるで止まっていた時間が、また動き始めたように照明が点き、ファンも回り始めた。
 彼女もそれに合わせるように顔を上げたので、僕は慌ててホームの方へ顔を向けた。
 行き先を案内するアナウンスが繰り返され、発車の合図が鳴る。電車はドアを閉めるとゆっくりと動き始めた。
 やがて線路は並行する線路をまとめて1本に収束し、電車は大きな音を立てて鉄橋を渡った。
 そろそろかな?僕の期待に違わず電車は程なくトンネルに突入し、下り勾配の闇の中を進んでいく。
 このトンネルは海底トンネルだ。いま電車の上には海峡が広がっているはずだが、そんなビジュアルは想像でしか見ることができない。僕は暫くトンネルの闇を流れ去る照明のパルスを眺めていたが、面白みの無くなった車窓から目を戻した。
 目を戻した先には困惑した彼女の顔があった。
 隣の男が寄りかかっていたのだ。深い眠りに落ちているらしく、思い切り彼女の方へ寄りかかり、おまけに頭を彼女の肩に乗せている。
 彼女は何度か肩を動かして男の頭の向きを変えようと試みたが、男は呆けたように眠りこけていて、まったく姿勢を変えることはできない。あきれた奴だ。
 僕は隣に立つOL風の女性と顔を見合わせたが、彼女もなすすべがないという顔だ。
 仕方が無い。正面に立っていた僕は両手でつり革を掴んでから勢いよく膝を曲げ、男の膝に思い切りぶつけてやった。
 ガツン!男は何事かと頭を起こし目を開けた。あたりをキョロキョロと見回すが、僕は知らん顔をして窓の外の闇を見つめている。
 彼女は急いで居住まいをただし、男との距離をできるだけ取った。そして僕の方へ顔を向け小さく頭を下げた。
 よかったね。そういう思いが伝わるように僕は少し口角を上げた。
 やがて窓の外が明るくなった。トンネルを抜けたようだ。
 電車は海底トンネルの出口の勾配を登りきりスピードを落とし始めた。
 何本かの線路が並行し始めた。その向こうには錆びた線路が幾つも並行する。現代では効率化が進んで過剰設備になっているが、当時はここに長大な貨物列車が幾筋も並んでいたのだろう。
 さらにスピードが落ちると、急にまた照明が消えた。
 あれ?僕は辺りを気にしたが、やはり誰もそんなことを気にしている様子は無い。
 まもなくまた照明が灯り、電車はホームに滑り込んだ。
 僕はここで降りなくてはならない。ちょっと寄りたい所があるのだ。
 ドアが開くと同じ制服の女の子が乗ってきた。
「おはよう!マイテ」その子は明るい声でそう言うと、僕と入れ違いに彼女の前に立った。
「マイテ?ニックネームかな?」そんなことを考えながら僕はホームに降り立った。

 * * *

 午後も遅い時刻になって、僕はようやく駅に戻ってきた。
 いよいよ財布も寂しくなってきたので、このまま海底トンネルを戻り、そのまま東へ向かうつもりだった。
 ベンチに腰掛けて待っていると、やがて電車が入線してきた。
 今朝と同じ白いボディに青いラインの、あの少しくたびれた電車だった。
 ドアが開き乗り込む。
 まだラッシュの時間には早く、車内は空いている。僕は車内を見渡しながら奥のボックスシートの方へと進んだ。4人掛けのシートに2・3人が座っている状態だったが、僕は窓際に1人だけ後姿が見えているボックスシートに近づいた。今朝見かけた制服を着ているから女子高生だ。僕は彼女の前の席にリュックを置くと、その隣の席に腰を下ろした。
 斜め前に文庫本を読みふける顔が見える。驚いたことに、彼女は今朝“マイテ”と呼ばれていたあの子だった。メガネを外しているから印象が変わっているが絶対にそうだ。
 チラリと顔を上げた彼女は僕に気が付くと『今朝はどうも・・・』という感じで小さく頭を下げる。僕もそれに応じて軽く頭を下げた。今朝は気付かなかったが彼女の虹彩は明るい茶色だった。大きな目と通った鼻筋、そして整った口元、そのはっきりとした顔立ちはエキゾチックですらある。思った通りだ。メガネを外すとやはり魅力的だ。
 見つめすぎないように彼女を観察していると、時間が止まったように急に静かになった。照明が消え、同時に床下にある機器のファンも止まったようだ。夕方が近い時刻だから車内は薄暗くなり、非常灯だけが灯っている。
 やはり誰も動じる様子は無く、1人きょろきょろしている僕を彼女がじっと見ているだけだ。
 数秒が過ぎると、また照明が点きファンも回り始めた。時間はまた無事に動き始めたようだ。
「動作試験です」思い切ったように彼女が言った。
「動作試験?何の?」
「ここでは電車は交流20,000ボルトで動いてるんです。だけど、海峡の向こうは直流1,500ボルトだから、この駅を出てすぐのところにあるデッドセクションで交直切換が正常にできるか、この駅で動作試験をしたんです」
「デッドセクション?」
「交流と直流は直接繋げない。だから、架線に電気の流れていない区間、デッドセクションを設けて接続してあるんです」
 そういえばそんな話を聞いたことがある。海峡を挟んで電流が違っていて、行き来できるのは2つの電流に対応した電車だけだと・・・。今朝、車内の電気が消えたのもその切り替えだったに違いない。
「デッドセクションのある区間は両方の電流に対応した交直両用電車でないと走れない。でも交直両用は両方の機器を搭載している関係でコストがかかるし、使える場所も限られているから、そんなに簡単に新しくできない。だからこんな古い電車を大切に使っているんです」
『なるほど』彼女の説明は納得のいくものだったが、僕はきっと呆れ顔だったに違いない。彼女は喋るのを止め、窓の方へ顔を向けた。
 ドアが閉まり電車は走り始めた。
 やがて照明が消えた。
 やはり僕は辺りを見回す。
「ここがデッドセクション」たまらなくなったように彼女が解説した。
 少し進むと照明が点いた。
「今、直流に切り替わった」
「そういうことか・・・」頷く僕を横目で見ながら彼女は笑顔になった。
 今その顔をするか・・・。海底トンネルへの下り坂を加速する電車に揺られながら、僕の鼓動は速くなった。こういうのを茫然自失?って言うのかな?微妙に違うのか?とにかくまるで自分が未知の生物に取り付かれてしまったような気分だ。
 電車は海底トンネルに入り、窓の外は真っ暗になった。
「大学生」窓の方へ顔を向けたまま彼女は独り言のように言った。語尾は上がっていないが、暗い窓にはこちらを向いた彼女の顔が写っているから、僕の顔も彼女には見えているはずだ。これは僕への質問だ。
「いや、高3」
 彼女は驚いたようにこちらへ顔を向けた。
「年上に見えた?」僕は愛想笑いを浮かべる。
「だって・・・」
「君と同じ高校生、しかもしがない受験生さ」
「受験生?学校は?」
「さぼり中」
「いいの?そんなんで!」彼女の目は大きく見開かれた。
「いいさ」僕は事情を説明したが、どうもそれは彼女の理解を超えているようだった。
「こんな時期に信じられない。バカなの?それともよっぽど・・・」それが彼女の感想だった。僕はすっかり呆れられてしまったようだ。
 電車は海底トンネルを出ると鉄橋を渡り、ホームに滑り込んだ。
 終点を告げ、乗り換えを案内するアナウンスが繰り返される。
 向かいのホームには東へと向かう電車(彼女によると直流1500Vの電車だ)が待っている。僕はその電車に乗り換えて振り出しに戻るつもりだ。
 ドアが開いて、僕らはホームに降りた。
 じゃぁ・・・彼女は軽く右手を上げると僕に背中を向ける。なにか急ぎの用事でもあるようだ・・・。
「君はたしか今朝“マイテ”って呼ばれていたよね。それって君の名前?」どうしてそんな質問をしたんだろう?僕は彼女の背中に向かって声をかけた。
 振り向いた彼女は黙って僕を見つめる。
 そして暫くの沈黙の後「さて、どうでしょう?」と薄く笑う。
 思いがけない答えと表情に僕は二の句が継げない?って表現でいいのかな?とにかく言葉が出ない。
「あたしは明日も同じ電車に乗る。じゃぁね!」彼女は上げた右手をひらひらと振ると踵を返し、足早に階段を下って行った。
『明日・・・』
 電車を乗り換えて東へ向かうつもりだった僕は、自分がこの町で宿を探す事態に陥っていることに気が付いた。

 僕はデッドセクションを通過してルビコンを渡り、新しい領域に踏み込んでしまったのだろうか?

2019.09.17
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テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学
 
 

夏の終わり・・・

 ここのところ、ブログの更新が滞っておりましたが、実は身内に不幸がありました。
 祖母が亡くなったのです。
 お通夜とお葬式を済ませてようやく少し落ち着いた心持ちになり始めています。
 祖母はずっと伏せっていて、最後の方は意識も無かったので、亡くなってしまっても今までと何も変わらないのですが、やはり火葬場で骨になり、体が無くなってしまった時にはそれなりの思いになりました。
 こういう時には自分は薄情になろう、冷静さを保とう・・・いつもそう心がげているのですが、祖父が亡くなったときと同じように、思い通りには行きませんでした。(取り乱したりすることはまったくなかったのですが)
 暫くの間は色々と用事(法事)や手続きが残っていて、サキもそれを手伝わなくてはならないのですが、なんとか時間を作り出して、創作を再開しようと思っています。
 その方が気も紛れるかな?
 今、2つの未完成作品を抱えていますが、ちゃんと完成させる意欲は有ります。
 UPまですこし時間をください。
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テーマ : つぶやき    ジャンル : 小説・文学
 
 

今度こそは本当に完成です。

 limeさんからいただいた3つのお題、「涙」「バイク」そして「キャンディー」を使って仕上げた、33,333HIT企画4つめの作品です。
 これでこの企画はコンプリートということになります。
 前回先が完成をお知らせした時には、なんとお題の「涙」を使うことを忘れていたという大失態をやらかしてしまいまして、ほんとうにすみませんでした。
 サキも先も本当にウッカリ者です。
「涙」を入れるためには若干の修正と追記でよかったのですが、せっかくですから物語を大幅に書き直しました。
 良くなっていれば嬉しいのですが、ますますくどくなってしまったかも・・・と心配もしています。どうかなぁ。必要だと思って書いているのに、見直せば見直すほど余計な部分が増えているような・・・。なかなか上手に書けないんですよね。

 太陽風シンドロームシリーズですのでSFがベースの物語です。
 背景設定だけは無駄に大きいので、いつものように断片になってしまっていますが、お話としては纏めたつもりです。
 よろしければ下のリンクからお進みください。

 ミンタカ

 次は35,000HITの成り行き臨時企画作品で、夕さんのリクエスト「ヤキダマとコハク、建築家つながりの共演」にとりかかります。
 まだなにも考えていませんが、絶対に難しそう。
 少し(かなり?)時間をいただきますね。
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ミンタカ

 ガラス製の大きな丸い容器の中に、丸いキャンディーがいっぱいに詰まっている。
 容器は背の高い台の上に載っていて、自分は下からそれを見上げている。
 台の手前側、手の届くところには大きなダイヤルとスリットが付いている。
 持っていた銀色のコインをスリットに入れ、両手でダイヤルを1回転させると、ガチャリと音がして、台の下の方に開いた穴から1つだけキャンディーが転がり出た。
 それを取り出して口に含む。
 甘味。
 暫くの間舌先で転がしてから、手の上に吐き出し、指でつまんで太陽にかざす。
 それは写真で見た南の国の海のように透き通った青色に輝き、まるで天国の食べ物のように幸福感に満ち溢れている。
 透過する青い光を存分に眺めてから、それを再び口の中へ戻し、大切になめていく。
 ツッ・・・内包されていた気泡が現れて舌が切れた。だが出血による塩味ですら、甘味をさらに引き立てる。
 口の中に溜めた唾をこくんと飲み込んで、傷ついた舌先をそっといたわる。
 至福の時がゆっくりと流れて行く。

 激しく上下に揺さぶられてオドゥの意識はこちら側へ戻ってきた。
 上に乗っていた男は獣のように小さく呻いてから、オドゥの中にすべてをぶちまけた。
 男は暫くの間オドゥの中に入ったまま痙攣を続けてから、気だるそうに体を離した。
 オドゥは布団を体の上に引っ張り上げ、その中へもぐりこんだ。
「ケッ、愛想もクソもねえな」男は床の上に落ちた服を身に着けながら悪態をついた。
「ごめんなさい」オドゥが小さく声を出した。
「誰のおかげでここに居られると思ってるんだ」
「・・・」オドゥはベッドの中から無言を返す。
「俺が拾わなきゃ。お前なんかとっくに木乃伊だったんだ。よく肝に命じとけ」いったい何度同じ台詞を聞かされるのだろう。
「はい」だがオドゥはあくまで従順だ。
 返事を確認すると男は部屋を出た。そして扉の隙間から顔だけを部屋の中に入れ「オドゥ」と、彼女の名前を呼んだ。
「はい」オドゥは布団の中から返事を返す。
「店を開ける準備をしておけ」男は短く命令してパタンと扉を閉めた。
 男の気配が遠ざかると、オドゥは布団から頭を出した。肩の上までの黒髪がフワリと広がる。
 髪の間から覗く柔らかそうな耳。遠慮がちにちょこんと付いた鼻。黒曜石のように深くて澄んだ大きな目。すべての感覚器官を研ぎ澄ませ、オドゥは辺りの気配を窺った。
 安全を確認すると、続けて腕、そして身体が現れた。やや浅黒い体は栄養が足りていないせいか痩せていて、胸もそんなに大きくは無い。だが14歳のその体はもうすでに大人だ。
 この時期、まだ気温は低く、吐き出される息は白い。何も身に着けていないオドゥは震えながらベッドを出ると、大急ぎで床にばら撒かれた衣服を拾い始めた。
 言われたことは大急ぎでやっておかなくてはならない。後で必ずチェックが入るからだ。しかも男はせっかちだからそんなに時間的な余裕は無い。
 オドゥは服を着ると大急ぎで部屋を出て梯子を下った。
 下った先は雑多なものが山積みになった倉庫だった。
 一見カオス(混沌)に見えるそこは、実は分かるものには分かるように整理されている。カオスの中身はこの地域で手に入る様々な武器だ。
 戦闘機や戦車のような大型の物はさすがに在庫していないが、大きなものは数人いれば扱えるロケット砲や迫撃砲、ミサイルランチャーの類から、マシンガン、自動小銃、ライフル、小さなものは手榴弾や拳銃まで、多種多様の武器が所狭しと置かれている。そして見上げるような棚にはそれに使用される弾薬がぎっしりと詰まっている。
 オドゥはそれらの隙間を縫って進み、突き当たりの扉を開けた。
 扉をくぐった先は男の店のカウンターだった。
 男はこの地域ではかなり有名な武器商人だ。品揃えの多さでも他を圧倒していたし、注文を受ければ豊富な伝手を使ってあらゆる武器を調達した。それはあらゆる軍事組織(国家からテロ集団まで)にとって重宝な存在だった。
 それにこの地域ではたくさんの傭兵たちが自分の命を元手に商売をしていたが、彼らもこぞってこの店を利用した。他人より優れた武器を使えば、それだけ寿命が延びるし稼げるからだ。彼らはたくさんの金を必要としていたが、たくさんの金を稼ぐには、いい武器が必要だった。そしてそれを手に入れるためにはたくさんの金が必要だった。男はそこに漬け込んで、あくどく利鞘を稼いでいた。
 男はこのあたりでは一番と言われるくらいたくさんの金を持っていたが、人情はまったくと言っていいほど持ち合わせていなかった。オドゥを拾ったのも、彼女が少し成長すれば自分の欲のはけ口ぐらいにはなるだろうという目算があったからだ。幼かったオドゥに選択の余地はなかった。そして成長した今、実際にそう言う立場に置かれていた。
 男が言っていたように、オドゥは飢えと低体温で死にかかっていたところを拾われた。この地域の冬は乾燥しているため雪は降らないが非常に低温だ。もう30分もそのまま放って置かれたら、確実にこの世に残れなかっただろう。手荒く扱われたが食事(餌よりは多少ましだった)と暖を与えられた彼女は、もともとが丈夫だったせいもあって急速に回復し、程なく健康を取り戻した。
 男にとって都合のいいことに、彼女はいったい何故自分がこんな所に倒れていたのか、一切の記憶を無くしていた。時々おぼろげに青いキャンディーの夢を見るだけだ。夢と言っても普通の夢ではない。寝ているときはもちろん、起きているときにでも一瞬の狭間を縫って辿る記憶の断片のようなものだ。
 自分はガラスの容器を見上げているから、小さい頃の記憶だということはわかったが、そこがどこだったのか、誰と一緒だったのか、どうしても思い出せなかった。ただ、その時間だけは幸せな気分になることができた。
 彼女は抑圧された環境で、学校へ通うこともなく、店の手伝いだけを叩き込まれながら成長した。公的な支援や法による保護などあろうはずもなかった。唯一の人間関係と言えるものが、店にやってくる傭兵の男や女達との接触だった。
 彼女がその環境から何を学び、どういう人格を持つに至ったのか、それは誰にも解らなかった。そしてそれを気にする者も居なかった。

 オドゥは1人黙々と作業を始めた。
 まず小さな廃油ボイラーに点火し(これがかなりコツを必要とする)暖房用の蒸気を作る準備をする。
 カウンターの隅に置かれた機械式のレジスターの電源を入れてウォームアップを始める。分厚い板で作られたカウンターの上は昨日の閉店後綺麗に片付けているが、そこに必要なものを決まった場所に配置する。ボイラーから蒸気が発生し始めたらそれが暖房用配管に流れるようにコックを捻る。手馴れた作業だ。
 ここへやってきた頃はこの作業をなかなか覚えられず、やり損なうたびになんどもこっぴどく殴られた。今では難なくこなせるようになってはいたが、当時を振り返って懐かしむなどという気持ちにはなれなかった。
 徐々にラジエーターの温度が上がり始めた頃、オドゥが入ってきた扉を開けて男が顔を出した。
 シャワーを浴びてきたのだろう、まだ髪が湿っているし、微かだが爽やかな香水の香りもする。
「・・・」男は一言も喋らず鶏のような目つきで店の中を点検し、それが終わると腕時計に目をやった。どうやら合格のようだ。
「午前中は出かけるからレジは開けない。店を開けて注文があったら聞いておけ!午後には処理する」男はそれだけを指示すると扉の向こうに消えた。
「はい」オドゥは返事をすると、暫く気配をうかがってからカウンターの椅子に腰掛けた。椅子といっても粗末な3本足のスツールだ。
 やがて車庫の方からエンジンの始動音が聞こえ、車が動き出す気配が伝わってきた。
 月曜日の午前中、男は必ず外出する。誰かをたらし込むか丸め込むか、仕入れルートに関するなにか重要な接触があるようだった。だからオドゥはこの時間帯を自分の計画に当てていた。男の乗った大型のセダンの音は店の前を回り込むと徐々に小さくなり聞こえなくなった。
 店内にはボイラーの送風ファンとトランスの唸る音、そしてオドゥの呼吸する音だけが残された。
 店は荒野に開いた大きなクレーターのど真ん中にポツンと一軒立っている。そこに1人残されると、とてつもない孤独を経験することになるのだが、オドゥにはそんなことはなんでもなかった。何者からも干渉されない時間は、彼女をかえって幸せな気分にさえした。
 静寂と孤独は平穏をもたらし、その間あの夢は現れなかった。
 店を開ける前に、オドゥはシャワーを浴びた。
 あまり不潔にしていると男に殴られるからだったが、それに加えて今日はシャワーを浴びておきたい理由があった。体を拭き、髪を乾かし丁寧に時間をかけて髪をとき、歯磨きもした。洗い立ての服を着て、とっておきのコロンも少しだけ纏った(これをくれた男はもうこの世にはいなかった)。
 オドゥは自分の容姿にまったく関心を持っていなかったが、自分の真っ直ぐな黒髪や、黒い大きな目を持つ整った顔立ち、スレンダーな肢体は、手入れさえ怠らなければ一定数の男たち(特に経験の浅い男たち)の関心を引くということは分かっていた。
 支度を済ませると、引き出しから鍵束を取り出して入り口の扉に向かい、幾重にも掛けられた鍵を順番に外した。そしてまたスツールに腰を下ろす。
 誰にも干渉されない幸せな時間が過ぎていった。

 どれだけの時間がたったころだろう。小さく異質のノイズが聞こえ始めた。
 ノイズはやがてバイクの音であることが知れる。
 オドゥはスツールから立ち上がった。
 アムルのバイクだろう。
 バイクの音は店の前では止まらずに、車庫の反対側、店の裏手にまわり込んだ。
 オドゥは店を出ると裏手に向かった。
 店の建物の角をまわるとエンジンの音が大きくなった。大型のツーストロークエンジンを積んだデュアルパーパスタイプのバイクだ。破裂音を含む軽い排気音を立て、排気煙をふき出している。
「アムル!」オドゥは声をかけるとバイクの傍らに立つ男に駆け寄った。
「よう、やっと動くようになったよ」アムルは笑顔を向けてきた。
「凄いね!でもツーストロークだったんだ」
「構造が簡単だからな。こんな・・・」アムルはあたりを見渡した。「こんな僻地では複雑な構造は面倒だ」
 エンジンを切ると2人は輸送用のコンテナの上に並んで腰を下ろした。
「ずいぶん時間がかかったね」
「そりゃそうさ、ほとんどくず鉄みたいだったからな。ちゃんと走るようにするにはそれなりに手間がかかる」
「ありがとう」オドゥはアムルに肩を寄せ、アムルが体を硬くするのを確認した。
「でも、これでオドゥの願いを叶えられると思う」
「ほんと!?」オドゥは彼の顔に微笑を向けた。寄り添った体からは彼の発熱も感じられる。
「3日程かかると思うけど。町まで連れて行って上げられるよ」顔を少し赤くしてアムルは答えた。
「嬉しい!」オドゥは頭を彼の肩の上に乗せた。さらりとした髪が彼の頬や首筋に触れる。さっき付けたコロンは上手く作用しているのだろうか?彼はますます体温を上げ、体を硬くした。
「でも、燃料は?」オドゥは彼の肩から顔を上げアムルの顔を覗き込む。数少ないチャームポイントは効果的に使わなくてはならない。「うちの店のは使えないの。とても厳しく管理されているから・・・」
「大丈夫!俺のIDカードを切り替えたから、それで配給品が買える。給油ステーションでもカードがあれば給油できる」
「よかった」オドゥは再び頭を彼の肩に預けた。
「今夜立てるか?」少し肩を引き気味にしてアムルが尋ねる。
「コンヤ?」今ひとつ理解できない表情でオドゥは聞き直した。
「俺は今日から1週間のうちに次の任地に着いていなくちゃならない。言い換えればそれまでは休暇だ。期限さえ守れば自由に行動できる。だから、日程的に考えて今夜が最後のチャンスになる」
「次の任地?部隊が変わるの?」
「ああ、今夜立てるなら送ってあげられる。だが今夜だけだ。傭兵に文句を言う権利なんて無いんだ。だからオドゥの・・・」言葉は途中で止まった。アムルの唇をオドゥの唇が塞いだからだ。アムルはこれ以上に無いくらい体を硬くし体温を上げたが、それでもオドゥの背中に手を回した。
「今夜、立てるようにする」長いキスの後、少し唇を離してオドゥが言った。
 ちょうどいいタイミングだった。男は今朝オドゥを抱いたから、暫くは寝床にやってくることは無い。夜だったら比較的簡単に抜け出すことが出来る。
 この店から逃げ出しても徒歩ではどこにもたどり着けない。男はそれをよく承知しているから、監視の目はそれほど厳しくは無い。
「どうすればいい?」オドゥは体を離した。
「明朝午前2時にアスラピークに来れるか?」
 オドゥは暫く考えてから言った。「ここからだと歩いて丘を登って1時間ぐらいだね。行ける」そして確認するように付け加えた。「明朝の午前2時にアスラピークに着けるようにここを出る」
「そこで待っているよ。そこまで離れたらこのバイクの音も聞こえない。そのまま出発しよう」
「わかった」
「気温が低いから防寒は念入りにな」
「了解、ありがとう」オドゥはもう一度体を寄せ、短くキスをした。
 アムルは離れようとしたオドゥをギュッと抱きしめ「じゃ、あとで・・・」と短く言ってから、ヘルメットを被りバイクに跨った。そして勢いよくキックレバーを蹴り下ろしてエンジンを掛けると、砂埃とともにアスラピークの方へ駆け出した。
 バイクは九十九折れの道を登り、ピークの向こうへ消えていった。

 薄明かりの中、オドゥは布団にくるまっていた。
 店内の気配が消えてから1時間ほどが経過していた。
 オドゥはもう一度気配が無いことを確認すると、慎重に布団から頭を出した。
 節電のために灯火は一切無いが、窓の向こうには月が輝いているはずだ。ぼんやりと光が入ってくる。
 腕時計をその光にかざすと、針は午前0時を指している。
 オドゥは寝床を出た。眠る格好ではない。店での作業用の服装だ。その上に用意してあった防寒ズボンと靴下を重ねてはき、上にはもう1枚上着を重ね、さらに分厚い防寒服を羽織る。店から持ち出した革手袋とブーツ、ヘルメット、腕時計を身に付ける。そして全財産の入ったザックを背負う。
 財産といっても少し纏まった現金、これは会計を巧妙に操作して苦労して貯めたものだ。数組の下着と靴下、そして数食分のレーションと水の入ったボトル、サバイバルキット、それだけだ。
 オドゥはそっと部屋を出た。店の中は暗く静かだ。音を立てないように慎重に梯子を下る。並べられた武器の隙間で立ち止まり、小さなBOXを棚の上に置いてスイッチを入れた。赤いLEDが点滅を繰り返してから消灯した。それを確認してから武器の間を進み、店と反対側の扉を開けて廊下を抜け、鍵を開けておいた裏手の扉から外に出た。
 大きな月が輝いていた。空気は冷え切っていたが風は弱く、体感温度もそんなに低くない。ここは大きなクレーターの底だから冷たい空気が溜まりやすいが、今日はそれほどでもないようだ。見慣れた風景のはずだが、月明かりの下ではすべてが新鮮に、そして美しく感じられた。足元から始まる道は地形に合わせて、始めは真っ直ぐに続き、途中からは九十九折りになってクレーターの淵を登っていた。
 約束の午前2時までにあの九十九折りの先、アスラピークまで歩かなければならなかった。

 息を切らしながらオドゥは時計を確認した。まだ充分に余裕はある。車道は九十九折りの最後のヘアピンカーブに向かって進んでいたが、徒歩道はそれをショートカットして登ってゆく。ゆっくりとリズムをつけながら高度を上げると最後のヘアピンを回ってきた車道に再会する。徒歩道はそこまでで、あとは車道を100メートルほど進めば約束した場所だ。オドゥは急ぎ足で車道を進んでアスラピークへ到着した。
 アスラピークはクレーターの淵にあたる高所だ。雲も無く空気も澄んでいるから、月明かりでも遠くまで見通せる。
 登ってきたその先、クレーターの外はやや下り勾配になっていて、その向こうは緩やかな起伏を持った丘の連なりが乾燥した姿をさらしている。そして登ってきた方向を振り返るとクレーターの真ん中に青白く輝くものがある。男の店のジュラルミンの屋根が月明かりを反射しているのだ。
 オドゥは辺りをぐるりと見渡したがバイクの姿は見当たらなかった。もちろんアムルの姿も見えなかった。
 辺りには枯れ草のような短い植物が生えているだけで、聞こえるのはそこを吹き抜けて行く弱い風の音だけだ。
 不安になったオドゥは道端の草の上に座り込んだ。ちゃんと手の内に取り込んだと思ったのに・・・ため息とともに白い息が吐き出され、風に流されていった。
 時間はとてもゆっくりと過ぎ、散々じらしてから約束の時間も過ぎていった。オドゥの心は不安でいっぱいになった。迎えが来なくても、いまさら店へ戻ることは出来ない。意識の隅に暖かい寝床や、意外なことにあの男の姿までもが浮かんでくるが、自分の気持ち的にも時間的にももうやり直しはきかない。
 行ける所まで歩こう。行き倒れになってしまってもそれも運命だ。死はどこにでも転がっているものだ。そんなに珍しい物では無い。オドゥは覚悟を決めようとした。
 ・・・・・・
 その時、小さく異質のノイズが聞こえ始めた。
 オドゥはその音を聞きつけると立ち上がった。
 ノイズはやがてバイクの音であることが知れる。
 間違いない、アムルのバイクの音だ。
 ヘッドライトが丘の間から現れた。未舗装の道路を上下に揺れながら、それでも精一杯速度を上げて近づいてくる。丘の間を抜け右に左に方向を変え、ライトと排気音は大きくなった。
 そしてついにヘッドライトがオドゥを照らし始めた。
 オドゥが眩しさに顔を覆っている間に、バイクはどんどんオドゥに接近し、目の前で停車した。
「ごめん。遅くなった」アムルの声だ。
「アムル!」
「すまない。上手く抜け出せなかったんだ」アムルはバイクを止めスタンドを立てると、オドゥの元へ駆け寄った。
「アムル」オドゥはもう一度そう言うとアムルの胸に飛び込んだ。アムルがしっかりと抱きとめてくれる。
 オドゥが全身をアムルに預けようとした時、小さな爆発音が連続して聞こえた。オドゥはアムルから離れるとクレーターの淵まで駆け戻った。クレーターの底、店の方に何度も何度も閃光が見えた。続いて連続する破裂音が聞こえた。閃光は徐々に頻度を増し、破裂音は激しさを増していく。
 アムルが追いついて横に並んだ。2人が見下ろすクレータの底では様々な種類の光の饗宴が始まり、店は光に覆われていった。棚の中にビッシリと詰め込まれた弾薬に火が付いたのだ。まもなく長く尾を引く光が空中を舞い始めた。ミサイルやロケット弾にまで火災が及び始めたようだ。爆発音に混じって甲高い悲鳴のような音も聞こえてくる。
 一瞬の沈黙の後、すべての闇を葬り去るような閃光が視界を奪った。

 ガラス製の大きな丸い容器の中に、丸いキャンディーがいっぱいに詰まっている。
 容器は背の高い台の上に載っていて、自分は下からそれを見上げている。
「ミンタカ、これをあげる・・・」優しい声が聞こえた。女の人の声だ。
 ミンタカ?
 顔を上げると光の中で誰かがこっちを見下ろしている。口元は微笑んでいるが眩しくて顔ははっきり見えない。
 手に何かを握らされた。広げてみると、それは銀色に輝くコインだった。
「ミンタカ、ほら、それをここに入れるのよ」スリットが指さされた。
 慎重にコインをスリットの向きに合わせ、少し押し込んで離す。カチャンと音がした。
「これをこう回してごらん、ミンタカ」その指はダイヤルを掴んで回す仕草をする。
 そうだ、ミンタカ、それは自分の名前だ。
 言われたとおり、両手でしっかりとダイヤルを掴んで1回転させると、ガチャリと音がしてキャンディーが転がり出た。

 轟音が全身を包み込んだ。それと同時に衝撃波がやってくる。
 幾つもの甲高い悲鳴のような音と爆発音が続く。
 爆風が通過する。立っているのがやっとだ。
 ここに居ては危険だ。でも上手く前が見えない。知らない間に目が涙でいっぱいになっている。
 頬が暖かい。いっぱいになった涙が溢れ出て頬を伝っているのだ。涙がこんなに温かいなんて知らなかった。だいたいこれまでに涙なんか流したことがあっただろうか。
 彼女は何故自分が涙を流しているのか理解できなかった。
 死にたいのか?
 いや、けっしてそんなことはない。
 彼女は右手で涙をグイと拭った。
 生きたいのだ。何を差し置いてもきっと生きたいのだ。進もう、可能性のある限り。もう元へは戻れない。たとえ、これが確実に死に向かう行進であったとしても・・・。
 いずれ必ず死はやってくるのだ。
「行こう!」爆発の合間を縫ってアムルが言った。
 ミンタカは弾かれたように光に背を向けると、アムルと一緒にバイクの方へ走った。
 背後ではきのこ状の雲が、その鎌首をもたげていた。


2019.08.06

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